やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている 作:サラリーマン
修学旅行1
総武高校2年生は文化祭が終わり、体育祭も終わると一気に修学旅行の雰囲気に染まる。
文化祭での相模の行方不明のことで、体育祭が始まるまでは2年生全体が暗い雰囲気となっていたが、げんきんなもので体育祭が終わるころにはすっかり文化祭以前の雰囲気に戻っていた。以前の雰囲気に戻ったとなると、わいわいがやがやうるさいのなんの。もう騒いでないと生きていられないのか?思うほど。これだったらまだ暗い雰囲気の方がよかったかもしれない。ちなみになんだが相模は一般的にはただの行方不明となっているが実際はネイバーに攫われている。俺たちの前から走り去った後、警戒区域に設置していた監視カメラが警戒区域内にいる相模を捉えていて、攫われたところの映像はなかったが監視カメラに映った相模の予想進路とちょうど運の悪いことに発生したゲートの座標が一致した。
それで相模がいないとなれば攫われたと考えるのが妥当だろう。ま、どうでもいいんだけどね。相模がいようがいまいがリア充どもがうるさいことには変わりない。
「はぁ」
思わずため息が出てしまう。
「どしたんヒキオ。ため息ついて」
「どうしてこんなことになってんのかなーと思ってな」
俺の机の周りでそれぞれの昼食を広げる川崎、三浦、千種、海老名さん。ほんとに何でこんなことになってんだろ。今日はあいにくの雨でベストプレイスが使えず、しかたなく教室で食ってるとなぜか急に集まりだしていつの間にか机が合わせられていた。ごめんね隣の関君。いつも授業中にやってる暇つぶし、最近すごい凝ったものになってきたね。俺は君の暇つぶしが先生に見つからないことを祈ってるよ。…あれ何の話してたんだっけ?
「何でお前らここいんの?」
「ヒキオが珍しく教室でご飯食べてたから来ただけだし。そういえばあんたつぎのLHRどうすんの?」
「なんかあるのか?」
LHRなんかいつも寝てるから内容なんて気にしたことねーわ
「うん。修学旅行の班決め」
「別に普段と変わんねーよ。余ったところと組むだけだ。」
「うわ!比企谷らしい」
「お前に言われたかねえよサキサキ。おまえは今までどうしてたんだよ」
「サキサキ言うな。…ごめんなさい」
ほらやっぱり川崎も同じだったんじゃねーか
「比企谷組む相手いないなら組まないか?知ってるやつの方が気が楽でいいだろ」
「まあそうだな。組むか」
「かす×はちキターーー!」
「ちょ海老名!鼻血ふけし!」
海老名さんの鼻血から必死に購買で買ってきたパンを守る。
「あと二人どうする?」
「戸塚とあとは余ったやつでいいだろ」
「お前戸塚好きすぎだろ」
「だって戸塚だぞ。」
戦争している国に戸塚を連れて行けば世界から戦争は消えるまである。いや戸塚を戦争になんて危険な場所に連れて行けるわけないだろ。
「えっとぼくが何かな?」
「戸塚はかわいいなって話をしてただけだ」
いつの間にか戸塚が近くに来ていたようだ
「もう八幡!ぼくだって怒るんだからね!」
頬を膨らませ怒ったような表情をする戸塚。やべぇ…ちょうかわええ。
「戸塚もしよかったら修学旅行同じ班にならないか?」
よしナイス提案だ千種。
「うん。もちろんいいよ!」
次の時間に行われたLHRの班決めでは人数の関係上で俺たちは三人の班になることができた。
ああ、いい修学旅行になりそうだな
「隼人君計画通り優美子たちと同じ班になることができたよ!」
「それはよかった。これで戸部が告白を成功させればきっと…」
「優美子と姫菜は戻ってきてくれるしヒッキーと仲直りできるんだよね?」
「ああ。だから絶対戸部の告白を成功させるぞ」
「うん!ゆきのんも手伝ってくれるって言ってたし、あたしも頑張ってフォローする!」
***
一度東京駅に集まってから点呼をし、新幹線に乗り込む。
「あーし窓側がいい。」
開口一番に自分の希望を言う三浦
「サキサキはどこでもいい?」
「サキサキ言うな。別にどこでもいい」
「じゃあ優美子が窓側で沙希が真ん中、私が通路側だね。で、反対側の窓側が戸塚君、その隣が比企谷君、通路側が霞君ね」
いつの間にか俺たちの席が決まっているだと…?こういう場合孤高系ボッチである俺は黙って端っこに行くというのに
「いや俺たちは適当にどっか空いてる場所座るから」
「もう新幹線も出ちゃうし早く座らないと」
ほんとにもう新幹線が出発しそうだったので仕方なく海老名さんが言った通りに座る。
「結衣は通路挟んだそっち側でいい?」
「全然大丈夫だよ」
どこに座ろうか迷っていたような由比ヶ浜に海老名さんが声をかけ座らせる
由比ヶ浜が座るとちょうど新幹線が出発した。
「ヒキオ食べる?」
三浦の手にはきのこの山とたけのこの里の箱があった。きのこはたくさん余っているのに対したけのこの里は空っぽ。
「なあ、たけのこがないんだけど」
「ほんとだ。最後のたけのこは…」
三浦が俺の左隣、つまり千種の方を見る。千種は手の中にあったたけのこを口に入れる
「あ、悪い。もう食べたわ」
「おい今慌てて食べたよなぁ」
そのときお手洗いに行っていた川崎が戻ってくる。
「沙希これ食べる?」
三浦は川崎にも俺の時と同じように、しかしきのこの箱だけを差し出す
「あたしたけのこ派なんだけど」
………
「やめたげて!きのこが…きのこがかわいそうだから!」
東京駅から約2時間。俺たちは京都の地に降り立った。
京都駅からバスに乗り清水寺などの観光地を巡り今日の予定は終了。俺たちは宿へと入った。
飯を食い、俺はロビーの一角でユイからの情報で京都にMAXコーヒーがないことを知った俺は持参したMAXコーヒーを飲みながら電話をしているふりをする
「ユイ、京都はどうだ?」
今日一日俺の胸ポケットに入れていたスマホのレンズから一緒に京都を回っていたユイに尋ねる
「とっても面白いですパパ!この国の文化を見ることができてとても興味深いです!」
「そうかユイが楽しそうで俺はよかったよ」
そこで俺たちに近づいてくる足音が一つ。
「比企谷こんなところで何してるんだ?」
「よう奈良坂。」
周囲に誰もいないことを確認してからスマホの画面を奈良坂の方へ向ける
「お久しぶりです!奈良坂さん」
「そういうことか。久しぶりだなユイちゃん。文化祭以来か?」
「そうですね。文化祭以来会ってないと思います。奈良坂さんは何しにここに?」
「飲み物でも買おうと思ってな。そういえば比企谷上層部へのお土産はどうする?」
俺たち総武高のボーダー隊員は日ごろお世話になっている上層部へのお土産をみんなで、まとめてという形ではあるが買っていくことにしている。
「誰かが買っとくか、三日目くらいに一回集まって買うか、だなぁ」
「まあ全員と相談してだな」
「お二人とも誰か来ます」
奈良坂と会話をしていて気づかなかったが確かに足音がしていた。奈良坂と二人で足音のする方を見ているとそこから現れたのはスーツの上にコートを羽織りサングラスをかけた平塚先生だった
「あれは平塚先生か?」
奈良坂の言葉に反応したのか平塚先生がこちらの方を見る。そして驚いた表情になる。
ほうほう。これはあれだな
「平塚先生まさかラーメンを食いに行こうとしてませんよね?」
「な、なんのことかね?」
嘘下手か!そんなに動揺してたら嘘だとすぐにわかるわ!
「あーあこのままだとほかの先生の前で某h塚先生がラーメン食いに行こうとしてたとか口が滑ってしまいそうだな~誰かがラーメンおごってくれたら口が堅くなる気がするな~」
奈良坂が隣で呆れた表情になってるのが分かった
「一緒に来るかね?」
「お供します。奈良坂はどうする?」
「いや俺は遠慮する。失礼します」
奈良坂は部屋がある方へと戻っていった。
「私たちも行くぞ」
平塚先生は俺を伴い颯爽と夜の京都へ繰り出した