インフィニット・オルフェンズ   作:モンハン大好き

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遅くなってすみません。
やっとできました。


一時の平穏、動き出す悪意

「おやっさん、システムの調整が終わりました」

「よし、次は腕のメンテナンスを頼む」

「了解」

 

俺達が地球に着いてから翌日、俺はおやっさんと一緒にハルファスの整備をする。

 

「そういえばおやっさん、あれどうすんですか?」

「ん?」

 

俺は倉庫の奥に置かれた物に指差しながらおやっさんに聞く。

そこには地球降下の時に俺が仕留めたグレイズが置いてあった。

 

「……そうだなぁ」

 

おやっさんは顎を撫でながらグレイズを見る。

その時、誰かが俺達に声をかけてきた。

 

「あの……」

 

声を掛けてきたのは、明弘の弟、昌弘だった。

 

「どうした?昌弘」

「あの機体、俺にくれませんか?」

「あのグレイズか?どうして?」

「兄貴達が戦う所を見たとき、自分に出来ることは無いのか考えたんです」

「それがあれか?」

 

おやっさんがグレイズに指さすと昌弘はこくりと頷く。

それで俺とおやっさんは全てを察した。

ヒューマンデブリである昌弘に出来ることは一つしかなかった。

 

「……明弘とオルガの許可は?」

「もらいました」

「そうか。じゃあ、ハルファスとバルバトスの整備が終わり次第、取り掛からねえとな。何か要望はあるか?」

「それじゃあ……」

 

おやっさんは昌弘の要望をメモに書き込んでいく。

すると外からタービンズから派遣されてきたラフタさん、エーコさん、アジーさんが俺達に声をかけてきた。

 

「そっちはもう良いの?」

「漏洩は元々地上での活動を想定したセッティングをしてたから。それに、バルバトスとハルファスにちょっと試したいセッティングがあるんですよね」

「セッティング?」

「うちでリベイクを組んでるときに思いついたんですけど、筋肉が三日月君と一夏君向けかなぁって」

 

エーコさんはバルバトスとハルファスを見ながらおやっさんに説明を始める。

筋肉が俺と三日月向けって、どういう意味なんだろうか?

 

 

―――

 

 

「アイン・ダルトンは瀕死の重傷を負い、現在は生命維持装置で辛うじて生きている……か」

 

モンタークはモニターに記されたアイン・ダルトンの情報を見ていた。

 

「だが、この状態では完治は不可能。助かるにはやはり……」

 

その時、モンタークの下に一通の通信が来た。

モンタークはその送り主の名前を確認すると通信を繋げる。

 

『やあ、マクギリス。ちょっと良いかい?』

 

通信機から若い男の声がモンタークの本名を言うが本人は気にしてないのか用件を聞く。

 

「何の用だ、アルヴ?」

『君に頼まれた物をようやく見つけてね』

「なに?本当か?」

『ああ。君の言う通り、"火星"に埋まってあったよ。かなりボロボロになってたけど』

 

アルヴと呼ばれた男はとある画像をモンタークに見せた。

それに映っていたのは鳥の様な姿をした巨大兵器だった。

 

「やはり、あったか。修復は可能か?」

『出来るよ。何ならうちがやろうか?こんなレア物、中々お目にかかれないし』

「別にいいが、お前の作った試作品を搭載するのはやめろよ?」

『え~、何で?』

「……アルヴ」

 

モンタークは咎める目をしながら問い詰めるがアルヴは笑いながら冗談と言って通信を切る。

モンタークはため息を吐いた後、立ち上がる。

 

「さて、私も準備に取り掛かるとするか」

 

 

―――

 

 

夕方、機体の整備を終わらせた俺達は蒔苗さんから差し入れがあるとの知らせを受けて集まった。

 

「あのすいません。蒔苗先生から皆さんにと言われまして」

 

お付きの人がそう言うと大きな鍋を目の前に置く。

 

「あの、見て良いですか?」

「どうぞ」

 

中身が気になったアトラは鍋の蓋を開けた。

すると……。

 

バシャン!

 

中から平べったい魚が飛び出した。

 

「うわぁぁぁぁ!?何よこれ!?」

 

アトラは鍋から出て来た魚にびっくりして三日月にしがみつく。

周りの皆もその奇妙な姿に戸惑っている。

 

「これって……」

 

俺は目の前の魚の元に行き尻尾を掴んで持ち上げてよく見る。

 

「これ、もしかしてカレイか?」

 

俺は裏替えしたり、頭の方を見るが間違いなくカレイだった。

 

「お、おい一夏!大丈夫なのかそれ?」

「いやシノ、そんなにビビる事ねえだろ?」

 

俺はそう言いながらカレイをみんなに突き出すと「おわ!?」と叫びながら後ずさる。

 

「ねえ一夏、何でこれがカレイだって事を知ってるの?確か火星育ちだよね?」

 

ラフタさんの視線に冷や汗が流れる。

実はこことは別の世界で知ったとか言えない。

 

「えっと……前にネットで色々調べた事があるんですよ」

「ふ~ん」

 

俺の苦し紛れの言い訳にラフタさんは一応納得してくれたのかこれ以上追求してこなかった。

 

「では、私はこれで……」

 

お付きの人は三日月の阿頼耶識を見る。

視線を感じた三日月が「何?」と聞くとお付きの人は「い、いえ」と言ってそそくさと帰っていった。

 

「なんだ?」

「お前等の背中のそれが気持ち悪いってよ。地球じゃあ、阿頼耶識を付けてる奴は居ないからな。俺の足だって似たようなもんだ。生理的に受け付けられねえ、人々に厄祭戦の記憶がある限りな……」

 

片足を上げながら説明をするおやっさんは過去に何かあったのか、どこか悲しそうな目をしていた。

その後、食材を調理場に運び込んだ俺達はさっそく夕飯の支度をする。

調理場に居るのはアトラ、ラフタさん、アジーさん、エーコさんの女性陣で男は俺一人。

 

「い、一夏さん。これ、どうすれば良いんですか?」

 

アトラはまな板に乗っているカレイにビビりながら聞いてくる。

 

「そんなにビビらなくても大丈夫だって」

「で、でも……」

「大丈夫、私達も手伝うからさ」

 

未だ怖がるアトラにラフタさんがアトラの肩にポンと手を置く。

 

「わ、分かりました。やってみます」

 

アトラは覚悟を決めたかの様に言いながら慎重に包丁を取る。

 

(……本当に大丈夫なのだろうか)

 

そんな不安を抱えたまま調理が始まった。

 

 

―――

 

 

『阿頼耶識だと?ふざけるな!アインを機械仕掛けの化け物にするつもりか!マクギリス!』

「だが、それが有一の方法なんだ。ガエリオ」

 

画面に映る男―――ガエリオが叫び声を上げる中、マクギリスは平静を保ったまま話す。

彼らが話しているのは前の地球圏での戦闘時にガエリオをバルバトスの攻撃から庇い、重傷を負ったアイン・ダルトンに関する事だった。

 

「人類は自然で在らねばならぬ。そんな価値観はギャラルホルンが意図的に広めたものだ。厄祭戦で進化した技術が自分達に反旗を翻す道具になって使われるのを恐れてな……」

『だから何だ?』

「アインを救いたいのだろう?」

『もちろん!あいつは俺を助けて……いや、それだけじゃない、俺は上官の仇を討ちたいというあいつの思いに応えてやりたいんだ』

「だからこそ阿頼耶識が最良なのだ。それさえあればアインの仇である鉄華団……いや、ハルファスを討つことが出来る」

『ハルファス?』

 

ガエリオはここでハルファスの名を出すのか首を傾げる。

 

「実は私の元で働いているトド・ミルコネンから聞いたのだが。アインの上司だったクランク・ゼント二尉を殺したのはあの機体、ハルファスらしい」

『なんだと!?』

「パイロットの名は織斑一夏、トドから聞いた話によると実力はあのバルバトスのパイロットと同等らしい。例えアイン・ダルトンの体を元通りにして再び彼等に挑んだところで、また返り討ちに遭うだけだ。アインが彼らを討つ為には阿頼耶識しかない」

『何故だ。何故、阿頼耶識なんだ?』

 

ガエリオは苛立ちを顕わにしながら問う。

 

「お前にも見せてやろう。阿頼耶識の真の力を」

 

 

―――

 

 

料理が出来上がり、仲間達と一緒に食堂でカレイ料理を食べていた。

タービンズの三人は美味しそうに食べているのに対し、鉄華団のみんなはカレイの奇妙な見た目に中々手を付けられないでいた。

 

「そんなに気味が悪いのかなぁ、これ」

「一夏はよく食えるね」

「お前は食わないのか?」

「……」

 

三日月は自分の飯をしばし見た後、ポケットから火星ヤシを取り出して食べ始めた。

そして、それを見たアトラはむすっとした顔で三日月に近づく。

 

「ちょっと三日月!せめて一口くらい食べてくれたって良いじゃない!」

「ん?」

「タービンズと一夏さんに協力してもらって頑張って作ったんだから!」

 

アトラは三日月に自分が頑張って作った事を伝える(頑張ったと言っても暴れるカレイにビビっていただけだが)。

だが、それに気づいていないのか三日月は二つ目の火星ヤシを食べる。

 

「もう、いい!!」

 

当然、それを見たアトラは怒り、三日月の飯を奪って食べる。

 

「なにこれ!?すっごく美味しい!」

 

あまりにも美味しかったのかアトラはカレイを頬張る。

周りが「嘘だろ?」と呟いているが気にせず食べていく。

 

「ふふふ、火星に帰ったらみんなに自慢しよっと。こういうのを食べたって」

(火星か。そういえば、蒔苗さんと話をしに行ったオルガ達の方はどうなっているのだろうか)

 

俺は夕食を楽しみながらオルガ達の帰りを待った。

そして日が完全に沈んだ頃、俺達は帰ってきたオルガから今回の会談の内容を聞いて衝撃を受けた。

蒔苗は現在失脚して亡命中の身でそれによりクーデリアさんの目的であるハーフメタル取引の規制解放が果せなくなったらしい。

だが、そこに蒔苗さんはまだ手があると言い、オルガ達にある依頼を持ちかけた。

 

「その依頼ってのは?」

「それが……」

 

メリビットさんが言うには蒔苗さんが提示したのは、全体会議。

近々、カナダのアルバータ州の州都エドモントンにてアーヴラウの代表指名選挙が行われるらしく、それまでにエドモントンに行かねばならない。だが、向かう途中で妨害に遭うかもしれないので俺達にその道中の護衛を依頼したいと言うらしい。

 

「それってギャラルホルンと殺り合う事になるってことじゃないか」

「そうですね。代表候補のアンリ・フリュウの後ろにはギャラルホルンが居ますから」

「で、どうすんだ?オルガ」

「……」

 

おやっさんはオルガにこれからどうするか聞くが何も言わない。流石のオルガも迷いを見せていた。

その時、クーデリアさんが立ち上がった。

 

「受ける必要などありません。鉄華団の皆さんは私からのお仕事を確りと果たしてくださいました。ならば後は私の仕事です」

 

そう後押しするようなクーデリアの言葉にオルガは更に詰った。そしてユージン達とタービンズからの通信がきたという知らせを受け、オルガ達は基地の通信設備に向かった。

オルガ達がユージンと話している頃、俺はおやっさんとタービンズと共にMSの改修に勤しんでいた。

 

「おやっさん、頼まれたパーツを持ってきました」

「おう、そっちに置いといてくれ」

「へーい」

 

俺はおやっさんに頼まれたパーツを置き、回収されたハルファスを見る。

視界の端にビスケットが歩いているのを見かける。

 

「ビスケット?」

「あ、一夏」

「どうしたんだ?なんか元気なさそうだけど」

「うん、ちょっとね……」

「お~い、一夏。ちょっと来て――ってビスケット、どうした?」

 

その後、おやっさんと一緒に何があったのか聞くとオルガは蒔苗さんの話を乗ることを決めたがそれをビスケットが反対して火星に帰ることを提案する。

だがオルガはそれを却下すると喧嘩へと発展。そして二人の口論の末、ビスケットはオルガに鉄華団を抜けると言ったらしい。

何故そんなことになったのかと言うとビスケットの兄、サヴァランさんが自殺したことに関係していた。

 

「そうか、お前の兄が……」

「兄さんは、平穏に過ごして欲しいと願っていた。でもオルガはまた危険な道に行こうとしている」

「今に始まった事じゃねえだろ?それは」

「……そうですね。そしてオルガは皆を連れてここまで来た。けど、それは運が良かっただけかもしれない。いつまでもそう上手くいくかどうか……もっと、穏やかな道を選ぶことだって出来るはずなのに」

 

ビスケットはそういうと手に持ったコップを強く握りしめる。

 

「そうかもしれない。けど、そうじゃないのかもしれない」

「え?」

「先の事なんて誰にも分らねえよ。オルガだってビクビクしながら前に進んでるんだ。勘違いするなよ?鉄華団はただのラッキーだけでここまで来たんじゃねぇ。オルガが居て、皆が居て、そしてお前が居たからだ」

 

おやっさんの言葉になにか感じたのかビスケットは何かを考えこむ様子を見せる。

その時、外から人の足音が聞こえ、外の方を見るとタカキが慌てた様子で駆け込んできた。

全力で走ってきたのか息切れを起こしていた。

 

「一夏さん、大変なんです!蒔苗さんから連絡があって、今ギャラルホルンがこの島に向かっているらしいんです!」




キャラ説明

名前 アルヴ
性別 男
性格 機械オタク
年齢 30代前半
外見 黒髪青目で少し痩せこけている

この作品のオリキャラでマクギリスと協力関係を結んでいる男。
300年前のMSや技術に強い関心を持ち、兵器開発も携わっているがそのほとんどがエース用で一般の兵では扱いきれない物が多い。
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