ハリーポッター マホウトコロの陰陽師   作:猫舌猫目

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3人目の被害者

 校長室でダンブルドア校長は静かにスネイプの報告を聞く。

 聞いた後のダンブルドア校長は頭を抱え、スネイプに感謝を伝える。

 

「・・・以上です」

「そうか。ご苦労。ゼブルス」

 

 まさか、ハリーがパーセルマウスだったとは。

 ハリーがヴォルデモートの血縁ではないのは知っている。

 ヴォルデモートがハリーに何かをしたと考えた方がいい。

 

「それで、トウハの感想はどうじゃ?」

「興味本位がありすぎる子供かと。ただ、アベが使う東洋の魔法には注意するべきかと」

 

 スネイプは伝える。

 安倍灯葉は呪文を唱えただけで、自分の杖が引っ張られたという事を。

 スネイプはとっさに失神呪文を使ってしまったことを。

 

「衝撃的でした。まさか、呪文が当たってないにも関わらずに吾輩の杖が引っ張られるとは」

 

 あの時、スネイプは驚いていた。

 灯葉は呪文を唱えた後、呪文の光が出ずに杖が引っ張られるという事になるとは。

 

 

「そうか。ご苦労だった。ゼブルス」

 

 ゼブルスは校長室を後にする。

 ダンブルドア校長は目頭を押さえて、弱気を吐いてしまう。

 

「好奇心がある子供のままでいてくれないかのう」

 

 ダンブルドアは思い出す。

 ヴォルデモートが入学した日。あの日、ヴォルデモートが帽子を目指して、優雅に歩いていたのを。

 生徒達はヴォルデモートが帽子に辿り着くまで息を潜めていた。まるで歩みを邪魔しないかのように。

 その時の光景がトウハと重なってしまう。

 

 また、私は生徒を止められないのか・・・いいや、まだ間に合う。

 

 ダンブルドアは目を開き、決心する。その姿は100年程、歳を取った老人は思えない程に英気に満ちていた。

 

「もう二度と闇には入らせまい」

 

 

 しかし、決意した直後、校長室のドアが勢いよく開く。

 そこにいたのはマクゴナガル副校長だ。

 

「また被害者が出ました!被害者はトウハ・アベです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は少々さかのぼる。

 ゼブルスがダンブルドアに報告している中、生徒達は大広間にて、それぞれが勉強していた。しかし、生徒の誰もが、ある生徒を時折、見ていた。

 ある生徒とはハリーだ。

 

 ハリーは自分を見ている人に視線を向けるが、ハリーからの視線を避ける為、顔を背ける。ある者は怯えの表情を浮かべている。

 ロン、ハーマイオニー、灯葉もフォロー出来ないのか、何も出来ずにいた。

 そんな中、安倍灯葉は本をしまい、扉へと向かう。

 

「では、お先に失礼します」

 

 安倍灯葉は大広間から出る。ハリーも続いて、本をしまい、灯葉を追いかけるように大広間から出る。

 

「待って。トウハ」

 

 しかし、遅かったのか、灯葉の姿は見えない。

 そんな中、大広間からこそこそと話が聞こえる。ハリーは扉の前で話を聞いてしまう。

 

「ハリーは継承者だ。例のあの人はハリーを消そうと企んでいたんだ」

 

 ハリーは俯きながら聞いていた。

 

 

 

 

そんな中、灯葉はほとんど首なしニックと話していた。

 

「さて、良い夜を」

「そちらこそ。良い夜を」

 

 ほとんど首なしニックと別れた後、すぐに彼が呻き声をあげる。

 

「ぐぅおお」

 

「さて、来ましたか。」

 

 灯葉は目を瞑り、振り向いて、紙を投げる。紙はほとんど首なしニックを通り抜けて、なにかに向かって飛んでいき、張り付く。

 灯葉は目を開けて、対峙しようとするが、男性と女性が同時に喋る声が灯葉の耳に届く。

 

「そんなことしても無駄だ」

 

 灯葉は紙がボロボロになりかけているのを気づき、柱の後ろに姿を隠す。

 声は高々に宣言する。

 

「お前は障害になりうる。ここで消えてもらう」

「消えてもらうのはそちらです」

 

 

 

 

 


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