合作と交互に更新していく形となります故、暫くは投稿が遅くなったりするかもなのでちゅ。どうかご了承ください。
それでわでわでわ、鬼子三章より少し前。お気づきになった方も居るのでは?そうです。鬼子の外伝をば投稿しておりますので、よろしかったらどうぞそちらも。
でわでわ、本編へどうぞ。
prologue of chapter three
「はぁはぁ、はぁ・・・―――」
走る。階段を駆け上がり、屋上に差し掛かる。季節柄気温はやや高く、汗だくになりながら校舎を駆けていた。
「あれ、人形――?」
そうとしか思えなかった。
肉を感じられない、骨格だけの動く
人型の動く物体ではあるが、最早あれを人間とは呼べようか。いや、生物かすら疑わしい。
「追い込まれたのね」
今しがた気づいた。ギリギリの所で追い詰めておいて、隙が出来ていたのはこのため。
後ろを振り向く。まだあの人形の姿は無い。だけど、引き返すことは出来ないだろう。どうせ、すぐそこまで来ているのだから。
「はぁ、―――なんだってこんな・・・」
私、何かしたかな?いや、初対面の人間に命を狙われる意味がわからない。
真意は謎。その行動に意味を求める事、それこそ無意味だろう。何がしたいのかはわからないが深い意味などありはしないだろう。彼女には殺意が無い、これだけは確か。
脳裏に追手の顔を思い浮かべる。真紅の髪に橙色の瞳、そして、ニヤリと歪めた唇。差し出した人差し指と中指、発射されるは禍々しい魔力の弾。二連射式の呪いの弾丸を辛うじて避けながら、追手が使役する絡繰を撒きつつここまで来たが、それも無駄。だって、私は追い詰められたのだから。彼女は、もうそこまでやって来てる。
少しでも逃げるべく、屋上のドアを開く。迎えてくれたのは輝かしいまでに煌びやかな夕焼け空。
朱く、明るく照らされた夕刻の曇。まだ夏を思わせる入道雲と、夕焼けのシンクロ。それはなんとも幻想的で、同時に魔的で、追い詰められた私の心をあっという間に魅了した。
「―――あ」
あぁ、雲になりたい。
ふざけている訳ではない。事実そう思っただけ。雲になれたら、空を飛んで追手からも逃げ切れるだろう。―――ここは屋上、それ以外に、アレから逃げる術は無いのだから。
「追い詰めた」
振り返る。背後には本日赴任してきた担任の蒼崎橙子。同時に彼女が、私の命を狙い回す変質者である。
「どうして、そんなに逃げるのかしら?」
「どうしてって・・・そりゃ、命を狙われれば誰でも逃げるでしょ。私だって死にたくないし」
「私は貴女と少しだけ話をしたかっただけ。急に逃げ出したのは、貴女の方よ?」
うっ、それは確かにそうだ。だけど、あんな質問、まともに答えられるわけが無い・・・。
「だから、少しだけ痛い目を見せて、大人しくしてもらおうかな・・・って思ってね」
指をパチンと鳴らす。それに呼応すかの様にドアを打ち破り屋上に侵入してくる絡繰の諸君。
うぇ・・・気持ち悪い。関節は曖昧で、身体は硬い筈なのに動きがぐにゃぐにゃだからタコやイカを思わせる。趣味が悪いというかなんというか、取り敢えずこの人形は苦手だ。
「さて、お話する気にはなったかしら?
―――貴女、一体
無理。嫌だ。絶対に話してやらない。
全力拒否の意思表示。つまり、あっかんべー。
私のそれに、蒼崎教師は大爆笑。同時に、下僕の人形を走らせる。
―――瞬間。背後で大爆発。後ろを振り向き、壊れたフェンス目掛けて走り出す。
地上約15m、屋上からのダイビング。
驚いた、と言った顔ね。目をぱっと見開き唖然としている蒼崎橙子。そのすぐ背後から、猛スピードで飛んでくる
「よっと・・・!無茶するなぁ、カオさん」
上空で私を抱え、そのまま校舎を蹴り台にして地上に降り立ったテオさん。
私が彼女を挑発したのは、彼が屋上の給水タンクの側で寝ていたから。そして、絡繰人形が蹴り破ったドアの衝撃音で目覚め、状況を把握、現在に至った次第だ。
「にしても危ない女だな。殺しとくか?」
「ダメ!一応学校の教師だから、やっかいな事にしたくないの。あの人は無視して校門から出ましょう」
「ちぇっ、まぁカオさんがそう言うならそうしとこ」
屋上からお構い無しに降り、襲いかかってくる人形さん4体。その全てを、黒鍵と呼ばれる得物で一刺し。実に軽やかで見事な撃ち筋だ。
一突きで串刺しとなり動きが停止した木偶人形。電源が切れたかのように動きが止まった。
「よし、これでおさらばだ」
校門に差し掛かった。やった、これでようやく逃げ切れる。
―――と思ったその矢先。テオさんの足が止まった。
「――、どうしたの?」
「結界だ」
どうやら彼女は、私達を逃すつもりは無いようだ。
第三章、「