虚無の魔神   作:千本虚刀 斬月

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    己の刃(誇り)に   誓いを立てる


    俺が皆を   護ルンダ―――――


6話 冥府の鬼神

 

 黒崎一護は大刀・斬月を構え、霊圧を上昇させる。

 

 「―――――卍解!!天鎖斬月!!」

 

それと同時に、多くの妖怪達が部屋に突入して来た。どうやら奴良組に属する、ぬらりひょんの配下の妖怪達のようだ。そいつ等に黒崎一護は告げる。

 

「悪いけど皆は手を出さねえでくれ。コイツとは俺が戦う。」

 

「まったく。ヘタすりゃ総大将のワシより目立ちおって。ではソイツは任せたぞ、一護。」

 

「ああ。―――――――待たせたな。いくぜ、ウルキオラ。」

 

そう言うと、黒崎一護は瞬歩を使い、一気に距離を詰める。天鎖斬月を上段に構え、勢いのままに振り下ろした。だが、ウルキオラは余裕で受け止め、鍔競合う。

 

黒崎一護は鍔競合った状態で刀身に霊力を纏わせる。

 

「月牙天衝!」

 

ウルキオラは刀身を滑らせる事で月牙天衝を上方に受け流し、三段突きを繰り出す。狙いは眉間・喉元・鳩尾。黒崎一護も咄嗟に回避し、胴を薙ぐ。ウルキオラは響転で胴薙ぎを回避し、距離をとって虚閃を放つ。

 

「くそっ!月牙天衝!!」

 

黒崎一護は仲間が巻き添えにならないよう、ウルキオラの虚閃を打ち消そうとする。だが、月牙天衝が徐々に押し負けていく。

 

「ならもう一発だ!月牙天衝!!」

 

これによってウルキオラの虚閃は相殺された。

 

「ほう、月牙の連撃とはな。少し驚いたぞ。」

 

今度はウルキオラが響転で距離を詰め、垂直に斬撃を放つ。黒崎一護は紙一重でその斬撃を回避するが

 

「甘い!」

 

直後に、一歩踏み込みながら袈裟懸けに切り上げる。俗に、燕返しと呼ばれる切り返しの技法である。黒崎一護は切り返しを回避しきれずに、脇腹を浅く切り裂かれた。

 

「だったらコレで如何だ!!」

 

黒崎一護は月牙を刀身に纏わせたまま斬りかかって来た。ウルキオラは刀身の側面を弾く事で、月牙の斬撃を逸らす。コレによって生じた黒崎一護の僅かな隙を見逃す事無く蹴り上げる。天井どころか天守閣まで突き破り、月下に投げ出された黒崎一護を追いかけて、体勢を立て直す前に虚閃で追い討ちをかけた。もっとも、多少のダメージを与えた程度に留まったが。

 

「無駄だ。今の貴様では何をしようと俺には勝てん。」

 

「うるせえ!」

 

そう言うと、黒崎一護は懲りずに月牙を刀身に纏わせる。だが、今度は斬撃では無い。突進しながら片手平突きを放ってきた。

 

「!・・・小賢しい。」

 

ウルキオラは体をそらす事で黒崎一護の牙突をかわし、カウンターで首へと刃を走らせる。黒崎一護は辛うじて防御に間に合い、再び鍔競合う。

 

その状態のままウルキオラは左手で虚弾を8発ほど放つが、黒崎一護は何発か被弾しながらも瞬歩で距離をとった。

 

「くそっ。なめんじゃねぇぞ!――――――月牙!!天衝!!」

 

恐らくは、今の黒崎一護にとって最大の月牙なのだろう。初戦時で放ってきた仮面を着けた状態での月牙を僅かだが上回っている。通常の虚閃では相殺しきれないだろう。すでに高度1500メートルの上空で周囲を巻き込む心配は無い。ならば

 

「――――王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)

 

ウルキオラの王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)は黒崎一護の月牙天衝を飲み込み、しかし直後にかき消された。仮面を着けた黒崎一護によって。

 

「刀剣解放も無しでコレかよ。グリムジョーが十刃にのみ許された最強の虚閃って言ってただけあって馬鹿げた威力だぜ。」

 

「ようやく本気を出す気になったか。」

 

そう言うとウルキオラは斬魄刀を解放した。

 

 

「―――――――鎖せ『黒翼大魔(ムルシエラゴ)』」

 

 

 ウルキオラは漆黒の双翼を展開し、右手に碧光の槍・フルゴールを形成する。対する黒崎一護は先手必勝とばかりに、刀身に全力の月牙を纏わせて正面から突撃してくる。

 

「舐めているのか?」

 

ウルキオラはフルゴールで受け止めようとしたが、衝突の寸前で黒崎一護は瞬歩で背後に回り、月牙の斬撃を頭部に振り下ろす。だが、ウルキオラは黒翼で受け止め、フルゴールを横薙ぎに振りぬいた。黒崎一護は斬撃こそ防御したものの、衝撃までは受け流せず吹き飛んだ。

 

「成る程。前回の戦いから少しは学習したようだな。だが、教訓を得たのは貴様だけではない。」

 

そう言うとウルキオラは指先から真黒の極光を打ち放った。

 

黒虚閃(セロ・オスキュラス)

 

黒崎一護は暗闇の本流に飲み込まれたことで仮面が砕け散ったが、咄嗟に月牙を放ち威力を減殺した事で辛うじて地に墜落する事無く踏みとどまった。

 

「ぐ・・・くそっ、霊圧は前の時よりもずっと小さいのに威力は段違いに上がってやがる。どうなってんだよ!?」

 

「簡単な事だ。戦闘中に相手から感じられる霊圧とは、ソイツが制御しきれずに垂れ流し、空費している分の霊力だと言うことができる。」

 

「そう言う事かよ。つまりテメェはその制御しきれずに垂れ流してた分の霊圧まできっちり戦いに使える様になったって訳だ。」

 

「まだ完全とは言いがたいがな。それでも、以前と比べれば精密な制御が可能だ。」

 

ウルキオラはフルゴールを構え、黒崎一護は再度仮面を出す。だが、そこから先は戦闘と呼ぶには些か一方的な展開であった。ウルキオラのフルゴールによる斬撃と黒翼の殴打に対し、黒崎一護は反撃もままならない。

 

 

 

 

「今ので、仮面が割れたのは3回目。だと言うのに、まだ戦う意思と力があるとはな。相変らず諦めの悪い男だ。」

 

「前にも言ったハズだぜ、ウルキオラ。俺は絶対に諦めねぇ!勝たなきゃいけねぇから勝つんだよ!!」

 

「・・・そうか、だが今の貴様では無理だ。あの時の姿に為らない限りはな。――――――黒虚閃(セロ・オスキュラス)

 

黒崎一護は黒虚閃をまともに食らった。今までの戦闘で蓄積されたダメージと併せれば間違い無く致命的だ。黒崎一護が奈落の底まで堕ちていく様をウルキオラは冷静に見据えている。

 

(奴がこのまま死ぬのならそれもいいだろう。だが、恐らくは―――――)

 

案の定、黒崎一護の霊圧が爆発的に上昇し、質も完全に虚のものに為り変る。

 

「グオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」

 

黒崎一護が完全虚化したため、ウルキオラは二段階目の刀剣解放・刀剣解放第二階層になり、雷霆の槍(ランサ・デル・レランパーゴ)を形成して構えた。

 

次の瞬間には真後ろに黒崎一護がいた。しかも、既に刀を振りかぶった状態で。だが、ウルキオラはその斬撃を雷霆の槍で防ぐ。まともに受け止めては衝撃で吹き飛ばされてしまうため、攻撃の軌道を逸らして受け流す事で対処する。それと同時に長く伸びた尾で黒崎一護を強かに打ち据えて、響転で距離をとる。

 

(やはり事前にシミュレートを重ねておいて正解だったな。でなければ対処し切れなかったかもしれん。)

 

ウルキオラがそう考えていると、黒崎一護が双角に霊力を収束させていく。

 

「・・・舐めるな!」

 

ウルキオラは黒虚閃(セロ・オスキュラス)を放つ事で黒崎一護の虚閃を相殺する。砲撃面ならば今の両者は拮抗していた。しかし、パワーとスピードは黒崎一護が上である。それを黒崎一護は本能で理解している様で、接近して白兵戦を仕掛けてくる。だが、ウルキオラも上手く護る。

 

(今の黒崎一護は霊圧こそ強大だが、戦術的な駆け引きなど何もない。霊力の流れを細かく観察すれば次の動きを予想し、対処する事は不可能では無い。)

 

しかし、黒崎一護の攻撃に対して、徐々にではあるが対応仕切れなくなって行く。純粋なスペックならば黒崎一護の方が遥かに上なのだ。おまけに自分以上の超速再生まで有している。流石に、駆け引きと技術で埋めきれる差ではない。

 

(このままでは此方が斃されるのも時間の問題だな。仕掛けるなら余力の残っている今しかないか。)

 

ウルキオラはそう判断し、再び距離をとる。黒崎一護もそれを見て、双角に霊力を収束させていく。

 

「グオオオオオオォォォォォォォ―――――!!!」

 

「――――王虚の閃光(グラン・レイ・セロ)

 

今度は、ウルキオラの全力で放った王虚の閃光が黒崎一護の虚閃を消し飛ばした。ウルキオラは後退し体勢を立て直した黒崎一護に最速で迫るが、黒崎一護がカウンターとして虚閃を撃つ。だが、その砲撃はウルキオラをすり抜けた。そして次の瞬間には背後から片角を切り落としていた。

 

 

双児響転(ヘメロス・ソニード)―――――響転に特殊なステップを加えることで、残像による分身を作り出す技である。もっとも、ウルキオラのソレは即興の物まねである為ゾマリ・ルルーの域には及ばない。

 

 

 

片角を失ったことで黒崎一護は虚閃を制御できなくなり、暴発した。仮面は砕け散り、虚化が解除された事で黒崎一護は正気を取り戻した。

 

「剣を取れ、決着を付けるぞ。黒崎一護。」

 

「ああ。―――――いくぜ、ウルキオラ。」

 

二人が正対し構えた所で、空間に孔が開いたのだ。しかも、ウルキオラの直ぐ近くに。孔は空間に亀裂を走らせながらどんどん広がっていく。

 

「「!!」」

 

想定外の自体に加えて先程までの戦闘による疲弊で二人は諸共に空間の孔に飲み込まれてしまったのだった。

 

 




次回からようやく本編に入ります
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