艦隊の咆哮 〜戦場を彷徨う鋼鉄の漂流者〜   作:正海苔

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4-10 月夜を照らす幻視の海

10月14日 0300時 サマール島北東300キロ沖合

 

サンベルナルジノ海峡を通過した艦隊はその近海に航行中だった。横須賀機動艦隊と合流を果たしたが…横須賀の艦娘達は大湊護衛旗艦を務める伊勢に聞いてみた。

 

……出雲はどこに!行ったんだと!?

 

実は、機動艦隊の艦娘達にはこの作戦内容の話をしなかったのだ。

多分作戦どころじゃないだろうと。

 

同然この話を知っているのは提督に八雲、信濃だけだった。

(シンディーは八雲から話を聞いたらしい)

 

「それでは私達、大湊基地の艦隊は共同で敵機動艦隊の攻撃に参加します。」

 

そして、大湊の大和は伊勢達に話した事を提督にも話してみた。

「萩沼提督お願いがあります。」

 

萩沼提督は多分、出雲を大湊基地へ出向に来てもらえないかという話だろうと伊勢から聞いてそう思った。

 

「大和さん、そちらの提督からは何か話ありましたか?」

 

「いいえ、まだこの事は話してないです。」

 

「分かりました、深沢提督と1度話してみましょう、その時大和さんからも話してもらえないでしょうか?出雲もこの話しを聞けば快く協力して来るからね」

 

「分かりましたありがとうございます」

 

後日、作戦終了後に萩沼提督は深沢提督と連絡を取り合い横須賀帰還後に2週間そちらへ派遣させると言うことで、言質と承諾を取り付けた。

 

同時刻 スリガオ海峡北

ディナガト島西部10キロ沖

 

出雲は海峡に展開していた艦艇と待ち伏せをしていた魚雷艇を全て撃破して、いよいよ超兵器「シャドウプラッタ」と対峙していた。

 

これを叩けば、レイテ湾へは目前でありサマール沖に展開する敵機動艦隊を挟撃することができる。

 

シャドウプラッタもそれは十分に理解(・・)していたし、最悪は同行していた艦艇と機動艦隊をマリアナ諸島へ逃がすことが出来れば勝機は十分にあった。

 

「艦長、敵超巨大光学迷彩戦艦(シャドウプラッタ)を捕捉しました。距離は約4万5千です」

 

「随伴艦艇は?」

 

「レイテ湾の手前にあるホモンホン島南東10キロで待機していますね超巨大強襲揚陸艦もそこにいます」

 

「取り敢えず優先順位は……」

 

「超兵器を最優先で撃破、ですか?艦長」

 

「その通りよ、砲術長、奴らに先手を取る主砲射撃用意して弾種は任せる」

 

「では通常弾と91式で、小型レールガンは常時揚陸艦に照準を合わせながら射撃開始致します。」

 

「よし、それで行こう、CICは敵艦艇の航跡と全体的に監視を行なってちょうだい」

 

「こちらCIC了解しました。」

「副長、再度すまないが、操艦の指揮を任せるよ」

「分かりましたお任せを」

それからすぐ、主砲射撃の用意が出来たと砲術長から連絡を受けた。

「さて、先手必勝やりますか、一撃必殺、撃ち方始め」

「了解、前部主砲射撃始め〜」

 

ズドドドドォンー

 

同日 0330時

前部と両舷側に設置している61センチ砲から砲煙と轟音を立てて、射撃を開始した。

 

狭い海峡で、超兵器同士(・・・・・)の殴り合いのゴングが鳴り始めたのである。

 

ヒュルルルー

 

「しまった‼︎……うっひゃー、チクショウめこちらも撃ち返すぞ、全兵装射撃用意」

 

「それでは、光学迷彩の意味が……」

 

「もう遅い、とっくの昔に奴に(出雲)捕捉されてる」

 

「敵艦、発砲着弾まで57秒‼︎」

 

「ちっ、回避急げ‼︎」

 

艦を急速前進するとその背後から100M近くの水柱が30本上がった。

 

「あっ危ね〜、あんなの喰らったら光学兵器に使う電力が無くなるわ」

 

「艦長、新型エレクロンレーザーと8連装ミサイル、280ミリAGS射程に入りました。」

「よし、直ちに射撃を開始しろ」

 

そして、黄緑色の螺旋状した青いレーザーが一気に出雲に襲い掛かった。

 

「ん?……やっべ、敵艦レーザー発射‼︎」

「げっ!マジ?」

 

ガィィィン

 

レーザーは左舷側に命中して、明後日の方向へ弾き返した。同時に280ミリAGS砲弾が出雲に向けて襲い掛かったのだ。

 

ゴンゴンゴンゴンゴンゴン

 

「なんかむかつく、応急管制室!蓄積率状況を教えて」

 

「現在、シールド蓄積率が78%ですレーザー攻撃を連続して受けたら確実にシールドが崩壊します。」

 

「わかったありが「艦長、ミサイル接近中です!数は80、距離は3万8千‼︎」ブレダロケット砲からチャフ妨害弾と欺瞞弾を発射、対艦ミサイル迎撃始め」

 

CIC内にあるESM管制からすぐさまロケット弾が発射され、それと同時に127ミリ速射砲、57ミリバルカンとダルド・システムの40ミリ連装機関砲、Sea RAMが同時に対艦ミサイルを迎撃、破壊する為に放たれていった。

 

「敵対艦ミサイル7割撃破、残り24本‼︎」

 

「パラシ迎撃始め」

 

それぞれの対空火器が迎撃するが最後の1発が命中した。

 

たが…それでも61センチ砲と203ミリ速射砲は引き続き超兵器に向けて射撃を継続している。

 

「シールド蓄積率94%です」

(やっこ)さんは?」

「シールド蓄積率72%です」

「わかった」

 

出雲は少し焦り始めた、何故なら本来なら戦闘後ある一定の時間を置いてから再度戦闘に望んでいたが、昨日のレイテ湾砲撃から現在に至るまで戦闘を継続(・・)したままだったのだ、これが出雲が持つシールドの唯一の弱点だった。

 

そして、本人の頭の中では一瞬だったが……悟ったかのように考えた。

 

(ならばこちらの手持ちの火力を全て奴にぶつければ……或いは刺し違え覚悟で衝突(・・)させるしかないかなぁ〜、まぁそん時は腹くくればいいかな)

 

同時に小型レールガンを揚陸艦に向けて射撃をまだ継続していた。直接視認は出来ないが、どうやら衛星画像によると殆ど命中はしているが自分達と同じシールドを展開している為少し時間がかかった。

 

だが……揚陸艦の強みでもあるウェルドックのハッチが破壊されそこから大量の海水が流れ込み、再度レールガンの砲撃を艦内内部に直接攻撃を受けた為か、最終的に艦内内部の弾薬庫から大爆発を起こして海中に沈んでいった。

 

そんな中、CICから朗報が舞い込んで来た。

 

「CICから報告です。超兵器デュアルクレイターを撃沈したと、衛星画像でも確認が取れました。どうやらウェルドックのハッチが破壊されて砲弾が艦内に浸入し、被害が拡大したようです」

 

「これで後顧の憂いは消えたか……残りは彼奴(あいつ)だけか、早いとこ沈めてこの戦を終わらせよう」

 

同時にデュアルクレイターが沈んだ事はシャドウプラッタの耳にも入り、艦内は騒然としていた。

(まさかこんな早くもクレイターが沈んだか…嘆いても仕方ない)

 

「艦長、ブルネイ泊地艦隊から連絡です。予定より1時間早くスリガオ海峡を通過し終わると……です」

 

「おいおいおい、早いよそれ〜もうちょいゆっくりとくればいいのに、そこの提督は馬鹿かよ?今の状況を読めやっつうの」

 

「どうします?」

「仕方ない、大急ぎで奴を沈めるぞ、いいな!」

「「「おー」」」

 

お互いの距離が15キロを切り始めた時に……

 

「水雷長、左舷魚雷発射菅全弾、発射用意」

「何をするんで?」

「奴は本船に魚雷は積んでいまいと思っている……筈だ、博打を超えたやり方だがな」

「分かりました。準備しときます」

 

「シャドウプラッタは一度本船とすれ違いになり、背後から攻撃する筈だ。俺たちはそれを利用しそれを狙う、勝負は1回きりだ」

 

そしてそれを副長に伝えシャドウプラッタと左舷側で、すれ違いになるようにしてくれと頼んだ。

 

同時に左舷側魚雷を全弾発射させろと……水雷長にも伝えて。

 

向こうも自分達と同じ考えだったのか、左舷側を通過するにして動いていると確信した……だが、これに失敗すればもう後が無いと。

 

「間も無く、シャドウプラッタとすれ違います。」

「水雷長、一発勝負だ外すなよ」

「奴に日本海軍水雷魂を見せてやりますよ」

「射程まで……3…2…1、今だ魚雷全弾発射‼︎」

 

出雲とシャドウプラッタとの距離は、8500M文字通り魚雷を放ち命中させるには充分な距離である。

 

「た、大変です、出雲から魚雷が放たれました。」

「なんだと、回避急げ」

「ダメです誘導魚雷です」

「くっそ、ここまでか」

 

10月14日 0445時

 

30本の誘導魚雷が全てシャドウプラッタに命中し、止めに出雲からの一斉射撃により敢え無く撃沈した。

 

「……出雲…」

「なんだ?」

「貴様に伝えておくことがある」

「なんの?」

「貴様が函館にいると知ったのは、政府や国防省(・・・・・・)には我々と深海凄艦に内通する者達が大勢いる……気を付けろよ」

 

この言葉が後に大きな波紋が事実となってやって来るのは、深海棲艦の戦いを終える頃に知ったのだから。

 

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