やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている 作:サラリーマン
材木座に説明させるってむずいですね
「しかし、材木座これはどういう原理なんだ?」
俺のスマホから実体化したユイの頭をなでながら材木座に聞く。しかし答えてくれたのはクローニンさんだった
「簡単に言うとコピペだよ」
コピペ?あのコピーアンドペーストの略?俺が疑問に思っていると楓子さんが聞いた
「コピーアンドペーストのことですか?」
「うん。すべて物には核がある。トリオン兵にも核があってその核の中には情報が詰まってる。その核の中からユイ嬢を構成する核の情報をコピーし、代わりの核となる物にペーストする。そういう意味でコピペ。」
「じゃあこの実体化については」
「それは我が説明しよう!」
次の質問に答えたのは材木座だった
「基本はトリオン体の換装と同じ原理なのだ。トリオンで器を作りそこに核を入れる。ただユイ殿には自分でトリオンを生成することはできない。一応擬似的なトリオン生成器官は組み込んであるがそれで生成されるのはごく少量。なので他者のトリオンをもらうことで実体化を可能にしている!」
「それは誰のトリオンでも可能なのですか?」
「無論だ!」
謡の質問に答える材木座。
「だったら私のスマホにもハチ兄と同じ装置もつけていただけませんか?」
「私にも!」
「私のもお願いします」
めぐりさん、楓子さんも謡の提案に乗っかる。
「そのことなのだが、核となる部分は林道支部長がネイバーフッドから持ち帰ったものを使わせてもらったので八幡のスマホに使ったものしかないのだ。」
「だから残念だけど実体化は八幡君のスマホからしかできないんだ。けど、専用の回線をつなげば実体化はできないけどユイ嬢がそれぞれのスマホを行き来できるようにならできるよ。それでもいいかい?」
「もちろんです!」
「わかった。さっそく取り掛かるから貸してくれるかい?」
「よろしくお願いしますなのです!」
「我も手伝った方がよいか?」
「いや大丈夫だよ。それより材木座君は比企谷君たちにアレを見せておいてくれるかい?」
「承知した!」
クローニンさんが謡、楓子さん、めぐりさんのスマホを受け取り材木座と一緒に研究室に行った。材木座はすぐに戻ってきたがその手の中にはメガネがあった
「ユイ殿またスマホの方に戻ってくれるか?」
「わかりました材木座さん」
「ユイは自分の意志で戻ることは可能なのか?」
「はい。自分の意志で戻ることもできますし、トリオンがきれれば自動的に戻ることになります。この辺は某家庭教師が殺し屋のマンガの匣兵器とおなじですね」
へぇーあの漫画と同じかぁ…ってちょっと待て!
「何でユイが漫画のこと知ってんの?おれ家でそれ見せた覚えないんだけど」
「材木座さんがつぶやいたのを聞いて検索してみたんです」
「えっ?検索ってインターネットで?」
「はい!スマートファンに核があるおかげか、インターネットを潜ることができるようになったんです!気分はもう某自律固定砲台さんです!」
なんかユイがどんどん変な方向に進化していってる気がする。
「じゃあ一回戻りますね」
そう言い残しユイは俺のスマホへと戻っていった。
「基本的にユイ殿がスマホにいる場合はスマホのカメラのレンズを通してユイ殿は外を見ることができる。八幡このメガネにトリオンを込めてかけてみてくれ」
材木座に言われた通り、トリオンを込めてメガネをかける。かけてみた感じ普通のメガネとあまり変わらない。度が入っている感じもしないし…
「これがパパの見ている景色ですか!」
「…材木座、説明を」
「もう分かったと思うがトリオンを込めてこのメガネをかければこのメガネはユイ殿の目の代わりとなる!さらにこのメガネには拡大、集音機能も備わっておる!」
「「「「お前(材木座さん/くん)は何を目指してこのメガネを作ったんだよ(の!?)!」」」」
思わずこうツッコんだ俺たちは悪くないだろう。だってこれ見た目は子供、頭脳は大人の名探偵がかけてるメガネとそっくりじゃん。なにこの無駄な技術力の高さ。ノーベル賞でも貰って来いよ
「あ、パパ!小町さんからLINEが来ました!読み上げますね!『お兄ちゃん、入隊試験終わったよ!小町は無事合格しました!他の人は明日葉さん、霞さん、沙希さん、留美ちゃん、優美子さんは合格したよ!姫菜さんは落ちちゃったけどオペレーターとして入隊するってさ!今会場近くのサイゼでみんな集まってるからお兄ちゃんも用が済んだらこっち来てね!』だそうです!なんて返信しましょうか?」
「返信までできんのかよ!もうほんとに自律固定砲台だな…『了解、もう少し待ってろ』って返信しといてくれ」
「わかりました!」
「これから小町を迎えに行こうと思いますが楓子さんたちはどうします?」
「私たちは残ります。まだスマホが帰ってきてませんし、それにユイちゃんがいない理由も説明しやすいでしょうし」
「あ…」
そうだった。忘れてた。千葉村からほとんどの時間一緒に居たユイはもういない。いやいないわけじゃないがユイを長時間実体化させることはトリオン的に難しい。小町たちの前で堂々とユイにトリオンを供給することはできない。今日明日くらいなら楓子さんや謡のところにいると言えばごまかせるだろう。しかしそれ以降となると厳しいものがある。ましてや千葉村でユイに嫌われたかもしれないというだけであんな醜態を見せたんだ。ユイと2,3日会わなかったとなると禁断症状が出てもおかしくないと思われてるかもしれない…
「楓子さんどうしましょう?これからどうやって小町をごまかせばいいですか」
「それなんですが小町さんにはばらしてもいいんじゃないでしょうか。ボーダーに入隊したならネイバーに国があることもいずれ分かることですし。ちょっと早めに事情を知ったと思えばなんてことないと思いますよ」
「私もそれがいいと思うのです!」
「私もそれでいいと思うよ」
謡もめぐりさんも楓子さんの考えに賛同した
「わかりました。とりあえず今日は謡のところに行ってるって言ってごまかして今度本当のことを話そうと思います」
「はいそれがいいと思います」
「それじゃあまた。宇佐美、『やしゃまるシリーズ』の相手できなくて悪かった。また今度来た時に相手するよ」
「うん。よろしくね比企谷君」
「おう」
それから玉狛支部を後にし、試験会場近くのサイゼに向かった。
***
「あれ?お兄ちゃん、ユイちゃんは?」
サイゼに着くなり小町に聞かれた。
「さっき楓子さんたちと会ってな。楓子さんと遊んでくるってさ。でこっちは千種は?」
「霞さんは何かまだ検査しなきゃいけないことがあるみたいでまだ残ってるよ」
入隊試験が終わった後に測定するもの?…サイドエフェクトか?
「で、お兄ちゃん!小町たちに何か言うことは?」
「ボーダー入隊おめでとう?」
「何で疑問形なのさ。まあいいや。じゃあ小町たちのボーダー入隊を祝ってお兄ちゃん!ゴチになりまーす!」
「「「「「ゴチになりまーす!」」」」」
「いやいやちょっと待て!俺今手持ちがアレだから無理だ!」
「お兄ちゃん…」
小町が神妙な顔で俺の名を呼ぶ
「ATMならそこだよ」
「おろしにいけと!?…はぁおごってやるから一人一品までにしろよ」
「やったね!」
みんなが好きなものを注文していく。ってかこいつら俺が来るまでドリンクバーで粘ってたのか?うわーなにそれ。スゲー迷惑な客だな
しばらくしゃべっていると注文したものが届き始めみんなが食い始める
「そういえばお兄ちゃん。もらった書類の中で適正トリガーとポジションって紙があったんだけどこれってどうやって決まったの?」
「詳しいことは俺も知らん。俺は一般公募じゃないからその紙もらってないし」
「へぇー比企谷って一般公募じゃなかったんだ?じゃあスカウト?」
「たぶんな。俺もあれよあれよという間にボーダーに入ってたからよくわからん」
退院したらすぐにボーダーに連れて行かれてそのまま陽乃さんに剣の使い方教えてもらってたからな
「比企谷っていつからボーダーに入ってたの?」
「高1の春からだ」
「あんまし長いってわけじゃないんだ…」
「まあそうだな」
今考えてみると。確かに短いな。けど俺としてはこの一年、事故に遭ったと思ったらボーダーに入れられたり、そこで隊を組まされ隊長をやらされたり、いろいろあってすごい長く感じているけどな…隊と言えば
「千種妹。ほんとに千種と川崎と隊を組むのか?」
「あーそういえばそれなんだけど三浦さんと海老名さんも入れて5人で隊を組むことになったよ」
「ほう。お前ら適正トリガーとポジションはなんて書いてあるんだ?」
「あたしは拳銃型のアステロイド」
「あたしは弧月だよ」
「あーしも弧月だし」
上から順に千種妹、川崎、三浦だ。現状で前衛2枚に中衛1枚か。割とバランスがいいな
「けっこうバランスがいいな。小町と留美は何だった?」
「小町は射手でハウンドだよ」
「私はスコーピオンだよ、じゃないです」
小町も留美もなんとなく想像通りだな。ってか小町は弾バカになりそうな気がするな…
「比企谷仮入隊ってした方がいいの?」
「別にしなくてもいいがした方がはやくB級に上がりやすくはなるな」
「そっか。あ、お兄も来たみたい」
千種妹の言葉で入口を見ると千種がいた。千種は俺たちを見つけるとこっちに来る。そしてそのまま空いているこっちのテーブルに座った。(人数が多いので二つのテーブルに分かれて座っている)そして座るなり
「比企谷、サイドエフェクトってなに?」
やはり千種が受けていたのはサイドエフェクトの検査だったようだ。
「千種サイドエフェクトは一応機密事項だから一般人がいるところでは口にするな」
「わかってる。けど今はいいだろ?俺たちの周りには客がいないし」
「まあそうだな。サイドエフェクトはトリオンが脳や感覚器官に影響を及ぼして出た超感覚だ。検査して検査結果は教えてもらったか?」
「詳しい検査は後日やるって言ってたがなんか強化聴覚?ってのが俺にはあるらしい」
菊地原と同じサイドエフェクトか。
「簡単に言えば耳がいいってやつだな。」
「なにそれ。しょぼくない?」
「いやそうでもないぞ。そもそもサイドエフェクト自体が貴重だからな。サイドエフェクト持ってる人ボーダーでもそこまでいないし」
「そうか。ならいいや」
しかし強化聴覚か…使い方によっては驚異的になりそうだな。風間隊なんかはカメレオンが流行りだした頃に菊地原の耳のおかげで無双してたとか聞くし。やっぱいいなサイドエフェクトは。俺も持ってるけど…
「さあお兄も来たことだし帰りますか!」
「え、ちょっと俺まだ何にも食ってないんだけど」
「そうだな帰るか」
千種妹の提案に俺も乗っかる。おごる人数は少ない方がいいからな。そしてみんなも帰る準備をし始めた。
「え、ほんとに帰るの?」
俺はみんなより一足早く伝票をもって席を立ち、会計を済ませて外で待つ。
「ちょっと待って。何で比企谷のおごり?」
「ほらさっさと帰るよお兄!じゃあねみんな」
「じゃあね」
千種を無視して同じ方向なのか千種兄妹と川崎が千種を引きづっていった。
「留美の家はどっちだ?」
「向こうの方」
留美が指さしたのは左方向だ。
「それならあーしたちと一緒だから留美はあーしたちが送ろうか?」
「留美はそれでいいか?」
「うん」
「じゃ頼んだ三浦」
「はいよ。じゃあねヒキオ、小町」
「じゃあね~」
「サヨナラ八幡先輩、小町さん」
「じゃあね!」
「じゃあな」
三浦たちも帰っていき今この場には俺と小町しかいない。
「俺たちも帰るか」
「そうだねお兄ちゃん!」
俺はこのタイミングでユイのことを言うことにした
「あのな―――
***
「あれが花火ですか!きれいですね!」
「そうだねユイちゃん!」
夏休みが終わるまでもう三日を切ったころ、俺たち(比企谷隊+ユイ)は地元の花火大会に来ていた。ユイの「花火を見てみたい」の一言により花火大会を見に行く計画を練っていたところに陽乃さんから貴賓席で見ないかとお声がかかり、比企谷隊とユイでおじゃまさせてもらっていた
「しかしほんとに俺たちで使っていいんですか?」
「うん!どーせ私やお父さんお母さんはあいさつ回りでここにゆっくり座ってみていられるほどの余裕はないからね。だったらユイちゃんの初めての花火を見るための場所として提供したほうが有意義だし」
「ありがとうございます。雪斗さんと陽子さんにも伝えてください。」
「うん!それにしてもユイちゃんがトリオン兵だったなんてね」
陽乃さんには小町に説明した後に電話で説明した。小町と同じで最初は半信半疑という感じだったが俺のスマホにいるユイや実体化を見せるとすぐに信じてくれた。
「あ、そろそろ行くね!じゃみんな楽しんでね!」
陽乃さんが雪斗さんと陽子さんがいる方に向かっていった。
「ユイ、楽しいか?」
「すごい楽しいですパパ!」
俺はこの笑顔だけですぐに始まる二学期を乗り切れそうだ。
次は文化祭編に入ります
次もよろしくお願いします