骨舞う旅路   作:ウキヨライフ

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第45話:変遷

 ナザリック地下大墳墓第九階層、最古図書館(アッシュールバニパル)。その中で最も奥まった位置に禁書を集めた書庫がある。転移後、やまいこが暇を見つけては「NPCには見せられない本」、現実(リアル)にまつわる本を、膨大な蔵書から仕分けして隠したのだった。

 

 死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が館内を巡回する。司書である彼は、長く訪れる者が無かった図書館にチラホラと利用者の姿を見とめ、その朽ちた表情を緩める。新たに禁書室を設けたことで、それ以外の区画を開放する許可が下りたのだ。

 いまでは休日や休憩時間を持て余したメイドたちが利用するようになり、司書として案内できることを喜ばしく思っていた。

 

 しかし、転移直後から半年強、十全に対応できないことも多々あった。

 なぜなら図書館で働くシモベたちは、現地語の翻訳、集められた情報の記録、スクロール制作及び研究、神社のお守り制作などなど、ナザリック内でも一二を争うほど多忙だからだ。

 幸い利用者も事情を承知しているので不満こそ挙がってはいないものの、時には貸出手続きすら当人に記録してもらっている状況だ。

 

 だが、それもあと少しの辛抱だ。

 近々、最古図書館(アッシュールバニパル)が携わっていた業務の一部をスレイン法国へと移管する。忙殺の日々を嬉々として過ごしていた身としては残念極まりないが、御方々の労働方針は絶対。「休め」との命を遵奉するまでだ。

 

「……」

 司書は“図書館を演出する備品”として用意された台車を押す。利用者の増加に伴い、館内を行き来する台車も目に見えて増えた。

 効率よく運搬する点ではアイテムボックスや無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァザック)などもあるが、“手押し”であることが重要だと彼は理解する。“効率”よりも“らしさ”、つまりは図書館としての風情を御方々は重視したのだ。

 

 異世界への転移はナザリックに大変な改革をもたらした。しかし、利用者が居て、台車が行きかう今の図書館は、かつて御方々が望んだ“図書館の姿”のはず。

 惜しむらくは最古図書館(アッシュールバニパル)を製作した御方々にこの光景をお見せできなかったことだろう。

 

 

 

 

 

 カラカラと台車を転がす音が静かな館内に響く。普段であればその音に注意を向けるシモベはいない。しかし、微かに漂う飲食物の香りに鼻孔をくすぐられ、本棚を整理していたシモベたちは思わず目を向ける。

 台車だと思われたのはクロッシュとティーセットを載せたダイニングカート。そして、それを押す者の正体を知り、誰もが納得する。

 戦闘メイド(プレアデス)の副リーダー、ユリ・アルファ。自身の創造主に仕える栄誉に恵まれたシモベのひとりだ。

 

 ユリは仲間たちの視線が注がれるなか、やまいこの待つ禁書室へ向かう。刺さる羨望の眼差しから足早に逃れたいが、メイドとしての矜持がそれを許さない。

 ユリ自身は仲間たちと信義を共有しているつもりだが、羨望とは根本的に負の感情。カルマ値が善寄りの彼女にはどうも居心地が悪い。特に、同じく“創造された者たち”の視線、無言の圧とどう向き合うか、悩ましい問題だ。

 

 ここがユグドラシルであれば、他の御方らの帰還にも希望が持てただろう。しかし、転移したこの世界ではその可能性も限りなく無に等しい。

 大半のシモベたちは、やまいこやモモンガの御言葉を慰めに、健気にも悲哀を堪え忍んでいるのだ。

 

 事が感情に依るものなので、第三者が気軽に触れる訳にもいかない。同情などは以ての外。それこそ当人が時間をかけて己自身の心と折り合いをつける問題だ。

 ゆえにユリは凛と胸を張り、粛々とカートを押すしかないのだ。

 

 

 

 

 

 薄暗い本棚の間を縫うように進むと、目的地の禁書室に着く。

 ユリは扉からやや離れた位置で足を止める。扉の左右には不死者(アンデッド)である彼女でさえたじろぐほどの、濃厚な死の気配が立ち塞ぐように守っている。

 その正体は図書館に配置されていた5体の死の支配者(オーバーロード)。本の埃を払う人員としてはいささか過剰戦力だった彼らに、門番という新たな仕事が与えられたのだ。

 彼らは相手がたとえ階層守護者であっても御方の許可なくば入室を許さず、必要あらば相手が誰であろうと武力による強制排除も許されていた。

 

「――やまいこ様のお召しにより、お食事のご用意にまいりました」

「承っております。……どうぞ、お進みください」

 ユリの言葉に嗄れた声が応え、扉が開かれる。

 入室するといっそう闇が深くなる。禁書室は立ち読みを想定していない。灯りが極端に少なく、常人であれば歩行が困難なほどに暗いのだ。

 唯一の灯りはこれから向かう先、ひとつの大きな机と、ふたつの飾り気のない椅子が用意された読書空間のみ。

 

 ユリは禁書を読み耽る創造主のもとへダイニングカートを寄せる。

 主は半魔巨人(ネフィリム)ではなく人間の姿。曰く「半魔巨人(ネフィリム)の手だとページ捲りが“しっくりこない”」とのことだ。

 

「軽食をお持ちしました」

「ん、ありがと」

 やまいこが本を閉じて伸びをする。

 ユリはそんな創造主の姿を横目に、卓上を素早く片付け、クロッシュから取り出したサンドイッチを盛りつける。紅茶をいれて準備を終えたなら、自身は壁際へと控える。

 

「まったく……、真面目が過ぎるわね」

 静かに控えるユリに、やまいこがやれやれと苦笑をもらす。

 以前、同席するよう勧められたが、ここは禁書室。「不必要なものを目にしないように」と辞退した経緯がある。

 

「うん、美味しい。――で? “使い道”は決まったの?」

「いいえ、しばらくは貯金しようかと」

「そう……、まあ無理に浪費する必要はないけど、休日の過ごし方は考えておきなさい」

 

 やまいこが少し呆れたような、それでいて困った表情でユリを見る。

「ボクに付いてまわるだけってのも、よくないよ」

「……はい」

 親離れを促す言葉に視線を落とす。

 拒絶の言葉ではないことは理解できても寂しさは募る。

 

「他の子たちは有意義に使えている?」

「申し上げづらいのですが、稀にソリュシャンとエントマが羊を買い付ける程度でして……。多くの一般メイドたちは貯金に回しています」

「そっか。まあ、第九階層の設備も基本無料だしねえ」

 “使い道”とは何のことは無い。給与の使い道だ。自由に使うことを望まれてはいるが、これがなかなかに難しい。メイドはナザリック内で過ごして外出はしない。そのうえ娯楽施設の大半は無料だ。

 なかには有料で髪型などを変更できる美容院もあるにはあるのだが、今のところ“御方が定めた姿”を変えるシモベは現れていない。

 それでも、ユリは主を落胆させまいと、食堂で聞き得た情報を伝える。

「やまいこ様、“外”の書物を希望するメイドが数名おります。ペストーニャ様から近くご要望が届くかと」

「おお、それは良いね。何なら買い出しを本人たちにしてもらおうか。『初めてのお使い』ってやつだね」

 うんうんと独り盛り上がる主に胸をなでおろす。

 いくらか満足して頂けたようだ。

 

「そういえば、モモンガさんはいま何を?」

「コキュートス様とマーレ様をお呼びになり、訓練用の迷宮をご計画なされておいでです」

「ああ、例の。……ほんと、男の子は好きだよね、そういうの」

 現在、迷宮を模した第一階層にクレマンティーヌら3名が放り込まれている。

 彼女らの攻略ぶりを参考に、現地人育成用の迷宮を作る計画らしい。

 

 

 

 

 

 不意に微かな扉の開閉音と、読書空間を目指す足音が響く。表の警備体制を思えば狼藉者の侵入は考えにくいものの、万が一に備えてユリが身構える。

「――やまいこ様」

「警戒しなくていいよ。デミウルゴスだから」

 

 通路の暗がりからダブルのスーツに身を包んだ悪魔が現れ、優雅に一礼する。

「第七階層守護者デミウルゴス。お召しにより参上致しました」

「早速だけど、報告を宜しく」

「畏まりました。こちらを――」

「待って。他に目も無いし、直接でかまわないよ」

 当然のように書類を御付きのユリ経由で渡そうとするデミウルゴスを手で制し、やまいこはデミウルゴスに席を勧める。

 対するデミウルゴスは「畏れ多い」と辞退することもなく、ひとつ「失礼します」と会釈して席に着く。この忠実な悪魔はことさら気が利く。格式張った状況以外で、“シモベたちがどう振る舞うよう望まれているか”を理解しているのだ。

 やまいこが満足そうに頷くと、ユリもすかさず予備のティーカップを取り出し給仕する。

 

「――では、こちらが報告書になります」

 手渡された書類に素早く目を通すと、やまいこの表情が僅かに硬くなる。

「これはまた……、数値として見ると現実を嫌でも突きつけられるわね。他にこの内容を知っている者は?」

「解剖に携わった拷問の悪魔(トーチャー)が数名おります」

 

 やまいこは思い惑うそぶりを数瞬みせ、デミウルゴスに指示を出す。

「箝口令を敷く。調査内容が確定するまで関わった拷問の悪魔(トーチャー)たちを専任とし、引き続き調査をさせなさい。人員の補充は無し。――なにか質問はある?」

 

「可能ならば今回の資料が秘匿される理由をご教授頂きたく思います。解剖に立ち合いましたが、私には普通の羊としか思えないのです。また、牧場では他にも品種を扱っております。調査対象を増やすこともできますが、いかがでしょうか」

 

 デミウルゴスの問いに、やまいこが静かに首を振る。

「まずは羊だけでかまわない。ここにある資料で比較できるのは彼らだけだからね。誰の寄贈か分からないけれど、ギルメンには感謝しないと。――それとデミウルゴス、この写しを渡しておく。無論、写しとは言え禁書だから。扱いに注意してね」

「お預かりします」

 やや緊張気味に“写し”を受け取って目を通すデミウルゴスに、やまいこは言葉を重ねる。

 

「秘匿する理由はそれを読んで察してほしい。なに、害が無いと分かればすぐにでも開示できる程度のものだよ。重く受け取る必要はない」

「これは……、なるほど。確かに気になる差異ですね。では、この資料に基づいて調査を続行いたします」

 

 

 

 

 

「やまいこ様、なにか不測の事態なのでしょうか」

 会話が一区切りついたところで、主の微かな情緒の揺らぎを感じとったユリが不安を漏らす。

「いや、強いて言えば“予測し得た事”、かな。だから心配はいらないよ。――ただ、そうだね。ボクやモモンガさんが知る人間は武技や魔法を使えないんだよ」

「それは、この世界の人間は“人間”ではないということですか?」

 やまいこの言葉をそのまま受け取れば“そういう事”になるが、それはやまいこ自身に否定される。

 

「そうとも言い切れないのがね……。人間を対象にする技能(スキル)や魔法は機能している。少なくとも“この世界”は彼らを人間として認識しているの」

 ユリは首を傾げる。

 技能(スキル)や魔法の行使が可能ならば問題ないように思えたのだろう。

 

「ふふ、貴女たち(NPC)には関係の薄い話よ。どちらかと言えばボクやモモンガさんにとって重要な話かな。この世界の人間は限りなく現実(リアル)だけど、やってることがユグドラシルの(創作された)人間に近い。……まったく、厄介なネタだわ」

 

 

* * *

 

 

「どう? ティナ」

「まだ箱には触れないで。出入口と室内は問題ない」

 ナザリック地下大墳墓第一階層「墳墓エリア」。

 クレマンティーヌたちは大量の俊敏な動死体(ファスト・ゾンビ)をやり過ごし、その後数回の戦闘と謎解き部屋を経由して最後の休憩部屋に辿りついた。

 なぜ最後と判断できるのか。それは順路側の出口付近に、ご丁寧にも「この先、決戦場」の札を持った吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)が控えていたからだ。

 

「くぅー……、ようやく最後……か」

 クレマンティーヌが全身の筋肉を解すように伸びをする。

 “回復の泉”を越えた後半戦は、それまでの戦いとは様相が少し異なった。レイナースの強化が主題であることには変わりないものの、要所要所でティナの技量を必須とする仕掛けが行く手を阻んだのだ。

 モモンガはイジャニーヤに興味を示していた。事実、ティナを試していたのだろう。“謎解き部屋”は言わずもがな、宝箱から入手した装備類も、彼女向けの物が多かったのだ。

 

「罠を解除した。毒針と酸。二重の罠は初めて」

「中身が楽しみですね」

 ティナの解除を受けて、レイナースがその肩越しに覗き込む。

 ここに来るまでに何度となく見た光景だ。2人ともなんだかんだで打ち解けている。

 

 蓋を開けるティナの腰には新たに拾った短刀が2本。南方では女性用の護身刀として知られ、刀身は短いものの取り回しが良い代物だ。そして当然のように魔化が施されている。

 ナザリック地下大墳墓の箱を開けると、漏れなく伝説級の品が手に入る。ティナやレイナースが期待を込めた目を向けてしまうのも仕方がないことだろう。

 

 クレマンティーヌは油断していた。

 

 主役はレイナース。副次的にティナの調査があり、自分は引率役、オマケだと思っていたのだ。

 だからだろうか。ここまでたいした危機もなく、ティナの罠解除も成功してきたがゆえに、繰り返される“開封の儀”に気が緩んでしまったのだ。

 

 気づけたのは偶然だ。

 

 レイナースほど注視はしていなかった。

 それでも伸びをしつつ、何となしに2人を眺めていたら、たまたま視界に入ったのだ。

 それを目にした瞬間、違和感とともに強烈な焦燥感に駆られる。

 

 ティナがつまみ上げたのは豪華な杯。

 

 クレマンティーヌの勘が危険だと告げる。

 いままで発見した物資は装備にしろ装飾品にしろ、どれもレイナースやティナに合わせた物が多かった。

 ここに来て、なんの脈絡もなく杯を用意するだろうか。

 

 考えるよりも先に身体が動いた。

 

 クレマンティーヌは警告を発する間も惜しみ、複数の武技を重ねがけして走りだす。

 武技によってゆっくり流れる時間の中で、彼女は目まぐるしく取捨選択する。

 

 第六感は杯が怪しいと告げている。

 作戦や戦闘、装備などを試行するモモンガには“遊び”がない。今までの共闘や下賜された装備を鑑みて、少なくともクレマンティーヌはそう思っている。

 件の杯が“有用な魔法の杯”である可能性も拭えないが、それは後で考えればいい。

 

 では、杯をティナの手から弾くか。

 否。魔法の杯だと仮定すると、何が発動条件かわからない。既にティナが杯の縁を指先でつまんでいるが、まだ持ち手の柄には触れていない。つまり、“装備”扱いになっていないだけで、いつ暴発してもおかしくない状況だ。

 正直、「触れたくない」だ。

 

「!? ……クソッ!」

 

 いっそ突き飛ばそうかと思った矢先、ティナがつまみ上げた杯を支えようと、もう片方の手で柄を掴もうとしていることに気づく。

 これでは間に合わない。

 

 結果、距離が近いレイナースの保護を優先する。

 彼女を狙って組みつくように体当たり(タックル)すると、流れる景色の端でティナの怪訝そうな表情がやけに鮮明に映る。

 

 

 

 

 

 全身鎧(プレートメイル)帯鎧(バンデッド・アーマー)が激しくぶつかり合い、もつれるように石畳を転がる。

「ぐっ!? 痛っ!!」

「ティナ! 杯をすて――」

 クレマンティーヌが悶えるレイナースを無視してティナに向きなおる。その瞬間、青白い光と共に魔法陣が広がり、ティナの姿が掻き消えた。

 

「な、何事ですか?!」

「ああ……、飛ばされちゃったかー」

「例の転移ですか!? あの、助けには……」

 レイナースは若干の焦りがあるものの、消えたティナを心配する余裕はあるようだ。

 ティナの救出を切り出されるが、クレマンティーヌは巧みに(うそぶ)く。

「杯も消えちゃったし、私らに追うのは無理だろーね。アイツはここでご退場。手厚く保護されてるだろーからさ。このまま攻略を優先しよう」

 

 レイナースは箱を、次いで出口に視線を送り、何かを納得したように頷く。

「確かに、追う手立てがありませんね。――御方の課題は攻略。ティナ殿には申し訳ありませんが先を急ぎましょう」

「そーそー、ちゃちゃっと攻略して終わらしちゃおー」

 クレマンティーヌはレイナースを促すと、吸血鬼の花嫁(ヴァンパイア・ブライド)が控える出口に向かう。モモンガが召喚する不死者(アンデッド)は通常のものよりも強化されていることは知っている。

 しかし、たとえ強化された死者の大魔法使い(エルダーリッチ)であろうと、伝説に謳われるような装備で固めたクレマンティーヌとレイナースの敵ではないだろう。

 

「じゃあ、行こっか」

 クレマンティーヌは意気揚々と扉をくぐるのだった。

 

 

* * *

 

 

「終わったか」

 モモンガの執務室で行なわれていたクレマンティーヌらの攻略観戦。

 クレマンティーヌとレイナースの最後の戦いを見終え、モモンガは椅子に深く腰掛ける。

 水晶の画面(クリスタル・モニター)の中では、シャルティアに回収されるクレマンティーヌとレイナースが映っている。ひとり黒棺に送られた忍者も、じきに合流するだろう。

 

 事務机を挟み、コキュートスとマーレがソファーに座っている。卓上には迷宮の模型が並べられており、見る者が見れば第一階層に用意された仮の迷宮を模しているのがわかるはずだ。

 2人とも水晶の画面(クリスタル・モニター)で得た情報から迷宮を検証し、より育成に有用な仕掛けや配置する魔物の組み合わせを立案してくれた。

 

「コキュートス。ティナという娘、どう見る?」

「ハッ、間違イナク、忍者カト思ワレマス。使用シタ忍術モ、ユグドラシルト同ジ。修得ニ至ッタ経緯ガ気ニナリマス」

「そうだな。プレイヤーの師事を受けたか、あるいはプレイヤーが残した秘伝書の類いでもあるのか……」

 忍者専用装備が決め手となって、ティナは忍者と断定された。“回復の泉”で護符しか購入しなかった時は目を覆いたくなったが、後半の宝箱を急遽変更することでなんとか検証用の武具を装備させることができたのだった。

 しかし、職業(クラス)の特定自体は問題ではなく、本当に注目すべきは“どうやって忍者になったか”だ。

 

「マーレ、今回の実験で他に気付いたことはあるか?」

「は、はいっ! この世界の住人は、ユグドラシルで必須だった“前提職”を必要とせずに上級職になれる可能性があります!」

「その通りだ」

 

 ここで重要なのは、修得するのに“最低でもレベル60を必要とする忍者”を、レベル30に届いているかも怪しいティナが修得している事実だ。

 仮に低レベルでもカンスト勢に有効な特殊技能(スキル)持ちの職業(クラス)を修得させることができるなら、戦力として諦めていた人類も、育て方次第では使い物になるかもしれない。

 

「となると上級職に必要な条件の洗いだしと、育成対象を用意せねばならないな」

「で、でしたら、図書館にユグドラシルの職業(クラス)をまとめた本や、特殊技能(スキル)の派生をまとめた本があったと思います」

「育成対象ハ、ナザリック支配下ノ勢力カラ、募ルノハ如何デショウ。種族ゴトニ修得ノ良シ悪シガアルカモシレマセン」

 

 コキュートスとマーレの提案にモモンガは大きく頷く。

 マーレは最古図書館(アッシュールバニパル)を利用しているらしく、パンドラズ・アクターの調査によれば“司書J”と親交があるとのことだった。ティトゥス司書長ではなくなぜ司書Jなのかと首を傾げたものだが、マーレは空いた時間を日々読書で過ごしているらしく、そんな彼だからこそ図書館の蔵書に覚えがあったのかもしれない。

 思いかえせばギルメンが調べた情報や、ネット上に公開されていて信憑性の高い情報を「秘伝書」や「皆伝書」、「魔導書」といった形で保存していたものだ。きっと役に立つだろう。

 そしてコキュートスもまた、ナザリック防衛の他、現在は武術指南役としてフィオーラ王国にたびたび赴いている。多様な亜人を相手に手ほどきしてきたからこその発想だ。

 

「良い提案だ。では、マーレは職業(クラス)特殊技能(スキル)の情報を。コキュートスは対象者の選抜を任せる。仮に上級職の取得がかなったなら、育成事業を本格的に始動させる予定だ。2人ともそのつもりで励んでほしい。事に当たってはアルベドに話を通しておくので、何か要りようなら相談するように」

「畏まりました!」

「仰セノママニ」

 

 シモベたちに作業を振るのにも慣れた。

 もっとも、こうして守護者たちを交えてあれこれと話し合うのは、かつてのギルメンたちと悪巧みしているようで悪くはない。

 

 

* * *

 

 

 バハルス帝国皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスは心折れた。

 

 ジルクニフは回想する。

 最初の兆候はスレイン法国に到着した当日の晩餐会だった。

 晩餐会の主人はスレイン法国最高執行機関。主賓はナザリック地下大墳墓、守護者統括アルベド。賓客の多くは協定に参加する勢力の長たちで、他にも少数ながら帝国のように外部から招かれた者たちが参加していた。

 主賓と席が離れていたこともあって遠目でしか従属神とやらを見ることがかなわなかったが、噂通り天使や女神と見紛うばかりの美を備えていた。

 

 だが、ここで重要なのは従属神の美しさではなく“席順”だ。

 仕方のないことだが、共存協定に参加していない帝国は賓客のなかでも序列が低い。もちろん“外部から招かれた客”ではあるので末席ではないものの、主催者や主賓との距離が想像以上に離れていたのだ。

 その距離はそのままこの場の優劣を表す。

 

 これは共存協定が巨大な組織に成長している証拠にほかならず、まるで帝国の未来を暗示しているかのようで焦りを覚えてしまった。同じ境遇の者たちが緊張を隠し切れず、無作法にも周囲をキョロキョロと窺っていたのもやむなしだろう。

 中でも分かりやすかったのが同席していた2人。左隣に山小人(ドワーフ)、さらにその奥には土堀獣人(クアゴア)がいたのだ。人間である自分はさておき、宿敵同士のはずの山小人(ドワーフ)土堀獣人(クアゴア)をこうして大人しく隣り合わせで座らせることができたのは、場に蔓延る漠然とした疎外感と、「神に見放されるかもしれない」という恐怖に支配されていたからかもしれない。

 そんな状況をまざまざと見せられては、皇帝として、スレイン法国にまで来て「神と謁見して終わり」では済まされなくなったのだ。

 

 ジルクニフは追想する。

 帝国の方針を修正する。謁見前夜にその決断を後押ししたのは、晩餐会の後に得た情報だ。各人が与えられた部屋に戻ろうとするなかで、なんとか知人を捉まえ、世間話にかこつけて情報を聞き出すことができたのだ。

 

 

 

 

 

 宴が終わり、会場から客が引き始める。

 同席していた周囲からは価値ある情報が得られず焦っていた。いや、ひとつだけ。土堀獣人(クアゴア)が先の大戦で被った損害と霜の竜(フロスト・ドラゴン)の死によって講和推進派と継戦派で内乱が起こり、種族内で勢力が二分されたという。同席していたのは講和派で、彼らは帝国に国交と支援を求めてきた。

 聞けば山小人(ドワーフ)王国とも既に話は進んでおり、継戦派を水際で食い止める対価に山小人(ドワーフ)王国から後方支援を受けるらしい。

 もちろん帝国も承諾した。講和推進派とやらが率先して戦線で血を流してくれるなら取り立てて無下にする理由もないからだ。

 

 ふと見ると、斑模様のビーストマンと話し込む知人を見つける。昔と面影が変わっていないのは人外の血が成せる業だろう。

 独りになったのを見計らい、偶然を装って声をかける。

 

「お久しぶりです。ドラウディロン・オーリウクルス殿」

「おお、ジルクニフ殿か。大きくなったのう」

 捉まえたのは竜王国のドラウディロン・オーリウクルス女王。

 嫌いな女第2位だが、いち早く協定に参加した情報源だ。

 

「人の子はすぐ大きくなるのう。見違えたぞ。――ここの空気には慣れたか?」

 若干の恨み節が籠った“子供扱い”は国家の危機に援軍を寄こさなかったせいか。

 物申したい気持ちを堪え、会話の糸口を探す。

「雰囲気には慣れました。護衛が居ないので落ち着きませんがね。――ところで、先ほどビーストマンの方とご一緒していたようですが……」

「ああ、彼は大陸中央からきた大使じゃ。うちを攻めていたのとは別じゃぞ」

 

 詳しく聞くと、竜王国を襲っていたビーストマンは「文明化が遅れた部族」とされる少数派で、大陸中央部各国の安全保障戦略網からあぶれた蛮族。大陸中央部で彼らの存在感は薄く、“外”への侵攻に際しても周囲は「またやってるよ」程度の認識だったらしい。

 ところが、遠征した7万近い兵のうち生還したのは僅か2万。しかも長期戦の果てに5万を失ったわけではなく、1日足らずで失った事実が、大陸中央部で覇を競う六大国を震撼させたのだ。

 事態を重く見た列強諸国は急遽情報を精査し、浮かび上がった「強大な魔獣の群れを率いる謎の存在」と接触するために各国から特命全権大使を募り、使節団を北方、つまり竜王国に派遣し、アインズ・ウール・ゴウンとの接触に至ったらしい。

 

「すると、彼らも協定に?」

「条件は聞いておらんが恐らくは。竜王国(うち)に食肉製品の話がきた」

「食肉……」

 ビーストマンは人間を食べる。

 思わず眉をひそめると、幼姿の女王が苦笑交じりに諭す。

「心配はいらん。彼らは数百年前に食人をやめたらしいぞ?」

 

 女王が聞きかじった話によれば、この世界から()()()()()()()()()()()を境に大陸中央部の社会生活様式は変遷を迎えたという。

 ビーストマン、獣人、亜人、異形などの種族を問わず、感情を持ち、高度な言語や文字を有する種族は「他者に共感できる種族」だ。彼らは、それまでただの“獲物”だった相手が突如として“意思疎通のできる(言葉の通じる)相手”に変わったことに戸惑った。多くの者が仕留めた相手を「肉」として見ることができなくなったのだ。

 

 そんな彼らは互いに喰いあう狩猟から徐々に畜産に乗り換えた。

 そしていち早く畜産化を果たして食料の安定供給をかなえた部族が大国となり、逆に狩猟文化から抜けだせなかった部族が衰えた。

 劣勢になった部族は大陸中央部から“外”へと追いやられ、結果として食料を求めた彼らは竜王国を襲った訳だ。

 

「つまり、竜王国を襲っていたのは“古式ゆかしいビーストマン”という訳じゃな。帝国も腹を括らんと彼らのように後れをとるぞ。協定の広がりを肌で感じただろう?」

「はい、想像以上でした」

 神妙な返しに同情心が芽生えたのか、女王が声を落として追加情報を寄こす。

「謁見は明日だったか? その前に総会がどのようなものか教えてやろう」

「是非ともお願いします」

「うむうむ」

 

 告げられた総会の実態は次のようなものだった。

 まず、各勢力の長は同行者を2人まで同席させることができる。武器の携帯は禁止されているため、もっぱら参謀や秘書などの文官を付ける長が多い。

 総会は最高議長が統括し運営され、各勢力の長は順番に発言する。主立った内容は諸勢力間の紛争問題や経済発展の取り組みなどが審議されているという。

 

「至って普通に聞こえますね」

 率直な感想に女王は冷やかに返す。

「神が同席する会議が普通だと思っとるのか?」

 

 最高議長が統括しているため、神は滅多に発言することは無いという。

 ただ、その“見ているだけ”が総会を円滑に進めるための潤滑剤として機能しているらしい。

「目に見える神がそこに居る訳だからな、誰も無駄口を吐かん。ただ粛々と、恐ろしく有意義な会議じゃ」

 そして、その“恐ろしさ”に当てられ、終始座るだけで終わる長もいる。

 多くの場合、そこに付け込まれる。

「神を背にしながら平気な奴もいる。不平等な約束事を提案したとしても、当事者が合意すれば問題ない」

 共存協定の基本理念さえ守れば神の干渉は無い。そこに気づき、強気の外交を行える者が得をする。

 

「神は共存協定を未熟な組織だと仰った。近くアーグランド評議国の“永久評議員”に似た制度を採り入れるかもしれないと。つまり、分かるな?」

「協定内で明確な差が生まれる」

 大きく頷く女王の目を見て確信する。勝ち組の目だ。

 既に裏では事が動いているのだ。

 

「貴重なお話、ありがとうございました」

「礼には及ばん。心細そうな眼を向けられてはな、構わずにはいられなかっただけじゃ」

 不安が表情に出ていたのか、それとも竜眼に見透かされたのか、女王の言葉に息をのむ。

「――ではな」

 手をヒラヒラとぞんざいに振りながらドラウディロンが足早に去る。これは借りが出来たのだろうか。

 ともあれ彼女から得た情報を踏まえると、謁見に際しては共存協定への参加表明は必須案件となった。

 もはや一国で経済戦争がどうのと息巻ける状況ではなくなったのだ。

 

 

 

 

 

 晩餐会の翌日。

 ナザリック地下大墳墓、玉座の間。

 神前にて、ジルクニフの心は完全に折れ、深く平伏する。

 

 ジルクニフは述懐する。

 昨夜、帝国主席宮廷魔術師と秘書官らに晩餐会で得た情報を共有し、バハルス帝国も共存協定へ参加を発表した。そしてどのような戦略を以って協定内で地位を上げていくかを話し合った。

 限られた時間の中で、万全ではないものの手堅く意思決定ができたはずだ。

 

 謁見の日、当日。緊張感を漂わせたバハルス帝国一行を豪華な4頭立ての馬車が出迎えた。宙に浮く6体の天使を前に浮足立つ護衛の騎士たちを励まして馬車に乗り込む。馬車は神都内から一路森林区へと向かった。

 屋根のない馬車で外敵を気にせず風を感じられるのは神の庇護下による恩恵か。穏やかな日和に木漏れ日が心地よかった。

 

 南方に伝わるとされる二本の柱とそれを繋ぐ横木で組まれた“朱色の門”を幾つもくぐり、アインズ・ウール・ゴウンを崇める神殿に到着する。麗しい巫女たちに導かれた先の“揺らめく黒い霧”を抜け、噂に聞いたナザリック地下大墳墓の内部へ辿りつく。

 恐ろしく高い天井や磨き抜かれた大理石の床、雲の上を歩いているのかと錯覚するほど柔らかい真っ赤な絨毯、奇跡の美貌を携えたメイドに目を奪われた。

 

 そして、玉座の間を前にして誤算が生じる。

 

 大量の悪魔像がぐるりと取り囲む半球状の大きな部屋。そこにバハルス帝国以外の者たちも集められていたのだ。晩餐会で同席した山小人(ドワーフ)土堀獣人(クアゴア)はもちろん、近くに居たその他の亜人の姿もある。

 フールーダやロウネらも戸惑いの表情を見せる。なぜならバハルス帝国として他の勢力から一歩先んじるには単独での謁見が望ましかったからだ。それにもかかわらず、こうして他勢力と十把一絡げにされてしまっては売り込みが困難になる。この場にいる他勢力の情報、彼らの手札ひとつ分からないのだ。

 

 想定外の扱いに物申したくなるが、紹介状を好き勝手に解釈してしまったのはこちら。ここまで案内してくれた執事にどういう事なのかと問うても「主はご多忙故、皆様にはご一緒に謁見して頂きます」と身も蓋もなく返されてしまった。

 

 その後、見事な“水晶の薔薇”の飾りをメイドの手によって着けられたりもしたが、ハッキリと覚えているのはここまでだ。

 なぜなら玉座の間に入った瞬間、広場の左右に居並ぶ上位者の放つ圧に飲み込まれてしまったからだ。

 

 

* * *

 

 

 各勢力の長たちが覚えを良くしようと、玉座の下で順番にへつらっていた。不安、焦燥、困惑、恐怖、後悔、期待、劣等感、諦念、希望等々、様々な感情が渦まいていたのを覚えている。

 

 いざ自分の番になった時、なんの前触れもなく“音”が消えた。

 

 突然の静寂に周囲を窺うと、直前まで発言していた亜人の長が()()()()()()()()()()()()微動だにしない。その配下もまるで人形のようにピクリとも動かず衣擦れすらない。

 慌てて振り返ると、ロウネと目が合った――が、瞬きをしない。いや、呼吸すらしている様子がない。その隣にいるフールーダも、その後ろに控える騎士たちも。皆、生きながらにして彫像のように固まっていたのだ。

 思わずお守り代わりの首飾りに手が伸びる。

 

「バハルス帝国皇帝よ、個別に話があってな。不躾だが時間を止めさせてもらった」

 玉座から投げかけられた声に慌てて姿勢を正す。声の主は玉座に鎮座する不死者(アンデッド)の神、モモンガだ。

「じ、時間を、止める?! な――」

「なぜ自分が、と疑問はあるだろうが本題に入ろう。時間を止め続けるのも一苦労でね」

 

 あのフールーダからですら「時間を止める」などという話は聞いたことがない。いったいどの位階に位置するものなのか、いや、そもそも“魔法”なのかすらもわからない。

 

 驚愕する私を気にも留めずに神は続ける。

「私はバハルス帝国を評価している。内政、軍事、教育。どれもが実に合理的な教義で運営され、互いに連携している。周辺国でこの組織力に並ぶものはないだろう」

「お、お褒めいただきありがとうございます」

 その意外な高評価に戸惑いつつもなんとか言葉を紡ぐ。しかし、ただ称賛するためだけに時間を止めるなどという奇跡を起こしたとは思えない。

 この後に続くであろう本命に備える。

 

「それで、だ。近々アインズ・ウール・ゴウン内に教導院を創設する。ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス殿には是非とも最高責任者になってもらいたい」

 

 教導院。モモンガは協定内ではなく、アインズ・ウール・ゴウン内と言った。ドラウディロン女王が語った永久評議員とはまた違った位置づけの組織だ。名前から察するに「教え導く」組織。先ほど承った称賛に意味があるのなら“バハルス帝国の教義”を欲しているのだろうか。

 教義を対価に神と懇意にできるなら安いものだが問題もある。“個別に話”とは国を背負う皇帝としてなのか、それとも肩書のない個人なのか。協定への参加要請であれば即決できたが、流石に新組織への就任要請は安請け合いはできない。

 せめて本国に戻って考える時間が欲しい。

 

「ご評価いただき光栄に思いますが、私には皇帝という立場もございまして――」

「なに、兼任で構わないとも」

 ばっさり言い切られてしまう。

 続けて神は畳み掛ける。

「私自ら勧誘する理由も()()にある。配下の者たちに任せると強引に事を進めがちでな。私は箱庭を取り上げるようなことはしたくはないのだよ」

 

 モモンガは“急進派の配下”を匂わせた。

 そして穏便に事を進めるためにこの場を設けたと。

 “国を失いたくなければ従え”とも取れるが、ここは純然たる慈悲として受け取る。そうでないと精神が持たない。

 

「詳しい資料は今夜にでも届けさせる。返事はそれに目を通してからでいい。では――、時間だ」

 モモンガが指を鳴らすと色褪せた世界に雑音が戻る。

 周囲に生命を感じて胸を撫でおろす。

 

 動きだした世界に気を緩めていると、凛とした女性の声が響く。

「次の参列者。バハルス帝国皇帝、ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス。――前へ」

 玉座の隣に侍る角と翼を持つ美しい女神。晩餐会で見た従属神だ。

 気を改めて導かれるように前へでると、次いでモモンガが少しだけ仰々しく口を開く。

「良くぞ来られた、バハルス帝国の皇帝よ」

 いささか茶番めいた挨拶だ。

 しかし、周囲の者たちは先ほどのやり取りを知らない。ここは不自然に思われないよう互いに初対面の態で合わせるしかない。

 

 神前にて、ジルクニフは深く平伏する。

 この日、鮮血帝の異名をもった彼はアインズ・ウール・ゴウンに下った。この日を境に200年続いたバハルス帝国は、永遠ともよべる長い時間をアインズ・ウール・ゴウンと歩むことになる。

 そしてジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスは、人類の身でアインズ・ウール・ゴウンの列席に加わり、賢帝として帝国史に名を刻むのだった。

 

 




独自設定と補足
・禁書室。御方々が色々と遺してくれています。
・クロッシュとは、料理皿に被せる半円形のアレ。
・ティナ(※忍者)周りは独自解釈です。
・晩餐会に関する圧倒的な知識不足。
・ドラウディロン女王の口調が安定しない問題。
・大陸中央部の事情。
・〈時間停止(タイム・ストップ)〉中にジルクニフだけ動けた理由は、直前に着けた水晶の薔薇による影響。
・スレイン法国編のはずなのにジルクニフがメインみたいな。場所は法国だから許してほしい。
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