アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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第49話 幸子会 〜閉会式〜

第49話

幸子会 〜閉会式〜

 

 

 事の始まりは数時間前、仕事終わりで家に帰ろうとしていた俺と幸子は台風で電車が止まり、足止めをくらってしまい家に帰れなくなっていた。その関係で仕方なく、俺たちはプロダクションに泊まり込む事になる。そして、その後幸子の提案により知り合いのアイドルである飛鳥、乃々、そして美嘉の三人を呼び、俺たちは部屋で女子会を開く事になったのであった。

 こうして集まった俺達は違いに様々なことを話し合い、相談をしたりなどして有意義に? 時間を使い過ごした。そしてそれぞれ思い思いに様々な話をしていけば、気が付くと日は沈み、時刻は夜になっていた。

 

 で、あるからして。

 

 部屋では先程の出来事を引きずっている美嘉がもはや機能を停止して、テーブルに突っ伏したまま動かなくなっている。乃々は相も変わらずいつものペースで机の下で座っており、飛鳥は飛鳥で何か独り言を言いながら一人、何かを考えている。

 そう、女子会を開いていたつもりなのにもう誰一人まともに会話をしていない。どうしてこうなったのかもはや訳が分からない位で、俺と幸子はそんなめちゃくちゃな状況を傍らから見ていた。

 

「どうしましょうか、この状況」

 

「どうもこうも無いだろう、責任者はお前なんだから俺に聞かれたって知らん」

 

 女子会、確か最初に幸子はそう言っていたはずだ。だが、明らかにやろうとしていたものと結果起きたものがかけ離れ過ぎている。

 

「あのー……皆さん? もうお話はしないんですか? もっと女子会なんですから、賑やかにやりましょうよ!」

 

「アタシはもうパスで……」

 

 美嘉が突っ伏したまま手だけで反応する。先程までの恥ずかしがってどうこうと言うよりも、もはや燃え尽きた、と言った感じだ。

 

「もりくぼも……なんだか色々あってもう疲れました」

 

「確かに、ボクもあまり誰かとこの様に長時間話をしたことは無かったのでね。少しだけ、会話疲れの様なものを感じるよ。もっとも、疲れたとは言ってもそこまで気分の悪いものでは無いが」

 

「そんなー……まだボクのカワイさについて全然話せていませんし、楽しい夜はこれからじゃないですか!」

 

「キミのカワイさなら、語ってもらわなくとも充分に理解しているつもりだ。というかもう遠慮してくれ、自称美少女。まあそれに若干一名、これ以上続行できなさそうな者も居るしね」

 

 飛鳥は美嘉の方に目線を向ける。その飛鳥の目線の先では、美嘉が居酒屋で酔っ払った会社員よろしく伸びている。幸子はそんな美嘉の様子を見て仕方ないですね、とため息をつく。

 

「ま、まあそうですね……」

 

 再び会話が途切れ、部屋には沈黙が訪れる。

 と、その沈黙と空気を破る様に、不意にノックの音が部屋に鳴り響く。どうやら誰かが訪ねて来たようだ。

 

「なんだ、誰かピザでも頼んだのか?」

 

「何言ってんですかプロデューサーさん、ここはビルの中の事務所ですよ。それに、こんな台風の日にピザ屋が宅配なんてやってるわけ無いじゃないですか」

 

「いや、もしかしたらこのカフェでも、エステでも、とにかく何でもある346プロのことなんだから、専属のピザ屋くらい普通にあるんじゃないか?」

 

「346プロのピザ屋……346ピザ……なんだか語呂が良いですねぇ……」

 

 と、俺は幸子と冗談を言い合いつつも立ち上がり、一応誰が来たのか確かめるため部屋の入口の方へ行く。

 

「で、真面目な話こんな時間に誰なんだろうな」

 

「さあ、もしかして騒ぎ過ぎて他所から苦情でも入りましたかねぇ? それか帰りが遅いから心配になって、乃々さんのプロデューサーでも来たのかも知れませんし」

 

「ひぃっ!? も、もももりくぼのプロデューサー……!?」

 

 乃々は乃々のプロデューサーという言葉に瞳を恐怖で曇らせる。まるでホラー映画の怪物にでも怯えているかのような表情だ。

 

「それは無いんじゃないか? 乃々のプロデューサーのことだ、本当に心配なら多分ドアでもぶち破って入ってくるだろう」

 

「まるで分かりきったかの様な答えですねぇ」

 

 俺はとりあえず、真意を確かめるべくドアを開ける。するとそこには、俺の知らない眼鏡をかけた若い女性が立っていた。どうやら、どちらの予想も当たっていなかった様だな。

 

「夜分遅くに失礼します、こちらにアイドルの二宮飛鳥は来ていますでしょうか?」

 

「あなたは……?」

 

 その茶色がかった長い髪の毛の女性はスーツを着ており、このプロダクションの社員だというのはすぐに分かった。だが、記憶が正しければ少なくとも俺は初めて会う人だ。

 それに気になったのだが、飛鳥の名前が出てきたのは何故だろうか。

 

「あ、すいません。私、二宮飛鳥のプロデューサーをしている者です。本日はこちらに私の所の担当がお邪魔していると聞いて……」

 

「なんだ、キミか」

 

 部屋で座って何かを考えていた飛鳥が彼女、飛鳥のプロデューサーを名乗る女性に気が付き、こちらの方を向く。

 

「成程、飛鳥のプロデューサーの方でしたか。いつもうちの幸子の制御役として、お世話になっています」

 

「制御役ってボクは危険人物か何かですか!」

 

「お前、この前はボクは歩くだけで犯罪級とか兵器級とか言ってただろ」

 

「……そ、そそそれは言葉のあやですよ! 細かい事は気にしないでください!」

 

 幸子はいつもの様に目を逸らす。俺ももうこのやり取りに慣れてきているので、話をスムーズに進めるためにも、あえて追撃してイジるようなこともしない。

 

「ま、まぁ飛鳥さんの……プロデューサーさん、でしたっけ? 玄関で話しているのもあれでしょう。とりあえず中に入ってください! 室長のボクが許可します!」

 

「お前、いつからここの室長になったんだよ……」

 

「いえいえ、長話をするつもりもないので、入口で結構ですよ。お気遣いだけ感謝します」

 

 飛鳥のプロデューサーは幸子の言葉に微笑みながら丁寧に返答をする。少なくともその手馴れた様子からして、この人はそこそこ長い間プロデューサーをやっている人のようだ。

 と、飛鳥のプロデューサーは部屋の各所に散らばっている、幸子達を見る。

 

「……ということは、ここに居るあなた方が飛鳥さんが言っていたお友達の方々でしょうか……?」

 

「はい! ボクが噂にも聞いていると思いますが、超絶カワイイボクこと輿水幸子です! そしてあの机の下に居るのが森久保乃々さん、テーブルで伸びているのが城ヶ崎美嘉さんです!」

 

「あのー……はい。森久保乃々です」

 

「輿水幸子さんと森久保乃々さん、そして城ヶ崎美嘉さんですか。始めまして、私は二宮飛鳥のプロデューサーをしている者です。今後とも、どうぞよろしくお願いします」

 

 テーブルで死にかけている美嘉を除いた二人が自己紹介をすると、飛鳥のプロデューサーは丁寧に返答を返す。

 

「フフーン! 飛鳥さんとは出会った時から、良い付き合いをさせて貰ってますよ!」

 

「嘘つけ、最初に会った時は飛鳥に対して、ライバルとして認めてあげないことも無いですからね! とか言ってたぞ」

 

「あ、あれですよ! 親しき仲にもなんとやらって……そうです! 飛鳥さんとボクは仲が良くも、ちゃんとライバルとしてリスペクトしている、お互いに高め合うベストな関係なんです!」

 

 幸子は必死に弁明をする。その幸子の姿を見て飛鳥のプロデューサーは安堵したかの様に笑う。

 

「良かった、ちゃんと飛鳥さんにも幸子さん達の様な良い友達ができていた様で……」

 

「なんだかんだああ言っておいて、多分幸子も飛鳥のことは嫌いじゃないはずです。あいつ、本心を他人に聞かれたりするの嫌がる性格なんで」

 

「ちょっとプロデューサーさん! 全部聞こえてますよ! ボクは至って素直です! いつも本心しか話していません!」

 

「はいはいそうですね、すいませんでした」

 

 と、そんなやり取りをしながら俺は飛鳥のプロデューサーをじっと見ていた。別に俺の好みだったとかそういうわけでも何でもない。ただ、女性のプロデューサーと言うものが少し珍しかったのだ。

 

「あれ、どうかされましたか?」

 

「いや、そのー……なんでもありません、大丈夫です」

 

 というか女性のプロデューサーということでも自分は驚いていたのだが、それよりもそんな彼女がなぜ飛鳥のプロデューサーをしているのか、ということに驚かされた。

 ただでさえ一癖も二癖もある飛鳥だが、てっきりそのプロデューサーとなれば、飛鳥を担当しているだけあって似たような人か、あるいは負けぬ個性でも持っているのだろうと勝手に脳内で考えていたからだ。

 そんなこともあって正直飛鳥のプロデューサー、というイメージが全く固まらなかったために、色々と予想外だったのだ。

 それに、乃々のプロデューサーもなかなかのインパクトだったし、幸子の担当も正直俺みたいな人間だからな。そう考えたら俺の中で、飛鳥のプロデューサーも必然的に普通の人では無いと、そう先入観がさせてしまった。

 よかった、このプロダクションにも一人はまともなプロデューサーが居てくれたようで。

 

「それで飛鳥のプロデューサーさん、今日はどのような件でここに」

 

「ああそうです、本題を忘れてしまうところでした。私がここに来た理由ですね」

 

 そういうと飛鳥のプロデューサーは話し始める。

 

「実は今日、急遽泊まりになってしまって夕飯も食べれていないので、飛鳥さんもそろそろお腹が空いていると思い、購買で軽めの食べ物を買ってきたのです。そこで、そろそろこちらに帰ってきて晩御飯でも一緒に食べないかと……」

 

「なるほど、ここにキミが来た理由そういうことか。確かに夕飯も摂っていないし、ちょうどそろそろ空腹感を感じてきていた所だった」

 

「ああ、でも飛鳥さんがもう少しここに残りたいと言うならば、私はなどは強制はしません。判断は飛鳥さんに任せます」

 

 なんと、この飛鳥のプロデューサーは担当アイドルの為を思いわざわざ晩飯を買ってきてあげていたのか。それに先程から思っていたが担当アイドルをさん呼びとは、俺なんかよりも遥かにこの人は真面目にプロデューサーをしているぞ。

 ……いや、何を感心しているんだ俺は。悔しかったらお前も幸子の為に働け、俺。

 

「しかし晩飯か。そういうことなら丁度タイミングも良い事だ、ボクはそろそろ失礼させてもらうとするかな。それに、他人の部屋に長居するのはあまり好みではないのでね」

 

「それならもりくぼも……」

 

「じゃ、じゃあ二人共帰るならアタシも……」

 

「どうやら、みんなの反応を見た限り、女子会はここでお開きの様だな」

 

「そうですねぇ……ボクはまだ語り足りませんけど、皆さんがそういうことなら仕方ありません。ここで女子会を終了にしましょう」

 

 そういうと飛鳥達は立ち上がる。

 

「それでは急になるが、失礼するよ。幸子と、そのプロデューサー。また呼んでもらえる機会があるならこの飛鳥、いつでも赴こう」

 

「じゃあもりくぼも……一人だけ残るのも図々しいと思うので、失礼します」

 

「ああ。いつでも来てくれ」

 

「それでは急に押し寄せてしまってすいません、私達はこれで失礼します」

 

 そう言い飛鳥と飛鳥のプロデューサーが部屋を出ていった。そしてそれに続くように乃々も部屋を出ていく。

 テーブルに突っ伏していた美嘉も、そんな飛鳥や乃々の流れに乗るように、九に起き上がるとさっさと早歩きで部屋を出ていこうとする。

 

「じゃ、じゃあまた今度ね……今日は何か色々取り乱しちゃってごめん。カリスマギャルだなんて、まだまだだね」

 

 美嘉は顔を赤くして恥ずかしそうに部屋を出て行こうとする。と、俺はそんな美嘉を呼び止め一言だけ声をかける。

 

「まっ、さっきは色々あったがそんなに焦んなよ。美嘉は普通の人には無い物をたくさん持ってるんだし、それに美人さんなんだから。きっといつか、それに見合った人が現れるさ。これ、芸能界での年では後輩だが、人生では先輩な俺からのちょっとした助言な」

 

「……?」

 

「……どうした?」

 

「……ッ!?」

 

 俺の言葉を聞いて美嘉は一瞬考え込んだような顔をしたが次の瞬間、また蒸気を吹き出すかのようにかのように顔を真っ赤にした。そして、俺から即座に目線を逸らすと俯きながら早歩きになり、部屋の外に歩いて行く。

 

「そ、そそそうやって軽率な発言で女子高生をからかうのはよっ、良くないと思うよっ!!」

 

「へいへいさよならさよなら、帰った帰った」

 

 しかしなんだか、今日の美嘉は調子がおかしいな。一昨日会った時のカリスマの欠片も感じられなかった。こうして素の彼女見ると、やっぱり幸子達と変わらない少女なんだな。そう考えると不思議と、彼女を今まで以上に近くに感じた。

 

「……さて、行ったか」

 

 俺は三人を見送った後扉を閉める。

 

「全く、若いって良いよな……っていてっ!! いててっ!? 何するんだ幸子!!」

 

 俺は幸子に脇腹を指で軽く刺される。幸子は決して何も言わないで、こっちを見ている。

 

 「だー悪い悪い、幸子」

 

「まったく、プロデューサーさんはボクが目を離すとすぐにこれなんですから……」

 

 それから数分が経ち、俺は部屋を片付けた後疲れた様子でソファに座る。そして幸子はその隣に座る。

 

「さて……と、飛鳥達も帰ってとりあえずひと段落かな」

 

「ですねえ。色々ありましたけど」

 

 俺は時計を見る。時刻はそろそろ八時半だ。やはり相変わらず、来客が来ると時間が経つのが早いな。

 

「しっかし、まだ雨風が強いな……」

 

「今日家に帰るのは、諦めた方が良さそうですね」

 

 外では相変わらず雨風が酷い。まあ元から泊まりは覚悟していたから大した問題では無かったのだが、それにしても例年類を見ない強力な台風だ。

 

「で、これから寝るにしてもまだまだ全然早いしどうする? 幸子。何か希望があるなら沿った形で聞いてあげないこともないが」

 

「そう言えば皆さんがいてあまり気になっていませんでしたが、なんだかボクもお腹すきましたね」

 

「確かに、言われてみれば俺も少しばかり腹が減ってきたな。じゃあ時間も時間だし、うちらも軽めの晩飯にでもするか? 飛鳥のプロデューサーさんの話だと購買開いているらしいし」

 

「ですね。購買に行って何か買ってきて、これから夜ご飯にしましょう!」

 

 幸子は嬉しそうにソファに座る。

 

「プロデューサーさんと晩御飯……フフーン!」

 

「なんだ、なんかやたらと楽しそうだな」

 

「それは勿論、楽しいに決まっているじゃないですか! フフーン!」

 

 幸子は無邪気な笑顔で笑う。

 

「あ、そうですプロデューサーさん、夜ご飯が物足りなかったら今日はなんと、このボクが居ますよ?」

 

「それってどういう」

 

「お風呂にします? それとも……」

 

「寝る」

 

「なんでそうなるんですか!」

 

 さてこうして晩飯にすることに決めた俺と幸子だったが、俺は気が付くと部屋の入口の方に置いやられていた。

 

「それじゃあプロデューサーさん。御使い、頼みましたよ!」

 

「待て、俺に買いに行かせるつもりか?」

 

「勿論に決まっているじゃないですか! ボクの為に優秀な執事の様に死に物狂いで頑張ってください!」

 

「へいへい……かしこまり」

 

「分かったらさっさと行ってください! ボクの気は長くないんですからね!」

 

 という事で俺は幸子に部屋を追い出される様な形で渋々購買に向かわされたのであった。担当アイドルに使いっ走りにされた哀れなプロデューサー、きっとその姿は滑稽なものだっただろうな。

 

 しかし飛鳥のプロデューサー、か。

 今は同じプロダクションの仲の良い駆け出しのアイドル同士、仲良くしているがいつかは飛鳥も乃々も、そして美嘉も同じアイドルという同業者として争う立場になるであろう。果たしていざとなったら飛鳥や乃々、美嘉とアイドルとして幸子は勝つことができるのか。

 飛鳥のプロデューサーと会った俺の中には小さいながらも、不安な気持ちが過ぎるのであった。

 




「お前Twitterで投稿するって告知してから何日目だ今日?」

「……三日目です」

「お前その間何やってた?」

「……新しく配信されたFEHとグラブルのアルベールイベやってました」

「最後に何か言うことは?」

「ごめんなさい」

「せめてデレステやれ」

という訳でお待たせしました、新しい幸子です。
最近は色々忙しかったです(主にソシャゲのイベントが)
ちなみにTwitter見てくれている人はわかると思いますが、作者は文章書く人間の割に語彙力と集中力低いです(大体幸子可愛いしか言ってない)
だからすぐに誤字るしおかしい表現が……

次回、新たな人物が出ます(以外と重要人物)

文章の改行や空白

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