素晴らしい世界かもしれないが不死人には物足りない   作:みーと

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投稿に日が空いているなんて事実はなかった、いいね?



第9話

 

 

誰もが固唾を飲んで見守る中、アルトリウスとベルディアは対峙した。この戦いの結末で街の運命が決まる。緊迫し、張り詰めたアトモスフィア。

 

2人の騎士の戦いは決着を迎える。

 

 

 

 

振り下ろされた剣を払うように拳を叩きつける。剣と剣を撃ち合わせたものとはまた違う音を立て、剣戟はあさってへと逸れていく。

 

大剣を握る右手に力を込め、切っ先を胴に向けて腕を引く。相も変わらずに硬い鎧は刃を通さないが、もちろん無敵なわけがない。胸当てと腰当ての隙間。鎧下が露出した部分に剣を突き刺した。

 

 

 

肉が潰れる不快な音と骨が砕ける鈍い音が鳴る。

勢いよく噴き出した血が己と景色を穢していった。蹌踉めき、崩れ落ちるベルディア。刃が噛んでしまったのだろうか、内臓ごと引き摺り出しながら剣を抜いた。ぶちぶちとはらわたの千切れる音が、滴る血液の水音とともに聞こえる。

 

静まり返った門の前ではその音が嫌に響く。反響させる壁などないのに、鮮明に音が通る。無音の静寂の中では誰も動くことはなく、また動く気にもなれなかった。

 

 

しばらく、時がとまってしまったかのよう。

唯一、剣を伝いポタポタと落ちる血液だけがそうではないことを証明していた。

 

 

 

静寂を破り、背後から嘔吐くような声が聞こえる。

自分はもう慣れたものだが、他人から見ればひどくスプラッターな光景だろう。少なくとも人型の生物が臓物を撒き散らし、血の海に沈んでいるなど気の良いものではない。

そちら側を一瞥する、するとビクリと身体を震わせ、後ずさる者がいた。苦笑するほかない。冒険者、流血沙汰に慣れていても極々普通の価値観を持つ彼らにとってこの光景は理解し難いだろう。

 

 

 

さて死体を放置するわけにもいかない。死体はあらゆる害悪の苗床だ。しかし自分が汚く殺した手前、人に頼むのも気が引ける。

 

呪術で焼いてしまおうか。

威力は大したことないが、火葬代わりに浄火でも使えばアンデットの魂でも穢れを祓えるかもしれない。

先ほどお遊びも兼ねて使っていた戦技によって枯渇していたFPを灰瓶をあおり、回復させる。一応、なにかに使うと思って灰瓶にも振り分けておいてよかった。

 

大剣を背負い、呪術の火を右手に装備すると、手のひらの上を小さな火種…イザリスに始まった混沌の火がゆらゆらと輝く。

 

そして一際強く火が噴きあがった時、ベルディアの身体に押し付ける。問題なく火は体の内側から迸り、焼いていく。ただ、予想していなかったことも少しあったが。

 

 

 

 

「……あッっつい!?何これ?!どうして俺焼かれてんの!?」

 

生きてたのか、ベルディア君。

動かないし、てっきり死んでたのかと。

 

「痛いッ!?この炎なに?!絶対アンデッドに向けちゃいけないやつだろ、聖火とかそういうやつだろ!?」

 

残念、それは『はじまりの火』の模造品から生まれたものに過ぎない。別に属性として聖性を帯びているわけでない。ただ、悪いものを焼き尽くすという炎だが。

 

「安心しろ、ベルディアとやら。しっかりとあの世に送ってやる」

 

「何処に安心出来る要素が!?」

 

悪いが天国へ行ける保証はない。むしろアンデッドだし、地獄だろう。でも、地獄の沙汰もなんとやらだ。少しでもこの火で生前の業を禊げたならと思う。

 

「もしかして俺、このままウェルダン…?」

 

「問題ない、ある程度焼けるとその炎は爆発する。ただこんがりということはない」

 

おい、こら幼女。爆発すると聞いて目を輝かせるな。

 

「やっぱりお前もキチガイだったか、チクショーッ!そこの爆裂幼女と同じだァ!!」

 

そして、その言葉を最後にベルディアは爆発四散した。

 

 

 

 

 

知人の不死人が言っていた、爆発は芸術なんだと。元々は芸術が爆発らしいが、彼にとっては爆発こそが芸術らしい。

なんとなく理解出来る。この世の全て、散りゆく間際の美しさというのは例えようがないほどだ。

 

いつの間にか、日が差している。空を覆っていた分厚い雲は何処かへ消えてしまったようだ。

柔らかな風が吹き抜けた。ボスを倒した後ということもあって言いえぬ清々しさがある。胸がすくようだ。

 

青空の彼方にベルディアが見えた気がした。

 

 

 

 

 





短いですが許して。
これからも大分不定期になりそうでち。
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