やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている 作:サラリーマン
あれから三人で特に会話もなくモニターを見ていた。今はJ組の二組がやっている。そしてそのJ組の二組目には雪ノ下が出ていた。訓練が始まり、雪ノ下が動く。手には弧月を持っていて、前までやっていた人たちで目が弱点と分かったのか目を目指して進んでいく。そして目をつぶし擬似ネイバーを倒す。記録は26秒。総武高のメンツでは一位だった。雪ノ下が1号室から出てくると葉山の時以上の歓声が上がる。それから嵐山さんが近づき声をかける。
嵐山 「君すごいじゃないか!ボーダーでもなかなかいないタイムだぞ!」
雪ノ下 「ありがとうございます。でもボーダーにはもっと早い人もいますよね?その人は何秒ですか?」
嵐山 「ボーダーで一番早いのは四秒だ。その次がうちの隊の木虎で九秒だな」
雪ノ下 「私の六分の一…そうですか。ありがとうございます。失礼します。」
雪ノ下がJ組の生徒が多数いる場所に歩いて行く。その途中で目ざとく俺を見つけてどや顔をしてきたが俺は華麗にスルーした。
嵐山 「では最後に総武高二年ボーダー隊員の代表者に同じ戦闘訓練と今後ボーダーで実装予定の新しい訓練をしてもらおうと思う。」
あれ?嫌な予感がする。俺のサイドエフェクトがそう言ってる。俺のサイドエフェクトそういう系統じゃないけど…
嵐山 「それじゃあ比企谷!前に出てきてくれ!」
嵐山さんが俺の名前を口にした瞬間、逃走を開始。もうすぐ訓練室から出れそうだった時聞きなれた二つの声が聞こえてきた。
謡 「嵐山さんそれじゃあだめなのです」
楓子 「そうですよ。ハチさんを呼ぶにはこうしないと…ハチさーんあと十秒で出てこなければ次の修行はハードモードになりますよー。はーい、10、9 ―
カウントダウンが聞こえた瞬間に俺の体は宙を舞い、楓子さんの前でスライディング土下座をする。
八幡 「申し訳ッございませんでしたァァァァァァァァ!!」
楓子 「お早いお着きですねハチさん。そんなに私との修業がお嫌ですか?」
八幡 「いえそんな滅相もございません。ただハードモードというのは少しばかり私が死にかけますゆえぜひとも遠慮していただきたいのですが…」
楓子 「そうですね。考えておきます。嵐山さんあとはお願いします」
嵐山 「あ、ああ。とりあえず頭をあげてくれ比企谷。」
俺は土下座をやめ頭をあげる。まず目に入ってきたのは身長的な問題で謡の呆れた顔。その次に楓子さんの生き生きとした笑顔。最後に嵐山さんの少し引き攣った笑いだった。
嵐山 「比企谷お前にはプライドというものがないのか」
八幡 「命の危…んん!謝るときに捨てられないプライドなんて持ってないです。もしよかったら嵐山さんも楓子さんのハードモードの修行受けてみます?修業が終わったら生きてることに心から安堵しますよ」
嵐山 「…いや遠慮しておくぞ…」
嵐山さんに拒否された。そのとき訓練室の中がざわざわしていることに気付き耳を澄ましてみると
「あんな奴がボーダー!?」
「目が腐ってるのに!?」
「あいつ倉崎先輩と仲がよさそうだぞ!これは親衛隊に報告しなければ!」
「隣の小学生は?」
「あら×はちキタ!」
明日葉 「土下座とかマジウケる」
などなどいろいろ聞こえてきた。楓子さんって学校に親衛隊なんているのかよ…そして千種妹笑ってんじゃねーよ
嵐山 「気を取り直して、比企谷お前にはさっき言ったように戦闘訓練と新しい訓練を受けてもらう。」
八幡 「新しい訓練ってスカッシュですよね」
嵐山 「なんだ知っていたのか比企谷。もともとお前達がやっていたものだしルールの説明はいらないよな」
八幡 「はい。トリガーは自分のものでいいですよね」
嵐山 「ああ。戦闘訓練が終わったらすぐにステージが移行するから中で待っててくれ。それじゃあ頼んだぞ」
八幡 「了解です。トリガー起動(オン)」
それから俺は一号室に入った
アナウンス 『一号室訓練開始』
俺はアナウンスと同時に弧月を抜きつつ
八幡 「旋空弧月」
旋空を使い目を切り裂いた。
アナウンス 『訓練終了。記録0.5秒。続いてスカッシュモードに移行します。』
俺の持っていた弧月がラケットに変わり壁には凹凸が現れる。それから俺から見て右上からボールが飛んできた。最初の速度はアイビスと同じ速度。余裕を持て打ち返すとそのボールは壁の凹凸で反射する。正面の壁から天井へ。天井から左の壁へ。それから俺に襲い掛かってくる。ステップで少し立ち位置をずらし返す。またいろんなところで反射し、今度は右斜め上から。それも同じように返し10球ぐらい返すとよくゲームのレベルアップであるようなファンファーレが鳴り響く。これはボールの速度が上がる合図だ。次の速度はイーグレット。それもさっきまでと同じように返していく。10球ぐらい返したところで再びファンファーレ。次はライトニングの速さになった。それでもひたすら返していく。さらにファンファーレが鳴り、次はライトニングの速さのボールとアイビスの速さのボールの二つになる。それからボールの速度が速くなるにつれ俺の思考は徐々に消えていき、ただボールを打ち返す。それだけの機械になっていた。
アナウンス 「訓練終了 レベル142」
あれからしばらくして失敗した。これを最後にした時と比べて10もレベルが下がっていた。一号室から出ると、楓子さんと謡以外の驚いた顔が目に入った。
楓子 「ハチさんレベル下がりすぎです。一番してた時期と比べて10もレベルが下がってますよ」
八幡 「久しぶりだったんでこれが限界っす」
謡 「嵐山さん次の進行を」
俺と楓子さんがしゃべっている間に謡が嵐山さんに進めるように促してくれていた。
嵐山 「そうだな。A級1位部隊の隊長ともなればこれくらいのこともできるようになる」
嵐山さんの発言でまたざわついた。曰く
「あんなのがA級一位だと…」
「目が腐ってんのに」
などなど。さっきから目が腐ってんのは関係ないだろ
嵐山 「これで午前の見学は終わりだ。午後の見学は一時から。それまではこれから案内する食堂にいてくれ。わかっているとは思うが立ち入り禁止の場所には入らないように!それじゃあ移動するぞ!」
最後尾で移動していると、戸塚が前からやってきた。
戸塚 「八幡!八幡ってボーダーだったんだね!」
八幡 「黙ってて悪かったな」
戸塚 「ううん。全然大丈夫だよ!八幡の知らなかったことを知れて僕うれしいよ!」
そう笑顔で言う戸塚。やばい。守りたいこの笑顔
謡 「戸塚さん、こんにちはなのです!」
戸塚 「謡ちゃん!こんにちは!何で謡ちゃんが?」
謡 「私もボーダー隊員なのです!」
戸塚 「え!謡ちゃんもなの!?じゃあこの前言ってたのは?」
八幡 「悪い。あれは嘘なんだ。あの時はまだボーダーだってばれたくなかったからな。」
戸塚 「そうなんだ。もしかして謡ちゃんは八幡のチームに?あと倉崎先輩もそうなんですか?」
楓子 「あら私を知っているのですか。えーと…」
戸塚 「あ、戸塚彩加です」
楓子 「よろしくお願いしますね、戸塚さん。戸塚さんが言った通り私も謡も比企谷隊のメンバーですよ。ハチさんどこでこんなかわいい女の子と知り合ったのですか?」
八幡 「…楓子さん、戸塚は男ですよ」
楓子 「え…」
戸塚 「僕、男の子です…」
楓子さんが戸塚の顔をじっくり見る
楓子 「すいませんでした。女の子に見えてしまって。それで戸塚さんとハチさんはどこで?」
八幡 「戸塚はテニス部なんですけど前に練習を手伝ってくれって頼まれたんです」
戸塚 「体育の授業で八幡の壁打ちがすごく上手だったので頼んだんです。八幡がテニス上手なのってさっきのスカッシュのおかげなの?」
八幡 「たぶんな。楓子さんは俺の師匠なんだけどその時にあれをやらされてな。たぶんそのおかげだ。」
戸塚 「そうなんだ。さっきは本当にすごかったよ!すごい速さのボールが二つで、しかもどこに反射するかわからないのに、それでも返していて!」
楓子 「全盛期はもっとできてたはずなんですけどね。」
謡 「そうですね。戸塚さんあれってもう少し続けるとボールが三つになるんですよ」
戸塚 「ほんとなの!?八幡は三個でも続けられるの?」
八幡 「いや全盛期のときでも三個になったらすぐに終わったな。」
戸塚 「そういえば八幡の隊って八幡と楓子さんと謡ちゃんの三人だけなの?」
八幡 「いや違うぞ。あと戦闘員が一人とオペレーターが一人いるぞ」
戸塚 「え!そうなの?僕はてっきり謡ちゃんがオペレーターなのかと思っていたけど…じゃあ謡ちゃんはなに使っているの?」
謡 「私のトリガーは天弓って言って私の一点ものトリガーなのです!」
そんなことを話していると食堂に着いた。
食堂では総武高生でほとんどの席が埋まっていた。空いている場所がないかと探していると、嵐山さんが近づいてきた
嵐山 「比企谷、食堂の席が足りなさそうだからお前達は比企谷隊の作戦室で食べてくれないか?」
と言ったので、俺たちはそれを了承し、戸塚と別れ、俺、楓子さん、謡となぜかついてきた材木座の四人で比企谷隊の作戦室で昼食を食べ、また食堂に戻った。