フランカフェの日常   作:杉崎 三泥

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捌の巻 山の調査

 「ボンジュール!いらっしゃいませでござるー!」

 

 『メイドカフェの島』。たくさんの喫茶店があちらこちらに乱立する島。実は初期メンバーで胸がないのはリンゴだけだと思ってて、ミカンなら胸なくてもまぁいっか、と話を進めたなんて話があるお店があった…。その店の名前とは…。

 喫茶店「フランカフェ」。それが店の名前である。

 

 

 山登りはけもの道を歩くこととなった。道らしき道は見当たらず、草も多く生えていたためだ。

 しかし、一行がある程度進んでいくと、規則性のようなものをミカンが見つけた。ミカン曰く、よく見ると背の高い草が多い中、短い草が道のように生い茂っているところがあって、おそらく短い草の生えていたあたりがもともと道であったところのなのではないか、ということだ。

 確証はないが、その道をたどっていけば何らかの手がかりがつかめる、という予測の元、フラン達一行はその道のようなものをうまく辿って行った。

 

 足元に気を付けながら、道をたどって進むこと約30分ほど。草の道が途絶えた先にあったのは洞窟であった。日本でいう鳥居くらいの大きさの穴があった。

 洞窟に少し入ったあたりでフランが自分の右手の人差指を口でくわえた後、人差し指をまっすぐ上に向けながら右手を突き出す。こうすることによって、風の流れる向きなどが分かるのだ。

 

 「んー…どうやら風が抜けているようでござる。奥はどこかに通じているかもしれないでござるな」

 

 「とすると、このまま先に行ってみるしかないね~」

 

 ミカンが少し不安げだが先に行こうと提案する。ほかに怪しい道もなかった以上、そうするしかない、と全員がそれに賛成し、フランが再びライトで先を照らしながら、前へ進んでいく。

 

 洞窟は少し冷えていて暗く、それでいて湿気があってじめっとしていた。ところどころに岩が転がっていて、その様子から長い間誰も通ってないことがわかり、先がどうなっているのかは謎であった。また、洞窟の中では闇に飲まれた魔物が少なからずいたために、途中は何回か戦闘することとなった。

 しかし、中は暗闇。フランが照らしてくれてるということはつまり、フランが照らさないと何も見えなくなる。

 里ではもちろん、ここにいる全員が暗闇の中での戦闘訓練を受けているのだが、フランだけが完璧にこなせるのに対し、ほかは完璧には無理である。スイカなどは特にそうで、武器である大金棒を振り回すだけとなり、下手をすればミカンやリンゴにもダメージが入る可能性がある。

 

 なので、フランはあたりを照らすことを優先し、シュリケンでコウモリタイプの魔物を撃ち落していく。命中精度はお手の物でフランの投げたシュリケンは敵に吸い込まれるように当たっていく。

 

 一方でほか3人も視界をフランが確保してくれているため、そう手こずることはなかった。

 リンゴは蜂や蝶のタイプの魔物を的確に弓で撃ち落し、ミカンは拳でガイコツ種の頭を砕いていく。

 一方でスイカも初任務とは思えないほどの大活躍であった。骸骨種の胴体を大金棒でホームランのごとく吹っ飛ばす。そして、だるま落としのように落ちてきた骸骨種の頭を敵の固まっているところに向かって振りかぶって投げると、敵が爆発にでもあったかのようにさらに吹っ飛んでいく。まるで爆弾を投げたかのような状態だ。

 ただ、その爆発のようなものにミカンが1度巻き込まれスイカが全力で謝っていた。もちろん怪我はないのだが、頭を地面につけて土下座で全員に謝っていたのを3人でフォローするという時間は戦闘時間よりも長く続いた。

 

 なにはともあれ、各個の能力が高いおかげもあって危なげなく忍者たちは進んでいった。

 

 

 しばらく進んでいると、道は行き止まりになっていた。あたりを照らしてみたが、周りには特に何もなさそうだった。

 念のために、フランがもう一度風の流れを調べてみたところ、やはり風は流れている。風の出元を探ってみると、どうやら隠し扉のようなものがあるらしい。

 

 「みんな、また押せる壁があるかもしれないので探してみるでござるー」

 

 「はい、わかりました!」

 

 「はーい!」

 

 「了解だ」

 

 フランの隠しスイッチ探しに全員が返事を返すと、壁や地面などを調べ始めた。また、お酒の貯蔵庫の時と同じく何かしらスイッチがあると考えたのだ。

 しかし、10分ほど探してみたがどこかにくぼみがあるわけでもないのか、時間がただただ過ぎた。

 

 「どうやらないのかもしれないでござるなぁ…」

 

 フランがうーん、とあごに手を当てながら首をかしげる。そこでスイカが気勢よく手を挙げる。

 

 「はい、姉上!私に考えがあります!」

 

 「ふむ?スイカ、何か手があるでござるか?」

 

 勢いよく手を挙げたスイカにフランが聞く。

 

 「はい!私に任せてください!先ほどの汚名を返上させてください!」

 

 スイカは自信満々の顔をして両手を胸のあたりで抱えながらフランに前のめりで提案する。よほど、巻き込み事件のことが気になっていたのだろう。

 フランはもう少し近づけばキスしてしまうくらいの位置まで迫るスイカに気おされつつも、

 

 「わ、わかったでござるよ。それじゃあ、スイカ、頼むでござる」

 

 と、許可を出す。承諾を聞いたスイカはすぐに姿勢をビシッとただし軍人のごとく敬礼をしながら、

 

 「ありがとうございます!」

 

 といって、隠し扉があったほうへと向かう。

 それを見ていたリンゴは誰にも聞こえないようにそっと、

 

 「やな予感がする…というか予想通りの展開の気がする…シャクリ…」

 

 と、つぶやいていた。

 そんなリンゴには気づかず、スイカはフランと同様に指をくわえ風の流れから隠し扉の位置を探る。大体の扉の位置を把握して印を書き終えたスイカはどうするのかというと…少し離れたところでメイン武器である大金棒を右手で軽々と素振りすると、ちょうど印をつけた扉の前がバッターボックスのホームベースとなるように位置取りをする。周りが見守る中、スイカは右足で片足立ちの状態から一気に左足を下して、

 

 

 ドゴンッ!!

 

 

 と、洞窟全体が振動するような勢いで大金棒をフルスイングして扉をぶち抜いた。

 もちろん、飛ばされた扉は通路の奥のほうで見えなくなるまで吹っ飛んだ後に、

 

 バァンッ!!!

 

 と音を立てて通路の奥で止まった。

 リンゴはヤレヤレといった風に首を振りながらりんごを食べてそれを眺め、フランとミカンは冷や汗を背中にかきながら、何とも言えない顔でそれを眺めていた…。

 

 ひとまず、洞窟が落盤しないことを祈りつつフランがスイカを軽く説教した後、一行は先に進んでいった。

 

 

 スイカがぶち抜いた扉の先は整備されたまるで建物の廊下のようになっており、やはり誰も通ってないのか、通路を歩くたびにほこりが舞っていた。天井には蛍光灯のようなものがあり、おそらく本来はルーンで電気が供給されていたのだろうが、いつの間にやらルーンに限界が来て光らなくなったのだろう。

 フランが暗い通路をライトで照らしながら進むと、ぶち抜いた扉の残骸があった。運よく扉の吹っ飛んだ先はただの壁になっていて、上に続く長い梯子(はしご)が右側にあった。見上げてみれば、星空が見えるのであれがおそらく出口なのだろう。

 

 「ひとまず、上がってみるでござるよ~。合図をしたらみんなも来てほしいでござる」

 

 一同がフランの提案にうなずき、フランは梯子を上っていく。

 

 

 地上に出るとおそらくは山の頂上に出た。空には星がきれいに輝き、月明かりもあるためとても明るかった。山の頂点はくぼみになっていて。周りは山の外壁のようなもので囲まれている。おそらく、元は丘だったものが周りが地殻変動でせりあがったことで高い山のようになったのだろう。

 フランが周辺警戒のために辺りを見回すと、月明かりとは別に輝く()()()()()()があった。大きさはフランがフラン自身を肩車したくらいの大きさだ。形は6角形、ただ、普通のルーンと違ってそのルーンは何もしていないのに太陽のように輝き続けている。()()()()()()()()といわんばかりにだ。

 

 しばらくあっけにとられてそのルーンを見ていたフランだが、

 

 「姉上ー!だいじょうぶー?!」

 

 と、ミカンに呼ばれたことで我に返り、慌てて周辺警戒の必要はなさそうだと、下にいる3人に告げ上に上がってくるように言う。上に3人が上がってくる間、フランは巨大なルーンを観察していた。

 

 「これが…『平和のルーン』でござるか…?」

 

 フランの独り言は闇に消えていく…。

 

 

 

 上に上がってきた3人もその巨大なルーンに驚いたものの周りには何の資料も残されていないため、4人はこれで撤収することとなった。

 もしかすれば下の通路のようなところのどこかに資料に続く扉があるかも、と思ったが、通路にあった扉はゆうに100を超える。それに扉はすべて電子ロックがかかっているため、正規の方法でなければ、確実にスイカが吹っ飛ばすことになる。

 落盤の危険性があるのでもちろんその方法は却下されたが、スイカが涙目となっていた。

 

 一行は来た道を引き返し、町にまで戻っていた。

 

 「ひとまずはあの施設のようなところを調査するしかないでござるね…」

 

 フランが行動方針を決める。

 そこでリンゴが、しかし、とつづける。

 

 「問題はあの施設に送るべきエネルギーだ…どこから供給しているかもわからないからな…シャクリ…」

 

 「そうだね~この町全体でそんな施設があったら今までの調査で分かってないわけがないしー」

 

 「だとすると、また隠し扉のようなもので隠されているかもしれませんね!」

 

 リンゴが問題点を挙げ、ミカンがそれに同意する。スイカはなぜか目をランランとさせて発言しているが、山への隠し扉に気づいていなかった以上その可能性は濃密だろう。

 だが、いかんせん、探すポイントが多すぎる。もうすこし情報を集めなければ砂漠から小さい針を探し出すようなものだろう。

 もちろん、隠し扉も押すタイプとは限らない。もしかすると合言葉が必要なタイプの可能性だってある。ただ、問題はあの施設について知っている人は恐らくいない可能性が高いということだ。

 

 なぜなら、あの山に行く際に人が通った形跡はほとんどなかった。そこから考えられるのは関係者は既にいなくなっており、今ではあのルーンは無人でも半永久的に動くのではないかということだ。

 もちろん、すべて憶測だから何とも言えないわけだが…とても骨が折れる話であった。

 

 「どうしたものでござるかねぇ…」

 

 フランが頭をうーんと傾げる。なお、今までの会話はすべて走りながらである。

 

 

 

 翌日、男の忍とアヤメにも調査結果を報告し男の忍びには閉店後に頭領に報告を、アヤメには何かしら老人が知っている可能性もあるので、人が今まで出入りしたのを見ていない空き家などを聞き出すことをお願いした。フランたちも手当たり次第にあたるしかないが、あえて言えば手詰まりである。

 

 もちろん、フランカフェは毎日営業しているので調査は夜の活動となる。しかし、今回の調査では山登りや魔物の戦闘などで体力を消耗しただろうし、夜の調査は1か月は様子を見ようということとなった。その中で唯一スイカだけがアヤメと楽しそうに鍛錬をしていた。その様子から彼女は全然疲れていないのだろう。さすが鬼の子である。

 

 

 山の調査から一週間すると、飛行島からとある少女がフランカフェに訪れようとしていた。彼女は茶髪の長い髪をそのままおろし、瞳は赤く、頭には中国でいうところのキョンシーのような帽子と札を付けていた。腰には熊のポーチをさげ、服は中国の民族衣装のような服を着ている彼女はとある理由でフランカフェに用があるようで…?

 

 「ふぇっふぇっふぇ~今日はいい天気じゃの~」

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