やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている   作:サラリーマン

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あけましておめでとうございます。サラリーマンです。
なんとか1日で書き切り、連投することができました
それに、少し変えてみました
今年もよろしくお願いします


夏休み2

8月の中頃。今日はボーダーの入隊試験の日だ。俺は小町とユイを連れて試験会場に向かっている

 

「小町もうすぐ会場だ」

「う~なんか緊張してきた」

「心配すんな。基本的にはトリオン量で決まるんだ。俺の妹なら落ちるなんてことはないだろ」

 

俺はボーダーの中でも上位クラスのトリオン量があるからな。同じ血が流れてるはずの小町が落ちるなんてことはないだろ

 

「それに落ちてもオペレーターになるっていう選択肢もあるんだ。そこまで肩ひじ張らずに楽に行けよ」

「うんそうだね!ってあれって明日葉さんたちじゃない?」

「あーそうだな」

 

会場の入り口付近に千種兄妹と…川…川…口?川何とかさんがいる。

 

「明日葉さーん!」

「あ、小町ちゃん」

 

小町が三人のところへ走っていく

 

「おはようございます!」

「おはよ」

「おう」

「おはよう」

 

上から小町、千種妹、千種、川島だ。小町と川谷は面識があったのか

 

「ようお前ら」

「あ、比企谷おはよう。ってその子は?」

 

ユイとまだ会ったことなかった川崎が聞いてきた。

 

「比企谷の娘だよ。ユイちゃんおはよ」

 

俺が答えようとしたが先に千種妹が答えやがった。千種妹の言葉で、川崎は驚いている

 

「いろいろ事情があんだよ」

「ってかその事情俺たちまだ聞いてないんだけど」

「小町説明しといてくれ。それにもうそろそろ会場入っとけ」

「あ、そうだね。お兄ちゃん行ってくるね」

「おう。行ってこい」

 

小町たち四人が会場に入ってく。

 

「じゃあユイ俺たちは玉狛支部に行くか」

「うん!」

 

小町が入隊試験を受けている間俺たちは玉狛支部に行くことにしていた。宇佐美がプログラムした「やしゃまるシリーズ」というモールモッドの相手をしてほしいらしい。そんなわけで玉狛支部に向かおうとすると俺たちが来た方から鶴見親子がきた

 

「比企谷君おはよう」

「八幡おはよ」

「おはようございます。ルミルミボーダーの先輩からのありがたいお言葉だ。」

「な、なに?それに留美」

「目上の人には敬語を使え。年上に敬語使わずに舐めた態度ばっか取って先輩にぼこぼこにされて心折られて辞めてったやつを俺は知ってるからな」

 

ま、ぼこぼこにしたの俺なんだけどね。あの永井とかいうやつ最後まで俺に舐めた態度取ってたからな。俺がまだB級だった時に向こうが稽古つけてくれって頼んできて(きっと俺が弱いと思って笑おうとしてたんだろうな)舐めた態度ばっかだったからひたすら手足斬り落としてたら対戦が終わると泣いてどっかに行ってそれから姿見なくなったからな。緑川も最初は舐めた態度だったが一度対戦すると人が変わったように素直になったからな。

 

「うん。わかった。じゃなくてわかりました」

「よしそれでいい。頑張ってこい」

「ありがとうございました。八幡先輩」

「おう」

「がんばってね!」

「ありがとユイちゃん」

「じゃあ留美行きましょう」

 

鶴見親子が試験会場に向かっていった。そしてまた歩き出すと今度は三浦と海老名さんが走ってきた

 

「ヒキオおはよう」

「あ、比企谷君ハロハロ~ユイちゃんもハロハロ~」

「はろはろ~」

 

なにそれかわいい。ユイもっとやって。それより

 

「時間大丈夫なのか?」

「やっぱり!優美子が寝坊するから!」

「今そんなこと言っても仕方ないじゃん!ほらまた走るよ姫菜!じゃあねヒキオ!」

「じゃあね!比企谷君!」

 

慌ただしく二人は去っていった。そして俺たちは玉狛支部に向かった

 

***

 

「来たぞ宇佐美」

「お、待ってたよ比企谷君」

「何で比企谷がここに?」

「ほらこの前俺たちも戦った「やしゃまるシリーズ」の相手をするんじゃないですか?宇佐美先輩もっと相手がほしいと言ってたし。ですよね比企谷先輩」

「ああ合ってるぞ」

 

俺の言葉に反応したのは上から順にボーダーメガネ人間名誉会長の宇佐美、だまされガール小南、もさもさしたイケメン烏丸だ。

 

「比企谷その後ろにいる女の子は誰よ」

「小南先輩知らなかったんですか?この子は比企谷先輩の娘さんですよ」

「えっそうなの?」

「すいません。嘘です」

「騙したわね!比企谷ぁ!」

 

小南の言葉にいつもの調子で烏丸は嘘をついているが今回は烏丸が言ってることは正しい。そしてなぜか俺が嚙みつかれる

 

「噛むな!俺を嚙むな!それに烏丸が言ったようにこの子は俺の娘だ!」

「「え」」

 

小南も烏丸も驚く。普段クールな烏丸の驚いた表情なんて珍しいな

 

「ほうほう。その子が本部で噂になってる比企谷君の娘だね」

「ちなみにどんな噂?」

 

最近ユイのために防衛任務以外ではボーダー本部に行かなくなっているので本部で流れているという噂が気になった

 

「んーとね、竹を切ったら出てきたとか、川から流れてきた桃を切ったらその子が出てきたとか、空から降ってきたとか、比企谷隊の誰かとの子なんじゃないかとかいろいろあるよ。比企谷隊の中でも本命が楓子さん、対抗が陽乃さんだね」

「後半で急に現実的になったな」

 

かぐや姫、桃太郎、ラピュタと来て最後に現実を見せるというね

 

「それで結局真相はどうなんですか?」

「あん中にはねえよ。正解は山の中で拾った、だ」

「「「は?」」」

 

三人の声が重なった。

 

「八月入る前くらいに高2組のラインでキャンプのバイトの連絡したろ。その時に森の中で倒れてて助けたら懐かれて今に至るってわけだ。」

「でもパパって」

「それはこいつ俺が助ける前の記憶がなくてな。それで起きて初めて見た俺をパパだと思ったんじゃないかと俺は思ってる」

「ほーそういうこと…」

 

そこで俺の服が引っ張られる。

 

「おーごめんな。じゃあユイ自己紹介だ」

「ユイだよ!よろしくね!」

「宇佐美栞だよ。それにこっちが小南桐絵でこっちは烏丸京介。よろしくねユイちゃん」

「よろしくねユイちゃん」

「よろしく」

 

それぞれの自己紹介が終わるとさっそく本題に入る

 

「それじゃあさっそく本題に入ろうか。改めて説明するけど比企谷君に挑戦してほしいのはあたしがプログラムした「やしゃまるシリーズ」だよ。」

「シリーズってことは何体か種類があんのか?」

「うん。圧倒的なパワーと装甲!やしゃまるゴールド!神速の斬撃ととんがったボディ!やしゃまるブラック!スリムな体に銀翼の翼!やしゃまるシルバー!女子ウケがいい!やしゃまるハニーブラウン!やしゃまるブラックのことが気になっているが生き別れの兄妹だってことは知らない!やしゃまるピンク!さあどれと戦う?」

「…順番に一体ずつ出してくれ」

「おっけ~それじゃあよろしく!」

 

俺は玉狛支部の地下空間でトリガーを起動しやしゃまるシリーズの出現を待った。

 

***

 

異変はやしゃまるシリーズと戦い始めてからすぐに起きた。

 

『比企谷君!ユイちゃんが!』

 

その言葉を聞いた瞬間おれは地下を飛び出した。さっきいた部屋に入るとユイが気絶したようにソファーに横になっていた。

 

「宇佐美なにがあった!」

「あたしの膝の上にのって一緒に比企谷君の勇姿を見ようとしてたんだけどモニターにやしゃまるゴールドが出たら気を失っちゃって」

 

そこで俺が開け放ったままのドアから二人の男が入ってきた

 

「どうした?なんかあったのか?って比企谷君」

「八幡ではないか!どうしたのだ?」

 

玉狛のエンジニアのクローニンさんと材木座だ。

 

「材木座、どうしてここに」

「クローニン殿とトリガーの話をしていたのだ。面白い話がたくさん聞けたぞ八幡!」

 

その時、ユイが急に起き上がった。俺はユイに駆け寄る

 

「ユイ!大丈夫か!」

「パパ、全部思い出したよ」

「八幡誰だその子は!お主のことをパパと呼んだではないか!」

「ちょっと黙ってろ材木座。ユイ何を思い出したんだ?」

 

俺は材木座を黙らせ、ユイに続きを促す

 

「皆さんはネイバーフッドにあるトロポイという国を知っていますか?」

 

ユイが俺たちに尋ねる。俺は分からないがネイバーであるクローニンさんなら何か知ってるんじゃないかと思いクローニンさんの方を見る。

 

「確か自立トリオン兵を作ってる国だったか?」

「はい。私はトロポイで開発されていた次世代型自立トリオン兵試作1号コードネームユイ。それが私です」

「ユイが…トリオン兵だと…」

「次世代型というと何が違うんだい?」

 

クローニンさんの問いにユイは答える。

 

「次世代型は自動で情報を採取することともう一つ。人工的にサイドエフェクトを持った自立型のトリオン兵のことです。」

「人工的なサイドエフェクト…ユイもサイドエフェクトを持ってるのか?」

「はい。私のサイドエフェクトは姿を見るとその人の感情が分かるというものです。このサイドエフェクトのせいで向こうではたくさんの人の心を見せられました。歓喜や感動などといった正の感情。怒りや嫉妬、絶望といった負の感情。そんな中で負の感情は私の心の中にバグを残していったのです。」

「そのバグのせいで記憶喪失になったのか?」

「結果的にはそうなります。」

 

ユイは俺の言葉を肯定する

 

「そのバグは私のサイドエフェクトに多大は影響をもたらしました。そのバグのせいで私は正の感情が見えなくなり、負の感情しか見ることができなくなりました。」

「そしてまたバグがたまる。…負のスパイラルか…」

「バグがたまりすぎた私の心は次第に崩壊していきました。そして記憶がなくなった私はマスターに捨てられました。それからどういう経緯で玄界にたどり着いたかは私自身覚えていません。」

「それならばもう問題ないのではないか?事情はよく分からぬがユイ殿の記憶が戻ったから八幡と一緒にいられないということはないのであろう?」

「いいえ。これはそう簡単でもありません。マスターたちは私の記憶が戻ったときに他国に情報が洩れぬように記憶が戻ったら私が崩壊するように改造しました。」

「何でトロポイはそんなことを…そんな手間を加えるくらいならその場で殺した方が

「クローニンさん!」

「ごめん比企谷君」

 

俺の怒鳴り声でクローニンさんは自分の失言に気付いたようで謝った。

 

「いいんですパパ。私に最後の改造を施したマスターが言ってくれました。『自分たちが感情を持たせたせいで君にこんな目に遭わせて悪かった。上の命令で改造をやめることはできないが何とか記憶がないうちは崩壊をしないように改造する許可はもらった。力が及ばずに申し訳ない』と。それでクローニンさんと材木座さんにお願いがあります。今私の中にはトロポイで与えられた情報と玄界に来るまでに通ったはずの国の情報があります。これを私の中から抜きとってください。」

「けどそれをしても君は…」

「はい。私はもう助かりません。けど私が生きたきた証をパパたちのために残したいんです。」

「ユイ…」

「ずっと一緒に居たかったです、パパ」

 

俺は涙を流してユイと抱き合う。

 

「ユイ俺もずっと一緒に居たいよ」

「パパぁ……」

「八幡、もしかしたらユイ殿を助けられるかもしれないぞ」

「本当か材木座!」

 

材木座の言葉に俺は顔をあげる。

 

「理論上では可能だよ。ユイちゃん君が言う崩壊まであとどれくらい時間がある?」

「もうそんなに時間がないです!」

「わかった。急ごう義輝君」

「お願いします!材木座!クローニンさん!ユイを助けてください!」

「「全力を尽くす!」」

「それで八幡お主のスマホを貸してくれ。」

「俺のスマホがユイを助けるために必要なのか?」

「ああ。ユイちゃんを助けるためには絶対必要になる」

 

俺は材木座にスマホを渡す。

 

「しばし待たれい!」

 

材木座とクローニンさんはユイを連れて俺のスマホをもって玉狛支部の研究室に入っていく。この時ただ信じて待つしかできなかった俺はただただもどかしかった

 

***

 

材木座とクローニンさんが研究室に入ってからすでに一時間が経過した。

 

「ハチ兄!ユイちゃんの記憶が戻ったって本当ですか!?」

「ハチさん!どうなんですか!?」

「八幡君!」

 

入口につながるドアから謡、楓子さん、めぐりさんが飛び込んできた。

 

「ええ。本当です」

「ならユイちゃんはどこに?」

「今は材木座とクローニンさんと研究室の中にいます」

「何でユイちゃんが研究室に?」

 

めぐりさんの疑問はもっともだろう。

 

「それは…ユイがトリオン兵だったからです」

 

それから三人にユイから聞いたことをすべて話した。三人は驚きながらもしっかりと話を聞いてくれた。

 

「あとは信じるしかないのです」

「そうね」

 

三人も俺と同じようにただ信じて材木座とクローニンさんが出てくるのを待った。

 

***

 

それから30分後。とうとうその時が来た。材木座とクローニンさんががユイを連れ立って出てくる。………はずだった。なのに出てくるのは材木座とクローニンさんだけだ。

 

「材木座、ユイは…」

 

材木座は無言で俺のスマホを返してきた。その顔には悔しそうな表情。

 

「そんな…ユイ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんですかパパ?」

 

ユイの声が俺の手元から聞こえてきた。俺が手元を見るとスマホの画面にユイが映っていた。

 

「ユイがなんで俺のスマホに!?」

「ユイちゃん!?」

「パパ驚くのはまだ早いです!ちょっとトリオンを込めてみてください」

「俺生身なんだけど」

「イメージだ八幡!スマホにトリオンを込めるイメージをするのだ!」

 

材木座に言われた通りイメージをする。俺のトリオンをスマホに込めるイメージ…イメージ…

 

「こうか?」

 

その瞬間俺のスマホから光が飛び出した。その光は俺のスマホの上で人の形に集まりだし、最後にひときわ強く発行したかと思うとユイとなって俺の目の前に降り立った。

 

「また会えましたねパパ、ねえ」

「ユイ!」

「ユイちゃん!」

 

俺たちはユイに抱き着く。

 

「パパ、ねえ」

「なんだユイ?」

「なあにユイちゃん?」

「大好き!」

 

こうしてユイは俺たちの下に戻ってきてくれた

 




思ったけど誕生日忘れてない?

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