アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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第28話 カワイイボクと楽しいお買い物

第28話

カワイイボクと楽しいお買い物

 

 

 渋谷の街は思っていた以上に広かった。俺たちは幸子が探しているその目的のお店とやらを探しながら歩いていたつもりだったのだが、今現在、気がついたら寄り道の方がメインになってきてしまっている。

 街を散策中の幸子は、目に映る様々なものを飛びつくように買っていく。そして、にっこりと笑ったかと俺に買ったものを何のためらいもなく渡してくる。まるでその幸子の姿は娘か、あるいは田舎から来た親戚の子供みたいな印象を受ける。まあある意味、将来のシュミレーションと考えればそれもアリと言えばアリか。

「プロデューサーさん! あのサングラスどうですか? ボクに結構似合いそうじゃないですか!」

「そうだな、良いんじゃないか? 確かにいつものあれは……なんというかシンプルというか、ゴツすぎるというか……」

「それなら買いましょう! 迷ったら買い、それがカワイイボク流です!」

 こんな感じで街を歩きながら色々な店等を見て周り、少しでも気になったものがあれば立ち止まる。幸子はそれをひたすら繰り返していた。そして俺はそんな幸子のペースに合わせつつ、歩いて行く。

「プロデューサーさん! あのお店のスイーツ、まるでカワイイボクにお似合いな位美味しそうじゃないですか? さあさあ、行きましょう!」

「カワイイボクにお似合いな位って……食べ物にまで言うのかまったく……」

 しかし、そうはいいつつも幸子は本当に目に映るもの全てを片っ端から見て回っていくな。衣服やアクセサリーに留まらず、食べ物にすら手を出している。

 俺はそんなに使って目的のお店に着くまでにお金は無くならないのか、と内心心配していたが、どうやら普段からかなり貯金をしていた様で、ちゃっかり今日俺が持ってきた財布の中身よりお小遣いを持っていた。

 なるほど、これが貯金できる人間とできない人間の差か。こうやって現実を突きつけられると、貯金ができない自分の計画性の無さに、少しだけ恥ずかしさを覚える。俺より遥かに収入が少ないはずの中学生でもこんなに貯金できるのにな、と。

「プロデューサーさん! 今度は……」

「はいはい、荷物なら持ってやるから気にせず好きに買ってこい」

「違いますよ! そろそろお昼ですから、どこかのお店でランチにしましょう!」

 俺は幸子に言われて時計を見る。すると時刻はあっという間に十一時過ぎを指しており、いつもなら弁当や昼飯を食べている様な時間だ。

「確かに……そうだな。よし、じゃあ幸子のご希望を聞こうかね」

 そう言うと幸子は俺の手を引っ張り、そのまま近くにあったファストフード店へと俺は連れて行かれた。

 店に入ると時間やタイミングが良かったのか、そこまで人は混んでいない様子だった。どうやら運が良かった様だな。

「プロデューサーさん、なにか希望とかはあります?」

「いや、俺なら自分で注文するから大丈夫だぞ?」

「いやいやいや、プロデューサーさんはカワイイボクの為に馬車馬の様に働いてくれているので、そんなプロデューサーさんへのボクからの労いです! 遠慮はしなくて良いですよ? 何たって、カワイイボクですから!」

「へいへいわかったわかった。それじゃあ幸子のお言葉に甘えて……」

「フフーン! 何でも言ってください!」

 俺は幸子にフライドポテトとハンバーガー、そして飲み物を頼んだ。幸子はそれを快諾して列の方に並ぶ。

 俺は先に席取りをしている様に言われた為、幸子が並んでいるあいだに奥の空いていた席を確保しておくことにした。

 取り敢えず端の方の席を確保した俺は、荷物を置くと椅子に座った。そして、列に並んでいる幸子の方を眺める。幸子は列に並びながらも、数秒置きにこちらをチラチラと見てくる。俺がちゃんと席を取ったのか気になるのだろうか。しかし、俺が幸子の顔をじっと見ると幸子は恥ずかしかったのか目線を逸らしてしまう。だが、しばらくすると逸らしていた目線を戻して、笑顔を向けてくる。なんだかこんなやり取りをしていると、彼女が言う通り本当にデートみたいである。

 ということで数分もすると、幸子は注文を終えてこちらに歩いてきた。幸子はあえて対面側の席ではなく、俺の横に座る。本当に一々やることがあざといな。あざとカワイイ輿水幸子か……?

「さて、しばらくしたら注文が来ますので、それまでハンバーガーなどはお預けです! 代わりに、カワイイボクを堪能していて下さい!」

 と、さっきは恥ずかしくて目を逸らしたくせに今度は横でこちらをじっと見てくる。なんだか、こう見つめられると今度はこちらが逆に恥ずかしくて、気まずくなってくる。やはり時間が経っても恥ずかしい物は恥ずかしい。

 幸子の方は満更でもないみたいだが俺の方が対応に困る。素直にカワイイと言ってあげれば良いのか、それともあえて言わない方が良いのか、とにかく何を話せばいいのかわからなくなってくるのだ。

「プロデューサーさん、どうかしました?」

「あ、ああなんでもない。そ、そう言えば幸子は本当にこんなファストフード店で本当に良かったのか? てっきりまたカフェみたいなお洒落な場所に入りたいのかと……」

「別に、ボクなら大丈夫ですよ? むしろこっちの方が変な気を使わなくて良いですし!」

「まあ、それならそれで良かった」

 前回のカフェは周りに気を張っていて全然休めなかったからな。やはり、庶民には庶民の空気が必要だ。

「それにしても……結構午前中だけで買っちゃいましたねえ……」

 俺は床に積まれた紙袋などの荷物に目を向ける。アクセサリーの様な小物や可愛い衣服、本当に使うのか微妙な物まで沢山ある。これだけ買って目的のものはまだ一つも無い。

「このペースで、本当に浴衣なんて買えるのかね……」

「そこをプロデューサーさんの勘と知識に頑張って貰うんじゃないですか!」

「まったく、無茶言うよ……」

 幸子が今日は何時まで良いのかはわからないが、あと半日で目的地にたどり着けるか心配だ。結局ただの幸子のお買い物休日、というオチにならない事を祈りたい。

「お客様、ご注文の品をお持ちしました」

「あ! プロデューサーさん! 頼んだランチ来ましたよ!」

「あ、ありがとうございます」

 俺はランチを受け取る。頼んだとおりフライドポテトとハンバーガー、飲み物はちゃんとある。因みに飲み物はメロンソーダだろうか。

「ごゆっくりどうぞ」

「さあ、いただきます……っとあれ、幸子はハンバーガーや飲み物とか要らないのか?」

「フフーン! 何言ってるんですかよく見てください!」

 俺は乗っかっているものをよく見る。Lサイズのフライドポテト、ハンバーガー、飲み物、そしてやたらと長いストローが何故か二本ある。

「まさか……」

「プロデューサーさんとボクではんぶんこです! あ、ハンバーガーはプロデューサーさんが食べちゃっていいですよ?」

「おいおい、マジで言ってるのか……」

 幸子はこうしている間にも笑顔でストローを二本とも飲み物に入れていく。

「ま、まあ仕方ない。奢ってもらっている身だし何も言えないな……」

「それじゃあ、ボクもいただきまーす!」

 俺はフライドポテトに手を伸ばす。すると幸子も手を伸ばし手がぶつかる。

「……お、お先にどうぞ」

「プロデューサーさんこそ、お、お先にー……」

「じゃあ……遠慮なく……」

 ダメだ、幸子とはボケやつっこみ無しで面と向かって話すと恥ずかしくなってきて喋れなくなる。

 俺は気を紛らす為にメロンソーダを飲む、しかし幸子も同じタイミングで飲み始める。いくらストローが長いとはいえ、幸子の顔がすぐそこにある。

「……」

「プロデューサーさん? 表情硬いですよ?」

「あ、ああ。そうか」

 幸子との微妙な間はまだまだ続いていく。腹が減っていた気がしたが、なんだかもうこれだけで満腹になってきた。こんなこと幸子に言ったら『カワイイボクでお腹いっぱいですね!』とか言われてドヤ顔をされるに決まっている。

「さて、昼食が終わったら午後はどうしますか? プロデューサーさん」

「そうだな、流石に目的の物が見つからず終いってのもアレだし、本来の目的のためにもちょっと本腰を入れて探すか」

「そうですねえ……今日はあくまでも、来週の花火大会の準備のために来ているんですし、午後からは本腰を入れてさがしましょうか」

 俺はハンバーガーに手を伸ばす。幸子はその間にも容赦なくフライドポテトを食べていく。

 まあ、現状は幸子に休日を楽しんで貰えているようで良かった。なんだかんだ幸子はレッスンを毎日頑張ってくれているし、たまにはご褒美だな。

 とりあえず、昼食が終わるまではゆっくりと幸子のペースに合わせてあげるとすることにした。

 




お気に入り100記念の特別話は忘れていません。
もう少し待ってください。
現在内容を考えているのですが飛鳥や乃々の日常編にするか、幸子、飛鳥、乃々の3人のラジオ番組にするかで悩んでいるのでもう少し時間がかかりそうです、すいません。

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