翌日の夕刻、ウルキオラはある妖怪に絡まれていた。土蜘蛛と言う名の、般若の面のような顔で4本の腕(本来なら6本らしい)を持つ巨躯の男である。
土蜘蛛は空腹時なら人・妖怪はおろか神仏ですら喰らい尽す「絶対に遭遇してはならない妖」と言われている。
「うるきおらっていったか?オメェ強いんだってなぁ。ならよぉ、オレと戦ろうぜ?」
ウルキオラからすれば、律儀に付き合う理由も特に無い。適当にあしらっていたのだが、それを聞いてやってきた羽衣狐が
「ほう、これは面白い余興になりそうじゃな。よいぞ。許可する。」
などと言い出した。
「勝手に決めるな。何故俺が貴様の暇潰しに付き合わねばならん?」
そうウルキオラが言うと、羽衣狐は少しの間、考え込み
「そうじゃのぅ。では、勝者には何ぞ褒美を給わそう。それでどうじゃ?」
ウルキオラは承諾する事にした。褒美に釣られた訳ではなく、これ以上断ると逆に面倒だと考えたからだ。
「だが主らの力を考慮すると、まさか今、ここでと言うわけにもいかんな。」
「よし、では今宵、月が昇りきった頃に、山の麓で決闘を行うとする。双方、依存は無いか?」
この提案に土蜘蛛は楽しそうに笑いながら、ウルキオラは煩わしく思いながらも承諾した。
満月の光の下、ウルキオラと土蜘蛛は向い合っている。
「さあて。思う存分に戦り合おうじゃねぇか。なあ、うるきおらぁ!」
「・・・・・・いいだろう。かかって来い。」
両者の準備が整ったのを見計らい、鬼童丸が合図を下す。
「では、始め!!」
土蜘蛛は開始と同時に高速で回転しながら突進し、その勢いのままウルキオラに殴りかかった。
「おらぁ!回転阿修羅腕ァ!!」
ウルキオラは
「バカが、隙だらけだ。」
土蜘蛛は被弾し、吹き飛ばされながらも嗤い続ける。
「グハハハハ。これだよこれぇ。戦いってのはこうでなきゃいけねえ!!もっとだ。もっと味わわせろぉ!!」
そう言うと土蜘蛛は体躯に見合った巨大な煙管をウルキオラに叩きつけた。だが
「それで隙を突いたつもりか?」
ウルキオラは右の掌だけで受け止めて、すかさず回し蹴りを叩き込んで数メートルほど後退させた。
「何だお前?最高じゃねえかぁ!?こんなに楽しいのは600年前に鵺と戦り合った時以来だ!!」
土蜘蛛は四股を踏みながら妖力を全開まで上昇させると、突撃の構をとる。
「―――――――――――発気揚揚」
それを見たウルキオラは碧光を指先に収束させる。
「遅い」
土蜘蛛が攻撃に移るより早く、加減なしの
だが、それだけでは終わらない。流石に古から存在し続け、天災にまで喩えられるだけはあると言えよう。
「成る程。虚閃が直撃する瞬間、突撃の為の力を防御に費やしたのか。大した反応速度だ。だが、何故回避を選択しなかった?」
「グハハハハ。こんだけうめぇのはめったに味わえねえからな。よけたりしちゃもったいねぇ!」
そう言うと、土蜘蛛は4本の腕で張り手の弾幕を繰り出す。
「オラオラオラオラオラオラオラアァ!!」
ウルキオラはその尽くを避け、逸らし、打ち落とし、受け止める。のみならず、隙を突いてカウンターとして虚弾をくらわせる。
(これだけ俺の攻撃をくらっていながら、嬉々として戦い続けるとはな。馬鹿げた闘争心と耐久力だ。)
その攻防はしばらく続いたが、宵闇が薄れだしたところで
「このまま続けるのも充分楽しいがよう!やっぱ最後は派手にいこうぜぇ!?」
土蜘蛛は再び距離をとった。流血に塗れながらも突撃の構をとり、力を溜めている。
対するウルキオラは依然として無傷だが、油断する事無く指先に霊子を収束させていく。
そして、双方の攻撃が同時に放たれ――――――――――――勝敗は決した。
羽衣狐はウルキオラの勝利を宣言して
「勝者であるお主には、約束通り褒美を授けよう。何を望むのじゃ?うるきおら」
と聞いてきたが、ウルキオラは現状は特に欲しい物も無いので、一先ず保留とした。
ちなみに、土蜘蛛は暫くしたら自力で起き上がり
「ちょっと湯治にでもいってくらぁ。」
と、跳び去って行った。
書き溜め分はコレで全部。
月末までには次を投稿したいなぁ。