虚無の魔神   作:千本虚刀 斬月

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なんかもう色々やっちゃった感じ


27話 王虚の月牙

 

 

 

 あれから数ヶ月が経ち、ウルキオラと黒崎一護は特製の結界を幾重にも張られた訓練場の中で対峙している。

 

「黒崎一護、お前との訓練もそろそろ終わりだ。総仕上げのつもりでかかってこい。」

 

「ああ、そうだな。いくぜ、ウルキオラ!―――卍解!!」

 

ウルキオラは緩く柄に手を掛け、力みの無い自然体で待ち受ける。居合いによるカウンターで斬って捨てるつもりである。だが黒崎一護とて流石にその程度のことは見抜いている。刀を上段に構え瞬足の摺足で迫る。縮地と呼ばれる、通常の瞬歩よりも一段上の技術である。

 

しかしウルキオラは体捌きで黒崎一護の上段斬りを躱しスキだらけの頸に刃を走らせようとするが、黒崎一護は更に一歩踏み込みながら袈裟懸けに斬り上げてきた。

 

「!・・・味な真似をする。」

 

かつて大阪で戦ったときにウルキオラが披露した燕返しと呼ばれる切り返しの技法をそのままやり返されたのだ。無論すんなりと斬られるウルキオラでは無い。

 

抜いた刀で受け止めて、左手の人差し指を黒崎一護の眉間に突きつけ零距離で虚閃を放つ。

 

「くらうかよっ。」

 

黒崎一護は膝でウルキオラの左手を蹴り上げて軌道を逸らし空撃ちさせる。だが、ウルキオラはソレを見越して詠唱していた。

 

「雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ――――縛道の六十一・六杖光牢」

 

黒崎一護の身体には計12枚の光板が突き刺さり、身動きを封じ込んでいた。六杖光牢の重ね掛である。

 

「!この程度」

 

「さて黒崎一護、その状態でコレをどう凌ぐ?――――無限装弾虚閃(セロ・メトラジェッタ)

 

黒崎一護は天鎖斬月に月牙を纏わせ、柄頭から延びた鎖を掴んで振り回すことで六杖光牢を破壊する。殺到する虚閃の弾幕を冷静に見つめ

 

「月牙天穿!!!」

 

従来の月牙天衝は斬撃、つまり線であった。だがこの月牙天穿は極限まで集約させて刺突と共に解き放つ一点突破の為の技。その一突きは確かに虚閃の弾幕を突き抜け、ウルキオラに届きかけた。

 

「―――――――鎖せ『黒翼大魔(ムルシエラゴ)』」

 

「へっ、準備運動は済んだかよ?」

 

黒崎一護は霊圧を跳ね上げ、ウルキオラは雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)を構える。

 

「ああ、十分だ。いくぞ。」

 

二人は己の武器を全力で振るう。ウルキオラは槍の刺突を瀑布の如く叩き込む。点に過ぎない軌跡を間断なく射出し続けるその様は相手に絶望を抱かせるに有り余る。だが黒崎一護とて超常の領域に達した存在。その程度では決定打になどなりはしない。

 

「甘ぇ!!」

 

黒崎一護は刺突を刀で弾き、一歩引き上体を反らすことで次撃を躱しながら側面に回り込む。

 

「それは此方の台詞だ。」

 

ウルキオラは黒翼を大きく撓ませて全力で叩き付けた。特にダメージにはならなかったが両者の間には大きな距離が出来、ウルキオラは雷霆の槍を投擲する。

 

「!?この距離で撃ちやがった!けど、これなら躱せる。」

 

「先程の言葉を今一度返そう。甘い。」

 

黒崎一護が回避した直後、ウルキオラは雷霆の槍を遠隔起爆させたのだ。黒崎一護にとっては背後からの奇襲に近いタイミングの爆撃である。為す術など無い、その筈であった。

 

「グオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」

 

頭まですっぽりと覆い、双角の突き出した仮面。腰まで届く長い髪。正しく次元の違う霊圧。

 

「ったく、やってくれんじゃねーか。今の、ヘタすりゃ死んでたぞ?」

 

黒崎一護の意識は闇に呑まれる事無く、明確に理性を保っていた。

 

「だが間に合っただろう?」

 

ウルキオラもまた変容する。十刃の中で唯一ウルキオラのみが可能としている二段階目の刀剣解放、刀剣解放第二階層(レスレクシオン・セグンダ・エターパ)に。これこそがウルキオラの真の姿であり、真の全力である。

 

―――黒虚閃

 

月牙天衝!!

 

二人は全くの同時に攻撃を放ち、しかし相殺し合う。その爆発によって周囲には残留霊子が立ち込め、視界が遮られる。

 

「縛道の六十三・鎖条鎖縛。縛道の七十九・九曜縛」

 

黒崎一護は力尽くで縛道を引き千切るが、ウルキオラはその間に詠唱を済ませていた。

 

「千手の涯 届かざる闇の御手 映らざる天の射手 光を落とす道 火種を煽る風 集いて惑うな我が指を見よ 光弾・八身・九条・天経・疾宝・大輪・灰色の砲塔 弓引く彼方 皎皎として消ゆ――――破道の九十一・千手皎天汰炮・黒式」

 

黒式とはウルキオラが独自に編み出した破道の応用技で、今回の場合は五つの鏃全てが黒虚閃を圧し固めて形成されている。

 

「黒崎一護、この攻撃を打ち破ることが出来るならば例え独りで朱蓮以外の咎人達をまとめて相手をしても互角以上に渡り合えるだろう。」

 

黒崎一護は天鎖斬月に月牙を纏わせ、同時に双角の間に霊圧の光球を生じさせる。勿論、単純な同時撃ちではない。月牙に虚閃の特性と威力を上乗せすることで相乗効果による霊圧の増幅を為し、攻撃の性能を上昇させたのである。

 

「朧牙天衝。ウオオオオオオォォォォォォォ―――――!!!」

 

そして千手皎天汰炮・黒式は完全に相殺された。

 

「はっ!どうよ!?」

 

「ふむ、大したものだ。では、次が最後の一撃だ。この業に耐えることが出来たならば、最早鍛錬の必要も無いだろう。」

 

「成る程な、つまり免許皆伝って訳だ。いいぜ、来いよ!」

 

「いくぞ。―――――虚無黒閃(セロ・オスキュラス)

 

「朧牙天穿!!!」

 

だがウルキオラの虚無黒閃は黒崎一護の攻撃をいとも容易く無為に帰す。

 

「・・・・・・・・・・・なん・・・だよ、今の」

 

「・・・俺の司る死の形を覚えているか?」

 

「―――――虚無、か。」

 

「そうだ、虚無こそが俺の起源であり能力の根幹だ。お前との修練のおかげで俺はその事を改めて自覚し、掌握するに至った。」

 

通常の黒虚閃は虚としての霊力を高密度に練り上げ、圧倒的な奔流で破壊する技である。それに対して虚無黒閃は文字通りに『虚無』そのものであり、形あるあらゆる存在を消し去るのだ。ここが強固の結界で覆われていなかったなら如何に朧牙で減殺されていようと凡そ100㎞に渡って、軌道上にある物全てが消滅していただろう。

 

「・・・もう一度だ。」

 

「なに?」

 

「もう一度今のを撃ってこい!」

 

黒崎一護はそう言い放つと双角の間に己の血を混ぜた極大の霊圧を煉り上げる。

 

王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)か。いいだろう――――虚無黒閃(セロ・オスキュラス)

 

「いくぜ。―――王虚の月牙(月蝕)!!天穿!!!」

 

 

 

 

 

 黒崎一護は完全虚化と卍解の解けた状態で横たわっている。

 

「真逆、虚無黒閃を撃ち消してのけるとは。特に加減をしたつもりは無かったんだが。」

 

今ので訓練場に幾重にも張られた特製の結界は完全に消し飛んでしまっている上に地形も大きく抉れていた。もしあの威力の月蝕を結界も何も無い所で使えば次元断層すら引き起こされていたかも知れない。其程のものだった。

 

「まったく恐ろしい奴だ。」

 

ウルキオラは斬魄刀を鞘に収めながら呟き、霊力を使い果たし気絶している黒崎一護を担ぐ。

 

これで二人の修業は修了したのだった。

 

 

 

 




ちなみに現時点でのウルキオラの好感度

羽衣狐

狂骨
その他の京妖怪達、黒崎一護


鬼の眷属
花開院、奴良組

(以下マイナス)
御門院

咎人達



安倍晴明
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