虚無の魔神   作:千本虚刀 斬月

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BLEACH読み返してたら今更に気付いてしまった。
一話の冒頭で、一般浮遊霊がモブ不良達に自身を見せてつけてビビらすシーンあるやん!?


39話 特異点 炎上混迷都市『天宮』

 

 

 

 

 八月三日。その日、歴史は覆り、しかし因果応報は確かに為された。

 

残酷で無慈悲で不寛容な『世界』によって。

 

それはまるで呪いの様に廻天する。

 

 

 

 茹だる様な猛暑、時崎狂三はクソあつそうなゴスロリファッションを涼しい顔で着こなしている。モノトーンのドレスとコルセット、派手な赤薔薇の髪飾りに、左目を覆う医療用眼帯。あれで猫カフェに入り浸る様は目立って仕方ないだろうに…

 

まあ、ウルキオラもオールバックに黒シャツに緑のネクタイと白のスリーピーススーツで、端から見ればまあまああつそうな恰好でありながら炎天下で平然としているのだが。

 

 

つまらないくせに微妙に手間で面倒な案件を片付け、昼下がりの頃合いにようやく天宮市に帰ってこれた。

 

時崎狂三は早々に何時もの猫カフェに直行。ウルキオラは少々遅い昼食の後、紅茶を嗜みつつタブレット端末で先程までの案件の報告書を作成していく。

 

やるべき事も終わって事務所に戻っている最中、唐突な時空の揺らぎと思わしき感覚に陥る。世界が多重にブレ、知覚にノイズが奔った。そして、()()()()()()()()()()を感知した。

 

一個人でありながら複数の精霊の霊力を内包している。それも、アーロニーロの様に乱雑に押し込め無茶苦茶に入り交じっている感じでは無く、きちんと整理整頓されていて誂えたかの様に収まりが良い感じだ。

 

即座に時崎狂三に共眼界(ソリタ・ヴィスタ)*1で情報共有し、現場に赴く。

 

 

一軒の民家の庭先に居た奇妙なガキ。その身体の内には6人分の精霊の霊力+αが秘められているのが見て取れる。無視できないのは、〈ナイトメア〉時崎狂三の霊力も極僅かだが確実に含まれている点。

 

ウルキオラは元から眼の良さには相当の自負があったが、今は更に向上している。*2その眼が、あの少年に中に時崎の霊結晶(セフィラ)と全く同じ色彩(かがやき)を見取ったのだ。

 

観察し始めて間もなく、新たに精霊の霊圧を感知した。ウルキオラの探査回路(ペスキス)を以てしても直前まで気付けなかった上に、ノイズがかかった様にぼやけている。余程隠形に長けている精霊のようだ。

 

直後に膨大な霊圧に、紅蓮の業火が立ち上る。

 

「――公園か。次から次へと……」

 

得体の知れない少年も弾ける様に公園の方向に駆け出す。

 

ウルキオラも響転(ソニード)で空を駆ける。実際、拠点としている街を灰燼にされては困るのだ。そうなる前に、始末するという選択も考慮しながら現場に急行する。

 

公園に到着したウルキオラが眼にした光景は、精霊に成りたてで暴走状態に陥っている小娘、傍らに揺蕩うノイズの精霊、先程のガキと似て非なる瀕死の小僧。

 

ん?…君は、時崎狂三の新しいパートナーか。興味はあるが……でも、今は君には用はないんだ。邪魔しないでくれ

 

動けない。霊圧をぶつけられたわけでも無く、拘束能力を使われたわけでも無い。ただ力量を一切見通せない。迂闊な真似は、本能と直感が『死』を想起させる。

 

ノイズは小娘を甘言を弄し唆し、炎の精霊の霊結晶(セフィラ)は小僧の中に収まる。

 

余りにも意味が分からない光景。

 

しかしノイズの精霊については、聞き及んでいた時崎狂三の怨敵と特徴が一致し、当人も『敵』と断定した。

 

ウルキオラは時崎狂三の目的に()()まで協力すると約束した。

 

然らば、取るべき行動は一つ。

 

斬魄刀を抜き、構える。

 

ウルキオラとノイズの視線が合い、無機質な殺意と胡乱で疎まし気な敵意が交差する。

 

が、またしても出端を挫かれる。

 

時空が歪み知らない精霊の霊圧を感知し、白い精霊が顕現したのだ。

 

空間震とは明らかに異なる、世界がブレ重なる感覚。時崎の〈刻々帝(ザフキエル)〉による時間転移と見て間違いないだろう。

 

光の精霊はノイズの精霊を見るや憤怒と憎悪に駆られ殺しに掛かる。

 

同時に、先程の少年もようやく駆け付け、驚愕を露わに動揺している。僅かに此方を見ながら懊悩したが、結局は光の精霊を追って走り去っていった。

 

「…今日は厄日か何かか?――どうする?」

 

『……あの光の精霊は、勝てると思いますか?』

 

「無理だろうな。〈刻々帝(ザフキエル)〉の効力はそう長くあるまい。それまでに仕留められるとは到底思えん。仮に対等の条件での殺し合いだとしても、格が違う」

 

視るに、積年の思いがあるのだろう。だが、元より格上の能力者相手、さらには霊結晶(セフィラ)の仕様詳細も把握されている。情報面でも能力面でもノイズの精霊が圧倒的に優勢。

 

種も仕掛けも無く、思いだけで格上を打倒できるほど闘争は甘くない。もしそうなら、精霊は既に対精霊部隊の魔術師によって打ち倒されているだろう。

 

『――では、()()()()()であれば如何でしょう?』

 

「…念のため、何時でも死に戻り出来るように準備しておけ」

 

 

 

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世界が多重にブレ、知覚にノイズが奔る。不快な記憶が流入して、交わり得ないはずのモノが統合される厭な感覚。

 

そう、ウルキオラ達は敗北した。

 

此方の手の内を全て費やして、相手の真の姿と全力を引き出すまではいったのだ。だが、代償は甚大で、天宮市の大半は戦闘余波で灰燼に、光の精霊は途中で()()気付き絶望しこの時間軸から消失、時崎狂三は分身体は全滅し本体も瀕死の重傷、ウルキオラも打つ手無しのじり貧で、『詰み』の状態であった。

 

刻々帝(ザフキエル)〉【六の弾(ヴァヴ)】にてウルキオラの意識のみが時間遡行し、盤面を無理矢理リセットしたわけだ。

 

そしておそらく、同じ手が何度も通じるほど甘い相手では無いだろう。次は確実に違和感を抱き、察するかも知れない。そうなれば時間遡行の隙間など無いと考えた方が良い。なにせ相手は全力で防戦はしていても本気で殺しに来てはいなかった。

 

時崎狂三との作戦会議をするも、問題点は一目瞭然である。すなわち圧倒的な戦力不足。あのノイズの精霊こそが30年前に顕現した精霊の原点にして頂点。時崎狂三の最抹殺対象なのだが、正攻法では十中八九返り討ちに遭って死ぬ。現時点では。

 

双方が頭を抱え煩悶しているとき、時間転移してきた有り得ない複数(五河 士道)の霊圧を感知した。

 

他の精霊を取り込み戦力増強を図る。思うところやリスクはあれど、やはりこれがベターであろう。

 

未来の時崎が〈刻々帝(ザフキエル)〉秘中の秘である【十二の弾(ユッド・ベート)】で送りつけてきたのだ。おそらく光の精霊とノイズ(始原)の精霊との戦闘に介入させるために。ならば、相応に逸材ではあるのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
己が見た映像を周囲の者に見せられる。アーロニーロの認識同期を参考に、鬼道と組み合わせる事で、一々眼球を取り出して砕かずとも良くなった。

*2
単純に動体視力、遠視力、暗視力に優れている。紫外線や赤外線と言った光は元より、匂いの視認、霊力(魔力も)を霊絡を作るまでも無く直接視れる。透視も可能だが、精霊の霊装や高位ウィザードのテリトリーには多少なり阻まれる。




光の精霊

名前:鳶一 折紙
識別名:エンジェル
総合危険度:AAA
空間震規模:AA
霊装:AA
天使:AAA
STR(力):158
CON(耐久力):152
SPI(霊力):219
AGI(敏捷性):136
INT(知力):243
身長:152㎝
スリーサイズ:B75/W55/H79


ノイズの精霊

名前:崇宮 澪
識別名:デウス
総合危険度:SSS
空間震規模:SSS
霊装:SSS
天使:SSS
STR(力):999
CON(耐久力):999
SPI(霊力):999
AGI(敏捷性):999
INT(知力):999
身長:160㎝
スリーサイズ:B89/W60/H87

マテリアルより抜粋
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