虚無の魔神   作:千本虚刀 斬月

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5話 黒崎一護

 土蜘蛛との戦いから一月ほどが経過した。その間、ウルキオラは黒崎一護との再戦に備えて何度もシミュレートを重ねていた。

 

(まともに戦っては、やはり勝算は薄いか。パワーもスピードも虚化した奴の方が上回っている。長期戦も分が悪い。今の俺が勝つ方法が在るとすれば、あの時のように仮面を砕き虚化を解除するくらいしか無い。もっとも、それとて容易ではないだろうがな。)

 

そんなことを考えていると、覚えのある霊圧を感じ取った。その霊圧はウルキオラがコチラの世界で最初に触れたものだった。

 

(あの時の女か。大方、女狐に目をつけられて生贄として連れて来られたのだろうな。)

 

「・・・・・・あの女にはまだ借りを返していないままだったな。」

 

そう呟くと、ウルキオラは大阪城に居るであろう羽衣狐の所に向かう事にしたのである。

 

 

 

 

 

 

 ウルキオラが板張りの廊下を歩いていると、目的の部屋から一人の女が悲鳴を上げながら襖を開けて飛び出してきた。ウルキオラはその女を一瞥すると、何かしらの能力を保有しているのだろうと推測した。

 

 

貞姫は自分達が食われる未来を予知し、実際に目の前で宮子姫が食われる所を見てしまった。恐慌状態に陥り部屋から飛び出した所で、ウルキオラと言う規格外の存在を視てついに卒倒してしまったのだ。

 

 

もっとも、ウルキオラからすればそのような事情など知った事ではなく、そもそも興味も無い。故に、ウルキオラは卒倒した女の事など気にも留めずに部屋に入った。

 

「おや、うるきおらかえ。妾に何か用かの?」

 

羽衣狐は、ウルキオラを視て卒倒してしまった貞姫の生き肝を啜りながら聞いてきた。

 

「生き肝信仰などと言ったか。つくづく悪趣味な事だ。」

 

ウルキオラは相変らず憮然とした態度のまま答えて、まだ生き残っている2人の姫の方に眼を向けた。

 

「やはり貴様だったか。久しぶりだ、女。」

 

「は、はい。お久しぶりにございます、魔神様。」

 

このウルキオラと珱姫の会話に羽衣狐が興味を抱いた。

 

「ほう。お主等、知り合いであったのか?」

 

「・・・・この女には一つ、大きな借りがある。その借りを返す前に死なれては困る。」

 

「お主にも義理堅いところがあるんじゃなあ。これは意外よの。ホホホホホホ」

 

「御託はいい。」

 

「ふむ、お主は土蜘蛛に勝利した際の褒美を保留にしたままじゃったの。その褒美がこの女という事で良いのか?」

 

「ああ、それでいい」

 

珱姫はウルキオラに礼を言う。

 

「お助けいただきありがとうございます。」

 

「これで借りは返したぞ。それから、巻き込まれて死にたくなければ部屋の隅でおとなしくしている事だ。」

 

「へ?そ、それは一体どういう・・・・・・?」

 

ウルキオラは珱姫から羽衣狐に顔の向きを変え、告げる。

 

「たった今、2名が城に侵入した。後を追う形でそれなりの規模の妖怪の群れがこの城に向かって来ている。どうする?」

 

それを聞いた羽衣狐は、余裕の笑みを浮かべながら配下の妖怪達に命令を下す。

 

「不埒な愚か者達に、妖としての格の違いと言うものを見せ付けてやるがよい。」

 

そうして、妖怪達が臨戦態勢に移行しようとした瞬間、2名の侵入者はこの部屋に突入して来た。

 

 

一人は、匕首拵えの太刀を構える妖怪。奴良組総大将・ぬらりひょん

 

もう一人は、橙色の髪に黒い死覇装を着て、身の丈ほどの大刀を背負った青年・黒崎一護

 

 

 

「まさか、このような世界で再び見える事になるとはな。―――――――黒崎一護」

 

「この霊圧はやっぱりお前のものだったのか。テメェこそなんでこの世界に居やがる!?ウルキオラ!!」

 

「さあな。寧ろ、此方が聞きたい位だ。貴様こそ、どうやってこの世界に来た?」

 

「チッ、そんなの俺だって解んねえよ。気が付いたらいつの間にかこの世界に居たんだからな。」

 

「つまり貴様も、元の世界に返る手段は持ち合わせておらず、その方法も解らないと言うことか?」

 

「ああ。なんか期待させちまったみたいで悪いけどな。」

 

ウルキオラとしても、この答えには少々落胆した。

 

「・・・・・・まあいい。それで、わざわざこの城に来た理由は何だ?」

 

そこで今まで静観していたぬらりひょんが前に出てきた。

 

「ワシは奴良組総大将・ぬらりひょん。珱姫はワシの惚れた女じゃ。返してもらうぞ!そして今宵、羽衣狐を討ち取って、ワシが魑魅魍魎の主となる!」

 

ぬらりひょんのこの発言には、羽衣狐も穏かでは居られなかったようだ。

 

「血迷った逸れ鼠風情がほざきよるわ。精々妾を楽しませて見せよ。」

 

 

「黒崎一護、貴様の目的もあの女狐か?」

 

「まあそうだな。俺としてもソイツのやってる事は放っておけねえ。それに、ぬらりひょんと奴良組の連中にはいろいろと世話になってるからな。」

 

それを聞いたウルキオラは

 

「・・・そうか」

 

そう短く答えて、霊圧を開放しながら斬魄刀を構える。

 

「ならば、俺と貴様は敵同士と言う事だな。」

 

「やっぱりこうなっちまうのか。いいぜ、上等だ。あの時の決着、ここで付けてやるぜ!―――――卍解!!天鎖斬月!!」

 

 

 

ウルキオラと黒崎一護。この2人の、後世に伝説として語り継がれる事になる戦いが開始されたのである。

 

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