Charlotte(ルルーシュver)題名考え中 作:@まきにき
※歩美→歩未に修正します。
耳にイヤホンを付けて友利から貰った音楽プレイヤーでZHIENDのバンドの曲を聞いている。
初めて聞いた筈なのに以前何処かで聞いたことがあるような不思議な曲。
目を閉じれば広大の草原の中に自分が一人で立っているかのような気分にしてくれる不思議な曲。
肩を後ろから叩かれたのでイヤホンを外し振り向くと友利が立っていた。
「お腹が空いたのでお昼にしましょう」
今日は3日目。ここに着いてからだと2日目になるのだがそれでも食料は後2日は持ちそうなくらいあった。
鼻歌を歌いながら上機嫌でトウモロコシを焼いている友利の姿は能力者としての友利ではなく、高校に通う普通の女子高校生にしか見えなかった。
何度か考えたことがある。
能力者を助けるためだとはいえ、能力を使って人を殴ったり蹴ったりするのはどんな気持ちなんだろうか。
俺は友利に出会ってまだ実際に見た訳じゃないから分からない。
でもあの時の言葉。
校舎裏に連れていかれて殴られていたとき。
『馴れてますから』
あの言葉だけは異常としか思えなかった。
殴られる事、蹴られることに馴れるなんてことは無いと俺は思っている。
「ルルーシュさん。どうかしましたか?」
俺がどんな顔をしていたのか自分では分からないが高城が心配して声をかけてくれたところ酷い顔をしていたのかもしれない。
「いや、何でもないよ」
「そうですか。何やら思い詰めた顔をしていましたので」
「ははは、気のせいだよ。毎日バーベキューは流石に飽きるなって思っただけだよ」
「心配ありませんよ」
高城と話していると、スペアリブウインナーをカリッと音をたてて食べながら友利がこちらに来た。
「友利さん、心配ないとは?」
「そろそろ動き出すと思うんで」
「あの~。あなたたちはここで何をしているんでしょう?」
林の間から同い年くらいの男性が出てきた。
これで駒は全て揃ったわけだ。
後は友利がどう動かすか、だな。
「いや~家出中なんですよ、みんな。理由は様々ですが意気投合しまして。はっはっは~」
嘘つくのが下手なのか単純にわざとやっているのか後者なら詐欺師の才能があるな。
「まだここに居続ける…ということでしょうか?」
声に苛立ちが入ってきたな。人は焦ったり怒っているときは視野が狭くなりボロが出やすくなる、流石は友利というところか。
「はい、ず~っと いるつもりです。ここならバレませんから」
「でも僕にバレてしまいましたね。親御さんも心配されるでしょう。警察に連絡します」
青年は携帯を取り出して警察にかけると脅してきた。
「はわわわ、ルルーシュお兄ちゃん。あゆ達バーベキューに来ただけなのに捕まってしまうのでしょうか?」
「ん?バーベキュー?」
青年は、歩未のバーベキューという言葉で手を止めて友利に視線を向ける。
「はいー。歩未ちゃんに本当の事を言うのは憚れましたのでバーベキューということになってます」
友利は笑顔で答えているが笑っていない、これ以上何かする前に歩未には下がっていて貰った方がいいか。
「えー!そうだったの!?あゆ初めて知ったのでござるー!」
うっすらと友利の血管が浮かび上がっている気がしたので高城に頼んでテントまで連れていってもらった。
「ふぅ。事情は分かりませんが。あんなに小さい子もいるならなおのこと放ってはおけませんね」
「警察を呼んだら貴方も捕まりますよ?」
「は?どうして僕が」
「ここ私有地っすから」
「えっ!?」
柚咲だけ驚いているが森にはいる前に立ち入り禁止の看板があったことを知らなかったようだ。
「あと、あとこれ。貴方ですよね?」
友利は週刊誌を見せて青年に聞く。
「は?なにそれ僕にはなんの覚えもありませんが?」
「ここは都内で近いしあなたにとって好都合な山だった。けど私たちが居ついて一向に帰る気配がない。だからじれたあなたはこうして姿を現した。私たちを追い払ってまた 空を飛ぶ練習をするために」
先程の笑顔とは違い勝ち誇ったような顔をしている、案外人を追い詰めること事態が好きなのかもしれない。
「飛べるわけないし頭おかしいだろ。警察を呼んでおく」
未だに警察に頼ろうとしている、青年が俺には哀れに見えるがもう少しでチェックだろう。
「こんな所まで一人で来たあなたも十分おかしいと思うんですが」
「く、栗を探しにきたんだよ」
「この時期に栗は取れませんが?」
「............」
チェックだな。
この勝負は友利の勝ちだ。
「で、すでにこの時間にあなたがいた証拠これで撮っちゃったんですけど~」
何時ものビデオカメラでいつの間にか撮影していた友利がわざとらしく困り顔を作り追い討ちをかけた。
「よこせ!消すっ!」
青年は友利からビデオカメラを取ろうと此方に向かってくるが青年の位置から初日に俺自身が落ちそうになった穴があることを思い出した。
「なあ、友利。あれは埋めたのか?」
「さあ~今から分かりますよ」
これでもかと口元が緩んでいる友利の顔を見て絶対埋めてないと確信した。
「うわっ!?」
「イエス!」
予想通り青年は穴に落ちて能力を使い飛ぶことで穴から出てきた。
勿論友利が証拠を撮っているため、これでチェックメイトになった。
柚咲は口に手を当てて「ほえー」と驚いている。
「そりゃ底知れぬ穴に落ちたら能力使って飛びますよね~おかげですごいスクープ映像が撮れちゃいました」
「それをよこせ!」
ここまで追い詰められれば実力行使でビデオカメラを奪いに来ることは明白だったので乗り移り3秒数えてから穴の中に飛び降りた。
飛び降りて重力を感じて落下する直前で自分の体に戻り青年は「へ?」と間の抜けた声をあげて穴に落ちていった。
「うわーエグいことするなー」
「友利にだけは言われたくない台詞だな。それに友利なら念のため下に落ち葉かなんか敷き詰めてあるんだろ?」
「まあ敷き詰めておきましたけど.....そこまで分かられていると自分の頭の中を覗かれているようで少し気持ち悪いですね」
「それよりも、どうして上がってこないんだ?そろそろ上がってきても良さそうだが」
「.....そうっすね。落ちる恐怖で能力が使えなくなってしまったのかもしれませんし....ロープを持ってきます。貴方は高城を連れてきてください」
「見張りは良いのか?」
「ビデオカメラに証拠は抑えてありますし。それに.....黒羽さんに見ていてもらうので問題ありません」
「そうか」
俺は高城を連れてくるためにテントに向かった。
「さてと、おーい。生きてますか~?」
「....ああ」
「そうですか、それは良かったです」
「くそっ......飛べない....どうして...おい、なんで....」
「貴方はもう、飛べませんよ」
「っ!どうして!?」
「貴方はもう、能力者ではありませんから」
「そんな...そんな馬鹿げた話があるか!僕だけに与えられた力だ!僕の力だ!」
「はぁ....現実を見てください。現に貴方は飛べていません。それに我々も特殊能力を持っています。ただこの能力は思春期のときだけ現れる病気のようなものでやがて消えます」
「そんな....でもだったら何故俺の能力は消えたんだ!」
「....よく分かりませんが、落ちたときの恐怖心で飛べなくなった。というのが一番妥当だと思います」
「そんな...」
「それに能力があると知られたら科学者たちのモルモットになります。それは嫌ですよね?」
「......」
「なので使えなくなって良かったと思ってこれから先は能力を使おうとせずに過ごしてください」
「友利、高城呼んできたぞ」
「友利さん、用事は」
「ロープを穴の中に投げ入れるんでお二人で引っ張ってください」
「....友利は引っ張らないのか?」
「嫌ですねー私女の子ですよ?」
「乙坂さん、言いたいことは分かりますが堪えてください」
高城と俺はロープを引っ張り穴に落ちた青年を引っ張りあげた。ここで飛んで逃げないことを考えると能力は失っているようだ。
思春期の病気の様なものだと友利は以前言っていた。
では何故今能力が無くなったのか。
恐怖心で飛べなくなった?確かに無いとは言い切れないだろう、でも根拠がない。
それに恐怖心と言うなら相手に乗り移って乗り移った間に高城に瞬間移動で突撃されたことも恐怖心になるのではないか。
だとすれば他に要因がある?
青年が最後に飛ぼうとしたとき何が起きた?
穴に落ちた?
いや穴に落ちても飛び上がってきた。
俺が能力を使って乗り移った.....乗り移る?
もし俺の能力が相手に乗り移るだけじゃないとしたら.....。
俺が乗り移ると相手の能力を消せるのだとしたら....この間の野球の後に乗り移ったのも納得がいく。
友利は俺に何かを隠している?
「さてと、これでようやく帰れますね。乙坂さん」
「あ、ああ」
このあと歩未の誤解を解くためテントに戻ったが歩未は中々納得してくれず困っていた。
「ほんとに、ほんとにさっきの話は冗談なのでしょうかー?あゆはお家に帰ることができるのでしょうか...」
「ああ、勿論だよ。俺が歩未に嘘を付いたことなんてないだろ?」
「それは...そうなのですが...」
「ルルーシュさん、ここはゆさりんに任せてください!」
「おお!ということはここであれが聞けるのですか!!」
「ではいきます!納得のおまじない♪」
「なぁっとく~なぁっとく~。どんなことでもなぁっとく出来る~おまじないっ♪」
「きたぁーー!!ゆさりんのおまじないシリーズ27!!納得出来るのおまじないー!ある視聴者から番組にクレームが来た際に一度だけ使ったとされる幻のおまじなぃーー!!まさかここで見れるとは!!」
「引くなっ!」
「あ、あゆも嬉しくて....納得したのですぅー!!ぶしゅっ!!」
高城は叫び歩未は鼻血を出して倒れてしまった。
極力柚咲と会わせるのは辞めようとこの日俺は誓うのだった。
タクシーの中、俺と友利は行きと同じく帰りも二人で乗っていた。
「そう言えば約束していましたね」
唐突に友利が話を切り出したがなんの約束なのか全然分からなかった。
「何か約束してたか?」
「してましたよー。覚えてませんか?私の過去についてですよ」
「.....それは友利が生徒会長をやってる理由とも関係あるのか?」
「はい。過去があって現在の私がいるわけですから」
「.....分かった」
「では少し寄り道させてもらいますね。歩未ちゃんには見せたくないので先に帰らせてください。家まで高城と黒羽さんに送らせますので」
「........いや俺が帰るまでいてもらえることは出来るか?」
「どこまでシスコンなんですか......まぁ大丈夫だとは思いますけど....」
友利はメールを送ると数分後に返信が来て高城から大丈夫ですと一文だけ返ってきた。
「と、言うわけで。大丈夫ですね?」
「ああ」
友利は運転手に行き先を伝えると携帯を開き何処かにメールをして携帯を閉じた。
「さっき友利が言ってた場所って病院だよな?」
「はい。貴方も入院した病院なので分かると思いますが、そこに向かいます。ここからなら後7時間程で着きますので今のうちに寝ておきましょう」
「そうだな」
俺はイヤホンを耳に付けてZHIENDのバンドの曲を流す。
広大な草原に一人......そこは変わらない。
不意に肩に重みがあることに気付き目を開けると友利が肩に頭を乗せて寝ていた。
疲れていたのだろう。
作戦を考えて行動して、バーベキューして皆が飽きないように色々考えて。
友利を起こさずに俺も目を閉じ曲に身を任せることにした。
一人で聞いていた時と感じた印象が変わっていた。
広大な草原に俺と、そしてもう一人友利がいる。
何処までも孤独な曲という印象だったのに今はそれだけじゃない印象があった。
孤独な曲を知って....その曲に孤独じゃないもう一人の存在を見つけてしまうとこの曲は、もう一人の存在の大切さを教えてくれる。
孤独になるから分かる感情。
孤独から孤独じゃ無くなったから気付けたこともある。
この気持ちは.............。
「お...k....く.......」
誰かの声が遠くで聞こえる。
「お客さん......」
なんだ運転手の声か......。
「お客さん、いい加減起きてくださいよ」
「ん.....ここは」
「もう病院についてますよ。一緒の人も起こしてそろそろ降りてくださいな。私もそろそろ帰って寝たいんでね」
「あ、ああ......っ!」
俺は重い瞼を擦ると友利の横顔が目の前にあった。
いや正確には俺の膝を枕にして友利が寝ていた。
「おい、友利.....」
「んん......」
「おい」
肩を揺すったりするが起きそうもない。
「はぁ....」
仕方なく友利をおんぶしてタクシーの運転手にお金を渡して領収書をもらった。
生徒会の仕事をするようになってお金を貰っていたので足りたが額が凄いことになっていた。
この状況で病院に入るわけにもいかず友利が目を覚ますまで辺りを歩こうと思い暫く歩いていると崖まで来ていた。
崖からは、水平線が何処までも続いており海が波に揺られ光が反射して輝いていた。
「ん....ここは」
「目が覚めたか」
「はい。すいませんっす」
「いや、疲れていたんだろ?ならしょうがないさ」
「ここ....この場所」
「ああ、友利が中々起きないからさ。暫く歩いてたんだけど綺麗だなと思ってさ」
「はい...ここは私のお気に入りの場所でもありますから」
「そうなのか?」
「はい」
友利の顔からは哀愁が漂い良い思い出ではないと容易に分かったが今はただ何処までも続いているような水平線を見ることしか俺には出来なかった。
「さて....それでは行きましょうか」
「病室か?」
「はい。乙坂さんには今から、私の兄に会ってもらいます」
「兄弟がいたのか」
「はい。隠していたわけではないんですけどね。それでは着いてきてください」
「ああ」
友利に案内されて病室に入ると無気力と言うのか感情が全く感じられないといった若い男性、友利の兄が病室のベットで座っていた。
「私の兄です」
「.....こ、こんにちは」
「.......」
返事がない所ではない。此方に反応すらしていない。
「これが科学者に捕まった能力者の末路です」
「っ!......それじゃあ」
「はい。兄は.....科学者達のモルモットになっていました。どこから話しましょうか.......ではまずは兄が特殊能力者になりましたと言うところから話します。私が受験で国立の付属中学に受かった時のことです」
「うちは母親一人で私と兄を育ててくれていたので、かなりお金に余裕がありませんでした。なので少しでも楽をさせてあげたくて勉強をひたすらやっていました。それで国立の中学に受かって母親も兄も喜んでくれましたし、誉めてくれました。それにその頃兄にもレコード会社から声をかけてもらっていたのです」
「でも私は入学出来ませんでした」
「どうして....」
「ある夜。私と兄は母親に呼び出されました。内容は全寮制の学校に入学すること。ですが私は国立の中学に受かっており、兄はもうすぐレコード会社と契約するところまできていました。勿論母親の意図が掴めず私達は反論しました。兄も独り立ちするから家庭的にもありがたいはずだろ、と。私もそう思っていました。ですが母親は逆だと、私達が全寮制の学校に進学する方が家庭的に助かると言われました。はぁ....もう意味わかりませんでしたよ」
「..........」
「そしてその日始めて、私たちは母親の土下座を見ました。長く一人で私達の面倒を一人で見てくれた母親の......もう何も言えなくなりました......」
「そこは見かけは学校ですぐに友達はできました。ただ毎日授業が終わると健康診断の用なものを受けさせられましたけど」
「.......」
「.....そんなに拳を強く握らないでくださいよ。気持ちは嬉しいですけど、最後まで話せなくなってしまいます」
友利に言われて手を見るといつの間にか強く握り締めており爪が食い込んでいた。
「あ、ああ.....」
「優しいっすね」
「そんなことないさ...」
「そして、一緒の学校のはずなのに兄とは会えないままでいました。私が兄を探そうとすると決まって友達がそれを止めた.....あとになって知りましたが。兄はその時ずっと実験を受けていたそうです」
「兄の能力は自由に空気を振動させられるというもの。ライブでその能力を使ってギターを様々な音色に変えていたことから奴らに見つかったそうです」
「空気の振動...成る程な。その能力を利用すれば通信をジャミングできるし電波ジャックも可能になる」
「はい。そして、私が兄と会えたのは約1年後。もう兄はかつての兄じゃなかった。私を兄から遠ざけようとした友達も全員科学者が用意したかりそめの友達」
「だから友利は誰にでも敬語で話すのか?」
「....そうかもしれないっすね。誰も信じられなくなってるのかもしれないです」
「......」
「でも、これでもあなたの事は信用してるんすよ。こんな話を自分からしようと思ったのはあなたが初めてっすからね」
「そうか.....」
「それで私は自分の能力を科学者達から隠し施設から逃げました。その後は、あなたともう一人。信用出来る人に助けて貰い今に至ります」
「もう一人の信用してる人?」
「名前は流石に言えないっすよ。まっ、ここの病院を用意して星の海学園を建ててくれた人っす」
「学園を.....」
それだけの経済力のある人が.....。
「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
「っ!な、なんだ」
いきなり友利の兄が叫びだし枕を引きちぎり中に詰まっていた羽毛が其処らじゅうに散乱している。
「作曲です。これで兄はギターを弾いているつもりなんですよ.....唸って聞こえるのはメロディ。主旋律なんです」
「あーあ。また布団が駄目になった」
ナースコールを押して布団に座った友利は静かに目を開き兄のメロディを聞いているように俺には見えた。