HERO使いが行くGX世界   作:加藤あきら

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第27話『ハンド・デストラクション』

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「来たな、東條創!!」

 

 すでにデュエル場にいた光雄は俺に向かって言い放った。

 

「ところで、なんなんだこの騒ぎは?」

 

 この勝負は俺と光雄の二人のものだ。しかもこれは七精門のカギを賭けた決闘だというのに、なぜか観客が沢山いた。

 全校生徒が集まっているのではないかというくらいの歓声が耳を襲う。

 

「お前が惨めに負けるところをみんなに見てもらおうと思ってね」

 

「相変わらず悪趣味だなお前」

 

「ふん……。ま、それだけじゃないさ。このデュエル……天上院明日香を賭けて勝負だ!!」

 

 何言ってやがるんだアイツは?

 明日香を賭けてデュエルだと?

 小学生の頃となんら変わりないアンティを仕掛けてきて呆れるよ。

 だが、そんなことよりも。

 

「おい、明日香はモノじゃねぇ……! ふざけんなテメェ!!」

 

「お前が負けなければいいだけだろう。ま、今回勝つのは俺だがな」

 

 聞く耳も持ってねぇコイツ……!

 自己中心的な性格はこの年になっても治ってない。むしろ悪化してやがる。

 

 

「分かったよ。だが、明日香は渡さねぇ! そのために俺はお前に勝つ!!」

 

 

 その瞬間、女性の黄色い声が上がった。

 あーあ、こんな役は俺には似合わないってのに……何やらせてくれちゃってんの。

 俺がちょっと恥ずかしくなって頭を抱える。そしてふと何気なく右を見ると、デュエルフィールドのすぐ横、そこには明日香がいた。

 てっきり観客席にいるかと思ったが……こんな近くでさっきの俺の発言を聞いていたとは……恥ずかしすぎて逃げ出したくなる。

 

 

「は、はじ、創……?」

 

 

 明日香は顔を真っ赤にしながらぎこちなく俺の名前を呼んできた。

 そんな彼女を見て、俺は逆に落ち着きを取り戻す。

 いつも通り、ちょっとからかってみますか。

 

「待ってな明日香……俺がコイツを倒すから。お前は誰にも渡さねぇ。分かったな?」

 

「は、はい……分かりました……」

 

 何で敬語……?

 

「天上院明日香! キミは俺のモノになる。これは確定事項だ。さぁ、さっそくデュエルを始めよう!」

 

 すると光雄は旧型のデュエルディスクを渡してきた。あのバトルシティで初お披露目になった最初期のデュエルディスクだ。

 たぶんシステムアップデートされていないものだろう。だから細かいルールが変更される前の旧ルールで、カードもエラッタ前の挙動をするのだと思う。

 やはり予想通り、この勝負は当時のルールで行う変則デュエル。巷ではゲートボールと呼ばれているゲームだ。

 

「それを使え。たぶん気づいているだろうが、ルールは現行のものではなく、今回使うデッキが流行っていた時のモノを使う。だから普段使っている最新式のデュエルディスクでは都合が悪いんだ」

 

「やはりな。いいぜ、受けて立つぜ。かかってきな光雄!!」

 

「ボーイと呼べ!!」

 

決闘(デュエル)!!』

 

 

光雄:LP4000

東條創:LP4000

 

 

 先攻は……ちくしょう、光雄かよ!!

 初手5枚は……《人造人間-サイコ・ショッカー》《キラー・スネーク》《魔導戦士ブレイカー》《砂塵の大竜巻》《破壊輪》か。

 まずまずの手札だが、強力なハンデスカードや安牌の異次元の女戦士は引けていない。

 相手の動き次第ではヤバいかもな。さぁ、どう動く光雄。

 

「俺の先攻。まずは押収を発動する。これはライフポイントを1000払い、相手の手札を見て墓地に捨てさせるカード」

 

 おいおい、アイツは理想的な初手してるんじゃないだろうな!?

 

「なるほどなるほど。この手札なら、破壊輪を捨ててもらおうか」

 

「分かったよ」

 

 貴重な除去罠を捨てさせられちまったぞクソ!

 

「そしてモンスターをセット、さらにカードをセットしてターン終了だ」

 

 俺の手札にブレイカーがあることが分かっているのに押収で破壊輪を捨てさせ、かつリバースカードをセットした。

 となるとあの伏せカードは奈落の落とし穴かフリーチェーンのカードになる。

 予測できるのは奈落の落とし穴、激流葬、スケープゴート、破壊輪の4枚のどれかだ。

 

「さぁいくぜ俺のターン、ドロー!!」

 

 引いたカードは抹殺の使途!

 

 

《抹殺の使途》

通常魔法

フィールド上に裏側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊し、ゲームから除外する。

それがリバース効果モンスターだった場合、お互いのデッキを確認し、同名カードを全てゲームから除外する。

 

 

 あの伏せモンスターは何だろうか? 異次元の女戦士か? それとも魂を削る死霊か? 聖なる魔術師(セイント・マジシャン)という線もある。

 聖なる魔術師(セイント・マジシャン)だったら押収を回収されちまうし、ここは撃ち得だよな。

 

「俺は魔法カード、抹殺の使途を発動! 裏側表示のモンスターを破壊し、それがリバース効果モンスターだったらお互いのデッキから同名カードをすべて除外する!」

 

 銀色の騎士甲冑を纏った金髪の騎士が裏側のカードを切った!!

 その中身は……聖なる魔術師(セイント・マジシャン)!! リバース効果モンスター!!

 

「破壊したのは聖なる魔術師(セイント・マジシャン)だったようだな。さぁ、お互いのデッキを確認して聖なる魔術師(セイント・マジシャン)を除外するぞ」

 

「ちッ……引き運の良い奴め」

 

 そしてデッキの内容を確認する。

 これで今の相手の手札が特定できる。

 

 デッキになかったカード、それは《人造人間-サイコショッカー》と《ライトニング・ボルテックス》そして《大嵐》だ。

 

 さらにあの伏せカードは《奈落の落とし穴》であることが確定した。

 つまり、光雄は次のターン、デッキトップから四つ星以下のモンスターを引けなければ展開できない。

 ここは《奈落の落とし穴》を踏みに行くか。

 

「俺は魔導戦士ブレイカーを召喚。さぁ、奈落の落とし穴を発動しろ!」

 

「俺に命令するな東條! トラップ発動、奈落の落とし穴。魔導戦士ブレイカーを除外する」

 

 そうだ、そうするしかないよな。

 だが、俺も人のことは言えない。

 次のターン以降、俺も四つ星モンスターを引けなければキラー・スネークで耐久するしか策はない。

 

「俺はリバースカードをセットし、ターンエンドだ」

 

 

東條創 LP4000 手札2枚

場 なし

魔法・罠 《セットカード1枚》

 

光雄 LP3000 手札3枚

場 なし

魔法・罠 なし

 

 

 ここから二巡目。

 光雄のドローフェイズで手札は4枚になる。対して俺の場と手札のカードは合わせて3枚。

 アドバンテージ的には今のところ負けている。

 あんだけイキッた態度を取っておいてなんだが、このアイツのドロー次第で勝敗が決まっちまうかも……。

 

「ドロー……。ふはははは! これは俺の勝ちかな? 強欲な壺のカードを引いた。これでさらにカードを2枚ドローする」

 

 ここにきて更にドロー加速をしやがった!

 

「勝った!! これは俺の勝ちだな東條!! 強引な番兵のカードを引いた。これでお前の手札にあるキラー・スネークをデッキに戻す!! これでお前の手札はサイコ・ショッカーのみ! しかも! これで! おしまいだァ! 首領(ドン)・ザルーグ召喚! これでバトルフェイズ。ザルーグでプレイヤーにダイレクトアタックだ!! さぁ、サイコ・ショッカーも捨てな!!」

 

「ぐッ……!! これは……ちとヤベェかもな」

 

 

 東條創 LP4000→2600 手札1→0枚

 

 

 首領(ドン)・ザルーグの効果により、手札を1枚捨てさせる効果により手札に残っていたサイコ・ショッカーまでもが墓地に行ってしまった。

 

 これで俺の手札は0枚……対して光雄の手札は3枚。

 

 この状況で逆転するには次のドローで純粋にザルーグを破壊できるカードを引くか、《強奪》のカード、または盤面リセットの《ファイバーポッド》を引くしかない。

 光雄はさっきの強欲な壺で引いたカードを使いきっている。つまり後ろの妨害はないのは確定している。

 苦しいぜ……まさかこんなにも序盤から追い詰められるとは思わなかった。

 

 やるじゃねぇか光雄。

 

 だが……ザルーグによるハンデスは、さすがにプレイングミスじゃねぇかな、光雄?

 テンションが上がってついやっちまったようだが、これで俺が蘇生カードを引いたらどうなるかな?

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