虚無の魔神   作:千本虚刀 斬月

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15話 死神代行

 

 

 

 一護は今、京都にいた。清十字怪奇探偵団の引率である。今の京都は中学生だけで行かせるには危険すぎる。及川氷麗と倉田(青田坊)も一緒である。

 

ちなみに一護は肉体を元の世界に置いてきた状態なので、今も霊体のままである。だが、清十字怪奇探偵団や他の一般人達にもちゃんと認識できている。これは一護が身につけている数珠のおかげだ。この数珠はぬらりひょんが古いつてを使って用意してくれたモノで、幽体を実体化させる効力がある。

 

 

「すごい!ケンタもコンビニも看板の色が違う!」

 

「おうおめぇ等、あんまはしゃぎ過ぎんなよ。」

 

「「「「「はーい!!」」」」」

 

「奴良君、置いて来ちゃってよかったの?」

 

「なーに心配いらないさ家長さん。彼ならきっと駆けつけてきてくれるさ!」

 

「つーか清継よぉ。何だってこんな時間からなんだよ?」

 

「一護さん、これは妖怪ツアーですよ!?神社もお寺も閉まった後じゃないと意味ないでしょう!!ほら!どことなくあやしげな妖気につつまれた感じがしませんか!!」

 

「お、おう・・・」

 

清継のこの発言に、今の京都の実状を大凡ながらも知っている一護達は内心で頭を抱える。

 

その時、不意に空気が変わった。恐らく近くに潜んでいた京妖怪が畏を発動させたのだ。狙われているのは家長、巻、鳥居の女子3人のようである。

 

「くそっ!つらら、目眩まし頼む。こいつ等に見せるわけにもいかねえからな。」

 

つららが冷気の霧を発生させの意識を逸らす。その隙に一護は数珠の効力をOFFにすることで実体化を解き、霊体に戻って斬月を構える。

 

幸い妖怪達は大したものでは無くすぐに片付いた。清十字怪奇探偵団の皆も無事だ。

 

「しっかし、話に聞いてた以上だな。」

 

「ええ。まさかここまで侵略されてるなんて・・・」

 

「まったくだ。こりゃ気ぃ抜いてられねぇな。」

 

3人で話していると、黒いフードの少女が声を掛けてきた。

 

「あんたら何してるんや!?夜は出歩いたらアカンって警告きいてへんのか!?」

 

「ぬおお!?ゆらくん!?ちょうどいいところにいた!!今からお邪魔しようと思ってたとこなんだ!!」

 

「・・・・・なんで・・・みんなおんねん・・・まずいで・・・いまの京都は―――――妖に侵された街になりつつある」

 

 

 

 

 

 一行はゆらに連れられ、花開院の本家で説明を受けている。

 

「本当かいそれ!?ゆらちゃんのお義兄ちゃんが・・・花開院家のトップ3がやられたの!?」

 

「・・・うん。義兄ちゃんらは瀕死の重傷で第3の封印もとかれた。ホンマに封印が解かれて弐條城まで堕とされたら取り返しのつかないことになる。最悪の場合、京都どころか日本中に妖が跋扈するようになるかもしれん!!」

 

「それで、おまえはこれからどうすんだよ?」

 

「相剋寺。今夜あたり・・・来るみたいなんや。私らは花開院家の陰陽師や。敵に背を向けて逃げたらあかんねん!!」

 

「待てよ。俺も戦うぜ!」

 

一護はそう言うと斬月を実体化させた。

 

「敵の中にはウルキオラの奴もいるはずだ。あいつにはコイツじゃねぇと、俺じゃねぇと勝てねぇ!」

 

「・・・・・わかった。それじゃあ一護さん、よろしゅう頼みます。」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

 

 第二の封印・相剋寺では花開院分家「福寿流」の陰陽師達が数十人がかりで結界を張っている。一護もそこにいた。氷麗と青田坊には清十字怪奇探偵団の護りに回ってもらっている。

 

「来たぞ!!奴らだ」「よぉし!気を抜くなよ!!」「頑張れー!!」

 

だが、その結界はあっけなく斬り裂かれてしまう。

 

「なぁ!!・・・そ、そうか!コイツ等、今まで返り討ちにしてきた退魔師達の武器を!!」

 

福寿流の陰陽師達は個別の結界に切り替えるが、京妖怪達の猛攻に抗えず蹂躙されていく。

 

「させるかー!!貪狼!!武曲!!禄存!!下がってて福寿流!!」

 

京妖怪達は一瞬は怯んだモノの直ぐさま仕掛けるが、そこに一護が割って入る。

 

「月牙天衝!!」

 

雑魚を薙ぎ払う。一護は斬月を上段に構えもう一発撃とうとするが、その前に茨木童子が立ちはだかる。

 

「テメェが俺の相手か。速攻で片付けてやるぜ!」

 

「上等だ!やれるモンならやってみろ、クソ野郎!!」

 

一護は加減なしの月牙を放つが、茨木童子は鬼太鼓桴・仏斬鋏で月牙を容易く挟み斬った。茨木童子はすかさず響転で距離を詰める。一護は多少驚愕しつつも斬月で受け止め、鍔競合いに持ち込まれる前に瞬歩で距離をとる。

 

「今のは響転(ソニード)か?まさかウルキオラが教えたのか!?」

 

一護はゆらと竜二の方に目を向ける。二人はしょうけらの響転に対応し切れていない。いかに有望な陰陽師といえどもあくまで生身の人間。生理的な限界がある。

 

「くそっ!―――卍解!天鎖斬月!!」

 

茨木童子も妖気を全開にするが、卍解した一護には及ばず、圧倒する。一護はゆら達に加勢する。一護一人で茨木童子としょうけらの二人を同時に相手取るのは流石にややキツい。だが、ゆらが切り札である式神・破軍を召喚する。

 

「いくで式神・破軍!!」

 

しかし、ゆらの号令に対して破軍は何の反応も示さない。

 

「なんでや!ちょ・・・なんで何も反応せんのや!?動け・・・何で動かんのやー!!」

 

『そんな拝み倒したって動かへんよ。破軍はね・・・・・普通の式神とは違うんやから。心を静めなさい才ある者よ。そしてその才を強くしたいと願いなさい。そしてとなえよ、悪を祓う言葉を―――』

 

破軍とはただ歴代当主を呼び戻すための術にあらず。先神達の霊力をかりることでその者の才を極限にまで増力するものなり。

 

「百鬼を退け、凶災を祓わん―――破軍発動!!」

 

「ハアアアァァ―――月牙!天衝!!」

 

この連係攻撃によって茨木童子としょうけらはダメージを受け、大きく後退した。

 

「その顔・・・忘れはせんぞ。四百年間、片時も忘れはしなかった・・・」

 

『・・・・・羽衣狐か、お久しゅう。えらいカワイらしい依代やなぁ・・・』

 

「漸くお出ましかよ。女だからって手加減はしねぇ。全力で行くぜ!」

 

羽衣狐は九尾を展開し、三尾の太刀を構える。

 

「あまり妾を舐めるなよ、小僧!?」

 

 

 

 一護はスピードとパワーにおいては羽衣狐を凌駕している。だが、手数と技の多彩さと戦略眼は羽衣狐の方が上だ。結果として両者の戦力は拮抗していた。

 

しかし陣営での総戦力においては京妖怪達の方が上だ。ゆらと竜二と魔魅流の3人は茨木童子としょうけらの相手で手一杯。花開院の陰陽師達は京妖怪達に劣勢で、既に少なくない数の負傷者が出ていた。

 

(くそっ!虚化した全力の月牙天衝なら羽衣狐を倒すことが出来る。でも、下手すりゃ花開院の連中も巻き込んじまう!―――どうする・・・!?)

 

一護のその迷いが一瞬の隙となった。気が付いたら無数の蛇に取り囲まれていた。

 

「よくやった、狂骨。褒めて使わす。雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ――――縛道の六十一・六杖光牢」

 

「なっ!く・・・こんなモン」

 

「まだじゃ。君臨者よ 血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ――――破道の七十三・双蓮蒼火墜!!」

 

羽衣狐の両掌から強大と言えるほどの蒼い炎が撃ち出される。いかに一護といえども六杖光牢を掛けられた上でこの双蓮蒼火墜をまともに食らえば戦闘不能に陥りかねない。この状況でそうなれば最悪の場合、全滅の可能性すらあり得る。

 

「ウオオオオオオォォォォォォォ―――――!!!」

 

一護は虚化し、力尽くで縛道を破り破道を掻き消した。花開院の陰陽師達は一護の変化に驚愕したり動揺していたが、今は説明していられる暇が無い。

 

(この位置なら皆を巻き込む心配もねぇ。羽衣狐だけをヤレる!)

 

「終ワリダゼ、羽衣狐!オオオオォォォォ―――月牙!!天衝!!!」

 

漆黒の月牙が羽衣狐に迫る。この光景に十三代目秀元ですら勝利を確信した。否、していた。何故なら一護の月牙が羽衣狐を飲み込む直前に割り込んできた者によって両断されたのだ。

 

黒い髪に翡翠色の瞳をした白い男だった。一護はその男を識っていた。この霊圧、首元の孔、感情の読み取れない無機質な貌。

 

「・・・久しぶりだ、黒崎一護」

 

「ああ、久しぶりじゃねぇか。―――――ウルキオラ!!!」

 

 

 

 

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