フランカフェの日常   作:杉崎 三泥

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ツイッターで決めた準レギュラー設定回となっております。


拾壱の巻 「はらいたまえー!」「きゅーっ!?」

「ボンジュール!いらっしゃいませでござるー!」

 

 『メイドカフェの島』。たくさんの喫茶店があちらこちらに乱立する島。この島にとある調査でお店を経営するという形で島に住んでいる者たちがいた。そのお店の名前とは…。

 喫茶店「フランカフェ」。それが店の名前である。

 

 

 

 

 

 

 後日、シャオフーの件についてフランが里に報告をしたところ、

 

 「報告ごくろう、こちらで準備を進めるので経過観察を続けよ」

 

 と、連絡が返ってきた。

 

 この世界では、数え切れないほどの多くの島が複数存在する。それらの中にはもともと何もなかった島であったり、誰が作ったかもわからない施設が最初から存在するものもある。そういったところに人が存在するようになるには、最初の一人がその島の土を踏んでから約数年というごくわずかな時間だ。

 そして、島によってはその島特有の発展の仕方をするのだが、その発展の方針のほとんどはその島に一つだけ存在する特殊なルーンが大きく影響する。この島の場合、その特殊なルーンがすなわち平和のルーンということだ。

 

 さて、こういった特殊なルーンはその特殊さゆえにわからない部分が多く、その実態の研究、管理を行うことが多い。

 しかし、この島では研究の跡があれども()()()()()()()()()。そう、前回の調査で分かった通り、平和のルーンに至る道には魔物はいても人の姿はなかった。これがこの世界では特に異常だということがわかるだろう。

 代わりにあったのは誰にも近づかれないようにする結界と研究室。もちろん、調べてない部屋がいくつもあったため、調べれば何かわかるかもしれないが研究室とはいえ、結局は洞窟の中だ。下手にこわそうとすれば洞窟が崩れる。

 調査の後、なんとか電力を流すことで研究所の機能を復帰させようとしたのだが、電力を流していたと思われる施設は取り壊されていたため、真相は闇の中となった。

 

 そういったいろいろな理由が重なったため、フランたちは里の連絡待ちということとなった。

 実質的には休暇に近い。もちろん、お店を休業日にして羽を伸ばすというのも彼女たちの選択肢にはあった。しかし、彼女たち自身がお店をやりたいということでフランカフェは休業することなく営業を続ける運びとなった。

 

 

 

 

 

 シャオフーの過去話から数日後。

 

 これといった大きい事件もなく、「闇」による影響も比較的少ないこの島はこれでもかというほどサンサンと輝く太陽のもとで普段と変わらない時間が流れていた。その様子はフランカフェも例にもれず、いつもの通りお客さんが来ていた。

 

 時は昼に差し掛かったくらいのころ。この数か月でくるお客さんにも新規の人は少なくなり、お店の中のほとんどは常連客となっていた。

 この日に来ていたお客さんはここ数日で毎日来ている『3&PEACE&LOVE』とプリントされたTシャツを着ている青年と鬼の2人組。ほかの席にはマグマジンの人と時短の人であった。

 前者の二人組は『一眼レフ』というものを入り口に向かって構えながら鬼気迫る表情で待機していた。傍らには高いコーヒーが一杯だけおいてある。その表情はまるで剣術を学んでいる門下生が剣を振るその一瞬を見逃さないようにしているようであった。カフェにきてこの二人は何をしているのだろう。

 なお、後者の二人組はまったりと本を読んでいたり、薄い長方形の板で遊んだりしながらコーヒーを飲んでいた。

 

 ここ最近ではそういった常連客くらいが昼にいるのだが、今日は別のお客様がいた。そのお客さんは一度ここに訪れている星たぬき好きの彼女だ。

 

 「それでですね!大工たぬきさんのお母さんも元気で二人とも幸せそうだったんですよ!いやぁ、星たぬきさんもいろいろな方がいるのは知っていましたが、家族で過ごす星たぬきさんなんてそうそう見れませんよ~…見てるこっちまで幸せですよ~…」

 

 嬉しそうに大工たぬきの話をする彼女はポン。以前、彼女は星たぬきのイベントでこのフランカフェを訪れたことがあり、今日、再びお店に来ている。

 

 「そうなんでござるか~セッシャも今度、一緒に行っていいでござるか?」

 

 ポンの話に以前見かけた大工たぬきの様子を思い浮かべながら、そう提案する。すると、それを聞いたポンは笑顔を輝かせながら、

 

 「是非!できた秘密基地のことを話したら大喜びで、様子を見に行ってみたい、とおっしゃっていたので3人で行きましょう!」

 

 と、言った。その二人の様子をはたから見れば、姉妹のようにも見えるほど二人は仲好く話をしていた。

 すると、ポンがふと何かを思い出したようで、

 

 「そういえば、フランさんフランさん」

 

 「ん?なんでござるか?」

 

 「この島で住みやすい物件とかありませんか?」

 

 と、聞いてきた。

 もちろん、フランたちはこの島の調査でいろいろなところに行っているため、いくつか情報を持っているのだが…

 

 「あるにはあるでござるが、誰かがこの島に住みたいのでござるか?」

 

 と、フランは疑問に思った。仲良しのポンのお願いであるし、紹介は別にかまわないのだがちょっとした好奇心がフランをそうさせた。ポンの方も特に聞かれて困ることではないので、フランの質問に答える。

 

 「ええ、実は…」

 

 と、ポンがその内容に答えようとしたところで、

 

 

 カララン

 

 

 と、お店の扉が開き、最近ドアにつけたベルを鳴らしながら長い黒髪の凛とした少女がお店の中に入ってきた。ちょうど近くにいたスイカが対応に向かう。

 

 「いらっしゃいませー!お一人様ですか?」

 

 「いえ…実は友達が来ているはずなのだけれど…」

 

 入店してきた黒髪の少女は学校の制服のようなものを着ており、店内を見渡す。すると、丁度フランとポンが話している辺りを見て、少しばかり安堵の息をつきながら、

 

 「見つけたわ、ありがとう」

 

 「はーい!ごゆっくり!」

 

 と、スイカに礼を言ってそちらのほうへ向かう。フランたちの方もその少女が誰かに気づいたようで、気軽に話しかける。

 

 「おぉ、カスミ殿ではござらぬか!ボンジュールでござる!」

 

 「フラン、久しぶりね。元気?」

 

 「見ての通り元気でござるよ~。そちらもお変わりなく~」

 

 フランとカスミは同じ茶熊学園に通う生徒だ。任務のためにしばらくの間学園には行けていないが、それでお互いのことを忘れるほど彼らの友情は甘くない。

 もちろん、その関係でこの二人は関係あるのだが…

 

 「こんにちわ、カスミさん!例の件ですが、フランさんがいいところ知ってるらしいですよ!」

 

 と、ポンがカスミに話しかける。

 

 「そうなの?聞いてくれてありがとね、ポン」

 

 「いえいえ、私も一緒に住むのですし当然ですよー」

 

 と、仲良さげである。また、フランが二人の話を聞いて察したようで、

 

 「もしかしてでござるが、お二人が住む物件でござるね?」

 

 「はい、そうです!」

 

 フランの質問にポンが笑顔でそう返す。カスミも同様にうなずき、フランが理由を聞きたそうにしているのに気付き詳しく説明する。

 

 「ええ。フランはこの島の中央に大きな図書館があるのを知ってるかしら?」

 

 「オーララー、知っているでござるよ?」

 

 この島では島につけられた名前だけあって、多くのメイドカフェが存在するが、決してそれだけしか存在しないわけではない。いたって普通の施設も少なくなく、島の中央以外にも小さな図書施設は存在する。

 

 「その図書館の司書さんが知り合いでね?実は少し体調を崩して休んでて、代わりに任せたいって言われてね。数か月ほどここに滞在させていただくことになったの」

 

 体調は特にひどいわけじゃないんだけどね、とカスミが苦笑いしながらそう付け加える。

 

 「で、滞在するにあたってその司書さんのところに一緒にいさせてもらおうと思ったんだけど、『病気をうつすかもしれないからだめです!』って言われちゃってね。いろいろ調べてたみたいなんだけど、どうも大きすぎて合わなくてね」

 

 司書さんの心遣いはありがたいのけど…と苦笑しつつカスミはそう話す。

 

 「それで、丁度ポンがこの島に住もうか考えてるって話を聞いて…ね?」

 

 と、カスミはポンに視線を向ける。

 

 「はい!実は以前イベントに来た時にこの島では星たぬきが街で住んでいるのを見て、とてもうれしくて思わず、ここはタヌキストの理想郷(ユートピア)ではないかと思い、ここに住むことを考えていたところにカスミさんのお話を聞いて決心したのです!」

 

 星たぬきたちは今でこそ、その無害性を主張されており人達に受け入れられてはいるのだが、いまだに魔物という要素が残り、島によってはその存在を許していないところも多い。さらにいえば、魔物が住む場所など普通は存在しないのだから、この町はポンにとっては楽園に等しい。

 物件を探すに至る経緯をポンが目を爛々と輝かせ説明し終わったところで、フランがなるほどなるほど、と目をつむりながら大仰に頭を縦に振り、

 

 「わかったでござる!とっておきの物件を紹介するでござるよ!」

 

 と、息巻いていた。

 ちなみに、厨房の方で話を聞いていたミカンが

 

 「うちはだめなの?」

 

 と、聞いていたのだが、空きはあるがさすがに任務で借りている建物であるので、2人を泊めるわけにはいかない、と男の忍者さんから説明されていた。

 

 それから1時間ほど3人はカウンター席でフランにいろいろな施設を紹介してもらう形で話し合うこととなった。カスミとしてはできる限り中央に近いところがよく、ポンはどこでもいいという話だったのだが、島としての活気がいいこの島では色々なお店の集まる中央付近の物件には当然人も多く、2人が住める物件となるときゃや厳しいということとなった。

 ひとまずはフランたちのお店に近い物件で過ごす運びとなった。なお、フランカフェの位置は中央から見て近くもなく、遠くもなく、といったところである。

 2人はそれで満足ということで、あとの時間で軽く談笑したのち、2人はその施設の管理人さんへ会いに行った。

 

 

 その後、ティータイムくらいの時間になると、ユッカがアヤメとお茶を飲みに来ていた。ユッカ曰く、あっちの世界の時計塔での日々も楽しかったけど、こっちの時計塔も面白いね!、とのことだ。

 ただ、やはり腕は確かといっても相変わらず彼女の修理の仕方は独特らしく、ハンマーでいろいろやってて周りがそのたびにひやひやさせられているらしい。もちろん、工具を使っている風景も見られ、最終的には治っているから問題はないのだが、彼女に対して修理仲間全員が口をそろえて言ったのは、

 

 『なんか釈然としない』

 

 だ、そうだ。もちろん、ユッカ自身に悪気はない。だからこそ、仲間たちも何も言えないそうだ。

 

 さて、最近ではほぼ毎日のように来ているユッカはアヤメとユッカの持ってきたお茶菓子に舌鼓を打ちながら、話題の尽きることなく楽しく話しているのだが、一方で真剣な表情で写真を撮る2名がいた。

 

 そう、カメラを構えた2名である。

 

 入店時から全力で写真を取っていたようで抜かりはないそうだ。その表情には鬼気迫るものがある。

 その様子を遠くで見ているリンゴはというと、

 

 「………………まぁ、私には関係ないな」

 

 と、傍観することを決め込んだのであった。

 

 

 

 ちなみに余談だが、この日、お店が閉店するころにガレアも来ていた。マールは連れていないようで何をしに来たのかはわからないのだが、男の忍者のほうがフランたちのほうへ、お疲れ、と挨拶をしたのちにガレアと楽しそうにどこかへ向かっていった。いつの間にそんな交友関係ができたのか、とフランは首をひねっていた。

 また、この日の夜に体の奥を震わせるの振動音が2つ街を駆け抜けた。人々はその振動音が何かはわからないが、新手のゴースト系の魔物ではないかという噂が町を駆け抜けたという。正体不明の振動音は数日の間、町を駆けまわっていたが、窓からその様子を見た住人曰く、

 

 「2人の人が何かに乗ってすごい速度で走っていた」

 

 とのことだ。

 

 ちなみに、その正体はルーンで動くバイクに乗ったガレアと男の忍者であったのだが、それがわかるのはまだ先の事であった…。




 というわけで準レギュラーはポン、カスミ、ユッカの3人でお送りします。登場頻度はゲストより多めにするつもりですが、もしかしたら忘れるかも。その場合はご容赦ください…。
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