一夏side
テイワズとの戦闘の後、ハルファスから降りるとおやっさんが話しかけて来た。
「大丈夫か?一夏」
「すいませんおやっさん、ハルファスをボロボロにしちゃって」
「謝んなよ。こいつを中途半端な状態で出撃させたんだ。だから気にすんな」
「そう言ってくれるとありがたいです。オルガ達は?」
「今譲ちゃんと一緒にテイワズの所に行って話し合いしてるらしい」
「そうですか。上手く行くと良いですね」
まあ、心配してもどうしようもないよな。それにオルガ達なら何とか出来るだろうし。
「三日月~!昭弘~!飯食いに行こうぜ~!」
「うん」
「ああ」
そして食堂。
「良かった。みんな無事で」
飯を食っている俺達にアトラは飲み物を配りながら言う。
「昭弘と三日月のおかげだ。やっぱり良い腕してる」
「ボロボロにされちまったけどな」
「俺も今回はあまり役に立てなかった」
「そう言うなよ三日月、俺なんてほとんど何もできずにボロボロにされたぞ。それに比べればお前はよくやってるよ」
「いや、あれじゃあダメなんだ。もっと、強くならないと」
三日月はそう呟くと席を立つ。
「ごちそうさま」
「あ、三日月、おかわりは?」
「いや、いいや」
「え?まだいつもより半分くらいだよ?」
アトラは三日月に声を掛ける。そこでタカキが食堂に入って来た。
「あ、三日月さん!団長達が帰ってきましたよ。今ブリッジに居るって」
「おれ、おやっさんの所に手伝って来るから、そっちは任せるって言っといて」
「え?あ、はい」
三日月はタカキにそう言うと食堂を出る。俺はサンドイッチのひとかけらを口の中に放り込む。
「ごちそうさまアトラ。じゃあ俺もハルファスの修理を手伝いに行ってくる」
俺は食堂を出ておやっさんの所に行く。
「改めてみると本当にボロボロだな」
俺はそうつぶやきながらボロボロになったハルファスを見る。ところどころフレームがむき出しになり、残っている装甲はほとんどが欠けたり変形してしまい、脚部のスラスターは修復不可能な状態になっている。
「新しいのに変えた方が早いよな~、やっぱ」
とは言ったものの、今資金が無いから無理なんだよな。
「……おやっさんに相談するか」
俺はバルバトスの整備をしているおやっさんの所に行く。
「おやっさん」
「ん?一夏か。どうした?」
「ハルファスの状態を見て来たんですけど、やっぱり全部新しいのに変えた方が良いと思うんです」
「やっぱりか、俺もハルファスの状態を見てて思っていた所だ。とりあえず新しいパーツをどうにかして調達できるようにオルガに頼んでみる」
「お願いします」
「おやっさん!一夏!」
おやっさんと話しているとオルガが来た。
「あ!オルガ、上手く行ったのか?」
「ああ、何とかな。おやっさん、調子はどうだ?」
「グレイズ改はまだ予備のパーツがあるし、バルバトスもあまり問題は無い。だがハルファスは見ての通りボロボロだ。しかも修理するのに必要なパーツが足りねえ」
「そうか分かった。それよりミカは?」
「三日月ならバルバトスの上に居るぞ」
「そうか。ありがとう」
オルガは三日月の所に行った。
―――――――――
オルガから聞いた話だと鉄華団はタービンズと共にテイワズの拠点、歳星に行く事になった。その間、俺と昭弘と三日月はタービンズの船でシュミレーターをすることになった。
「それにしても、この船って女性が多いよな」
俺はたまにすれ違う船員を見ながら呟く。
「確かに多いな。とゆうより女しかいないんじゃないか?」
昭弘も同意する。
「そんなのどうでも良いんじゃない?」
三日月は特に興味は無いようだ。
そう言っているとモビルスーツ格納庫に着く。
「ねえねえ、あの子たちって鉄華団じゃない?」
「話には聞いてたけど本当に子どもなのね」
「あの髪を後ろに束ねてる子、格好良くない?」
「あ、私も思った」
……何か周囲から色々言われているが気にしないでおこう。
「何か、色々言われているような」
「そうだね、あと何か居づらい気がする」
昭弘と三日月も違和感を感じているらしい。そう話しているとモビルスーツの上から女性が二人、近づいて来た。
「君たちが、鉄華団のモビルスーツのパイロット?」
箒の声にそっくりなツインテールの女性が俺達に聞く。
「はい」
「ああ」
「うん」
俺、三日月、昭弘の順に答える。
「私はアジー・グルミン、よろしく」
「私はラフタ・フランクランド、よろしく!」
目の前の女性、アジーさんとラフタさんが自己紹介する。ラフタさんの声は箒に似てるからこの人が俺の機体をボロボロにしたあの足が速いモビルスーツのパイロットか。
「織斑一夏です」
「昭弘・アルトランドだ」
「三日月・オーガス」
「よろしく一夏、昭弘、三日月。あ、そうそう一夏だっけ?ちょっと君に聞きたい事があるんだけど」
俺達は自己紹介を済ませると突然ラフタさんが俺に聞いてくる。
「何ですか?」
「声からして君はあの青いモビルスーツのパイロットだよね?」
「はい、そうです。それで聞きたい事って?」
「貴方、戦闘の時に私の事をホウキっていう人と勘違いしてたでしょ?」
「あの時の事ですか。すいません、貴女の声が俺の知ってる人と似ていたので」
「いや別に良いよ。それよりその子ってさ、あんたとはどんな関係?」
俺はラフタさんの質問に少し嫌な気分になる。何故そうなっているというと元の世界でも、この質問に答えた後、二回酷い目に遭ったからだ。
最初は鈴で、正直に答えた後いきなり信じられない物を見たような顔になり、泣きながら去ってしまった。
この時から鈴はいつもの活発さが無くなり、俺を避けるようになった。
数日後、急に鈴の親父さんから電話が来て「今すぐ家に来い」と言って来た。
俺は鈴の家に来ると鈴の親父さんはまるで修羅になったかのような表情になりながら娘を泣かせたことについて俺を尋問してきたが、鈴が親父さんを止めてくれたから何とかなった。
その後、何とかいつも通りの関係に戻った。
そして二回目は俺の友人、五反田弾の妹の五反田蘭だ。
この子もこの質問に答えた後、鈴と同じようにショックを受けていた。
その後電話で親父さんに呼ばれて娘を泣かせたと言う理由でいきなり鉄拳制裁して来たがこれも蘭と蘭の母親が親父さんを止めてくれた。
とまあ、こんな事があったから正直言いたくない。てか俺はただ質問に答えただけなのに殴られるって凄く理不尽だと思う。
おっと、そろそろ答えないと。オルガから聞いた話だと全員名瀬さんを慕ってるみたいだし大丈夫…だよな?
「箒は俺の彼女ですよ」
「へ~、そうなんだ~」
あれ?なんかラフタさんの顔が面白い物を見つけたかのような顔に。
「な、何ですか?」
「ん?別に何でもないよ?それよりシュミレーター、使うんでしょ?早くやろうよ」
「え?あ、はい」
「よし、まずは俺がやる」
「じゃあ、俺はその次で」
俺達はその後シュミレーターでラフタさんを相手にすることになった。
―――――――――――
「な~、何時になったら歳星って所に着くんだ?」
歳星に向けて出発してから数日後、ライドはうんざりした様子で聞く。
「予定ではもう少しって聞いたよ」
「それ昨日も聞いた」
ヤマギの言葉にライドはうんざりする。
「ねえ、最近三日月さんを見ないよね?」
「ああ、一夏さんと昭弘さんと一緒に、あっちの艦でシュミレーターを使って訓練しているって聞いたよ」
「え?訓練?」
「すげぇよなぁ、三人ともあんなに強えのにまだ頑張って、・・・に引き換え・・・」
ライドが呆れた様子で目を向けた先には、テーブルで項垂れているシノと飯を掻き込むユージンが居た。
「あんなに女が居るのに、一人もなびかねえってどういうことだよ・・・」
「け!どーでもいいわ、んなもん!」
「全員名瀬さんの奥さんなんでしょ?当たり前じゃない」
二人の会話を聞いてたアトラがそう答える。
「だからどうでも良いって言ってんだろ!」
「ちくしょう!俺も一夏みたいになりてえぇぇぇぇ!!」
「なんでそこで一夏が出てくんだよ?」
「あ?んなもん決まってんだろ!あいつは歩いているだけでいろんな女に声を掛けられるだろ?しかも声を掛けてくるほとんどが超ナイスバディな美女なんだぞ!」
「そう言えばそうだったな。けどあいつは全員の誘いを断っていただろ?」
「そこだよ!普通なら誘いを受けるのにあいつは全部断ってんだぜ?ありえねえよ!何があいつにそうさせてんだよ!」
「いや知らねえよ」
「私は知ってるよ。一夏さんが誘いを断っている理由」
どんどんヒートアップしていくシノにアトラが言う
「え?アトラ、何か知っているのか?」
「うん、この前教えて貰ったから」
「ほう、じゃあ教えて貰おうじゃねえか。何で一夏が誘いを断っているのか。」
シノとユージンがアトラに詰め寄る。
ちなみにその場に居た年少組の子たちも耳を傾けていた。
「じゃあ言うね。一夏さんがお誘いを断っている理由は・・・」
「「・・・・・・」」
「「「・・・・・・」」」
シノとユージンとついでに年少組の子たちはアトラの言葉を聞き逃さないようにする。
「恋人が居るからだって」
「「・・・・・・」」
「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」
アトラの言葉を聞いた二人は絶叫した。
ちなみにこの時、二人の叫び声は艦内中に響いたらしい。
「ちょっと待て!一夏はいつの間に彼女が出来たんだ!?」
「6年前に告白されたらしいよ。あと幼なじみだって言ってた」
「まじかよ。ちくしょうなんであいつばっかりモテるんだよ~!」
シノがまた項垂れ始める。それを見た年少組の子たちは。
「一夏さんって彼女が居たんだ。以外だなぁ」
「そうだな。てか朴念仁で有名なあの一夏さんと付き合っているって凄くないか?」
「うん、僕もそう思う」
――――――――――――
一夏side
「はっくしょん!」
「風邪?一夏」
「いや誰かに言われたような気が」
「?」
『ぐあぁぁぁぁぁ!?』
三日月と話していると明弘の悲鳴が聞こえた。
「よっしゃ~!勝ち~!」
「ぐう、ま、まだまだぁ」
「やめときな!熱くなってちゃ勝てないよ」
「また可愛がってあげるからさ~」
「ぐぅ、くそ」
昭弘は悔しそうな様子でコックピットを出た。
「じゃあ、次は俺が」
「あんた達、毎日毎日よく頑張るねぇ」
「俺にはそれしかできないから」
三日月はそう言いながらコックピットの中に入る。その後交代でシュミレーターを続けたがほとんど負けていた。
そうして俺達がイサリビに戻って少しした後、タービンズから歳星が確認出来たとオルガから聞いた。