虚無の魔神   作:千本虚刀 斬月

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たまに無性にヴァイオレンスな気分になる
なので
死んで貰います


41話 魔術師

 

 

 某国のDEM支社は今現在、災禍に見舞われている。

 

二体の特殊災害指定生命体〈ホロウ〉と〈ナイトメア〉の襲撃を受け、壊滅的損壊を被っている最中だ。

 

狂乱の哄笑を伴う鮮血の群(時崎狂三)と、色彩が抜け落ちたような白(ウルキオラ・シファー)による、無謬の蹂躙。

 

斬られ、刺され、裂かれ、撃たれ、墜とされ、折られ、圧され、潰され、捻られ、削られ、爆され、焼かれ、打たれ、跳ばされ、叩かれ、砕かれ、破られ、壊され、鎖され、沈められる。

 

一般職員、研究者、魔術師、全ての人間は一様に阿鼻叫喚の屍山血河の果てに影に喰われていく。その過程に、目に見える程の差異は無い。

 

相変わらずの無駄な抵抗、何時も通りのつまらない掃討、例に漏れない退屈な殲滅、もはや見飽きた圧倒的な破壊。それを只管繰り返すだけの作業。

 

最新型の空中戦艦とやらが出撃してこようとも、やはり変わらなかった。極黒の破壊光線の一撃であっけなく灰燼となり果てる。

 

最後は、空間震が引き起こされ、鼻孔を衝く惨劇の残り香すら纏めて消し飛ばされ、クレーターのみが残った。

 

しかし、今回の襲撃は幸運にも得る物があった。

 

次の目当てが定まったのだ。

 

場所は、太平洋ネリル島の実験施設。対象は、数年前から捉えられている第二の精霊〈シスター〉

 

 

 

 

 

 数日後、虚空に立ち島を見下ろすウルキオラと時崎狂三、そして影の大群。

 

反膜の庭で島全域を覆う。術者を中心に一定範囲を隔絶空間と為す結界。中からは脱出できず、外からは介入どころかも観察も出来ない。

 

時崎狂三の空間震や影の転移は使用不能になるが、他の精霊などの横槍や相手の速やかな増援も同様に無い。何より、最たる目的である第二の精霊〈シスター〉を持ち逃げされる憂慮も無い。

 

さあ、戦争(デート)を始めよう。

 

 

⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠⚠―――――

 

けたたましく鳴り響くサイレン。施設全体に随意領域(テリトリー)によって展開される強固な結界。

 

各所から迫り上がってくる地対空ミサイルの弾幕、即座に出撃し急ぎ陣形を整える新型の空中戦艦3廷。

 

ミサイルは悉くが時崎狂三たちに撃ち落とされていく。旧式ライフルに溜めた霊圧を上乗せした強化射撃なら、随意領域(テリトリー)で強化されたミサイルでも難なく貫通出来る。

 

空中戦艦についても、ウルキオラが斬魄刀を3度振るえば片づいた。黒崎一護のように、漆黒の月牙天衝を放ち、大破轟沈させていく。

 

島の施設を守護する大結界も、ウルキオラの王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)で破砕。

 

そして

 

結界に覆われていた敷地内にて準備万端で迎え撃たんと待ち構えるDEMが揃えた精鋭魔術師達。

 

自他共に認める当代№2の実力を誇り火力特化の新型試作機を纏うジェシカ・ベイリー、イギリスのSSSから急遽引き抜かれたミネルヴァ・リデル、etc.ちなみに、ASTのエースである神無月恭平にも声が掛かったようだが、この時点で既に姿をくらませていた。

 

ぶっちゃければ、アイザック・ウェストコットにとってはエレン以外は捨て駒としての消費を許容するに足る人員だった。正真正銘の当代最強魔術師(ウィザード)エレン・ミラ・メイザースであれば、精霊という災禍すらも凌駕し得る。彼としては、エレンが〈シスター〉を無事に守り通してくれさえすれば、他は島の全てまるごと失ったとしても良いとすら考えている。無論、バカ正直に伝達すような愚かな真似はせず、エレン意外には聞えの良い適当な鼓舞で士気を上昇させている。

 

もっとも、ウルキオラの隔絶大結界の所為で目論見はご破算だが。満を持して最後に登場しようと大物ぶった演出を企んでいたエレンだが、転移直前で結界を展開された為に参戦でき無くなったのだ。

 

まあ、この間抜けな失態のおかげで死なずに済むわけだが…

 

しかし、ジェシカ・ベイリーはこの不測の事態にむしろほくそ笑んだ。真後ろまで迫った生意気な後輩小娘(崇宮 真那)の猛追に焦り、大きな手柄を立てる機会を欲していたのだ。ミネルヴァ・リデルも同様に、愛憎捻れ狂った相手(アルテミシア・ベル・アシュクロフト)に追い縋ろうと必死になっていた。

 

 

「あらあラ、霊力がほとんど観測できないワ。随分とお疲れのようネ?まあ、『天使』を3回も連続使用したのだから当然よネ。あはははハ!」

 

ジェシカは並みの魔術師ならば1発撃つだけで難儀する対精霊ライフル〈CCC〉を両手それぞれに構え、ガトリングのように連射する。それでいて狙いは正確ときた。

 

「…この程度で俺を殺そうとは、舐められたものだ」

 

馬鹿正直に真正面からの斉射など、ウルキオラからすればいとも容易く全弾捌ききれるもの。これなら、虚夜宮(ラス・ノーチェス)の天蓋の上で石田雨竜が放ってきた光の雨(リヒト・レーゲン)の方がまだマシだった。

 

舌打ちしながら空のライフルを捨て、レイザーカノンに交換し撃ち放つ。

 

精々が最下級大虚(ギリアン)虚閃(セロ)と良い勝負と言った程度の威力だ。当然ながらウルキオラに通じるはずも無い。受け止めている左掌は無傷であり

 

「隙アリだ!『リング・ローゼス』閃剣形態(ストリング・スタイル)!!」

 

「!?…よくやったワ、ミネルバ!良い仕事ヨ!!」

 

極細でありながら強靱なレイザーワイヤーがウルキオラを束縛する為に雁字搦めに巻き付こうとした瞬間、ウルキオラの姿が爆散したのだ。

 

「「!!?」」

 

「――所詮はこの程度か…」

 

何のことは無い。ウルキオラは霊圧を一瞬だけ解放し響転(ソニード)で背後に回り込んだのだ。

 

気が付いたときには既に遅く、胴体が静かにスライドしていった。

 

 

残りの魔術師共も、時崎の分身体に大凡駆逐されていた。それでいて分身体の数は減っていない。

 

今回は途中で補充が出来ない為、鬼道を行使できる時期の比較的強い分身だけを投入していたのも大きいだろう。

 

「お師匠様」

 

時崎の本体が壊れかけの精霊(シスター)を横抱きした状態で歩み寄ってきた。

 

「見つけたか。…酷い有様だな」

 

治療、では事足りぬ。ならば、無かったことにする。

 

ウルキオラの『虚無』はとっくに気質や性分で収まる領域を逸脱している。ソレはあらゆる存在を完全消滅(ゼロ)に帰す。物理を超越した概念による強制干渉、事象の上書きである。

 

井上織姫の事象の拒絶と言う手本を見知っている。ならば、真似事程度は出来るはずだ。

 

DEMに因る蹂躙と陵辱の傷痕、一切合切を無かったことにする。

 

「――ありがと。助けたくれたことには、感謝するよ」

 

「あらあら、感謝というのなら、対価をお一つ頂けませんこと?」

 

「…対価、ねえ?」

 

「所謂『始原の精霊』に関する全ての情報だ。貴様の『天使』であれば調べるのは造作も無いのだろう?」

 

「何のために?」

 

「「殺すために」」

 

 

 

 




本条二亜

識別名:シスター
総合危険度:A
空間震規模:C
霊装:C
天使:S
STR(力):60
CON(耐久力):59
SPI(霊力):142
AGI(敏捷性):64
INT(知力):245
身長:168cm
スリーサイズ:B76/W59/H80

マテリアルより抜粋





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