ウルキオラは今、豪邸の一室で羽衣狐と対面していた。周りには配下の妖怪達も居る。
「久しいのぅ、ウルキオラ。」
「・・・ああ、そうだな。400年の間に多少のメンバーの入れ代わりがあったようだな。」
ウルキオラはそう言うと、頭部に巨大な目を持つ老人の姿をした妖怪に眼を向ける
「フェッ、フェッ。こうしてお会いするのは初めてですかな、ウルキオラ殿。ワシの名は鏖地蔵と申します。」
一見恭しい態度に見えるが、ウルキオラの直感が鏖地蔵に対する嫌悪感と警戒心を抱かせた。
(癇に障る奴だ。妙な素振りを見せたら殺すか?)
ウルキオラがそんなことを考えていると羽衣狐が声をかけてきた。
「さて、ウルキオラよ。貴様には色々と聞かねばならん事がある。400年前は素性まではあえて深くは詮索しなかったが、アレを見せられてはそういう訳にもいかんからな。」
「・・・・・いいだろう。まず、俺はこの世界の妖怪ではない。こことは違う世界、虚圏から来た。気が付いたらこの世界に居たと言うべきか。」
「ほう、興味深いな。となるとお主は異世界からの漂流者という事になるのか?」
「ああ、そんなところだろうな。」
「それで、その虚圏とやらは一体どのような世界なのじゃ?」
「口で説明するより見た方が手っ取り早い。」
ウルキオラはそう言うと、自分の眼球を抉り出して握りつぶした。すると、妖怪達の脳裏に映像が浮かんできた。夜の砂漠に、体に孔を開け白い仮面を被った化物共である。
「この化物共は
次に、同じ仮面をつけた黒い巨人の集団の映像に切り替わる。
「
「面白いな。して、お主の階級はなんじゃ?あれ程の力を有している事を考えると最上級大虚かの?」
「俺は
「成程な。で、お主は十刃なのじゃろ?何番手なのかの?」
「
ウルキオラの告白は、京妖怪達にとって余程衝撃的だったらしい。羽衣狐以外の全員が絶句している。
「大阪城での戦いの時、凄絶なほどの妖気が溢れ出したと思うたら、その刀が消え失せてお主が変身しおったのはどういう訳じゃ?」
「ああ。この刀は斬魄刀といってな、破面化する際に、虚としての肉体と能力の『核』を刀状にして封印したものだ。故に、破面の斬魄刀解放は自身の真の姿と能力の解放を意味する。」
「ちなみに、十刃にはそれぞれが司る死の形がある。それは人間が死にいたる10の要因で、十刃それぞれの能力であり思想であり存在理由でもある。」
「ふむ。10に及ぶ死の形とな?」
「ああ、そうだ。第10十刃から順に、憤怒を司るヤミー・リヤルゴ、強欲を司るアーロニーロ・アルルエリ、狂気を司るザエルアポロ・グランツ、陶酔を司るゾマリ・ルルー、破壊を司るグリムジョー・ジャガージャック、絶望を司るノイトラ・ジルガ、虚無を司る俺、犠牲を司るティア・ハリベル、老いを司るバラガン・ルイゼンバーン、孤独を司るコヨーテ・スタークだ。」
京妖怪達の脳裏に10人の破面が順番に浮かび上がる。
「なんというか、想像よりもアレじゃな。ウルキオラは特にだが、全体的に白っぽいのぅ。妾としては白より黒の方が好きなんじゃが。」
羽衣狐のこの感想にはウルキオラも少々呆れた。
「・・・・・・知るか」
(まさかと思うが、依代に引きずられて中身まで幼くなっているのか?)
「次は、あの鬼神について聞かせてもらおうかの。」
「奴の名は黒崎一護。俺にとって宿敵と言える死神(代行)だ。コチラの世界ではどうか知らんが俺の世界の死神とは、浮幽霊を成仏させ霊界に送り届けたり、虚を斃す事で世界の霊的な均衡を保つバランサーでもある。黒崎一護は破面の逆で、死神でありながら虚化の能力を修得している。」
「では奴の持っていた剣はなんじゃ?身の丈ほどの出刃包丁のような大刀から漆黒の長刀に変化したが、死神とは皆あのような能力を有しておるのか?」
「死神達の斬魄刀は破面のソレとは異なり、虚を斬り伏せることで、虚となってからの罪を濯ぎ、その魂を元の人間のものへと戻し尸魂界へと送るモノだ。一段階目の斬魄刀の能力解放を始解、二段階目の能力解放を卍解と言う。解放後の形状や特殊能力は斬魄刀ごとに千差万別だ。卍解状態の戦闘能力は一般的に始解の5倍から10倍にも及びうるらしい。」
羽衣狐は一通りの説明を聞き終えて、少しの間瞑目し、思考に耽った後にウルキオラに訊ねた。
「ウルキオラよ、その黒崎一護とやらは再び我等の前に立ちはだかると思うか?」
「ああ、ほぼ間違いなくな。」
明確な根拠は無い。だが、ウルキオラはその時になれば黒崎一護と再び見える事になると確信していた。