ラブライブ!サンシャイン!!×仮面ライダードライブサーガ 仮面ライダーソニック   作:MasterTree

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2期編2話突入!
前回強力な力を発揮した01とソニック。

あの現象についてはまた後ほど。

今回も思い切り行きましょう!



第2期2話 雨がもたらすものとは何か

サンシャインサーガ前回のあらすじ。

 

次のラブライブに向けて新しいスタートを切ったAqours達。だがそこに飛び込んできたのは、学校説明会中止の報せだった。

 

しかも言い出したのは出資元である鞠莉の父。

どうしようもないと全員が諦めかけていたが千歌の言葉に影響されたか、みんなが持ち直す。

 

まだ終わってない。最後の最後まで足掻いて輝く!

 

と決意したのも束の間、敵側の刺客004まで現れる。上位ナンバーの個体に苦戦する2人だったが、なんとソニックが未知の姿に!

なんとか撤退まで追い込んだのだが、はたしてあの姿は………?

 

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理事長室前。

 

 

「きっと、なんとかなるよね……?」

「しかし、入学希望者が増えていないのは事実ですわ。」

 

あの後、鞠莉はまた海外にいる父に電話をしていた。

他のメンバーは外で待っている。

 

「生徒がいなくちゃ学校は成り立たないもんね。」

 

「どうにか人数が増えりゃいいんだけど……」

『ー。』

 

隼斗の肩に止まる01、通称鳥も頷いている。

 

そして、鞠莉が理事長室から出てきた。

 

「鞠莉さん」

「どうだった?」

 

「残念だけど、どんなに反対意見があっても生徒がいないんじゃ…って。」

 

「やっぱり、そうよね……」

 

「だから言ったの。もし増えたら考えてくれるかって」

「え?」

「増エたら……って?」

 

「何人いればいいのかって。何人いれば学校を続けてくれるかって。」

「それで……?」

「何人……集めるんダ?」

 

「100人」

 

「100人………」

「100人……ねぇ………」

 

「ええ、今年の終わりまでに少なくとも100人集まったら来年度も募集し、入学試験を行うって。」

 

100人集めること、それが存続の条件だった。

現状は入学希望者がおよそ10人。

まだまだ足りない。

 

「まだ10人しかいないのですよ?」

「それを年末までに100人って……」

 

 

「でも、可能性は繋がった。

終わりじゃない。可能か不可能かなんて今はどうでもいい。だって、やるしかないんだから!」

 

「まあ、たしかにそれもそうか。」

 

「鞠莉ちゃん、ありがとう!」

「一先ず時間だけは稼げたってところか?」

 

「可能性だけでも信じよう!学校説明会もラブライブも頑張って集めよう!100人‼︎」

 

「0から1へ!」

 

「1から10へ!」

 

 

「10から………100へ‼︎」

 

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放課後、学校地下にあるキリカラボ。

 

「なに?01のシグナルバイク?それに羽の付いたソニックだぁ?」

 

それまでコンピューターに向かっていたキリカ博士が回転椅子をこちら側に回して隼斗の話を聞いていた。

 

「ああ、千歌達の証言によるとなんだが……」

「私はそんなソニック開発した覚えはない。強いて言うなら……あれにはこれまでの戦闘データを君の持ってたバイクのキーから移し替えたメモリー代わりとなる記録用シグナルバイクが搭載してある。変身用に使う為って開発はした覚えないな………」

 

「そうかよ………んじゃああれは何かの間違い

だったのか……?」

 

「多分そうだろうよ。さ、練習行っておいで。私もあとから向かう。」

「おう」

 

「あ、いや待って。忘れるところだった……。これ、ソニックの新武器!」

 

そう言ってキリカ博士が棚から外して隼斗に手渡したのは、どこからどう見ても鞘に納められた刀だった。

柄は黒と、ソニックと同じ青色。

鞘のベースカラーは緑色に近く、先端などに金色の装飾が施されている。

 

「刀?これが新武器?」

「ただの刀を私が作る訳なかろうよ。

ドライブのハンドル剣と同じ、S01合金製の超凄い業物さ!折れない、錆びない、斬れ味落ちないの脅威の3点セット!」

「ほほう………?」

 

スッと鞘から少し刀を引き出してみると海のように透明な水色の刃が光る。

色合いはハンドル剣のようだ。真ん中が少し銀色になっている。

鍔は付いておらず、日本刀のような雰囲気を残しながらも中々近代的なブレードのようなデザインになっていた。

ゼンリンシューター同様、シグナルバイクをセットする場所も側面に付いている。

 

「お、これもシグナルバイクと連動を……」

「ドライバーのフルスロットルと合わせて、更に必殺技の強化も可能な仕組みになっている」

「へぇ………ところでこいつ、名前は?」

 

「実は名前がまだ思いつかなくてな……君が名づけてくれないか?」

「今は思いつかねえしな……まあ気が向いたら付けるよ。ありがとな博士!」

 

「ああ、持ち運びには気をつけろよ?なんか袋にでも入れてな?」

 

「分かってる〜。ってか……なんで刀?」

「最初は剣にしようと思ったけどドライブと被るからね。何か別の……君だけの武器って感じにしようと思って刀に」

「なるほど」

 

 

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「………とは言ったものの……」

 

「いきなり?」

 

「ラブライブの予備予選がこんなに早くあるなんて思ってなかったんだもん。」

 

「出場グループが多いですからね」

 

「この地区の予備予選は来月の始め。場所は特設ステージ」

「特設ゥ?」

 

「有象の魑魅魍魎が集う宴ッ……!」

 

「でも、どうして早いと困るずら?」

 

飲み物を飲みながら花丸が千歌に聞く。

 

「それは、その………」

 

「歌詞を作らなきゃいけないからでしょ?」

 

「ナルホド」

 

「あ、そうか歌詞作りは千歌の仕事か……」

 

「あ〜!私ばかりズルい!梨子ちゃんだって二曲作るの大変だって言ってたよ!」

「それ言ったら曜ちゃんだって……」

 

「曜サンは2曲分の衣装(全員分)占めて18着も作るわけだしナ」

「憐くんの言う通り。こんなにあるからねー」

 

「同じ曲って訳にはいかないの?」

 

「って思うダロ?これがそうもいかねーんダワ。だろ?ダイヤさん」

 

「憐さんの言う通り。未発表の曲しか使えないという規定がありますわ」

 

「キビシーよ……ラブライブ……」

 

寝っ転がりながら言う千歌。

 

「それを乗り越えたものだけが、頂きからの景色を見ることができるのですわ。」

 

「それは、分かってるけど………」

 

その千歌の顔を覗き込むようにして梨子が聞いた。

 

「で?歌詞の方は進んでいるの?」

 

「うぁ!それはその………」

 

「ここに歌詞ノートがあるずら」

 

 

「わーっ⁉︎」

 

そのノートには梨子のイラストが。パラパラ漫画のようになっていた。

 

「わぁぁ………」

「そっくり!」

「結構力作でしょ?」

 

「んな事だろうと思った……」

 

「あ、隼斗さんずら」

「おかえりなさい!」

 

「キリカ先生との話は終わったんですの?」

 

「ああ。博士にも分からねえってさ……」

「あのmiracle現象の事ね?」

 

「そう」

 

「それはともかく……隼斗、その手に持ってるのって、刀?」

「キリカ博士特製の新武器だそうだ。名前はまだない。」

 

「鳥さんと同じなんだ」

『ー。』

 

「ってか昨日夜の2時までかかって………」

「こんなものの為にかよ……」

「千歌ちゃん………」

 

 

「…………はい、すいません」

 

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その後、部室にて。

 

「うー…………」

 

詞を考えるも思い浮かばず、机に突っ伏している千歌。

そしてその外では…………

 

「ふっ!こう?それとも……こうか!」

 

新しい武器の刀を抜き、試しに振ったり突いたりするようにして体を動かす隼斗。

右手に刀を、左手に鞘を持っている。

 

 

「でも、このまま千歌達に任せっきりというのもねー」

 

「じゃあカナン、久しぶりに作詞やってみる?」

「えっ⁉︎い、いいや私は………」

 

「なになに!果南姉ちゃんの作詞⁉︎」

「ちょっと隼斗さん!その刀を仕舞ってから部室に入りなさい!」

 

「あ、いけないいけない………」

 

隼斗は外に出て最後に横に一振りしてから鞘に納めた。

左手に持ち部室に戻る。

 

「で?姉ちゃんって作詞できるの⁉︎」

 

「ええ、前の……旧Aqoursの時は、カナンが詞を作ってたのよ」

「へぇ………初耳」

 

「それ言ったら、鞠莉だって曲作りしてたでしょ?」

「へぇ、曲は鞠莉サンか……」

 

「じゃあ衣装は?」

「衣装はわたくしと………」

 

「と?ダイヤさん以外に誰が………」

 

ダイヤの視線が妹であるルビィの方向に。

 

「なるほど」

「だよね!ルビィちゃん裁縫得意だったもん」

 

「得意っていうか………」

 

すると、花丸が一つのバッグを取り出す。

クマの刺繍が入っている。

 

「これも、ルビィちゃんが作ってくれたズラ!」

 

「刺繍もルビィちゃんが?」

「う、うん」

 

すると、鞠莉が立ち上がり一つの提案をした。

 

「じゃあ、二手に分かれてやってみない?」

 

 

『二手に?』

 

「曜と、梨子と、千歌っちが説明会用の曲の準備をして……

後の6人がラブライブ用の曲を作る!」

 

「いや待て待て待て、俺たちは⁉︎」

 

「あ、いっけない忘れてた☆」

「忘れてたじゃねえよゴルァ」

 

「そうね……ハヤトは私達の方に、憐は千歌っち達の方に付いてもらおうかしら?何かあった時の為のbody guardとして」

 

「俺っちが千歌サン達の方かー」

「俺は1、3年側と」

 

「こうすれば、みんなの負担も減ると思うの」

 

「でも、いきなりラブライブ用の曲とかなんて………」

 

「だからみんなで協力するの!一度ステージに立ってるんだし‼︎千歌っち達よりいい曲が作れるかもよ?」

 

「かもではなく、作らなくてはなりませんわね。スクールアイドルの先輩として」

「お?言うねぇ」

 

「それいい!じゃあどっちがいい曲作るか、競争だね!」

 

「ルビィちゃん!」

「う、うん!」

「承知」

 

「では、それぞれ曲を作るという事で、決まりデスね」

「おー!」

 

「気合い入れて行くか!」

『ーッ!』

 

「俺っちも!」

 

 

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「じゃあ私達は千歌ちゃんの家で曲作ってるね!」

「誰か一名様、俺っちが乗せてくヨー?」

 

「あ、乗りたい乗りたい!」

「あ、ちょっと千歌ちゃん!」

 

「頑張るずらー!」

 

 

「さて、我々も行動開始と行きますか?」

「その前に隼斗さん、その刀どうするんですの?」

「いくらなんでもそのままだと確実に捕まるよ?」

 

「あーそうなんだよなぁ………うーん……どうしよ………あ、そうだルビィ!これ入れる袋、作れるかな?お代とかは出すから!」

 

「ふぇ⁉︎る、ルビィが⁉︎」

 

「衣装よりかは簡単そうだけど……」

「暇な時……は無さそうか。簡単にでいいからさ、頼むっ!」

 

「じ、じゃあ…作ります!」

 

「よし来た!」

「隼斗、自分で作れないの?」

 

「俺がこういうの苦手なの知ってるでしょ、姉ちゃん」

 

「はいはい。さて、私達はどこでやろうか?」

 

「ここら辺だと、やっぱり部室?」

 

「それだとなんか代わり映えしないんじゃない?」

「となると……何処だ?」

 

「千歌さん達と同じで、誰かの家にするとか?」

 

「鞠莉んとこは?」

「え、私?」

 

「そうですわね、部屋は広いし、ここからそう遠くないですし」

 

 

「もしかして、鞠莉さんの家ってすごいお金持ち?」

 

「うん、そうみたい」

 

「そうみたいなんてもんじゃねえよ。俺もあいつの事を知った時には驚いたぜ……あの時こんなすごいお嬢様を助けたなんてな……」

 

「スクールカーストの頂点に立つもののアジト……」

 

「頂点じゃなくて、もはやそこを超えてそうだけどな………」

 

「私はノープロブレムだけど……4人はそれでいいの?」

 

「no problem.」

 

「賛成ずら!」

「右に同じ!」

「ヨハネの名にかけて!」

 

「OK!Let’s to gether‼︎」

 

『ーッ‼︎』

 

ラブライブ班、いざ鞠莉の家へ!

 

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『わぁぁぁぁぁぁ………!』

 

 

広々としたロビー、噴水に銅像。

ここは淡島にあるホテル。鞠莉の実家、小原家が経営しており、鞠莉は現在ここに住んでおり、浦の星に通っている。

 

「あいっ変わらずとんでもねえな………」

『ー』

 

「心の闇が晴れていく………」

 

「そんなに……?」

 

「初めて来た時はあなただって………」

 

 

『わたし、ここに住む!』

 

 

「って………」

「あら、姉ちゃん可愛い」

 

「昔の話だから!」

 

「ってことは本当に言ったんだ」

「もう!隼斗うるさい!」

 

「はいはい、過去の話はそれまでにして。それよりも、ここに来たのは曲を作る為ですわよ?さぁ!それでは………」

 

 

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『おおお………』

 

「おまたせー!アフタヌーンティーの時間よー?」

 

通された部屋で待っていると、出てきたのはテレビとかでしか見ない超すごいアレが。いや本当に凄いわ。

 

「流石だな鞠莉………」

「それほどでもー?というかハヤト、01ちゃん本当に何もいらないの?」

「ああ、こいつの動力源は俺のバイクとかと同じコアドライビアだ。充電とか、水も餌もいらない」

『ー』

 

01がそうだと言わんばかりに首を縦に振る。

 

「ならいいけど。ハヤト達も、これ好きなだけ食べていいからね?」

 

そう言われ、1年の3人はマカロンを手に取る。隼斗はとりあえず紅茶を。

 

「ふぅ………ここまで豪華なおやつ中々ないぜ……」

 

「ダイヤ達もどうぞ?」

 

 

と、あの後はお菓子を食べたりテレビ観たりと全く作業にならなかったので、一行は場所を変えて黒澤家に。

 

 

「やはり!鞠莉さんの家では全く作業になりませんわ!全く‼︎」

 

『ええー』

 

「あっちが良かったずら。」

「もっとポップコーン食べたかったのに。」

 

「あの味中々に良かった……もう戻れねえかも」

 

「やりますわよ?」

 

「「「はい。」」」

 

 

 

「では、まずは詞のコンセプトから。ラブライブ予選を突破する為には……」

 

「はい!ズバリ……『無』ずら!」

 

「無……?」

 

「はい!無というのは無いわけではなく、無という状態があることをいうずら。」

 

「は?」

「what?」

「ほらー、2人とも分かってねえぞー?」

 

「なにそれ………カッコいい!」

 

「善子もまてーい。」

 

「善子さん……その無があるという事こそ、私達が到達すべき究極の境地ずら!」

 

「ヨハネ……無………つまり漆黒の闇……!そこから出ずる力……!

 

「すごい!2人とも!」

「イヤイヤ別の意味ですごいから。俺たちの到達できない境地だから。」

 

「それでラブライブに勝てるんですの?」

「テーマが難しすぎるし……」

「of course!もっとhappyなのがいいよ!」

 

「そういう鞠莉さんは、何かアイデアがありますの?」

 

「任せてくださーい!前から温めていたとびっきり斬新でhappyな曲がありまーすっ!」

 

そう言ってスピーカーにスマホをセットする鞠莉。

 

「みんなに曲を聴いてもらうこの感覚………2年ブーリですねー!」

「どんな曲?」

「鞠莉の曲か………」

「聴いてみる?」

 

再生ボタンが押されると、ギターの音がかなりの音量で響く。ロックな感じの曲調だ。

 

「イェーイ!」

 

「なるほど、こんな感じか……」

「なんかいい感じ。体動かしたくなるね。」

「確かに今までやってこなかったようなものではありますね。」

 

「音楽に合わせて体を動かせばhappyになれますネ!」

「そうだね、ラブライブだもん!勢いつけていかなきゃ」

 

だが、その音楽が突然止められた。

 

「え?」

 

「ルビィ…こういうの苦手……」

「耳がキーンってして……」

「単なる騒音ずら……」

 

1年生、及び01が何故かダウンしていた。

おいおい1年はともかく相棒ー。あれぐらいなんてことないだろー。

 

「こっちはこんな調子だが……憐は大丈夫か……?」

 

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「うぅー………」

 

「浮かびそうもない?」

「輝きって事がキーワードだとは思うんだけどね?」

 

「それっきりダメだと。」

 

「輝きねぇ………」

「早くしないと果南ちゃん達に先越されちゃうよね……」

 

 

その時、ちゃぶ台に置いてある憐のスマホが鳴る。

 

「憐くん、鳴ってるよ?」

 

「え?あーはいはい………ア?」

 

「どうしたの?」

「なんかすぐ来てくれって、問題発生らしい」

 

そう言って画面を見せる憐。

 

「嘘⁉︎」

 

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で。

 

「それではラブライブ予選は突破できませんわ!」

 

「じゃあそっちのなら可能だというの⁉︎」

 

「少なくとも可能性はこちらが上と見る」

 

「でも、あの曲はAqoursには合わないような………」

 

「新たなchallengeこそ新たなfutureを切り開くのデース!」

 

「無の境地ずらー!」

 

 

事態は、3年側with隼斗・1年生側に分かれ、思ったより混沌を極めていた。

 

 

 

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「やはり、一緒に曲を作るのは無理かもしれませんわね。」

 

「趣味が違い過ぎて………」

 

「完全brokenってところだな……」

 

「いいアイデアだと思ったんだけどなー。」

「もう少しちゃんと話し合ってみたら?」

 

「それができたら苦労しねーよ。」

「散々話し合いましたとも。ただ、思った以上に好みがバラバラで………」

 

「バラバラか………」

「確かに、3年生と1年生とじゃ全然タイプが違うしね」

「俺忘れられてない?」

 

「ああ、隼斗は……割と中立的じゃない?今回は3年側ってだけで」

「そうか?」

 

「でも、それを言い訳にしていたらいつまても纏まらないし……」

「それは………」

 

「確かにその通りですわね。わたくし達は、決定的にコミュニケーションが不足しているのかもしれません。」

 

「前から1年生と3年生あんまり話してなかったもんね。」

 

「善子と花丸の2人はあまり積極的に話す方ではないし、鞠莉はどうか分からんが………姉ちゃんああ見えて人見知りなとこもある……よな、千歌?」

「うん」

 

「となると………」

 

 

『仲良くなる?』

 

「そうですわ。まずはそこからです」

「曲作りは信頼関係が大事だし」

 

「でも、どうするずら?」

 

「それなら任せて!」

 

「お、姉ちゃん何かアイデアが?」

「何かあるの?」

「小さい頃から知らない子と仲良くなるには………」

 

『なるには?』

 

 

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「一緒に遊ぶことっ!」

 

果南の投げた豪速球が善子と花丸の間を通過する。

そしてそれを外野の鞠莉がキャッチ。

 

「nice ball!」

 

ちなみに、俺と鳥はレフェリーだ。

 

「何、これ………」

「ずら………」

 

「何ってドッジボールだろー?ほらほら試合中だぜ!」

 

「さあ!行くよー!鞠莉・シャイニング……」

 

「ずら⁉︎」

「任せて!」

 

投げる体制に入った鞠莉。狙われた花丸を庇う形で善子が間合いに入る。

 

「力を吸収するのが闇、光を消し、無力化して深淵の後方へ引きずりこむ……」

 

「tornado‼︎」

 

鞠莉の投げたボールは真っ直ぐに善子へ。

凄まじい回転のそのボールは善子の顔面を直撃。続けて花丸、ルビィにも連続でヒットし1年チーム全滅。

 

 

「試合しゅーりょー」

 

『ーッ』

 

 

あの後図書室で読書をしたりもしたが、ダイヤはともかく果南と鞠莉の2人は途中で寝てしまった。

 

「結論から言うとこのメンバーは、アウトドア派な3年生と、インドア派な1年生に分かれてる、という事ですわね………」

 

「既にきっちりと分裂してるからな……で、ダイヤさんは何かアイデアは?」

 

「こういう時は、互いの姿をさらけ出すしかありません!」

 

「はい?つまりそれって………」

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で。

 

「すなわち、裸の付き合いですわ!」

 

 

『裸の付き合い?』

 

 

「ってか俺ハブられてるんですけど‼︎」

 

と、高い壁を挟んで反対側に位置する浴場からの隼斗の声。

 

「仕方ないでしょう!隼斗さんはそこから壁越しに話を聞いてください」

 

 

「やれやれ仕方ない……おい鳥、ここは同じ雄同士、相棒同士の1人と1匹で………あれ?」

 

おかしい、先程まで側にいたはずのあいつがいない。

何処に行った?

 

と、考えていると向こう側から声が。

声の主は果南だ。

 

「隼斗〜。01ならこっちにいるよー?」

 

 

『〜!』

と、01の鳴き声。果南に抱えられながらお湯に浸かっている。

 

なお補足を入れると、この支援メカRF-01は擬似ロイミュード。すなわち機械。しかし防水対策は博士によって万全の為問題無し。

 

 

 

「てめぇぇ鳥ィィィ‼︎裏切りやがったなこの野郎!後で覚えてろよぉぉ‼︎」

 

 

「隼斗さんお黙りなさい!迷惑でしょう?」

 

 

「ちぃ………」

 

不満気な表情で顔を沈め、ブクブクとする隼斗。

 

「ともかく、古来より日本では共にお風呂に入りコミュニケーションを取る事で物事を円滑に進める文化があったのですわ」

 

「でも、こんな時間からお風呂かぁ………」

 

そこへ、後から来た善子。シャンプーハットの上に更にタオルを乗せている。

 

「堕天使が人前で素肌を晒すなんてありえないわ!」

 

 

「この際んなもん気にすんな……bkbk……」

 

「善子ちゃん!」

 

そう言って花丸が指差す先には何かの鳥の像から出てくる白いお湯の風呂。

 

「暗黒ミルク風呂というのがあるずら!」

 

『白黒どっちやねん!』

 

これには全員で突っ込む。

 

「クックッ……身体に……身体に染み渡る……このパトスが!」

 

「笑いながらお風呂入ってると不気味ずら。」

「うっさい!」

 

「もー飽きた〜。」

「そうだよー充分あったまったよー。」

 

「まったく!少しは我慢なさい!」

 

 

「無駄だぜダイヤさん………その2人想像以上に堪え性ないから」

 

 

「あれ?ルビィちゃんは?」

 

 

そのルビィは、像の流す暗黒ミルク風呂の湯を頭から被りながら入っていた。

 

「あー……極楽極楽………ん?」

 

 

だが、あったまっていたのも束の間。

なんと突然雨が降って来た。

 

 

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バス停にて。

 

「よう鳥ィ……随分楽しそうだったな………」

 

01の頭を鷲掴みにしながら笑ってない目で01を見ている隼斗。

ジタバタして抜け出そうとする01。

 

『ー!ー!ー!』

 

「そこまでにしときなさい、ハヤト。鳥さんに嫉妬するなんてらしくないわよ?」

「クッ………ロボットの癖に………」

 

そう言われて、隼斗は01を放してやる。

 

「なら今度どっか一緒に入り行く?」

 

「バッ!おまえそれは………!///」

「勿論、withカナンで!」

「冗談でもやめろ‼︎///」

 

「鞠莉も隼斗もその辺にしな。っていうか、せっかくお風呂入ったのに雨なんてね……」

 

「結局何しに行ったんだか」

「結局なんだったんでしょう」

 

「マルはご満悦ずら」

「ルビィも」

 

「ハァ……あちらを立てればこちらが立たず、まったく………」

 

「より違いがはっきりしただけかも」

「姉ちゃんの言う通りかもな……」

 

「どうしよ、傘持って来てない……」

 

「どうするのよ?さっきの所戻る?」

「それはちょっとなぁ………」

 

「結局何も進んでないかも……」

「あ、たしかに……!曲作り!」

 

「近くに、知り合いのお寺があるにはあるずらが………」

 

『え?』

 

 

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そして、隼斗達はそのお寺に。

 

ギィィと音を立てて重い扉が開く。

 

 

「入っていいずら」

 

「いいのか?」

 

「連絡したら、自由に使っていいって。」

 

「お寺の方はどちらにいらっしゃるんですの?」

 

「ここに住んでる訳じゃないから……いないずら〜」

「となると、ここで雨宿りしていくしかないですわね」

「雨もまだまだ止みそうにないし」

 

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で、中に入る。大きな仏像の前にある二本の蝋燭に火がつけられた。

 

「電気は?」

「無いずら」

「reary⁉︎」

 

「となるとかなり古いんだな………」

 

隼斗は背中に背負っていた袋(黒澤家に行った際に作られたルビィ作)から刀を取り出して抜く。

 

「広いからかなり振り回せる!」

 

鞘を捨て、ビュンビュンと振る。刃が蝋燭の灯りを反射して辺りを少しだけ照らしている。

 

「すっぽ抜けて飛ばさないようにしてくださいよ?」

 

「ど、ど、どうする?私は別に平気だけど……」

 

ガタン!ギシシッ………

 

何かが落ちたにしては奇妙な音が響く。

 

「っ⁉︎」

 

 

 

すぐさま音の方向を聴き取り、その方へ刃を向ける隼斗。

だが、何も無い。

 

果南も怖いのか近くの柱にしがみついている。

 

 

「何もねえ………」

 

「ほかにする事もないし、曲作り?」

 

「でも、またケンカになっちゃったりしない?」

「き、曲が必要なのは確かなんだし、さっさとやっちゃった方がいいんじゃない?」

「それもそうですわね。」

 

「意外とパーっとできるかも?」

「だといいずらね……」

 

ガタン!

また変な音が聞こえる。

 

全く何処から鳴ってるんだ………

 

「あと隼斗さん、その殺気を鎮めてはどうですか?何もこんな所までロイミュードは来ないはずですわよ?」

 

「こういう時だからこそ来る。俺が言うんだ間違いは無い」

 

「歌詞は進んでるんですの?」

「善子ちゃんがちょっと書いてるの、この前見たずら」

 

「何勝手に見てんのよ!」

 

「へぇ、やるじゃん!」

「凄い!」

 

 

「ルビィはともかく、姉ちゃんはいつまでダイヤさんにくっついてるのさ。」

「い、いいでしょ別に!」

 

「フッフッフッ……よかろう。だがリトルデーモン達よ、おまえ達に見つけられるかな?このヨハネ様のArkを!」

 

「Ark見つけた」

「早すぎるのよ!」

 

隼斗が足元に置いてあったノートを拾い上げる。

中にはびっしりと難しい単語が並んでいる。

 

「これは………」

「裏 離 聖騎士?」

「りゅうせいきしだん!」

 

「この黒く塗りつぶされている所はなんですの?」

「ブラック・ブランク!」

 

「読めませんわ………」

「おまえにはそう見えているのだろうな……おまえには!」

 

ギシィ………

またしても音が鳴る。

 

近い、音の方向は左後ろ側、これは足音か?

恐らくは何者かが忍び込んできた?

 

犯罪者?人間ならまだ対処できる。

けどロイミュードだった場合は………!

 

俺はすぐさま振り返り、その方向に刀を向けた。そこにいたのは………!

 

 

「ニャア……?」

 

 

子猫だった。黒毛で赤いリボンをしている。

 

 

「ね、猫ぉ………?」

 

「なんだ、おまえだったのか……」

 

果南はその猫を抱き抱え頭を撫でてやる。

 

「そういえばこのブラックブランク?動きますわ?」

 

「お、お姉ちゃんそれ……虫……!」

 

『うわぁぁぁあ⁉︎』

 

今度は反対側からブーンという羽音が。その虫はどうやら飛んでいるようだ。しかも割と大きい。先程の音よりは簡単に聞き取れた。

 

「みんなちょっと伏せてろ!」

 

隼斗は踵を返し、みんなの方へ向く。

その虫は視認できた。かなり大きい。

ゴキブリか?まあどうでもいい。

 

これから斬るだけなのだから………

 

右足で畳を思い切り蹴り、その虫の方へ。

 

「セリャアッ‼︎」

 

持っていた刀で虫を縦に一閃。

 

「オマケだ‼︎」

 

更に斜めに斬り裂く。

その2連続斬りで虫は絶命。

 

「決まった……!」

 

着地した後、刀を鞘に収める。

直後、なんと近くにあった蝋燭も切れてしまい、床に落ちて火が消えてしまった。

 

「あ」

 

『あっ………』

 

 

「………いやーやっちまったぜ☆」

 

『やっちまったぜじゃなーい‼︎』

 

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改めて別の蝋燭が立てられ灯りは取り戻せた。が、結局何も進展無しだった。

 

「一体私達、どうなっちゃうの……?」

「全然噛み合わないずら……」

 

「どうなるも何もな………」

 

「随分冷静ですわね……隼斗さん」

 

隼斗はスマホで日本各地の名のある刀を調べながら名前を考えていた。

 

「まあな……天下五剣……五って微妙だな…」

 

「このままだと曲なんてできっこないよ……」

「そうですわね………」

「so……bad………」

 

「そんなに違うのかな、ルビィ達……」

 

 

 

 

 

「さっき斬ったあの感覚……虫1匹を狙ったはずが蝋燭まで巻き込んだ……あれだけ強力ならなんでも斬れるんじゃ………?この世にこれより強い刀は恐らく無い……唯一無二……これ以外に存在しない……すなわち零…」

 

「隼斗さんはさっきから何ブツブツ言ってるのよ?」

「え?あ、いやこいつの名前をな。俺だけの武器なんだからこう、カッコいい名前を付けたいなーと思ってそれで………」

 

そう話していると、隼斗の首に何かが落ちた。

 

「つめてっ⁉︎」

 

上を見上げると、あちこちから水滴が。

 

「雨漏りずら………」

 

「やっぱ建物が古いからか……」

 

「こっちにお皿あったよ!」

「姉ちゃんナイス!他には?」

 

「ハヤト!こっちも!それからこっちにも……」

 

「こちらにお茶碗がありましたわ!これを……」

「それでなんとかなるな。」

 

「こっちにも頂戴!」

 

「こっちにも!」

 

「こっちもずら!」

 

 

全員で声をかけあい、確認しながら対応していく。

 

ピチャン………ピチョン………

 

器や雨漏りの粒次第で、一見どれも同じようなその音は幾つにも分かれて聞こえた。

 

「テンポも音色も大きさも……」

 

「一つ一つ、全部違ってバラバラだけど!」

 

「一つ一つが重なって……」

「一つ一つが調和して……」

 

「一つの曲になっていく。」

 

「まる達もずら。」

 

「それすなわち………音楽、歌。」

 

意味ありげに指揮者のように両手を振ってみせる隼斗。

 

どうやら1、3年生もみんなすっかり打ち解けたようだ。

 

「よーし!今日はここで合宿ずらー!」

 

『えええ⁉︎』

 

 

「あのー帰っていいですかね?」

 

『〜。』

 

しかし隼斗、自分の仕事は途中で投げ出さない為翌朝までみんなに付き合ったとか。

 

 

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次の日の朝。

 

 

「んー………結局一晩ここで過ごすとは…….」

 

 

刀を持って外に出た隼斗。

鞘から引き抜き、右手に持って構える。

 

「………ハァッ‼︎」

 

左手には拾った小石を沢山。

それを自分の頭上に放り投げると、隼斗はその場から離れ、投げられた石を斬りまくる。

 

「まだまだ!そらっ!」

 

更に斬ると、石はあっという間に粉々に。

それを見た隼斗は登る陽にその刃を向けた。

 

「こいつならどんな敵だって斬れる!目の前の絶望すらも斬って捨てる!一晩考えて、考えまくっていい名が思いついた!

 

こいつは煌めく奇跡の刃!吹き荒ぶ風の剣!

天の下にあるこの世に、対抗できる剣はない!

 

今日からこいつは……『天下零剣 煌風(てんかれいけん きらかぜ)』だ‼︎」

 

 

朝日を受けて煌めく刃。隼斗は剣にそう名付けた。

 

 

「隼斗!」

 

 

その時、隼斗を呼ぶ声が聞こえた。

振り向くと、そこにはみんなが揃っていた。

 

「あー………見てた?」

 

 

「見てましたとも」

 

「奇跡の煌めく風の剣……今ここにカタチと成る!」

 

「so coolよ!」

 

「さ、千歌さん達のとこに行くずら!」

 

「曲、できたのか!」

「もちろん!」

 

「よし!じゃあ行くぞ!」

 

 

『おー‼︎』

 

次回に続く!

 

 

次回 サンシャインサーガ!

 

 

「なんだ……あれは………?」

 

「変、身……。」

 

 

ついに襲来!ゴルドドライブ‼︎

 

その強力さ故に苦戦を強いられる2人。

 

「所詮お前達はドライブやマッハの贋作、あれにも及ばない屑だ!

私に敵うはずが無い‼︎」

 

 

だが、その時隼斗が…………

 

 

「贋作……偽物……模造品だって言いたいなら、それはお前にそっくり返す!見せてやるよ、俺だけの力‼︎」

 

 

《Evolution!Super Rider!》

 

ソニックは今、進化する‼︎

 

 

「お前は俺がぶっ倒す!それが俺の、やるべき事だ‼︎」

 

 

次回 覚悟がもたらす進化とは何か

 

 

 

 

 




新武器解説 (メモにある原案より引用)

天下零剣 煌風
てんかれいけん きらかぜ

ハンドル剣と同じS01合金で作られた
ソニックの日本刀型新武装。煌く風と書いて煌風。



この武器はソニックのシステムを応用する事で風を取り込んで斬れ味を強化できる。

その為片手のみでも威力をさほど落とさずに運用でき、片手剣と同様の扱い方もできる。

見た目こそ刀と言った感じだが、所々彼なりにアレンジが加えられている為かなり近代的になっている。

形状イメージはモンスターストライクの神威の持つ刀(進化)
を色違いにしアレンジを加えたもの。


刃はハンドル剣と色合いが同じ。
刀の持ち手は青を使い、よりソニックらしい武装に。



「天下」つまり空の下であるこの世に一つとしてこの刀に匹敵する刀は無い、すなわち零。それ程強力という意味合いを込めて天下零剣と名付けられた。

そして、キラカゼというワードはキラキラと輝く奇跡=Aqoursとソニック(隼斗)の自慢の速さ、風から取ってキラカゼと付けている。


満を持して新武器登場!まあ今回は戦闘が無かったのであまり活躍はしてませんでしたが………
次回はついにヤツが来る!ソニックも遂に、最終形態へ!

次回もお楽しみに!感想・評価等お待ちしてます

それでは!



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