校長室でダンブルドア校長は静かにスネイプの報告を聞く。
聞いた後のダンブルドア校長は頭を抱え、スネイプに感謝を伝える。
「・・・以上です」
「そうか。ご苦労。ゼブルス」
まさか、ハリーがパーセルマウスだったとは。
ハリーがヴォルデモートの血縁ではないのは知っている。
ヴォルデモートがハリーに何かをしたと考えた方がいい。
「それで、トウハの感想はどうじゃ?」
「興味本位がありすぎる子供かと。ただ、アベが使う東洋の魔法には注意するべきかと」
スネイプは伝える。
安倍灯葉は呪文を唱えただけで、自分の杖が引っ張られたという事を。
スネイプはとっさに失神呪文を使ってしまったことを。
「衝撃的でした。まさか、呪文が当たってないにも関わらずに吾輩の杖が引っ張られるとは」
あの時、スネイプは驚いていた。
灯葉は呪文を唱えた後、呪文の光が出ずに杖が引っ張られるという事になるとは。
「そうか。ご苦労だった。ゼブルス」
ゼブルスは校長室を後にする。
ダンブルドア校長は目頭を押さえて、弱気を吐いてしまう。
「好奇心がある子供のままでいてくれないかのう」
ダンブルドアは思い出す。
ヴォルデモートが入学した日。あの日、ヴォルデモートが帽子を目指して、優雅に歩いていたのを。
生徒達はヴォルデモートが帽子に辿り着くまで息を潜めていた。まるで歩みを邪魔しないかのように。
その時の光景がトウハと重なってしまう。
また、私は生徒を止められないのか・・・いいや、まだ間に合う。
ダンブルドアは目を開き、決心する。その姿は100年程、歳を取った老人は思えない程に英気に満ちていた。
「もう二度と闇には入らせまい」
しかし、決意した直後、校長室のドアが勢いよく開く。
そこにいたのはマクゴナガル副校長だ。
「また被害者が出ました!被害者はトウハ・アベです!!」
時は少々さかのぼる。
ゼブルスがダンブルドアに報告している中、生徒達は大広間にて、それぞれが勉強していた。しかし、生徒の誰もが、ある生徒を時折、見ていた。
ある生徒とはハリーだ。
ハリーは自分を見ている人に視線を向けるが、ハリーからの視線を避ける為、顔を背ける。ある者は怯えの表情を浮かべている。
ロン、ハーマイオニー、灯葉もフォロー出来ないのか、何も出来ずにいた。
そんな中、安倍灯葉は本をしまい、扉へと向かう。
「では、お先に失礼します」
安倍灯葉は大広間から出る。ハリーも続いて、本をしまい、灯葉を追いかけるように大広間から出る。
「待って。トウハ」
しかし、遅かったのか、灯葉の姿は見えない。
そんな中、大広間からこそこそと話が聞こえる。ハリーは扉の前で話を聞いてしまう。
「ハリーは継承者だ。例のあの人はハリーを消そうと企んでいたんだ」
ハリーは俯きながら聞いていた。
そんな中、灯葉はほとんど首なしニックと話していた。
「さて、良い夜を」
「そちらこそ。良い夜を」
ほとんど首なしニックと別れた後、すぐに彼が呻き声をあげる。
「ぐぅおお」
「さて、来ましたか。」
灯葉は目を瞑り、振り向いて、紙を投げる。紙はほとんど首なしニックを通り抜けて、なにかに向かって飛んでいき、張り付く。
灯葉は目を開けて、対峙しようとするが、男性と女性が同時に喋る声が灯葉の耳に届く。
「そんなことしても無駄だ」
灯葉は紙がボロボロになりかけているのを気づき、柱の後ろに姿を隠す。
声は高々に宣言する。
「お前は障害になりうる。ここで消えてもらう」
「消えてもらうのはそちらです」