アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜 作:ドラソードP
第34話〈プロデュース10日目〉
カワイイボクと移動時間
今朝、久しぶりにテレビをつけると衝撃の内容から一日は始まった。なんと、最近東京の方でもかなり話題になりつつあった、とある地方局の看板アナウンサーが突如としてアナウンサーを引退するというのだ。なんでも「私、夢をやっぱり諦めきれませんでした。だから昔から思い描いていた夢を追うために、今日でアナウンサーを引退します!」ということらしい。
このアナウンサーさん、最近は東京のニュースやバラエティにも出て来る様な人で、原稿を読む滑舌も良いし、良いキャラもしていたし、それだけでなく綺麗な人で、まさに名物アナウンサーそのものだっただけに少し寂しいものだ。しかし夢があるというならば、それを黙って応援してあげるのがファンたる者の勤めなのか。
……なんだか、こうして見るとアイドルに似ているな。もしかしたら、幸子にもいずれはそうなって引退する時が、誰かに居なくなることを惜しまれたりする時が来るのだろうか。それはそれで寂しいものだが、彼女にもそんな夢がある、もしくはできたというならばプロデューサーとして少し嬉しいようにも感じる。
それにしてもアナウンサーさん、確か二十八歳にもなるはずだったが果たしたい夢とはなんなのだろうか。歳的に考えてアイドルは……まあありえないか。
と、そんなことはさておき、今日は幸子の初仕事だ。とりあえず朝のところは事務所に行くのは変わらない。
事務所に着き、部屋の扉を開けるとそこには幸子が既に立っていた。
「遅いですよ! プロデューサーさん!」
「なんだ、最近毎日早いな」
「なんだとはなんですか! ボクはプロデューサーさんと違って、何事にもやる気全開なんです! もっとカワイイボクを見習ってください!」
とか言いつつ、目の辺りに隈があるのを見ると、恐らく今日が気になって寝れなかったのであろうと状況が察せる。今日に限っては、間違いなく遠足前日の小学生現象によるものだろう。
まったく子供か……とツッコもうとして、先週自分も同じような状態になっていたことを思い出す。それに、そもそも幸子は子供だろ、と自分の中の自分から様々な自虐ツッコミが帰ってきた。
「まあ、今日はハメを外さない程度に一日そのテンションで頼むよ?」
「言われなくてもです! 今日のライブをやるアイドルさんには、せいぜいファンをカワイイボクに取られないように気を付けておけって伝えておいてください!」
「へいへい……」
だが、こんなに意気込んでいる幸子には悪いが、今日の仕事はスタッフだ。自分がアイドルとして出るみたいに意気揚々と話ているが、もう一度言う。
『だがスタッフだ。』
とまあ、そんなこんなで時間になった俺達は、早速現場に向かう事になった。
この346プロ、何が凄いってこんなまだど底辺アイドルと、そのプロデューサーにも送迎車が出るという話だ。何か特別高級な車とかそういうわけではなく、スタッフが乗る様な普通の車だが、それでも車に乗せてもらえるという所からも346ブランドの凄さがわかる。
とりあえず向こうに着くまでは時間があるので、車の中では幸子と今日の確認や雑談をして時間を潰すことにした。
「……それにしても現地まで車が出るなんて、さながらリムジンに乗るハリウッドの有名女優にでもなった気分ですね。サングラスを持ってくるべきでした」
「幸子、イタい新人みたいに思われるからその発言はやめろ」
「だって新人じゃないですか」
「いや、だとしてもな……新人なりのプライドってものが俺にも……」
参考程度に行っておくが、乗っている車は世間一般的に流通している普通のミニバンだ。現地まで車で送ってもらえるだけでハリウッド女優の気分になれるとは、その心が羨ましいよまったく。
「で、今日の仕事の内容の説明だが、とりあえずそこまで専門的な物や力仕事はやらないから大丈夫だ。むしろライブの見学的な物の方がメインになる感じかな」
「仕事内容って、具体的にどんなことをするんですか?」
「例えば会場の人の誘導や簡単な舞台のセット等、他には夏で暑いから宣伝も含めたうちわの配布や、始まる前の会場の掃除とかかな?」
「簡単そうで、意外と大変そうな仕事が多いですねえ……」
とはいえ、力仕事などはほとんど俺がやるつもりなんだがな。幸子には実際、簡単な仕事だけをしてもらうつもりだ。今回の一番の目的は手伝いではなく、幸子に現地の雰囲気というものを学んでもらうことにある。
「まあ俺もできる限り手伝うからさ。そう気を落とさず、適度に緊張しつつ気楽にやっていこうな」
「別にボクは、プロデューサーさんが一緒に居てくれるなら、何をやるにも不満はありませんよ?」
「そう言ってもらえて嬉しいよ、幸子」
ちなみにライブとは言っても、野外に建設された小さな会場での小規模ライブで、コンサート会場みたいな場所ではないらしい。それなりに大物だからといって毎回毎回大きな会場を使う訳では無いんだな、と今後の参考になる。
「しっかし、案外遠いな。こりゃあテレビに出てるアイドルや芸人とかが、わざわざ地方ロケの度に遠くへ行く大変さがわかるな」
「何言っているんですか、それだけ日本中の様々な人達から求められているってことじゃないですか。まったく、ボク以上にプロデューサーさんは贅沢ですね」
「ま、確かに幸子の言う通りだな…」
「それに、遠くまで行くのがそんなに大変でめんどくさいなら、頑張ってもっと有名な、それこそ世界ランク級のアイドルになって、リムジンや自家用ジェットで迎えに来てもらえば良いじゃないですか! 自家用ジェットなら、海外のファンの元へもすぐにひとっ飛びですよ!」
「リムジンはまだわかるが、自家用ジェットってさ……どれだけ人気のアイドルなんだ……」
「それは、ボククラスのアイドルってことなんじゃないですか?」
「……まったく、お前の話にバカ真面目な理論を持ち込むんじゃなかったな」
幸子との普通の会話に普通の価値観で話すと、すぐに会話が破綻しておかしくなる。まるで幸子の会話ペースに飲まれてしまうようだ。それこそ、幸子ブラックホールとでも呼ぼうか。
超幸子理論に幸子ブラックホール、なんというか凄くインテリジェンスで……SFチック?
「……とりあえず、まだ着きそうにありませんかねえ……プロデューサーさん。少しボクは……眠くなってきました」
「まだ出発したばかりみたいな物だしなあ……運転手さん、あとどれくらいかかりそうですか?」
俺は運転席で車の運転をしているスタッフに質問をする。因みに車にはスタッフさん二人と、後部座席に俺達二人が乗っていて、計四人乗っている。
「あー……今日は平日の割に少し道が混んでいますね。時間には余裕を持って出てきたので遅れる事は無いでしょうが、もうしばらくはかかりそうです」
「そうですか……ありがとうございます」
なんとなく、感じの良いスタッフさんだ。お堅いイメージの346プロだが、スタッフさん達は基本優しくて、本当に丁寧な人が多い。今回の俺達の突然の参加にも、事務の人は笑顔で対応してくれた。
「ところで、おふた方が今日欠員を埋めるために、わざわざ来てくださったアイドルとそのプロデューサーさんでしたよね?」
「ああはい、そうですね」
「いやー……わざわざ本業で忙しいであろう中ありがとうございます。私供としても本当に助かります」
「いやいや、自分達はまだスケジュール埋まるような仕事もありませんし、むしろ彼女と二人で足を引っ張らない様に頑張ります」
「こちらこそ、とりあえず今は無事に会場に着くまで安全運転で行くので、プロデューサーさんと幸子ちゃんはゆっくりくつろいでいてください」
「ありがとうございます。それじゃあ、そのお言葉に甘えさせてもらうとします」
俺は少し体勢を崩し背伸びをする。やはり車での長時間の移動は眠くなるものだ。
と、急に幸子の気配が急に消えたなと思い横を見ると、そこには眠たそうに一点を見つめる幸子の姿があった。
「どうした? 眠いんだったら向こうに着くまではもう少し時間がかかるみたいだし、べつに寝ていても良いぞ? 今日は朝も早かったみたいだし、無理して起きている必要は無いからな」
「うー……ダメです……折角……プロデューサーさんとこうして長い時間話せそうな機会なんです……寝るだなんてそんな勿体なぁ〜……い……」
と幸子は話しながら大きなあくびをする。そのカワイイ瞳も、もう今すぐにでも閉じてしまいそうな感じだ。
「やれやれだな……」
と、俺もつられあくびをする。
しかし、いきなりテンションが高くなったりいきなり眠たくなったり、本当に子猫か小動物が幸子は。
こうして数分が経ったか、何かが手を握る感触がした。手元を見ると、幸子が俺の手を握ってきている。それから数十秒もすると、幸子の首がこちら側に倒れ込んできた。
「……眠っちゃったか……」
気がつくともう幸子は寝息を立てている。まあ、昨日は寝不足だったみたいだし暫くは寝させてやるか。俺の方も幸子の寝息につられてか、少しずつ眠くなってきた。
なんだか瞼が重い。とりあえず現地に着くまで俺も早めの昼寝をさせてもらうか。
俺はゆっくりと瞼を閉じた。
一体このアナウンサーは誰なのか、訓練されたプロデューサーさんならわかると思います。
筆者はだれだか『わかるわ』
最近、幸子の絵を書き始めました。
模写程度しか書けないクソ雑魚ナメクジな画力ですが幸子がそこにいる気がして……なんだか(目のハイライト無し)
因みに今考えている新小説はもう少し時間がかかりそうです。
一応新小説の内容をざっと説明すると
金にがめつい笑顔がトレードマークの普通の主人公が、おじいちゃんから宿屋を譲ってもらって、そこでニートの暗殺者や異世界から来た能力者の高校生やチートな人外金髪ロリと、世界のみんなが笑顔になる宿屋を経営していくハートフル(大嘘)なギャグ宿屋物
な予定です。
また投稿したり続報がありましたらこで連絡します。
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