「・・・久しぶりだ、黒崎一護」
「ああ、久しぶりじゃねぇか。―――――ウルキオラ!!!」
両者は互いを認識した瞬間に霊圧を開放しながら斬魄刀を構える。油断や隙といったモノは一切無い。
二人の放つ霊圧はまさに規格外と言えるレベルで、周囲の者達は言われるまでも無く即座に理解した。迂闊に踏み込めば余波だけで死にかねないと。
「―――――――いくぜ、ウルキオラ!!」
「・・・・・こい、黒崎一護」
二人は真っ向から激突した。剣戟の度に大気は爆散し、地面はひび割れて、周囲にあるモノは尽く薙ぎ払われていく。鏖地蔵など運悪く間近に居た妖怪などは剣戟の余波だけで消し飛ぶほどである。その様はもはや二つの異なる天変地異のぶつかり合いと言っても過言では無い。
「くそっ。コッチは虚化までしてんのにアッチは解放も無しで互角かよ!?ムチャクチャ強くなってやがる!!」
「黒崎一護、やはり貴様はこの時代に流れ着いてまだ間もないようだな。だが、俺はこの時代に流れ着いて4年になる。その間、俺が無為に時間を浪費していたとでも?」
ウルキオラは双児響転で2体の分身を作り、黒崎一護を取り囲み三方向から攻撃する。本人は正面からの垂直斬り、分身は黒崎一護の背後からそれぞれ鎖結と魄睡を貫こうとする。だが
「!!ナメンじゃねぇー!!!」
「ほう、咄嗟に月牙を放ったか。賢明な判断だ。」
そう言いながらもウルキオラは一切手を緩めること無く攻め続ける。響転で黒崎一護の頭上にまわり、加減なしの虚閃を放つ。黒崎一護はこの虚閃を多少被爆しながらも瞬歩を使い離脱する。しかし、ウルキオラにとってソレは想定通のことである。
ウルキオラは響転で先回りして、黒崎一護が虚閃から離脱して極僅かに気が緩んだ瞬間を狙う。だが黒崎一護は咄嗟に身体を捻り、顔を逸らすことで致命傷を避けた。完全に回避されたわけでは無いが仮面の一部と額を浅く切り裂くに止まった。
「オオオオォォォォ―――月牙天衝!!!」
「甘い!」
ウルキオラは斬魄刀に霊圧を纏わせて強化した斬撃で月牙を両断する。だが、黒崎一護が既に肉薄していた。
(!!―――そうか、月牙を盾にして・・・此方は全力で剣を振り抜いた直後だ。躱しきれん)
ウルキオラは即座に左腕を盾に敢て踏み込む。黒崎一護が剣を振る前に距離を潰すことで振り抜けなくしたのだ。おかげで腕一本へし折れた程度で済んだ。
ウルキオラは超速再生しながら響転で距離をとった。
「残念だったな。もし今の斬撃が月牙を纏ったモノであったなら左腕を完全に切り落とせていただろうに。」
「くそっ。余裕かましてんじゃ、ねぇー!!」
黒崎一護は仮面の欠けた部分を修復し、全力の月牙天衝を放つ。残る霊力の大半を費やした渾身の一撃である。回避すれば羽衣狐たちが巻き添えを喰う。ならば此方も全力の一撃で迎え撃つ。
「――――
黒崎一護の全力の月牙を相殺したものの、空間は大きく撓み京の霊脈も著しく乱れている。
(これ以上戦い続けると今後の計画に差し障るか。ヘタに奴を追い詰めて暴走されては、例え斃せたとしても京都そのものが壊滅しかねん。本来の目的を考えれば、ソレは敗北も同然だ。・・・仕方ない。)
「終わらせる。縛道の六十三・鎖条鎖縛」
黒崎一護は残る霊力を絞り出して引きちぎろうとするが僅かに遅かった。
「滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧きあがり・否定し 痺れ・瞬き 眠りを妨げる 爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ――――破道の九十・黒棺」
黒崎一護は仮面も割れ霊力も底をつき満身創痍の有様だ。力なく落下していく。しかし、ウルキオラはなおも追撃を掛ける。踵落としで地面に叩き付け、クレーターを作り上げる。さらに
「縛道の三十・嘴突三閃」
黒崎一護地面に打ち付けられた。ソレを見た十三代目秀元は焦りを露にする。
『これはアカン!このままでは彼が死んでしまう!!なんとかして助けるんや!!』
ゆらと竜二と魔魅流の3人が瀕死の黒崎一護を庇うためにウルキオラの前に立つ。
「ほう、気概だけは立派だな。だが、解っているはずだ。貴様等三人程度では時間稼ぎの盾にもならん。」
そう、ここに居るのはウルキオラ一人では無い。羽衣狐をはじめとした京妖怪達が居る。
「で、どうするんだ十三代目?正攻法ではアイツの言うとおり勝負にもならんぜ。」
十三代目秀元は妖怪達に聞こえないように小声で作戦を伝える。
『おじょーちゃん、今から言う呪文を合図したら唱えるんや。気付かれんように出来るだけこっそりとな』
『羽衣狐――――妖の領分を越えて、そない規格外まで引き込んで、一体何がしたいんや』
「お前に言う必要は無い。術者もろとも消え失せろ!!」
茨木童子としょうけら、さらに鬼童丸が一斉に襲いかかる。
『おじょーちゃん、今や』
「惑いの霧よ、民草を包め!!」
「ブォォ!?」「ゲホッゲホー!!」「な、なんだこりゃ」「煙幕か?」
『さ、今のうちに彼を回収するんや。花開院の子孫どもよ!退け!!勝ち目はない』
「くぅ・・・相剋寺が」「京はどうなってしまうんや」
惑いの霧がはれた時には生き残っていた陰陽師達は既に撤退していて、この戦いで命を落とした者達の骸だけが残されていた。
羽衣狐たちは封印の要であるしめ縄が施された杭の前にいる。
「陰陽師のやつら、あっさりと明け渡しましたなぁ。まあ、あんな戦いを見せ付けられては無理もないですかな。さあ、ちゃっちゃと抜いてしまいましょう。」
「鏖地蔵、生きていたのか。気持ちの悪い奴だなお前は」
「フェフェフェ。あなたが死ぬまで死ねませぬ。」
羽衣狐は封印の杭を引き抜いた。
「これで、封印は残りあと一つ。」
振り返って立ち去ろうとしたところで、何者かが地面から這い出てきた。般若の面のような顔で6本の腕を持つ巨躯の男である。
「・・・久し振りだな、土蜘蛛。」
「あん、羽衣狐か?と、ウルキオラじゃねぇか!?会いたかったぜぇ!!」
「土蜘蛛、お主も力をかせ。これから最後の封印である弐條城を落とし、妾はそこでやや子を産む。我々の宿願まであと一つじゃ。」
「・・・・・・てめぇらとつるんだ覚えはねぇ。てめぇらが何しようと知らん。ワシは強い奴とやれればそれでいい。そんな相手が現代にいるのかい・・・」
「いる。必ずや我等の前に現れる。」
「・・・・・これで大方揃いましたかなぁ、こちらの戦力が。」
「だな・・・」
空腹時なら人・妖怪はおろか神仏ですら喰らい尽す妖怪―――土蜘蛛
羽衣狐に絶対の忠誠を誓う巨大な骸骨の妖怪―――がしゃどくろ
人を断罪する天虫の妖怪―――しょうけら
幼いながらも羽衣狐を慕う有望株―――狂骨
強大な力を有する高位の鬼―――鬼童丸と茨木童子
不気味な作戦参謀―――鏖地蔵
九尾の妖狐にして京妖怪を統べる狐の大妖怪―――羽衣狐
そして
絶対的な力を持つジョーカー―――ウルキオラ・シファー
「さあ、余興は終いじゃ。残り一つを落としに参ろう。」