フランカフェの日常   作:杉崎 三泥

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漆の巻 「ジャックポ~ット♪」

 「ボンジュール!いらっしゃいませでござるー!」

 

 『メイドカフェの島』。たくさんの喫茶店があちらこちらに乱立する島。そんな中、裏の忍者のお仕事も進展し、最終局面に向かうのかもしれないお店があった。その店の名前とは…。

 喫茶店「フランカフェ」。それが店の名前である。

 

 

 前回、イシュプールから情報をもらい、山への調査に赴くこととなった忍者一同。しかし、結界が厳重であったり、侵入経路が隠されていたことを考えると何があるかはわからない。なので、侵入の日時をフランたちは1週間後とし、それまでは英気を養うこととなった。

 

 裏のお仕事に進展がありながら、表のお仕事の方も進展があった。

 といっても、元から売り上げは良かったので売り上げが増えた、という単純な話ではない。では何が進展したのか。

 

 

 ズバリ、人手不足解消である。

 

 

 もちろん、フランやリンゴのおかげで人手に関しては今のところ問題ないのだが、それなりに二人にも負担がかかる。そこで前々から里のほうに人手を頼んでいたところ、ついにこちらに回せる忍が見つかったのだ。

 新しい店員が入ることが里から届いた一同はその日の閉店後に話し合い、その忍者が来る当日は休みという話となった。そして、その日に顔合わせとあいさつ、そして女性ということもあって、フランカフェでの同居生活の説明もするそうだ。

 

 もちろん、男の忍者の方は顔合わせと説明だけでご退場の予定である。

 

 そんな彼女はいったいどんな子なのかというと、ざっくり言ってしまうとミカンの元気さが乗り移ってそうなタイプであった。といっても、ミカンとそっくりというわけではなく、ミカンがすでに任務をこなす忍者なのに対して、これから来る彼女は半人前なので、ミカンよりも礼儀正しい。そして…ミカンと()()()()()違う最大の特徴がある。

 

 

 すなわち、胸である。スイカップである。(それ以上の表現を筆者は知りません)

 

 

 島に無事についた彼女はフランと同様、島を見回ったのちにお昼頃にフランカフェに到着した。ピンクの長い髪をツインテールに結い、額には黒の鉢巻、頭には鬼の角のようなものが生えており、くりっとしたとび色の瞳は元気さをうかがわせる。忍び衣装は上着がスイカ模様のタンクトップのへそ出しバージョン、下がスイカの中身模様の水着のパレオのようなもので、サンダルもさらにスイカ模様である。

 そんな彼女の名前はもちろん…

 

 「とぉおおーッ!!!スイカ、フランカフェに推参ですっ!!これからお世話になりますっ!!」

 

 という風に、彼女、スイカは店の扉を勢いよく開き、入ってきた。フランカフェのメンバー全員でスイカを出迎える。

 

 「スイカー!よく来たでござるねー、元気でござったか?」

 

 「はい!里のみんなも元気にしてますよ!姉上も中忍昇格おめでとうございます!いつか、頑張って追いついて見せますよ~!」

 

 フラン達とスイカはいわゆる義姉妹で里のころから仲良くしていた。スイカは鬼の血を引いているためその力の制御のため3人よりも里を出るのが遅くなった。ゆえに、スイカは半人前、ミカンとリンゴは下忍、フランは茶熊学園の時の昇格試験で中忍と位はばらばらである。

 最近になってやっと下忍になることを認められ、こうして任務に駆り出さることとなった。

 

 「スイカ!久しぶりだねっ!また一緒に遊ぼうねっ」

 

 「はい!また一緒にマラソンしましょう、ミカンさん!」

 

 ミカンとスイカは特に性格が似ているため、自由奔放な先輩とそれにつづく後輩のようになっている。

 

 「クックック…私の華々しい活躍を目に焼き付けるがよい…シャクリ…」

 

 「もちろんです!リンゴさんのお話、また聞かせてくださいね!」

 

 リンゴの異様なほどのナルシストもスイカは本気で受け取っているため、これはこれでかみ合っている。ただ、笑顔でリンゴに教えを乞う際に、フラン達と会ってなかった間に成長したスイカの胸が揺れる様をみたリンゴは、

 

 「グフッ…」

 

 「?どうしたんですか?」

 

 という風にリンゴは床に手をついて、うなだれながら精神的にダメージを負っていた。

 なお、男の忍者はしのび装束を頭まで覆っているのでわかりにくいが、右手を強く握りしめ小さくガッツポーズをしていたことに、誰も気づいていない。

 そして、再会を喜んだ後にスイカが初めて会うアヤメに顔を向ける。

 

 「アヤメさんも初めまして!スイカって言います!これからよろしくお願いしますっ!」

 

 スイカが頭を下げて大きく胸を揺らしながらあいさつする。

 

 「はい、これからよろしくお願いします。それと、気になってたんですが、鍛錬がお好きなんですか?」

 

 と、あいさつを返しながらアヤメもそんな質問をする。

 

 「はい!足腰は鍛えて損はありませんから!でも、どうして今その質問を?」

 

 「そうなんですか!私も鍛錬が好きなんですよ!その腕に付けたおもりを見て同士だと思いまして…」

 

 スイカの右腕には何やらスイカ柄の重りが両手両足についている。

 

 「なるほど、これに気づきましたか!さすがです!これ、実はそれぞれの重りでだいたい40㎏ぐらいありまして、街を歩くついでにつけてたんですよ!」

 

 と言いつつスイカが重りを外すと地面に、

 

 ゴトンッ!!

 

 といって落ちる。フランとアヤメは感心し、ミカンはすごーいと言いながら拍手しているが、リンゴだけ、

 

 「なん・・・だと・・・」

 

 と自分の先輩という立場が脅かされているような危機感に打ち震えていた。

 

 スイカのおもりの重さを見たアヤメはますます、笑顔になり、

 

 「でしたら、鍛錬の時は一緒にやりましょう!私もいつも剣の素振りとマラソンだけでは物足りないと思っていたのです!」

 

 と、目をキラキラさせながらスイカに提案する!

 

 「わかりました!私も微力ながら一緒にやりましょう!」

 

 と、鍛錬好き同士が波長を合わせとても楽しそうにしながら鍛錬メニューの話を和気藹々としだした。

 

 約30分ほどしゃべって満足したようで、再び全員のグループにスイカが戻り、男の忍者さんとの顔合わせも済んだところで、男の忍者は帰宅。その後、共同生活の説明に入った。

 

 普段の店の開店時間や、そして、共同生活での決まり事などをいろいろ話し、明日に備えてもらうこととなった。スイカ用の店員服は同様にできており、アレンジはないがしっかりとB、W、Hすべてのサイズが適正となっている、特にBは念入りに里の服作り担当の人ががんばったらしい。作った人は女の人だったが、できた時には感動に打ち震えていたとか。

 

 彼女の寝間着も里の女性陣が作りあげたもので、スイカ柄なのはもちろん肝心の服のタイプは、なんとネグリジェである。ネグリジェというと変なイメージがある人もいるが、要はワンピースの寝間着verであり、とてもゆったりしたものである。

 

 といってもこれをスイカが着るとどうなるのか、と。

 

 控えめに言って危険だった、そうお伝えしておこう。

 

 

 さて、そんなスイカの働きぶりはどうなのかというと、とてもよく働いた。鬼の血を引く彼女の怪力と体力はとてもすごく、分身してもいないのに普通の人の3倍位、働いている。

 常連客もフランやミカンなどに新入りということを聞き、温かく見守っていた。鬼の常連は同族の血を引いていることを感じたのか、まるで親のような目であった。

 結果として、フランとリンゴの分身もそれぞれ2体ずつとなり、負担は大きく解消された。成果としては上々である。

 最初のころはスイカも魔物のお客には驚いてはいたが、昼過ぎにはすっかり慣れていた。笑顔の絶えない感じはミカンと同じく、客からの評価も高かった。

 

 

 スイカは自分が忍としてまだまだだ、と自己評価が低い面があるのだが、周りとしてはミカンのような例を見ているため、よくできるほうだと思っている。決してミカンがレベルが低いという意味ではなく、スイカが目指す一人前は『正義の忍者』であり、人を陰ながら助ける忍者になるのが目標だ。

 なので、飛行島でアイリスやキャトラにその頑張りを認められ、それを自信としながら『正義の忍者』の一流を目指すことに決めているらしい。

 

 

 そして、夜も更け十六夜の月が空に輝くころ。

 いつもの通りアヤメが休み、屋上に忍び姿に着替えた忍者たちが集う。いつもと違うのは、今日新しく入ったスイカがいることだ。

 飛行島にいるときに、キャトラに注意された声の大きさを思い出しながら、小声で話す。

 

 「改めまして、よろしくお願いしますっ」

 

 「よろしくでござるよー、では今回の任務を伝えるでござるよ~」

 

 スイカのあいさつに言葉を返したフランは、今までの調査から書いた島の地図を屋上の地面に広げる。

 

 「まず、フランカフェの場所がここでセッシャたちが今いるところでござる。ここからこういう風にルートを通って魔物の居住区にある建物にいくでござるよー」

 

 フランカフェを人差し指で刺したフランは道を指さしながら最終的に?のついた四角形を指さす。

 

 「今回はスイカの初回任務でもあるので言っておくでござるが、山には何かしら大事な情報があると思うでござる。故に何かあるかもしれないので、原則団体行動とするでござるよ」

 

 ミカンが手を挙げる。

 

 「敵の罠で分断された時はどうするのー?」

 

 「合流を最優先で動くしかないでござろうな。極力、そういったことはないようにしたいでござるが…」

 

 うーん、と首をひねるフラン。敵の罠に何があるかわからないため、ギミック的なものなら問題ないが、魔方陣などによるいきなりのテレポートは対応ができない。

 誰かがはいれるように何か工夫をしているはずだが、その事前情報は一切ないのが問題だ。扉の情報を知っていたのは島の住人ではなくイシュプールだった時点で今回の調査はとても難航している。

 

 「そういったことは考えても仕方ないからな…基本方針は固まったのだし、移動を急ごうではないか。夜も永遠の時間ではないからな…シャクリ…」

 

 「そうですね!当たって砕けろです!」

 

 リンゴとスイカはひとまず出発することに決めたようだ。それを見たフランも覚悟を決めた表情でうなずき、

 

 「リンゴのいう通りでござるな。ひとまず、隠し通路のところまで急ぐでござるよ」

 

 と、言った。そして、全員がその場からサッと姿をけし、夜の街を走る…。

 

 「ボンジュール!いらっしゃいませでござるー!」

 

 『メイドカフェの島』。たくさんの喫茶店があちらこちらに乱立する島。新メンバーが加わり、ますます何が起こるかわからない中、なぞ多き山へと調査に出かける忍者集団のお店があった。その店の名前とは…。

 喫茶店「フランカフェ」。それが店の名前である。

 

 

 月の光をあてにしながら忍者4人は魔物の居住区の目的地へと走る。スイカは今回の任務がこの町での初めての活動となるが、この島に着くまででの散歩や、他3人が休みの間に一人で町の調査を(おこな)っていたおかげで大体は理解している。

 

 もっとも一人で調査していることがこの日の前日にばれた際に、フランに独断専行はいけないでござる、と叱られ落ち込んでいた。

 

 町はいつも通りのようで、走っている最中に野良猫たちがじゃれているし、道中通りかかる家も明かりがついておらず、町の住人達はぐっすりであった。おかげで特に変わったこともなく予定通りたどり着いた。

 着いた目的地の建物の明かりはもちろんついておらず、忍者一同が一安心する。その後、フランが先行して扉の中の安全確認などをし、それに忍者3人がついていく形となる。玄関には誰もおらず、一面がただのコンクリートで固められた部屋だけが広がっている。明かりはもちろんなく、左手になぜか木犀の扉があるだけ。

 フランが再び木製のドアに手をかけ、扉を少し開けてから中を確認後、中へ入る。中は階段が続いているのだが、もちろん空き家なので明かりはついていない。小型の持ち歩き可能なライトをつけ、階段を照らしながら中に入っていく。

 

 階段を降り切るとワインの熟成に使っていると思われるお酒の貯蔵庫についた。空き家ではあるのだが、この家はどうやら近くの店が引き取っていて、こういう風に使っているらしい。その店の店主は別の家があるためここはもっぱら倉庫としてしか使わない予定らしい。

 中はワイン棚が5列ほど並び、それぞれの棚同士の間には人が二人ほど並べそうな間隔があいている。壁との間はないようだ。

 

 さて、イシュプールの情報通りならこのどこかに『押すことのできる壁』があるらしいのだが…。

 と、ペタペタと全員が壁を触ってみたのだが、見つからない。イシュプールの身長から考えて押せるところはすべて押したのにもかかわらず、だ。

 この状況にリンゴが疑問を投げかける。

 

 「もしや、別の場所になったのでは?」

 

 イシュプールが旅をしていた時期がいつか分からないので、もしかすると時間がたったことで別の場所の可能性を考えた。

 しかし、

 

 「それはないでござるよー、イシュプール殿の旅の期間とこの島で山に行けなくなった時期から考えて約50年が範囲でござるが、魔物の居住区の地下にお酒の貯蔵庫を置いているのはここだけでござるよ」

 

 ということだ。他にもお酒を置いた家があるかもしれないが、空き家で地下にお酒を置いているのはここ50年はここだけしかない。なので、イシュプールの話が本当であれば、ここにあるはずである。

 今度はミカンが疑問を浮かべる。

 

 「じゃあ、ほんとはなかった、っていうことはないのー?」

 

 フランが顎に指をあてて目をつむり眉を顰めながら考える。

 

 「んーでも、わざわざイシュプール殿が嘘を言うとは思えないでござる。ほんとに見たから教えてくれたのでござろう」

 

 ということで、フランがとった行動は…

 

 「よし、ではこうしようでござる」

 

 「「「?」」」

 

 忍者3人が頭に疑問符を浮かべる

 一方で張り切った様子で気合を入れているフランは壁際に会った棚を触ると、

 

 「オーララー!」

 

 と叫び、

 

 

 

 次の瞬間にはなぜか棚がなくなっていた。

 

 

 

 それを見た忍者一同はというと、

 

 「まー姉上だし仕方ないか…シャクリ…」

 

 「さすが姉上です!私もいつかこういったことができるようになりたいですっ」

 

 「姉上はやっぱすごいなぁ、ミカンもはやく分身の術できるようにならなきゃ!」

 

 と、各々感想を述べていた。その方向はどちらかというと驚くというよりも呆れと感心と尊敬といったところか。誰も消えた棚の行方に関して突っ込みはしなかった。

 棚が消えたのを確認したフランは同様に反対側の棚も消してしまい、その消えた棚の壁を一同で調べた。すると、ちょうど入口の右側の壁の真ん中あたりに沈む壁があったようで、それをスイカが押したところ、

 

 ズゴンッ!!と物音がした。

 

 「わわっ!?なんですか!?」

 

 スイカが慌てふためいてる間にゴゴゴと物音がした後、そのへこんだ壁の右の壁がちょうど人一人分の大きさだけへこみ横にスライドしてあいた。ひらいた先は階段が再び続いており、どうやら洞窟のようであった。

 

 「なるほど、これがイシュプール殿の言っていた階段でござるね」

 

 フランが面白そうだといわんばかりに首を縦に振る。驚いていたスイカも今は目をキラキラとして、

 

 「なんか正義の味方の秘密基地みたいですね!」

 

 なんて言っている。ミカンも似たような感じだが、リンゴはさらに暗い所に行くのかと思い、若干怖がっていた。トラウマの闇は深いようだ。

 

 「同じようにセッシャが先行するでござるよー」

 

 フランが全員に呼びかけ、一同がうなずいたのを確認すると、フランが階段を下りていく。

 降りていくと、炭鉱の通路のようになっていた。他には何もなさそうなのでただただ、進んでいく。

 

 その際、リンゴが怖いのを我慢するためにスイカの背中に引っ付いているのだが、おぶさっているときに歩みに合わせて揺れるスイカの胸に気づき怖さよりも恨めしさが勝って大丈夫だったのは言うまでもない。もちろん、途中で怒りがマックスに達したのか、リンゴがスイカの胸をこねくり回し、ミカンとフランがそれを止めたなんて話もあるが、それはまた後日。

 

 

 そうやって、緊張感皆無ながらに歩みを進めると、上に上るための梯子が見えた。見上げると夜の空が見えたので、おそらくここが出口なのだろう。

 梯子は思ったより短く、出た先はちょうど山の目の前であった。この前までは一度もここまでこれていなかったのでこれを教えてくれたイシュプールには感謝である。

 

 と、最後に上ってきたスイカが上がりきったところでなぜか扉が山の登り道に現れる。金色の扉で、ミカン、リンゴ、スイカが怪しげに観察する中、フランはおそらくここに来るであろう人物がわかっているため、笑顔で出迎える準備をする。

 

 そして開いた扉から出てきたのは緑色の瞳に、ふわふわとした長いピンク色の髪をそのまま伸ばし、黒いドレスを着ていて、黒と水色のしましまのニーソックス、頭にはまるで王冠のような縁が黒のハットを被った小さな少女が現れた。

 フラン以外の3人が誰だろうか、となっている中、フランが出迎える。

 

 「エシリア殿、ボンソワールでござるー!こんな夜更けにどうしたでござる?」

 

 「んー?あー、フランだー!!何してるのー?」

 

 「セッシャ達は山に調査しに来たでござるよー」

 

 質問に質問で返すエシリアに答えを返すフラン。

 

 「ふーん。エシリアは目がさめちゃったから適当にお出かけしてたんだー。で、この山に何かあるの?」

 

 大きく背伸びをしてうーん、と唸った後、自分の後ろにある山を見て聞くエシリア。一応任務ではあるので隠したほうがよいのかもしれないが、フランは書く仕事をしたらエシリアが興味を持つと思い、ある程度話すことにした。

 島でフランたちがどんな活動を行っているのか、この島の実態の調査であったりとか。

 もちろん、ルーンが謎に包まれていることなどは伏せて差しさわりのない範囲で答えた。

 

 「………というわけで、この山に何かないか見に来たでござる」

 

 さて、できればこの後の調査にはエシリアが来てほしくないわけだが…エシリアが興味を持ったのはというと、

 

 「へー!喫茶店?っていうのやってるんだー!エシリアも行ってみたーい!」

 

 「いつでも歓迎でござるよ!ただ、ちゃんと学校の後に来るでござるよー、クライヴ殿が『エシリアがまたサボってる…』って涙ながらに話してるのがかわいそうでござったよ…」

 

 

 エシリアも茶熊学園に通っているのだが、彼女の性格上、授業が嫌なためによくサボる。同様にサボる生徒がもう一人いるのだが、そちらにも手を焼いているクライヴという青年は休み時間に全力で口惜しがっていた。曰く、

 

 「おれではあいつらには勝てない……!!」

 

 とのことだ。戦闘面、学力面においてクライヴでは勝つことができないため完全に見ているしかできないのだった。もちろん、フォローに入ってくれる人もいて、ソフィやエクセリアという淑女たちが泣いてるクライヴを心配して慰め、ものの1分で復活していたそうだが。

 

 

 「えー。めんどくさいよぅー」

 

 もちろん、ぶーぶーと文句を言うエシリア。それを見て苦笑いしながらも、

 

 「ちゃんと受けるでござるよー、ちゃんとしてたらお店のとっておきの食べ物を食べさせてあげるでござる!」

 

 「そうなのー?じゃあ、エシリアちゃんと授業受けるよー…」

 

 という風にうまくエシリアを丸め込むフラン。基本的にエシリアはいい子ではあるので、嘘などをつく子ではないので大丈夫だろう。

 

 一方でエシリアと面識がない3人をフランがエシリアに紹介する。

 

 「エシリア殿。この3人は私の姉妹(スール)達でござるー」

 

 紹介を受けたのでミカン、スイカ、リンゴという順に挨拶していく。リンゴが最後なのはいきなりの展開に戸惑っているため、スイカに先を譲ったのだ。スイカはその理由がよくわからないまま、了承した。

 

 「ミカンだよー!よろしくね、エシリア!」

 

 「よろしくー!確かミカンのアイスを配ってた人だよねー?」

 

 「そうだよー!見てたなら声かけてくれればいいのにー。はい、これ!」

 

 ミカンがエシリアにどこからともなくミカンを渡す。みずみずしい見た目のミカンでエシリアが喜んで受け取る。

 

 「ありがとー!もらっておくね、ミカン♪」

 

 次にスイカが挨拶する。リンゴはどんな紹介方法がいいかなにやらぶつぶつとつぶやいていた。

 

 「スイカって言います!よろしくです!」

 

 「スイカの頭のそれはなにー?」

 

 エシリアがスイカの頭にある角を指さす。

 

 「あ、これはですね…実は私、鬼の血をひいてるので力持ちなんですけど、それに加えて鬼の角まで生えてるんですよ」

 

 「へー!鬼なんだー!どれくらい力持ちなのー?」

 

 「そうですねー。例えば…これとかどうですかね?」

 

 そういってスイカが自分のメインウエポンの大金棒を地面に刺す。スイカは特に力を入れずにただ普通に地面に置こうとしただけで、

 

 ズゴンッ!!

 

 と地響きを立てて地面に大きなクレーターをあけた。周りの森から音に驚いた鳥がバサバサと飛んでいく。エシリアはその重みが音でわかったようで、

 

 「わー!すごいすごい!とっても力持ちなんだねー!」

 

 とすごく喜んでいた。スイカも自分の力を褒められてうれしいので照れていた。

 そして、最後のリンゴはというと、

 

 「……やはり壁から…いや、でもここに壁はないしな…ならば穴…なんか下っぽいな…うーんいい登場の仕方は……」

 

 と登場の仕方から悩んでいた。こうなることを悟っていたフランが代わりに紹介してくれる。

 

 「この子はリンゴというでござるよ。多少周りが見えなくなることがあるでござるが、いい妹なので仲良くしてあげてほしいでござる!」

 

 「うん!リンゴ、よろしくね!」

 

 「…ハッ!?よ、よろしくシャクリ!」

 

 驚きすぎてリンゴの食べる音を挨拶に混ぜてしまったリンゴ。それを言った後にまさしく林檎のように顔を真っ赤にしてうずくまってしまった。エシリアはきょとんとしながらそれを眺め、そのあとにおなかを抱えながら笑った後、

 

 「じゃあ、エシリアもういくね?ばいばーい!」

 

 と、あらわれた扉に戻っていき、扉は消えた。

 

 

 またお店に来るといいね、とか、マイペースな子でした、とリンゴを除く3人で軽く談笑し、リンゴが動くように説得後。

 

 「では、これから山を登るでござるよー気を付けていくでござるよ!」

 

 「はーい!」

 

 「了解です!」

 

 「わかった…シャクリ…」

 

 

 フランの掛け声とともに忍者4人は山登りを開始したのであった。

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