アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜 作:ドラソードP
何故って可愛いからですよ。
第26話〈プロデュース六日目〉
カワイイボクと自称・デート
八月十一日、土曜日。
幸子と出会って最初の休日、お出かけ日和の雲一つ無い晴天だ。こんな日はあえて外には出ず、窓から流れてくるそよ風を感じながら仕事で疲れた体をゆっくりと休めるのに限る。
だが、俺は幸子とのとある約束のせいで休日にも関わらず、サービス出勤……もとい荷物持ちをさせられるハメとなっていた。これも彼女のモチベーションを高めるためや、これからのお互いの信頼を深めるために必要な事と考えればまあ少しは許せるが……
ということで赫々然々あった俺は、幸子との待ち合わせ場所に来たのだが、如何せんあまり来たことがない場所の為、時間配分を間違え予定時刻の十五分程前に着いてしまっていた状況というわけだ。
そんなわけで今、俺は真夏の猛暑の中で一人立ち尽くしている。今時の人間ならこういった時にスマホ等をうまく利用して時間を潰せるのだろうが、俺はあまりそういったものをうまく使えない人間でな……いや、お前も若者だろ。何言ってるんだ。
しかし、こんな状況下だろうと幸子の事だから恐らく待ち合わせ時間に数十分遅れてきて
『ボクはカワイイから遅れてきても何も問題ありません!』
とか
『ふ、ふふーん……べべべつに乗る電車を間違えた訳じゃ……』
とか、恐らくそういった流れになるんだろうな、と俺は勝手な想像する。幸子の行動は一々安易に予想出来てしまうからな。頼むから俺を炎天下に放置するのはやめてくれよ? 悪いが干物にはなりたくない。
とかそんなことを色々と考えながら、待ち合わせ場所で使い慣れていないスマホをいじっている俺なわけだが、まだまだ待ち合わせ時間にすらなっていない。時刻は九時五十五分、幸子が常識的ならばもうそろそろ来てもおかしくはない時間だろう。俺は幸子を出迎えるために身だしなみを整える。なんだかんだ言ったって俺は彼女のプロデューサーだからな。周りから見て幸子がだらしないプロデューサーのアイドルだなんて言われてしまわないように、ちゃんとせねば。
「あれ、プロデューサーさん?」
と、俺は突然の声に振り向く。そこには後ろの石像の影から俺を覗く幸子の姿があった。
「幸子? なんで遅れてこないんだ?」
「ボクは一体どんな風に思われているんですか! 三十分前からここに居ましたよ!!」
「いや、俺も十五分前から……」
「えっ」
「えっ」
俺は非常に混乱している。確か十五分前にここに来た時は、まだ誰も居なかった筈だ。
「待った、もしかして幸子はずっと石像の反対側に居たのか?」
「それじゃあプロデューサーさんはずっと反対側の方に?」
お互い顔を見合わせて固まる。つまり、この炎天下の中での待ち時間はまったく意味が無かったということになるのだろうか。俺はなんだかこの数十分の間に失われた汗が勿体なく感じてきた。
「ま、まあとにかくおはよう、幸子。仕事外でもいつもと変わらず、カワイイじゃないか」
「プロデューサーさんもお世辞がうまいですねえ……まあ、カワイイって褒めてくれただけでも嬉しいです! ありがとうございます!」
幸子の格好はもはや定番と化したいつも通りの白のワンピースにあの大きい帽子だ。だが、今日に限っては何故かサングラスとマスクはしておらず、逆に違和感を感じてしまう。
「まあ、そんなプロデューサーさんの格好も……」
そこまで言うと幸子は喋るのをやめてしまった。
「ん? どうした、少しマズい格好だったか?」
「い、いやあ……別に、悪くはないとは思いますが……なんというか、プロデューサーさんのセンスって独特ですねぇ……」
「ぐさあっ、独特なセンスって、それやっぱりダサいってことじゃないか……! 」
結構悩んだんだぞ。ファッションなんて微塵も気にしたことも無かった人生だったから、家にあるもので色々考えてやりくりして来たのだが……
「ま、まあプロデューサーさんの女性経験もご察ししますし……べ、べつに悪くはないとは本当に思いますよ!?」
「なんで年下の女の子に女性経験を察しられなきゃいけないんだよ!! そうだよ選びましたよ……選んだんですよ、必死に!!」
悔し過ぎる。メンズ服の本もざっと昨日の帰りに本屋で見て確認した。ネットでもファッションについて調べたし、ぶっちゃけ今日のこれは遠足前の小学生じゃあるまいし、幸子の反応が見てみたくてなんだかんだちょっと楽しみにしていたんだ。それなのに……これ以上、何をどうしろって言うんですか。
「もう、いいよ。わかった、うんうん。幸子はやっぱりカワイイね、うん」
「プロデューサーさん、いきなり壊れたオモチャみたいなんかになって……気を確かにしてください! 今日はちゃんと、ボクがエスコートしてあげますから!」
「ああ……なんで中学生の少女に気を使われて居るんだろう……エスコートって……それ普通、俺がしなきゃダメなやつじゃん……もうむーりぃ、ぷろでゅーさーおうちにかえりたいです……」
「なんで乃々さんみたいになっているんですか! 別にボクのセンスがずば抜けているだけで、世の中の普通の女性の方なら大丈夫だと思いますよ! 多分!」
素直にダサいと言われるより、遠まわしに気を使われてダサいと言われた方が辛い時もある。それに、更にそこでフォローなんてされたら恥ずかし過ぎてもうたまったもんじゃない。
幸子の素直さや優しさはたまに破壊力抜群だな……まあここは、服のセンスを磨く良い機会だと考えておくのが吉なのか。
「とにかく、ここで長々と立ち話をするのもアレですし、そろそろ目的地にお話しながら行きましょう! プロデューサーさん!」
「そ、そうだな……炎天下の中このままここにいたら干物になっちまうし、それじゃあそろそろ出発しますかね」
こんなくだらない話をしていたら気が付くと、時刻は待ち合わせ時間の十時を過ぎていた。これから更に暑くなるし、幸子のことを考えたらなるべく早く涼しい建物の中等に行くのが得策か。
「それじゃあ、はいっ!」
そう言うと幸子はいきなり手を差し出してきた。
「おおっと、どうした? 幸子」
「早く手、繋いでください! 早く! これはカワイイボクと二人っきりのデートなんですから、光栄に思ってくださいね! ねっ! プロデューサーさん!」
「んなっ……デートって、仮にも俺はプロデューサーで、幸子はアイドルなんだからそういうことは……」
「反論は許しません! 手を繋いでくれるまではボクはここから動きませんよ! 例え干物になっても!」
こうして幸子との花火大会に向けた買い物……幸子曰くデートが始まった。結局繋いだ幸子の手は、小さくもなんだか温もりがあり、なんだか小さかった頃親と手を繋いでいた時を思い出す。だが、その手はやはりまだ小さく、プロデューサーである俺が様々な危機から守ってやらねばな、ともう一度考えさせられた。
ともかく、なんたかんだ平和そうな始まりで良かった。この天気だとゲリラ豪雨も降らなさそうだし、幸子の身の回りの危険は俺が寄せ付けないし、それなら少しは俺も楽しませてもらうか。
このまま何もなく、全てが平和に終わって欲しいものだ。
昨日、夢に幸子が出てきました。
幸子が筆者の同級生になっていたのですがが夢は夢です。
朝が来ました、猛烈に死にたくなりました。
それにしても幸子がドン引きするプロデューサーのセンスって……まさか美穂のクソダサTシャ(この先はNaked Romanceされてしまっていて読めない。
文章の改行や空白
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