素晴らしい世界かもしれないが不死人には物足りない   作:みーと

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DAEMON X MACHINA

SEKIRO

作者 は 息を吹き返した。



第13話

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ、カズマ少年。これはいくらなんでもアクア嬢が可哀想ではないか?」

 

「全然そんなこと思いませんね。自業自得ですよ」

 

無表情で言い放つ彼だが、隠しきれない怒りと諦観が見える。

 

ベルディア討伐からしばらく。

アルトリウス達はある湖を訪れていた。ここは水質が悪く、危険なモンスターが蔓延るある種の魔境と化している場所。今回カズマ少年達は討伐要素のない高難易度依頼をこなす事で金を稼ごうというのだ。内容は湖の浄化。浄化さえ完了させれば別にモンスターを倒す必要はない、上手い事考えるものだ。普通ならばモンスターとの戦闘を避け、浄化するのは不可能だ。しかし触れるだけで水を清めることが出来る水の女神様を連れている彼は違う。檻に閉じ込めたアクア嬢を水に浸け、浄化が完了するまで放置するらしい。

 

「檻が壊れることはないのか?もしもモンスターが檻を破壊出来るならアクア嬢、危険だぞ」

 

「あいつも女神の端くれならどうにかしますよ」

 

そもそも何故危険度の高い依頼を受けてまで金を稼がねばならないのか。その理由こそが前述の自業自得である。後先も考えずに酒代だなんだと彼女が浪費し、2人は文無しになった。カズマ少年がキレるのも、まぁ分かる。借金まで作ったらしい彼女を足蹴にし、この世の終わりのような顔をしたカズマ少年はあまりに哀れだった。だから自分が付いて行って2人の依頼を助けようと言ったのだが、いくらパーティーとはいえこれ以上借りを作るわけにはいかないと断られてしまったのである。そう言われては引き退るしかない自分だったが、やはり難度の高いクエストを受けるということでもしもがあってはならないと同行を決めた。

 

そんな背景から自分から積極的にどうこうは出来ず、喚いて助けを求めるアクア嬢を無視し、無情なカズマ少年を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湖の畔、木に背を預けて浄化を待っていた。

暇である。アクア嬢を浸けてかれこれ数時間。陽は既に中天を超え、西へと傾き始めた。

一応、檻がワニの群れにたかられてアクア嬢が悲鳴をあげながら浄化魔法連発したりと色々あるのだが自分から見てもさしたる脅威ではない。

むしろもっと別の脅威がアクア嬢ではなく、見守るダクネスとめぐみんを襲っていた。

少し顔を赤らめてもじもじと落ち着かない様子。カズマ少年はそんな2人を怪訝そうに眺めているが自分はなんとなく察した。けれど女性に対してそれを指摘するのはあまりデリカシーに欠けるだろう。黙っておくことにする。

 

「おーい、アクア!お前トイレとか大丈夫かー?」

 

「今そんな状況に見えるの!?そんな余裕があると思ってるの!!?」

 

悲痛な叫び。

必死なのはアクア嬢だけで湖畔の自分たちは非常にまったりモードである。

 

「カズマ少年、狙ってやっているのなら本当にアレだな、鬼畜だ」

 

クズマさんの称号は伊達ではないということか。

だが、この空気なら指摘出来るだろう。あまり我慢させても身体に悪い。

 

「2人はどうだ?もしトイレにいきたいのであれば今のうち行くと良い。変わらずワニと戯れているアクア嬢の方もまだ放っておいて大丈夫そうだからな。あとから厄介なモンスターでも現れたら面倒だぞ」

 

「紅魔族はトイレなんて行きませんから」

 

「えらく食い気味な返事だな」

 

しかし紅魔族はトイレに行かないのか。めぐみん嬢と2人で行動していた時には行っていたような気がするが。

 

「私もクルセイダーだからトイレにはいかないぃ…」

 

「くだらない意地を張るな、ダクネス嬢。めぐみん嬢は行かないようだが素直になりたまえ。この近くに厠があるとは思えないからな、付き添って周囲を見張るくらいはしよう」

 

「な、な、私に貴方の目の前で用を足せというのか!!?そんな恥ずかしいことが出来るはず……だが私では逆立ちしても貴方には敵わない…強要されて仕方なく痴態を晒すなんて…ぅあ…ぁ…あぁ!!」

 

「やはり1人で行け。もしくはめぐみん嬢とだ。貴公には見張りなど必要ないことを確信した」

 

「くっ!仕方がない、仕方がないのだ!!私はこんな恥を晒すくらいであれば死を選ぶ騎士ではあれど、仲間の…めぐみんの命を盾に取られては…ァ!」

 

いつ自分はめぐみん嬢を盾に取ったのだろうか。

 

「くぅ…ぁあ、ダメだ!今のやり取りで我慢がぁ…ぅ、緩んでしまった…出そう…」

 

「はやく、その辺で隠れてしてこい」

 

 

 

 

 

 

 

 

実に7時間。

湖の浄化はようやく完了した。

ワニに襲われるアクア嬢を尻目に、暴走して自分の目の前で用を足そうとしたダクネス嬢を〆たり色々と精神的に大変なこともあったが物理的な損害は特になく終わった。

 

 

「アクア嬢、大丈夫か?気分はどうだ?」

 

檻の中膝を抱えて俯くアクアに声をかける。どこか震えている様子の彼女に気を遣った言葉をかけてやりたいが自分にはそんなセンスはなかった。大人しく状態を確認する。

 

しかし返事がない。

いつも陽気な彼女には似つかわしくない、まるで強姦魔にでも襲われたかのような暗い瞳でこちらを射抜いただけだった。あまりの豹変ぶりに少し動揺したが、やがて彼女は小さく声を出した。

 

「……檻の外…怖い……危ない…世界っ…」

 

なるほど。どうやら相当ワニにたかられたのがトラウマになったらしい。檻の外が危険で中は安全。どこかで聞いたような気がするがさて何処だっただろう。

 

「アクア嬢、安心したまえ。もう貴公を襲うワニはいない」

 

「いやっ!檻の外は危険なの!街に戻るまで私は出ない!!」

 

「そうは言うがな、檻ごと運ぶ手間を考えたまえ。楽ではないのだぞ?」

 

「なら護って!アルトリウスさんが私を護って!!ありとあらゆる危険から私を護り抜いて!!!」

 

おお。そうきたか。

正直面倒。だが従わなければ本当に檻から出ないという覚悟が見える。いつになく気迫がある、ある意味女神らしい存在感である。

仕方なく頷けばよろよろと立ち上がり、ひしゃげた檻の格子の隙間を抜けて彼女は外に出た。

 

 

 

 

そして己の背中に引っ付いた。

 

「おい、アクア嬢」

 

「護って。しっかり護って。今から貴方は誇り高き女神アクアの守護騎士なのよ」

 

いや、守護騎士は女神を背負ったりしないと思うのだが。

 

「まぁ、いい。何もしていなかったとはいえ外に出て時間を過ごすのも疲れるのだ。さっさとアクセルの街へと帰ろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




魔剣の人はまた今度な。
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