やはり俺がチート部隊の隊長をするのは間違っている   作:サラリーマン

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新学期始まったおかげでなかなか書く時間が取れないサラリーマンです。
たぶん次回も遅くなることでしょう。
そんなわけで災禍の鎧編。どうぞ!




読者様からのご指摘により陽乃さんのトリガーセットを変更しました

章を作ってみました


災禍の鎧編
災禍の鎧1


桐ケ谷隊との模擬戦が終わり、マッ缶を求めてボーダー基地の奥の自販機で俺は迅さんと遭遇した

 

「よう比企谷。ぼんち揚げ食う?」

「いただきます。それでなんか用です?」

「それが…」

 

迅さんがいつものおちゃらけた表情ではなく普段見せない真剣な表情になり言葉を紡ぐ。

 

「比企谷たちの次の防衛任務って今日だよな?」

「?ええ」

 

質問の意図が分からずにあいまいに返す

 

「たぶんその時に人型ネイバーが来る」

「っ!大規模侵攻ってことですか?」

「いや、少なくとも比企谷たちが戦ってたのは一人だけだった」

「そう…ですか。その未来はもう確定してるんですか?」

「ああ。この未来はもう確定してる」

「城戸さんたちには?」

「いやこれからだ。ただ気を付けてくれ比企谷。お前たちがその人型ネイバーを倒した後、比企谷隊、いや比企谷。お前を中心にたぶんこの問題が解決するまで未来が全く見えなかった。」

「…了解です。まあ精一杯頑張りますよ」

 

そこで俺は迅さんと別れ、比企谷隊の作戦室へと向かった。

しかし、迅さんのサイドエフェクトが使えないのか。それはやってくる人型ネイバーの影響なんだろうな。

それより単騎で攻めてくるってどういうことなんだろうな。まあ俺一人で考えてもしょうがないか

 

***

 

作戦室に戻り、迅さんから聞いた話を楓子さんと謡、ユイに話し終えると、ちょうど防衛任務の時間となったので防衛任務に向かう。

陽乃さんは家の方の用事が終わり現地で合流することとなっている。

 

 

そして現在。

 

「暇ですね」

「暇だね」

「そうですね。今回はいつもよりゲートが開く回数も少なかったですし」

「けど迅さんの予知はもう確定してるのですよね?だとしたら」

 

謡の言葉を遮るようにしてユイからゲートが開いたことが伝えられる。

 

『皆さん!ゲート発生しました!誘導誤差は4.78です』

 

「OK。すぐに向かう」

 

ゲート発生地点が近づいてところでその発生地点が確認できる建物に上がる。今回の防衛任務ではどんな人型が来るのかわからないのでこうして確認してから仕掛けるようにしていたのだが今回はあたりのようだ。そこから見えたのはトリオン兵の白い巨体ではなく、銀灰色の全身鎧に包まれた一匹の獣だった。

 

「あれが迅君の言ってた人型ネイバーなのかな?」

「たぶんそうだと思いますけど、あれなら人というより獣じゃないですか?」

『最初はどう攻めますか?』

 

その時、獲物を探すようにあたりを見回していたその獣がこちらを向いた。そしてこちらに一直線に向かってくる。

 

「気づかれた!全員散開!敵の能力が分からないんでくらわないこと優先で!」

「「了解!」」

 

速い!見るからに重そうな鎧に1メートル以上ある大剣をもってこのスピードか!

向かってきた獣は初めに俺たち中央で進行方向にいた陽乃さんをターゲットにしたのか陽乃さんに向かって手に持っていた大剣を横なぎに振る。

 

「くっ!ああ!」

 

嘘だろ!?陽乃さんがふっ飛ばされた!?

敵の攻撃を二本の弧月をクロスして防御した陽乃さんが吹き飛ばされ、何軒もの家を貫通した音がする。

 

『陽乃さん!生きてますか!』

『何とかね。けどすごいよあいつ。完全に防御したと思ったのにその上からふっ飛ばしてきたよ。直撃したら一発でベイルアウト確定だね』

『了解です。今度は俺たちが気を引くんで奴の死角からの旋空をお願いします』

『任せて』

 

相手は見た目よりの素早く、一発も重い。まともに打ち合えばこちらは分が悪いなんてもんじゃない。

 

「メテオラ!」

 

メテオラをばらまき煙幕を張る。

 

『謡、ト―レンツを撃ちまくって煙幕を絶やさないようにしてくれ。楓子さんはチャンスならガンガン撃ってください。ユイあいつについて何か知ってることはないか?』

『ごめんなさいパパ。今のところ思い当たる情報はないです』

『そうか。引き続きオペレーション頼んだぞ』

 

ユイもこいつについて知ってる情報はないか…弱点とか分かればよかったんだがわからないものは仕方がない

 

「バイパー+メテオラ トマホーク」

 

これで当たればそれでいいし、当たらなくても行動は絞られるだろう。行動さえ絞れれば…

 

『旋空弧月』

 

陽乃さんが普通の旋空ではなく生駒旋空を放つ。視覚外からの攻撃でこの視界も悪い中なら確実に当たるだろう。

しかし俺のその予想は簡単に裏切られた。獣はその巨体からは考えられないほどの高い跳躍を見せたのだ。

 

「謡!後ろだ!」

 

そして空中で極微細な粒子になったかと思うと謡の後ろにいて、謡に鋭い牙の生えた口を向けていた。謡は俺の声で振り向くと同時に弓を弾き絞り、まさにかみつこうとしてる獣目掛けて矢を射った。その矢は獣を右腕を穿ったが、謡は獣にかみつかれてベイルアウトした。

 

『ハチさんあれを』

「まさか…再生してるのか!?」

 

謡が命懸けで奪ったはずの右腕が再生される。そして獣の口の端からオレンジ色の光が漏れ出たかと思うと獣は俺に向かって口から炎を吐き出した。

 

「グラスホッパー」

 

グラスホッパーで緊急回避をしたが弧月の剣先が炎をかすめる。剣先をかすめた炎は弧月を伝って俺の手元まで這い上がろうとする。弧月を投げ捨てて新しい弧月を展開しているとユイの動揺した声が聞こえてきた

 

『ショートワープ…再生能力、火炎放射…もしかして…なんで玄界に!あれはもう10年も前に討伐されたはずなのに!』

『ユイ落ち着いて教えてくれ。ユイはあいつのことを知っているのか?』

『実際に見たことはなかったですけど情報として知っています。』

『ならユイちゃん弱点とかないの?』

 

陽乃さんの問いに弱弱しい声でユイが答える

 

『すみません。わからないです』

『そうか…確実に行くなら俺たちで足止めをして陽乃さんのソードスキルにつなげるしかないですかね』

 

それでだめだったらもうどうしようもない

 

『けどできるの?』

『はっはっはー愚問ですね。できるかできないかじゃない、やるんですよ』

『お、八幡頼もしいね。じゃあお願いしようかな』

『任せておいてください』

 

と言ったもののどうすればいいだろうか。普段だったらグラスホッパーをわざと踏ませて空中に出せるが今回は敵がショートワープができるおかげでそれは使えない。煙幕張ってもそこに留まり続けるとは限らないし、さっきの煙幕張った状態で死角からの攻撃をよけてたからもしかしたら攻撃察知とか迅さんと同じ未来予知とかのサイドエフェクトを持ってるかもしれないし…なにこいつ。技のオンパレードじゃね?再生、ワープ、火炎放射にもしかしたら攻撃察知までなんでもござれ。他の能力使って来てももう驚かねえわ。

で、話を戻すとそんな技の宝箱に確実に当てるにはわかっても対処できないような素早い攻撃をするか、わかっていても防御できないようにしなきゃならない。

どちらの方が簡単か、できそうかと言われれば当然後者なわけで。でもどちらかで選んだだけでどちらも難しいことも変わらない。

後者の状況を作るには…周りの建物を崩して生き埋めにする?ショートワープで逃げられる。なまじ埋められたとしても陽乃さんのソードスキルが使いづらくなる。

となると…

 

『楓子さんと俺であいつに接近してなんとか抑え込みます。その間に陽乃さんは俺たちごとあいつを切ってください』

『オッケー!』

 

さあてまずはどうやってあいつの剣をよけながらあいつに近づくか…

 

「!」

 

なんだこれ。脇腹に衝撃…引っ張られる!

 

「誰か俺とあいつの間にあるワイヤーを!」

 

横から限界まで伸ばしたスコーピオンの刃が伸びワイヤーを切断する。しかしワイヤーが切れても慣性の法則で俺はそのまま獣の下へ引っ張られ続ける。

 

「グラス…ホッパー!」

 

俺の進路上にグラスホッパーを配置し、無理やり俺の体を跳ね上げ、獣を上に行きもう一度使い獣の後ろに回り獣を羽交い絞めにする

 

「陽乃さん!」

 

陽乃さんがこちら着いてソードスキルを使うまで大体あと5秒。

やばい!獣の力が強すぎる!このままじゃ

 

「あれ?」

 

なぜだか急に獣の抵抗する力が弱くなる。そして…

 

「ゼリャァァァァアアアアアア!!」

 

陽乃さんのソードスキルが獣の鎧を切り裂き、その下にあるトリオン体も切り裂いた。

大きな音とともに敵のトリガーが解除され、敵が生身になる。陽乃さんのソードスキルに巻き込まれ、ベイルアウトはしなかったものの両腕が肘の先からなくなった俺はその敵を支えることができずにそのまま前に倒してしまった。しかしその敵は強い衝撃があったにもかかわらず、前のめりに倒れたままピクリとも動かなかった。

俺たちはそろって首をかしげると楓子さんが敵の首に手を当て脈を計る。

 

「これは…ユイちゃん!今すぐ救護班を呼んで!脈がないわ!」

「はぁ!?」

 

***

 

救護班が来るまでに心肺蘇生法を試してみたが効果はなく、敵であった若い桜みたいな色をした髪の男は脈がないまま。そのまま救護班にそいつを預けた。

 

「ユイはあの敵のことを知ってるって言ってたよな?教えてくれないか?」

『そのことなんですが、さっきほど上層部の方から連絡があって敵について報告をしてほしいとのことなのでその場でいいですか?パパ』

「そういうことならわかった。なら上層部のところに向かおうか…そういえばまだ交代の時間になってないんだけど…」

『次の柿崎隊の準備はもうできているそうなので引き継ぎだけすればいいそうです』

「りょーかい」

 

それから柿崎隊に引き継ぎを行い、上層部のところを目指し本部の入り口をくぐった。

その時最後尾を歩く俺の耳にふと声ならざる声が聞こえた気がした

 

「……え?」

 

思わず振り向くがもちろんそこには誰もいない

 

「どうかしたの八幡?」

 

陽乃さんの声に慌てて前を向き首を振る

 

「いえ何でもありません」

 

陽乃さんと楓子さんに続いて本部に入る前に俺はもう一度だけ後ろを振り返った

 

(…気のせい、だよな)

 

胸の中でつぶやきすぐに前を向く。

しかし、本部のドアをくぐる瞬間、奇妙な声がもう一度聞こえた気がした。それはこんなふうに聞こえた。

 

―喰イタイ。

 

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