アイドルマスターシンデレラガールズ 〜自称天使の存在証明〜 作:ドラソードP
まあさほど? 話の進行に支障はありませんが一応
エピローグ
あの後、誕生日会は夜まで続いた。
志希達と作ったケーキにロウソクの火を灯し、誕生日恒例のハッピーバースデーをしたり、その後みんなでそのケーキを食べたり、アスタリスクの特別ライブで盛り上がったりもした。
ケーキの方はみんなから美味しいと評判も良かったし、意外にもありすのストロベリーイチゴケーキが好評だった。
人数も多かったせいか、結果的に一人あたりの量も少なくなり丁度良かったからなのだろうか。
とりあえず、それらのケーキを皆が美味しそうに食べているのを見ていた調理班の三人は皆良い笑顔をしていたことは覚えている。
まあ、そんなこんなで気が付けば時間も夜の九時を回っており、幸子の誕生日会は惜しまれながらも幕を閉じたのであった。
俺と幸子は今丁度その帰りだ。
夜も遅くなってしまったので、俺は幸子を自宅まで送り届けるべく、 一緒に電車に乗っていた。
「……でもプロデューサーさん、いいんですか? 今日はいつもより遅いのに。わざわざ家まで送ってくれるなんて、ボクとしてはすごく嬉しいですけど、別に寮に泊まったりすれば良い話だと思っていました」
「何言ってんだ幸子。誕生日の夜くらい、家で家族とすごした方が良いだろ。まあ、時間が時間だから、帰った所で何ができるかは疑問だが」
「で、でも……」
「それに、帰りの付き添いなんていつものことじゃないか。俺は全然構わないって。逆に、今日はいつもより時間が遅いんだから尚更だ」
電車の中にはまばらに人が居る。
帰りのラッシュの時間帯とは少しズレているお陰か、人はあまりいない。
俺と幸子は空いた席に座って話をしている。
「でも実際、こんな感じで幸子を送り届けられるのもある意味、俺の担当が幸子一人だからなのかもしれないな」
「確かにそうかもしれないですね。他のシンデレラプロジェクトの人達なんて人数も多いですし、一人一人送っていたらキリがないですよ」
まあ実際にアイドルを家まで送り届けるプロデューサーの方が珍しいと思うがな。
ある意味、俺は幸子に過保護過ぎるのかもしれない。
「まあともかく、何も気にするなよ? 俺が勝手に幸子を送ってやってるだけなんだから」
「何言ってんですかプロデューサーさん。気にするも何も、プロデューサーさんなんだからカワイイボクの為にそれ位やってくれて、当たり前のことだと思うんですけど」
「……すまん、やっぱり帰っていいか?」
「ダメです」
まあ、とは言っても幸子の家は県を跨いで山梨県にあるからな。
こんな夜遅くに一人で帰らせるには少々、危険が過ぎる。
それに、言ってしまえば彼女の為ならこれくらい苦でもなんでもないさ。
幸子が行くところ、どこにでも俺は行こう。
「……そうだ、そういや今シンデレラプロジェクトの話をして思い出したというか……ちょっと幸子に聞きたいことがあるんだけど」
「ん、なんです?」
「……幸子はさ、言ってみれば幸子個人のプロデュースだろ。寂しかったり寂しくなったりすることはあったりしないのか?」
「あれ、今更何故そんなことを聞くんです?」
「今日まで幸子の誕生日会の準備でシンデレラプロジェクトのメンバーなんかと関わってきたんだが、皆同じプロジェクト内のメンバーで楽しそうに話していたりしたからさ。そういうのを見ていたらなんか幸子は個人プロデュースだし、寂しく無いのかなって思っちゃった節があって」
実際シンデレラプロジェクトの子達と関わってみて感じたのだが、彼女達は皆仲が良く、常に彼女達がいる空間は明るく楽しそうだった。
それに比べ幸子のことについて思い出して考えてみると、確かに飛鳥や乃々の様な友達は居るが、いつも仕事の時や部屋での待ち時間の時は一人か、居ても俺しか居なかった。
今日の場合も、俺が幸子の仕事に着いていってあげられなくなったため幸子はずっと一人での行動になってしまった。
そんなことを考えていたら幸子はいつも寂しく無いのか? と俺はつい気になってしまっていたのだ。
「……別に、ボクは何とも思っていませんけど? むしろそれ位で文句を言っているようではお世辞でもトップアイドルになんてなれないと思います」
「……幸子は強いな。俺が思っている以上に」
「いやいや、それにプロデューサーさんの担当がボク一人なら、ライバルも居なくてボクはプロデューサーさんを独り占めできますし!」
「なるほどな、そっちが本当の目的か」
謎の説得力があった。
この幸子のたった一言はこの話題を終了させるのには充分すぎる回答だった。
「ふぁ〜……それにしてもはしゃぎすぎて疲れたせいか、何だか眠くなってきました。プロデューサーさん、駅につくまでちょっと寝かせてください……」
そう言うと幸子は俺の肩にもたれかかってきた。
「おっと、びっくりした」
「何です? プロデューサーさんはボクに肩で寝られるのが嫌なんですか? 折角プロデューサーさんはこういう経験が無さそうだからやってわざわざあげているのに」
「色々心外な言葉があるが……まあ別に良いぞ。今日は幸子の誕生日だしな」
そう言うと幸子は俺の方に席を少し詰めてくる。
そして猫のように伸びをすると目をつぶってしまう。
「ふふーん……プロデューサーさんの肩、なんだか寝心地が良いです……」
「やれやれだな……」
丁度俺達の乗っている列車に人があまり居なかったから良かったが、考えて見れば幸子は一応、もうテレビに出たこともあるアイドルだ。
一歩間違ったらスキャンダルになってしまってもおかしくはないさ。
まあこうして彼女と二人きりで帰れるのもある意味、まだ知名度が知れ渡っていない今だからこそできることなのかもしれないな。
そう考えるとこの時間が少しだけ、貴重なものに感じられた。
「……そういや幸子、明日の仕事の話なんだが……」
しかし幸子の反応は無い。
どうやらもう寝てしまっていた様だ。
微かにだが寝息が聞こえる。
「……やれやれだな」
顔を見ると幸子は満面の笑みを浮かべ眠っている。
まるでもう今日という誕生日に何も悔いの無いように、プロデューサーである俺の傍で眠ることに心底安心しているように。
まあこの表情を見た限り、幸子は誕生日会を充分に楽しんでくれていたのだな、と思った。
電車の中には沈黙が広がる。
俺は肩に小さなの呼吸を感じながら、窓の外に広がる夜景を眺めていた。
カワイイボクへのサプライズ〜Fin〜
見てくれてありがとうございました。
また来年の幸子の誕生日、祝えることを勝手ながら楽しみにしています。
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