アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜   作:ドラソードP

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日刊ランキング20位!?(もう変わったと思うけど)
すいません、色々取り乱しました。
では本編開始です、どうぞ。


第53話 プロデューサーと朝チュン展開

第53話〈プロデュース13日目〉

カワイイボクと朝チュン展開

 

 

 外から雀の鳴き声が聞こえ、目が覚めた。陽の光の眩しさと窓から流れてきた心地よい風で、俺は朝が来たのだなと実感する。

 

「……いってえな」

 

 身体中、特に肩や首元辺りが軋むように痛い。まあそりゃそうか。膝に幸子を膝枕状態で寝かしていたから、その座ったままの無理な体勢で寝たら寝違えるのも当たり前だな。そのせいかぐっすりと眠れていた感じはするのだが、頭がぼんやりしてなんだかまだ眠り足りないようにも感じる。

 

「……ちょっと寝過ぎたか」

 

 時計を確認すると時刻は朝の十時半過ぎになりそうな感じだった。ふと昨日のことを思い出し外を見ると、清々しい程の台風一過で雲ひとつ無い晴天だった。

 

 そういえば部屋に肝心の幸子の姿が見当たらない。どうやら今、部屋には俺ひとりのようだ。

 

「あいつ、ひとりでどこに行ったんだ?」

 

 とりあえず俺は、ここでいつまでも座っていた所で何も始まらないと思い、軽く伸びとストレッチをしてソファから立ち上がる。すると立ち上がった瞬間、肩の辺りから何かが落ちる感触がした。

 

「……まったく、俺なんかにそんな気を使わなくても良いのにな。するならいつもそれ位素直にしてくれれば、本当に楽なんだが」

 

 その俺の肩から落ちたそれは昨日、幸子が使っていた毛布だった。幸子はどうやら、眠っていた俺が風邪をひかないように気を利かせ、肩から毛布をかけてくれていたようだ。

 

「さて、じゃあそんな素直じゃないお嬢様を、探しにいくとにでもしましょうかっと」

 

 俺は寝違えで筋肉痛染みた痛みを放つ身体を軽く慣らしながら、部屋を出ていった。

 

 廊下に出ると、そこには泊まりを終えた人達か、はたまた働いている職員か、ともかくそんな人達によりいつもより人が多い様に感じた。

 俺はとりあえず幸子を探しに行くために、寝起きの頭を覚ます意味も込め、社内を適当に歩き回ってみることする。

 

「ん? なんだ、キミか。随分と遅い目覚めなんじゃないのか?」

 

「ああ、飛鳥か。おはよう」

 

 部屋を出て一番最初に出会った知り合いは飛鳥だった、その荷物と様子からして、レッスン帰りだろうか。

 

「というか何故俺が寝起きと分かった」

 

「その陽の光が煩わしくて辛そうな顔と、寝癖を整えていない辺りを見ればそんなの明らかさ。それに言ってしまえばキミは今、おはようと自分から言っていた」

 

「そうか……まあ飛鳥の推測は当たり、つまりは寝起きだ。アレなんだよ、歳をとると朝とかが辛くなってね。色々と学生時代と同じ、という訳にはいかなくなるんだよ」

 

「歳と言っても、キミはまだ二十歳位だろう。まだまだ衰えを感じるには早すぎるのでは無いか?」

 

「以外と細かな点では二十歳を過ぎると急激に下降線なんだ。飛鳥もいずれ分かるさ」

 

 これは本当だ。学生の頃は三十、四十歳くらいになるまでは学生気分の肉体で居られると思っていたが、意外と人間の肉体はそううまくは行かないものだった。年々寝起きが辛くなり、なんだか寝ても疲れが取れない気がする。

 

「そうだ、ところで幸子を知らないか?」

 

「彼女なら、キミがぐっすりと寝ている間に、もうボク達と一緒に朝のレッスンをやっていたよ。全く、少しだらしないんじゃないか?」

 

「……すいません」

 

 俺は中学二年生の少女にだらしないと怒られている。飛鳥に怒られるのは、幸子に怒られるのと何か重みが違う。なんというか、一言一言が心にグサリと来るのだ。

 

「そう言えばボクの記憶が確かなら、レッスンを終えた後に彼女は購買の方に行くと言ってきたな。彼女を探しているならとりあえず、購買の方にでも行ってみたらどうだい?」

 

「購買か、分かった。ありがとう飛鳥」

 

「気にするな。やはり同じ企業に属する同僚たるもの、助け合いだ」

 

 飛鳥の話を聞いた俺は購買に行く。時間も時間なだけに、この辺りは更に人が多い。

 と、その人混みの中をよく見ると、そこには目的の幸子の代わりに川島さんの姿があった。

 

「あ、川島さん」

 

「あら? 昨日の親切なプロデューサーじゃない。おはよう」

 

「……おはようってことは、やっぱり寝起きだってことバレてるんですね」

 

「ふふっ、それ位お見通しよ」

 

 なんだか恥ずかしくなってきた。一度部屋なり手洗場なりに行って、ヘアスタイルや身だしなみ等をもう一度ちゃんと整えてきた方が良いだろうか。

 

「とりあえず、昨日の件は礼を言っておくわ。お蔭さまで会社側に相談したら、ここに泊めてもらえたのよ」

 

「いえいえ、全然お気になさらず」

 

「で、貴方もここに来たということはこれから遅めの朝食かしら?」

 

「いや、自分の方はちょっと人探しをですね」

 

「あら、人探し? 一体誰かしら」

 

「幸子……あの昨日の女の子を見かけませんでしたか? 自分の担当のアイドルの子です」

 

「ああ、あの跳っ毛が可愛い子なら、確か数分前までここに居たわ。何やら弁当とか食べ物を、沢山買い込んでいた様子だったけど」

 

 また完璧に入れ違いか。しかし食べ物を大量に、とは。アイツはそんなに食べる様なやつだったか?

 

「とりあえず分かりました。情報提供、ありがとうございます」

 

「別に構わないわ。むしろ、私としても昨日のお礼がしたかったから丁度良かった。何か貴方の為になったのであれば、うれしい限りね」

 

 川島さんは笑顔を浮かべる。なんだかもうすっかり知り合いになってしまったな。今までテレビの向こう側に居た人とこうやって話していると、色々自分の中の感覚が狂ってくる。

 

「それじゃあ自分の方はすいません、幸子を探しにこれで失礼します」

 

「幸子ちゃんのプロデューサーもお仕事、頑張ってね」

 

「はい。川島さんの方もアイドル活動、頑張って下さい」

 

 こうして川島さんと別れたあと、俺は幸子は弁当などを沢山買っていた、という証言から一旦部屋へ戻ってみることにした。あまりあちらこちら移動し過ぎても、また行き違いになるだけだしな。とりあえず部屋に居なかったとしても、しばらく待ってみるか。

 という訳で、俺は部屋の扉を開ける。するとそこには案の定、先に部屋へ帰ってきていた幸子の姿があった。

 

「おはようございます! プロデューサーさん!」

 

「うおっ!?」

 

 ドアを開けた先にいきなり幸子が居たので、俺は驚いて後ろに下がる。いきなりのどアップのドヤ顔は、いくら美少女だろうと流石にそりゃビビるわ。

 

「フフーン! カワイイボクの、モーニングブレイクファーストタイムです!」

 

「いや、それだと色々意味が違うし、というかなんかもう文法やらななにやら全部めちゃくちゃだって……」

 

 朝の朝飯っでどういうこっちゃ。それにファーストだと意味が違うぞ。

 さては幸子、趣味にノートの清書や勉強と書いてあったが、あまり得意という訳では無いのか?

 

「こ、細かいことは良いんです! とりあえず座って食べてください!」

 

 俺は幸子に促される様な形で、無理やりテーブルの前に座らさせられた。そのテーブルの上には簡易的なコンビニ弁当の様なものとコーヒー、そしてパンが置かれている。

 

「あー……これは一体どうしたんだ?」

 

「フフーン! お寝坊さんなプロデューサーさんのために、お利口さんなボクは購買から朝ご飯を買ってきておきました! ボクに感謝してくださいね!」

 

「ああ、なんだそうだったのか。悪いな、ありがとうよ」

 

 俺が礼を言うと幸子はいつもよりさらに満足気な顔をする。

 

「良いんです! これはボクからの、昨日の夜のささやかなお礼ですから!」

 

「昨日の夜のって……俺はただ、プロデューサーとして当たり前のことをしたまでだよ」

 

「フフーン! カッコつけちゃって、プロデューサーさん。いくらカッコつけても世界で最強、最高、最カワイイなボクには叶いませんよ?」

 

「俺は男だ。カワイさでは競ってないぞ」

 

「さっきからなんだか、一言無駄口が多いですねぇ……とりあえずこれをさっさと食べちゃってください。一応言っておきますと、プロデューサーさんはお寝坊して出勤に遅れてるわけなんですから、呑気にしていられる暇はあまり無いんですからね?」

 

「そうか、言われてみればそうだな。今日は泊まり込んだとはいえ、普通に出勤日か……」

 

 まだ目が覚めきっていないようだ。今になり、ようやく思考回路が徐々に回復してきている。

 

「じゃあすまんな、いただきます……」

 

「召し上がれ〜」

 

 幸子は自分で料理を作った様な感じで満足気にしているが、これはただのコンビニで買ってきたセットの様な物だ。つまり幸子は一切手を加えていない。

 

「味の方はどうです?」

 

「購買で売ってるものなんだから、そりゃ不味いわけ無いだろ……」

 

「いや、そこはカワイイボクの愛情で美味しくなっているとか、何か気が利くことを言ってくださいよ……」

 

「……幸子の愛情で、何の変哲もない弁当やコーヒーが凄く美味しいです。はい」

 

 朝っぱらから幸子のこれは色々キツい。嫌でも目が覚める。

 

「で、プロデューサーさん。一応こちらが料金の方なんですが……」

 

「料金? 何の話だ」

 

 そう言うと幸子はレシートを一枚差し出してきた。

 

「……つまりこの朝飯、お前は俺に代金を払えと言うのか」

 

「何当たり前のこと言ってんですか、プロデューサーさん。そもそもなんで社会人のプロデューサーさんの為に、中学生のカワイイボクが実費で朝ごはんを奢らなきゃならないんですか」

 

「……ありがとうございました、朝飯をわざわざ俺のために買ってきてくれて」

 

 俺は棒読みでお礼を言いながら幸子に料金を渡す。てっきりこの流れは幸子の奢りなのかと思っていたが、金を払うとは言っていないということか。

 まあ食べ物のラインナップは丁度俺が朝飯で食べようとしていたものばかりだったので、問題は無かったと言えば無かったが。

 

「そう言えばプロデューサーさん、プロデューサーさんが寝ている間にボクは何をやっていたと思いますか?」

 

「レッスンだろ、飛鳥から聞いたよ」

 

「ちぇっ、つまんないです。知ってたんですか」

 

「まあな。でもしかし、まさか朝からちゃんとレッスンを頑張ってたとは。偉いじゃないか幸子」

 

「ボクはプロデューサーさんとは違って、お寝坊なんてしませんからね! ボクはカワイイだけじゃなくマジメで、律儀で、そして規則正しいんです!」

 

「すいません、色々ダメなプロデューサーで」

 

「フフーン! まあボクはカワイイだけでなく、さらに寛大で優しいですから、許してあげます!」

 

 可愛くマジメで規則正しい、更に寛大で優しい、幸子は一体一回の会話の中でどれだけ自画自賛をするのだろうか。

 とは言え、自分を卑下するよりは断然良い傾向と言えば良い傾向ではだがな。

 俺も彼女のそういうポジティブな所は少し学んだ方が良いのかな、そう思わされた。

 

「そうだ! 話は変わりますが、明日の花火大会の約束、ちゃんと覚えていますよね? プロデューサーさん!」

 

「ああ、今度の花火大会そういや行くんだっけか」

 

「今度のって、もう明日ですよ!! 完全に忘れてたんじゃないですかプロデューサーさん!」

 

「悪い悪い、大丈夫。ちゃんと覚えているよ。そりゃあれだけ苦労して渋谷で浴衣買ってきたんだから、嫌でも忘れるわけないって……」

 

「ならよろしいです! それじゃあら今から明日の詳しい日程について話しましょう! 朝の……いや、もう昼の幸子会議です!」

 

「はいはい了解、幸子」

 

 明日はいよいよ幸子念願の花火大会、そしてそれが終わればついに幸子の初、お披露目ライブだ。長かった様に感じた二週間だが、いよいよその節目が近づいてきた。

 

 今の俺達なら行ける、俺はそう信じる。

 

 まあそんなことを言いつつ、まずは目前の花火大会を楽しむことにしよう。何せライブのことを考えるのは、幸子の笑顔を見た後でも遅くはないだろうからな。




色々驚きました。
書き始めてから半年と少し、まさかランキングに乗る日が来ようとは。
これも毎日頑張って書いていた努力が報われたからなのでしょうか、それとも作者の実力では無く単に幸子が可愛かっただけなんでしょうか。

真意は作者には分かりませんがこれだけは言えます。

ここまで見てくれた人、感想をつけてくれた人、評価してくれた人、皆さんの力のお陰です。
本当に、本当に、大感謝、ありがとうございます。
作者もまだまだどんどん頑張って行くので、これからもどうぞよろしくお願いします。

次回、ついに念願の花火大会編! 文章では幸子の可愛い浴衣姿とかバンバン出てきますが、作者にとっても皆さんにとっても実際にその幸子の浴衣姿が見れる訳ではありません。
今程絵が書けない自分を恨んだことは無い。

文章の改行や空白

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