ラブライブ!サンシャイン!!×仮面ライダードライブサーガ 仮面ライダーソニック   作:Master Tree

58 / 65
あけましておめでとうございます(超絶大遅刻)

コラボ編本当のクライマックス!
ダブル・ソニックVSディストピア

スレイヤー・エデンVSディファレント

両陣営の戦い、最後までどうぞお楽しみください!!


ラブダブルコラボ編 第9話 Lを超えろ/絶望断つ剣

これまでのサンシャインサーガ ! 

 

亜種進化態ロイミュード達の妨害に遭いながらも鷲頭山にあるエルバのアジトにたどり着いた隼斗達。

 

だが、そこで待っていたのはダイノエイジ・ドーパントにされた果南やディファレント、ディストピア達。

 

隼斗は異世界から来たドーパント、スラッシュことファーストとの共闘、及び決闘を繰り広げた末に協力関係を結び、ついにエルバの元へとたどり着く。

 

今、それぞれの場所でこの世界を賭けた最後の戦いが始まろうとしていた────!! 

 

 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「急がネェと……ハーさん1人にしたらまた無茶すっからナァ……!」

 

007との戦いを終え、俺っちはハーさんを追っていル。

とりあえずハーさんが走ってった方にひたすら向かってるけど……これ道合ってんのカナ……? 

 

一度足を止め、呼吸を整えル。

ほんの数瞬だけ休んで、また走り出す。

 

「でもとりあえず走らなきゃ……急げ俺っち!」

 

だが突如として響く地鳴りのような音。

思わずコケて尻餅をついてしまう。すると次の瞬間

 

 

『────!!!!』

 

遠目に見えた地点に土を巻き上げて現れた巨体。

オイオイオイ! ジョーダンダロ!? アレって恐竜じゃねぇカ!! 

 

「マズイ! あっちって確かハーさんいるよな!? 絶対アレを1人では無理ゲーだって!!」

 

ペースを早め走り出した次の瞬間、突如目の前の空間が歪ム。

そこから現れたのは、見慣れた歪な機械の怪物。

 

108に酷似した姿の異常進化態ロイミュード『ディファレント』だっタ。

 

『…………!!』

 

「お前カ……! 悪いけど急いでんダ! 邪魔するってんならぶっ飛ばす!!」

 

《SignalBike!》

 

「変身!!」

 

《Rider!Slayer!!》

 

変身し、黒い獣の鎧を纏う。

1人じゃ心許ないガやるしかナイ。俺っちは意を決してクローを構えてディファレントに向かっていク。

 

『……!』

 

ディファレントは右腕を巨大なガトリングに変化させ、弾丸を連射。腕でそれをガードしながら突っ込み、クローで二撃。左腕が変化した鉤爪を振ってくるがそれは右手で受け、逆に左のクローを喰らわせル。

 

だがそれもちっとも効いちゃいないようでガトリングを叩きつけられたあと右腕から放たれたエネルギー弾で吹っ飛ばされ、地面を転がっタ。

 

「アレ試してみるカ……頼むから使ってないでくれヨ……カクサーン!」

 

俺っちが声をかけると、ハーさんの持つシグナルカクサーンⅡが飛んでくる。

 

「お前の力、貸してクレ!」

 

シグナルスレイヤーと入れ替え、それを装填! 

 

《SignalBike! Signal koukan! 超・カクサーン!!》

 

シグナル交換でカクサーンⅡを発動、両手のクローが青いエネルギーを纏ウ。

 

俺っちはハーさんのソニックみたいな銃火器を持たなイ。一見カクサーンは意味ないように思われがちダガ……

 

「デリャアッ!」

 

そのまま振りかぶることで残像の様にクローの切先が分身、ディファレントを切りつけ傷を負わせタ。

 

「よーし……これナラ!!」

 

そのまま再度接近、両手のクローを連続で振りラッシュ攻撃を繰り出す。通常の斬撃に加えて分身した切先がディファレントを切りつけることで二重にダメージを与え、着実にダメージを与えていル。

 

『…………!』

 

「そんデ…………」

 

《タクサン! 超・カクサーン!!》

 

「オラオラオラオラ! ンデ……もう一丁!!」

 

回転、からの後ろ蹴り連打! 

何連撃も叩き込んだ後最後に一発、ディファレントを吹っ飛ばし、地面に転がス。

 

「チャンスだゼ!」

 

その隙を逃さずそのまま飛びかかル。

だがディファレントは即座に体勢を立て直し立ち上がり、今度は両腕をガトリングに変化させ至近距離で弾丸を連射。

 

空中にいたせいで咄嗟のガードが出来ず、弾丸を一気に喰らって撃ち落とされタ。

 

「ってて……ギリギリセーフ……」

 

なんとか受身を取ってダメージを最小限に抑えたガ……コイツ思ったより隙がネェ。見たとこコイツ自身意思は持たないみてぇダガ……まさにコンピュータみたいな正確無比な戦闘力、ハーさん達もいない今、突破すんのは骨が折れそうダ…………

 

「クッソ……やっぱコイツ強すぎ……ん?」

 

ふと、目線を向けた先。

先程見た恐竜の方に向けて一目散に走っていくのは白銀の鎧に槍を持った竜騎士……竜騎士!? 

 

「ッテ、シュバルツ!? オイ、どこ行ってんダ!? シュバルツ!!?」

 

「……ん? 黒騎士! こんなところで何を……貴様、あの時の黒い機械生命体か!!」

 

危うくスルーされそうだったんで必死に呼びかけル、ようやくアッチも気づいてくれタ。

 

「シュバルツお前、ダイヤサンとルビィちゃんは!?」

 

「親分とお嬢ならば無論置いてきた! 今頃仲間たちと合流しているはずだ!」

 

「親分? お嬢……? まぁイイヤ手を貸してくれ! さっさとコイツ倒してハーさんのとこ行かなきゃいけねーんダ!」

 

「え……俺、あの恐竜の方がいい……ってアレ!? いない! 恐竜いなくなってるぞ!?」

 

そう言われて見てみると、シュヴァルツの言う通りいつの間にやら恐竜は消え失せてイタ、多分ハーさん辺りがやったんだろうナ。

 

アレがいなくなった事は厨二なシュヴァルツにとってかなりショックだったらしいがすぐに槍を構え直し、堂々とディファレントに向き直っタ。

 

「まあいい! 我こそは竜騎士シュバルツ!! 覚悟せよ異界の機械兵! 黒騎士と竜騎士が、貴様の鉄の心臓を穿つ!!」

 

「さっき俺っちを無視しようとしたよナ!?」

 

「……細かい事は良い!! 奇跡の絆が結んだ盟友がここに揃った。もはや負ける事は有り得ない! 共に征くぞ黒騎士スレイヤー!」

 

「ったく……そうダナ! 2人揃ったからには、この世界も……向こうの世界も! これ以上お前らの好きにはさせネェ! お前は、俺っち達が狩ル!!」

 

 

まあ何はともあれ援軍2号が来てくれタ。

これならなんとなる!……と信じてえナァ。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「……笑えないなぁ。全く笑えない……!!」

 

殴りかかるダブル、それを追い抜きブレイヴになっている俺とファーストが同時に斬り込む。何やら向こうもキレてるらしいが、それらをディストピアは易々と捌き、ダブルの右腕に剣を振り下ろす。

 

「させるか!」

 

それよりも速く、俺の殴打がディストピアの斬撃の軌道を逸らす。

結果、ディストピアの空間切断はダブルのマフラーの端だけを斬り取った。

 

空いた体にダブルの蹴りが入りスラッシュの追撃も続く。

 

だがその連携もしっかりと受けられている、

ほとんどダメージになっていないと見ていいかもな……ったく本当めんどくせぇなぁコイツ!! 

 

「っクソ! あと一歩だってのにあの野郎!!」

 

『3人がかりでコレかぁ……しんどいなぁ。ていうか隼斗さんキレてない?』

 

「この間も全員攻撃がまるで効いてなかったしな。この分だと素の防御力もあるだろうが、単純にコイツの技術がふざけてやがるのか」

 

「この程度を技術と言うなら論外だ。凡夫と悪は去れ。俺を笑わせる気が無い者は、朽ちて消えろ」

 

精度の高い斬撃。

速さによるラッシュを得意とする俺や、後出しによる適応の戦術をとるダブルとはかなり異なるアイツの攻撃。だがファーストは違っていた。

「空間を削り取る剣。触れたものを殺す、対話拒否の刃。武士としては全く趣を感じさせない剣だな、憂鬱」

 

「“憤怒”のファースト、あのゼロが秘蔵とした天才剣士だとは聞いていたが……悪である以上興味がないのはこっちだ。それに君の太刀筋は泥臭く、血反吐の匂いがする」

 

「たわけ者が。正義だ、悪だ、好き嫌いだなどと戦いに余計な感情は不要。突き進むは己が覚悟。従うは己の怒り。悪だろうが正義だろうが、俺は全てを喰らって前に進む!」

 

元々生粋の剣士であるファーストは、同じく剣を使うディストピアの動きに順応していた。

 

才能頼りで研鑽の跡がないような太刀筋ならファーストにはどうってことはないらしい。けど……このまま美味しいとこ持ってかれるのは俺としても癪だからな!!

 

「アンタにばっかカッコつけさせねえよ! そいつをぶっ倒すのは、俺だ!」

 

《カナリ!Brave!!》

 

シフトアップで加速し、斬り合いをしているディストピアとファーストの間に割って入り今出せる全開で二刀を振りまくる。

 

ダブルは徒手空拳故にこの状況に入れないのか蚊帳の外だったが、突然アラシが俺たちに向けて叫んだ。

 

「ファースト、隼斗! 左肩から腹、あとは特に心臓付近だ!」

 

 

左肩に腹、心臓付近?────そうか! 

 

「ファースト!」

 

「分かっている!」

 

斬り合い、通じ合って俺たちは言葉にせずともその心意を感じ取れた。

 

互いにFollowし合いながらディストピアに向けて切り込んでいく、そしてガードが崩れたほんの一瞬。

 

「ソニック!」

 

「オオオッ!!」

 

 

斬ッ!! 

 

ファーストと俺、呼吸を合わせた斬撃がディストピアに直撃。「「入った!」」互いに顔を見合わせてそれを確信した。

 

「気付くか……オリジンメモリに選ばれる程度の才覚はあるようだ」

 

「動きをよく見りゃバレバレだ。テメェは……」

 

「“傷”だ! アラシが教えてくれたのは、俺の前の戦い、後は今回特に深くダメージの入った箇所だった!」

 

左肩から腹はオーバーブレイクで初撃を入れた箇所、心臓付近はさっき突撃した時のやつだ。アレは確かにclean hitしていたらしい。

 

「……あぁ、そうだ。エルバ、テメェはそこを庇って動いてた。つまり……」

 

「お前のWeak point(弱点)は回復力の無さだ!!」

 

「おい隼斗。俺のセリフだ。戦闘以外でも見せ場取ってんじゃねぇぞチビコラ」

 

だが、これで奴の弱点は見えた。

一見硬いが再生力はない、それならそれで突破方法はあるはずだ。

 

『で、その弱点をどうするかだよ。折角3人いるんだし、上手いこと連携しよ』

 

「そうだ、俺がエルバをぶっ飛ばす! そもそも俺がダメージ与えたんだしな。ソニックがこん中じゃ最速最強だから、俺に合わせてくれ!」

 

「「……」」

 

 good ideaを提案したつもりが何故か沈黙。

 なんだよ、文句あんのかコラ

 

「なんだよその間は」

 

「……強いのは認めるけど、指図されたと思うと腹が立つ。作戦はこっちで建てる」


 

「俺の方が強い。仮面ライダーソニックに出来たのなら、俺の剣も奴に届く。俺がとっておきの技で仕留める、貴様らがサポートしろ」

 

「いいや、いくらアンタらでも譲れねえな! 姉ちゃんを傷付けられた借りは絶対に返す! ていうか実際問題、俺が一番速いだろ。俺がメイン張るのがBest、大正義だ!」

 

「速さとか剣でマウント取ってんじゃねぇよ。それともなんだ、2人揃ってまた俺らに貸しを作る気か? 知らんうちに仲良くなってたと思ったが、変な趣味まで気が合ってよかったな」

 

「上等だ仮面ライダー。全員でかかって来い、まとめて斬り伏せてやる」

 

『駄目だ。この人たち全然話聞いてくれない』

 

 ギャーギャーと互いに主張しまくる俺ら。

 だがそれをよそにディストピアが休む暇を与えず襲いくる。

 

「仲間割れとは……笑えない!」

 

 

「うるせぇ!!」

 

煌風を持った手で顔面をぶん殴って吹っ飛ばす。あーもうコイツら本当なんで分かんねえかなぁ! 

 

「あぁもう大体が敵のファーストがいるんだ! 仲良くなんて無理だろが!」

 

「同感だ。状況がどうあろうが関係ない。どんな敵が相手でも、思うままに刀を振っていればそのうち大抵斬れる。勝手にやらせてもらおう」

 

「だったらRaceだ! 誰が最初にエルバぶっ倒すか! 俺のソニックが最速だって見せてやるよ!」

 

飛び上がって空中からブラッシャーによる銃撃を浴びせ、煌風の斬撃と合わせhit&awayを繰り返す。

 

『ねぇ論点違うよね。言ってる場合じゃないよね全体的に』

 

 

「笑えない談笑も十分だろう。そろそろ退屈も限界だ、終わりにしよう」

 

ディストピアの剣に黒い光が宿る。そのまま振り抜かれたそれは無数の斬撃へと分裂。

 

凶悪なエネルギーカッターが、不規則に俺を襲う。凌ぎ切ったかと思うと、今度はディストピアの剣が大地に突き刺さる音が聞こえて……

 

「隼斗、逸れろ!!」

 

「ッ!?」

 

アラシの本能的な指示が出たのは、音が聞こえる寸前。ジェットを利用して咄嗟に飛び退くと、大地から突き上げる斬撃が間欠泉の如く天に昇り、その余波は雲をも斬り裂いた。

 

っぶねぇ……あとミリ遅れてたら真っ二つだったぞ!?

てめぇ……この野郎!!

 

「治りが遅えなら、また深いのをくれてやる!!」

 

一気に急降下し、その速度を利用して六連撃。初手五連は見切られたが、最後の一太刀がディストピアの脚を掠めた。

 

「っ……浅い。溜息が出るな。それで俺を倒せるつもりか?」

 

「そりゃこっちのセリフだボケが」

 

地面を蹴って跳躍したダブルが、傷を負ったディストピアの脚を蹴り崩す。すかさず、蹴りの勢いを殺さぬように風で加速し、胴体に風を纏った回し蹴りを喰らわせた。

 

思わぬ追撃を許したディストピアに、手応えのあるダメージが焼き付いた。

 

「仮面ライダーダブル……!」

 

「眼中に無い雑魚だと思って油断したか? 殺してもねぇ癖に見下ろしてんじゃねぇぞ」

 

『悪いね憂鬱さん。ウチの相棒、重度の負けず嫌いなんだわ』

 

俺の二刀での高速連撃にダブルが合わせてきて、そこにファーストも入り込んできた。

 

3人が互いに連携し出し、やっと数の有利が取れているという実感が湧いてきた気がする。

 

『やっと見えて来たよエルバ、君の戦い方。あと能力。ステータスは超チート級だけど、戦法自体は至ってシンプル。弱さ故に戦略を練ったりとか、自分のスタイルを見つけるとかがないからね。あと傷の治りに、君のその剣。空間を斬る技には必ずチャージがある』

 

「テメェのふざけた体力と気力で誤魔化してるだけで、本来はそう何発も使える技じゃねぇってことだ。道理で能力が強すぎると思ったぜ」

 

「MP消費の必殺技ってとこか……なるほどな! 流石はダブルのBrainだぜ永斗少年!」

 

「再生が遅いという理屈なら体力も同じであるはずだ。そうなれば切り拓く道はただ一つ!」

 

「テメェがぶっ倒れるまで殴って削りきる!!」

「テメェがぶっ倒れるまで殴って削りきる!!」

 

永斗少年としては「エルバの奴の体力切れを待って剣の方を無力化してからボコろうぜ」と言いたかったんだろうが、俺とアラシは互いにその逆の事を考えていたらしい。

コイツの攻略法は『とにかく攻撃あるのみ!!』

 

ディストピアの繰り出す剣撃をギリで見切って懐に入り込む。攻撃あるのみ、それが分かった以上避けの選択肢は捨てる。

 

一気に加速して超高速で2本の剣を振り翳す。一瞬でも手を緩めれば技が発動、Dead Endは免れない。

 

 0.01秒の気の緩みすらも許されない極限状態が俺の体を支配し、神経を研ぎ澄まし腕を、足を動かしている。

 

 

「うおおおおおおおおッ!!!」

 

だが、その集中よりも先に悲鳴を上げたのは俺の身体の方だった。

 

「────ッ!?」

 

右腕から力が抜け、煌風が弾き飛ばされた。

果南姉ちゃんのダイノエイジ、そしてファーストとの決闘。ファースト戦の後エネルギーを分け与えられて復活したとはいえここまで休み無しの連戦に次ぐ連戦。

 

全力の数倍上を要求される戦いが続いていたツケが、まさかここで回ってくるなんて……ッ!! 

 

 

「畜生っ……! なんでここで……!」

 

「まだだ、前を向け! 仮面ライダーソニック!」

 

だが、それを無駄にはしまいと背中を押す声が聞こえて空を見上げる。

宙を舞った煌風をファーストがcatch、俺がディストピアに付けた傷と、寸分狂わず重なるように斬り込んだ。

 

そして、気づけば空いた右手元には一本の刀が。ファーストの粋な計らいなのか、その刀を掴み取って力が戻った両腕で連続斬り!

今度は全ての斬撃がディストピアにヒットしダメージを与えた。

 

「いい刀だ」

 

「だろ? 天下一……それをも超える零! それと皆の煌きから名前を貰った、天下零剣 煌風……俺の自慢の愛刀だ!」

 

「道理だな。侍たるもの、目指すべきは強さの異次元。即ち絶対的な“0”だ」

 

 互いの持っていた武器を返却、本来の武装に戻した。

 

「お前らだけで仲良くしてんじゃねぇよ。喋ってんなら一番乗りは貰うぜ」

 

《Heat/Metal!!》

 

ルナメタルになったダブルの伸縮自在なシャフトがディストピアを縛り上げ木に叩きつけそのまま右側をメモリチェンジし特攻する。

 

「ここまでの戦闘で削れていれば、そう思ったのか? やはり君が一番笑えないことに変わりはないな。俺を苛立たせるだけの存在は一片の価値すらない。消えろ……!」

 

引き剥がしてしまった影響でディストピアに時間を与えてしまった。その間にチャージを完了させ、空間を斬り裂く攻撃がダブルに振りかざされた。

 

「かかりやがったな」

 

《Blessing!Maximum Drive!!》

 

数秒だけ光のベールがダブルを包む。

そのベールに触れた途端ディストピアの空間切除能力が霧散、ただの斬撃と化したそれをダブルの左側の鋼鉄装甲が受け止めた。

 

『僕らも初めて使うメモリだ。知らないでしょ? そんで……』

 

止まった剣の側部に熱されたシャフトが叩きつけられる。剣は側面からの攻撃には弱く、賭けに勝ったダブルの一撃は、絶望郷の剣を砕き折った。回避難解な一撃必殺能力がようやく無力化され、硬い壁に亀裂が入った。

 

ダブルは一瞬の勝機に闘気と体力の全てを注ぎ込み、熱波と打撃の乱舞へとディストピアを誘う。

 

《Metal!Maximum Drive!!》

 

「雑魚にいいようにされて冷めてんだろ憂鬱。お熱いの一発喰らっとけや!!」

 

「『メタルブランディング!!』」

 

灼熱の棍棒が黒い鎧に打ち込まれ、炎を纏った重い一撃がディストピアを吹っ飛ばし地面に転がした。

 

「行け、隼斗!」

 

「All right!合わせろファースト!」

 

「たわけ!貴様が合わせろ!!」

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!カクサーン!!》

 

「隼斗流剣技 二刀流!」

 

「我流剣七ノ技、二刀流!」

 

 

その一瞬を逃さず、俺とファーストは互いの得物を握りしめディストピアに接近。今持てる全力を叩き込んだ! 

 

「蝉時雨!!」

 

二刀で叩き込まれる無数の斬撃。

真夏の蝉の鳴き声のような季節外れな連撃がディストピアを斬りつけ、そして……

 

「究極奥義! 絶禍凌嵐!!」

 

ファーストが飛び退いたところで今度は俺。

煌風とリジェネレイトブラッシャー、二刀による高速連撃。

 

飛夜叉が瞬間に叩き込む連続斬りならこちらは継続しての連続斬り、ただひたすらに斬って斬って斬りまくる!! 

 

「速く! 速く! もっと速く!!」

 

空間切断の剣無き今奴はただの案山子。

これまでの怒りの全てを込めてただ刃を叩きつけまくる、そして────

 

「オルァァァっ!!!!」

 

最後の一太刀が炸裂。ディストピアは傷から火花を散らし目に見えて大ダメージが入ったのが見える。

 

「やったか!?」

『やめてよアラシここでフラグはマジで無いから』

 

「いや、ソニックの一撃は確かに入った。だが油断するな!」

 

「『ッ!』」

 

ファーストの言葉で再び構え直す。

ディストピアは全身に傷を負いながらもなお立ちあがろうとしていた。

 

「マジかよ……ッ!」

 

『いやぁ……これで倒れないのはどうかしてるでしょマジで』

 

 

「何故だ……実力も計画も、こちらが先を行っていたはず……!俺の目論見に狂いなんてあるはずがない……なのに何故……!!」

 

 

「まだわかんねぇかよ、確かにテメェの計画は厄介だったし、ここまで来るのに苦労はしたさ。でもな……テメェは甘く見過ぎてたんだよ、俺たちのことを」

 

「そうだ、『憂鬱』。こいつらはどんな逆境に立たされてなお折れることが無かった、俺の認めた強き戦士たち。天才ともあろうものが、まさかその予想を見誤ったか?」

 

「黙れ……!俺はまだ立っている……俺はまだ……まだ……!」

 

マジかよ……!立ち上がったディストピアから立ち昇る黒いオーラ。アイツまだそんな力を……! 

 

だが、こっちは今のでかなり全力を叩き込んだ。

これ以上なんて他に何が────

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハァッ!」

 

「ルァァ!!」

 

突き、切り、叩きつけ。殴り、蹴り、突き出し、切り付けル。

 

エデンの槍とスレイヤーのクロー。

互いの得意とする連携攻撃でディファレントに攻め寄ってイク。

 

『……!!』

 

 

ディファレントが右腕のガトリングを構えタ。咄嗟に防御の姿勢を取るがエデンはそれに構わず突っ込んでいク。

 

「無茶だゼシュヴァルツ!?」

 

「無茶なものか! この程度!!」

 

放たれる弾丸。このままだと全弾ヒットして蜂の巣不可避ダ。だが…………

 

「ハァァッ!!」

 

エデンはその手に持った槍を回転させ、放たれる弾丸を見事に弾き飛ばしてイル。咄嗟にあんな芸当できるとかすげぇナ!? 

 

「“不良”の“加護”を“受け取っ(キメ)た”極道竜騎士卍シュバルツ卍は止まらないッ!! 故に鉄砲玉! 行け、黒騎士!!」

 

「お……おおっ!肩借りるゼシュヴァルツ!」

 

不良……え?……よくわかんネェけどまあいいや。エデンが弾丸を防いでいる隙をついて俺っちはその肩を踏み台にし跳躍、前宙でディファレントの背後に回り込ム。

 

そしてそのままクローを振り下ろし、更に二連撃。ヘイトがコッチに向き、エデンに背中を向けたことで攻撃が止んで手が空いたエデンが槍を連続で叩きつけ、突きを繰り出ス。

 

その衝撃で吹っ飛んで来たディファレントを避け、身を捻ってクローで連撃、そのまま蹴り飛ばしタ。

 

『…………!』

 

ディファレントが再び立ち上がる。

シュヴァルツとの連携のお陰でダメージは通り出したものの、イマイチ決め手に欠けル……ってとこダ。

 

「やっぱ手強いナ……」

 

「ああ、この機械兵……一筋縄ではいかないな」

 

すると、こちらを見据えていたディファレントのカメラアイが光を放つ。

 

俺っち達の前の空間が歪み、その中からは新たに3体の下級ロイミュードが現れタ。ナンバーはそれぞれ038、039、040。

 

「新手だと!?」

 

「マジかよこんな時ニ!」

 

その三体は手を広げ、こちらに向けて重加速の波動を放って来タ。

俺っちはともかく、その瞬間エデンの動きが鈍くナル。

 

「しまった!?」

 

その隙をついて飛びかかる040。

バット型特有の能力で翼を広げ空中から光弾を連射し襲ってキタ。

 

「っ! させるカっての!!」

 

俺っちはドライバーのカクサーンⅡを抜き、シグナルスレイヤーに戻す。光弾をクローで弾き、持っていたカクサーンⅡをエデンに投げ渡して重加速を打ち消し、エデンは即座にその場から飛び退き距離を取った。

 

「っ!すまない黒騎士!」

 

「礼はいらネェ。それよりもここで増えるって……」

 

「やや面倒になったな……黒騎士、何か策はあるか?」

 

「とーゼン!来い、デッドヒート!!」

 

 俺っちが呼ぶと、空からデッドヒートメテオが飛来。翼を折りたたみ、リアウイング部分の尻尾を押して起動状態ニ。

 

《Burst!Overd Power!!》

 

《SignalBike/Shift Car!Rider!Dead Heat!!Meteor!!》

 

黒い獣装の上に真紅の竜鎧を身に纏う。

紅蓮の暴竜、メテオデッドヒートにチェンジシタ! 

 

「おおお! あの時の煉獄の竜!!」

 

「こっからはガチの上のガチで行く!シュヴァルツ!そっちもなんかネーのか!?切り札とかそーいうの!」

 

「ある!!」

 

「マジか!」

 

それなら2人でもなんとかなる!流石シュヴァルツ……

 

 

「が、今は何故か使えないんだ……」

 

いや使えないんかい!?

 

「エ、エ、なんで!?」

 

「我が天使に認められ、忠誠を誓ったあの時以来、使おうとしても何故か変身ができん……禁じられし力、その道理は神のみぞ知る……か」

 

聞けばエデンにもどうやらハーさんにとってのブレイヴ、俺っちにとってのデッドヒートにあたる強化フォームが存在するらしイ。

 

そういやタワーの時になんか使おうとしてたナ……アレの事か。

 

だが、その時は使っていなかった……どうやらとある事件で習得して以来それっきり変身ができなくなっているという。

 

「なんでこんな時ニ……!」

 

「す、すまん……」

 

「マァ、使えないもんはしゃーねぇ……俺っちがやる!バックアップ任せタ!!」

 

「承知!!」

 

脚部と翼に炎を纏わせてロケット噴射の如く一気に加速、下級共を突っ切ってディファレントに向けて一直線、んで思いっきりぶん殴る!!

 

「っ……」

 

『……!!』

 

「んなろォッ!」

 

ダガ、やっぱ装甲が分厚くて思いの外ダメージが入らナイ。そのまま続けて攻撃を繰り出すも、威力が強化されたこちらの攻撃に対応し出している。なんつー学習能力!しかも……

 

『ッ!!』

 

後から来た下級ロイミュード三体。

こいつら取り巻きの雑魚のくせにかなり手強いんですケド!? 

 

「雑魚かと思ったら進化ロイミュードくらいパワーがありやがル!」



 

「そこを退け兵隊共! 我らの道を開けろ!」

 

《Griffon!》

《Griffon! Maximum Over!!》

 

エデンが新たに緑の武装を纏い、下級ロイミュードを相手してくれてイル。風を纏ったその姿はハーさんのような正に疾風の戦士。

 

だが、ただでさえ強くなっているのに数も三体とやや多め。火力不足で俺っちの方まで到達するのはちと難しそうダ……!

 

「この野郎っ!!」

 

《Mega burst!キュウニ!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

シフトアップで火力を強化、爆炎を纏った拳をディファレントに向けて振りかざす。だがそれは紫色の障壁に阻まれた。それに加えて炎が奴に吸収されテ…………やべェ!!

 

 

「またアレだ、伏せロ! シュバルツ!」

 

だが、今回はそのままぶっ放さずエネルギーが右腕のガトリングに収束。砲撃が俺っちを直撃シタ。

 

 

「黒騎士!!」

 

「くッ……! アイツ、俺っちの攻撃を吸収して、右腕一本に収まる分だけ解放しやがっタ……あの感じじゃ、ここまでの戦いのエネルギーがまだまだチャージされてるっぽいナ……!」

 

だがこれで分かった。

吸収と放出によるカウンター、それがアイツのメイン戦法と考えていいと思ウ……思うけど……! 

 

それを破る方法は一つ、許容範囲をぶち破る超火力に限る。回りくどい方法が苦手なハーさんならきっとそう考えるダロウ。

だとしても、まだ俺っちたち2人じゃパワーが足りナイ……!! 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

隼斗から連絡を受けてしばらく。

私は一心不乱に最後の仕上げに取り掛かっている!! 

 

 

「これで……どうだっ!!!」

 

画面に表示される「ALL CLEAR」の文字。

火照る脳の熱気を排出するように深く息を吐きだして背もたれに身を預け、たった今調整が終わったアイテム達を抜き取る。

 

よし……急ぎ足とはいえ調整は完璧。

テストがまだだがこの状況で四の五の言ってる場合では無い。まあ彼らならうまくやってくれるだろう。

 

「いよっっっっし!! 流石は天才科学者! 士門くんが抜けてどうなることかと思ったが、よくやったぞ一時霧香!! さぁ最終調整が完了した! あとはコイツを……」

彼らに届けるだけ、そう思った途端ふと士門くんと話したことを思い出した。

 

「博士。ウチの中二病が、あの善子ちゃんの兄って話はしましたよね?」

 

「ん? あぁ、津島瞬樹くんだったか。だがこちらの世界の善子くんは一人っ子と聞いている。恐らく並行世界における細かな差異の一つだろう」

 

パラレルワールド……その可能性は実に多種多様だ。研究の中で私はそれを知っている。

 

ある人がいない世界、あるものが発明されなかった世界……文明、人種、世界のあり方……今我々が暮らす国々と同様に実に沢山ある。

 

「まぁそれはアイツも分かってると思うんです。でもアイツ、話じゃドーパントとの戦いに巻き込まないため勝手に家を出て行ったらしくて、本人も気にしてるみたいなんですよ」

 

「ほう……」

 

「多分瞬樹はわざと合流しないんだと思います。違うって分かってても、会えないから。向ける顔が無いと思ってる。本当に面倒くさい……どんな形でも、家族と向き合えるなら向き合った方がいい、そう思いませんか」

 

聞けば士門くんはかつて敵の組織にいた最高科学者であり、幼い頃からガイアメモリ開発に関わっていたとか。家族はおらず、孤独な幼少期を送っていた。

 

それ故のクールな性格かと思いきや意外にも彼はかなりの仲間想い、うちの隼斗と似たもの同士と知った時は少し驚かされた。

 

……確かにそうだな。

 

 

「……仕方ない。先生らしく、たまにはお節介を焼くとしようかな」

 

「先生!? どうしたんですか急に大声出して……?」

 

そこにやってきたのは梨子くん。

彼女には戻ってきた果南くんのことを任せていたのだが……

 

「おぉ梨子くん! 丁度良かった、帰って来た果南くんの調子は?」

 

「呼吸も落ち着いて、今は横になってます。千歌ちゃんも疲れてそうだけど、怪我とかはなさそうです」

 

「ふむ、ガイアメモリの後遺症が無いのは幸運だったな。それでは善子くんを呼んでくれないか?」

 

「ククッ……この堕天使ヨハネ、召喚に応じて降臨……!」

「盗み聞きしてたのね」

 

よかった〜探す手間が省けたラッキー。

加えて他のAqoursの面々もゾロゾロと集まってきている。そこには果南くんもいたが……やれやれ、弟も弟なら姉も姉かい。

 

「たった今、仮面ライダーたちを超パワーアップする秘策のアイテムが完成したところだ! がしかし、私としたことが急ぎの余り自律走行機能を付け忘れてしまってね……」

 

 

んな訳ないだろう馬鹿め。

と1人心の中で突っ込むが、今はそんな1人漫才してる場合じゃないんだ。

 

「というわけで。すまないがAqours諸君、彼らに届けに行ってくれないか?」

 

「じゃあ私が隼斗に届ける!」

「私も行く!」

 

「果南くんと千歌くんは留守番だ! 絶対安静とヘトヘト娘はステイ! で、こっちが隼斗と士門くんに切風くん。こっちは憐に、つし……いや、竜騎士シュバルツ用だ」

 

「じゃあシュバルツさんにはわたくし達が……」

「いいやストップだ黒澤姉妹。憐とシュバルツには、善子くん。君が届けに行きたまえ」

 

「……え? なんで私が名指しなのよ!?」

 

「それは……その……闇の運命だよ」

 

我ながら酷いワードセレクトセンスだ。

もう少しいい感じの言葉選べただろう一時霧香!! 

 

「闇の運命……ですって……?」

 

あ、そうだこの子チョロかったわ。

よかったー……

 

「その通り。✝漆黒の魔天黙示録✝がそう導いている! さぁ行けAqours諸君! 君たちの手で仮面ライダーを救うんだ!!」

 

「✝漆黒の魔天黙示録✝が……!? ククッ、そうと決まればこの堕天使ヨハネ……預言に従い、いざ堕天っ! ギラン!」

 

……よし、ひとまずはこれでヨシと。

 

 

アイツらを頼むぞ、天使くん。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「憐っ!」

 

戦闘中に声がして振り向ク。

そこにはヨッちゃんと梨子サンのコンビが。

傍にはライドXガンナーがある、なるほど……アレに乗ってきてたノカ。

 

「その声……ヨッちゃん!? しかも梨子サンも! 危ねェって、早く逃げロ!」

 

「そんな事言ったって、黙示録が……!」

その瞬間、ディファレントの左腕から衝撃が解放されタ。

 

「ッ! 黒騎士!!」

 

だが俺っちを庇ってシュヴァルツがそれをモロに喰らってしまい、エデンを強制変身解除させてしまった。

 

「シュバルツ!!」

「……シュバルツ? この人が、竜騎士……?」

 

「ッ……すまん黒騎士! 心配無用! 俺はまだ戦え───」

 

あー……出会っちまったカ……

 

2人はそのまま時が止まったのかと思うほどに互いに見つめ合い固まっている。

 

 

「な……なに……? はっ! そういうことね……この堕天使ヨハネの魅了魔術で、また罪なき下位存在を虜に……! 」

 

 

「………………」

 

 

「……なんか言いなさいよ!」

 

 

固まったままの2人だったが、やがてシュヴァルツの方が何故か突然跪いて涙を流し出しテ…………ええっ!? 

 

「泣いたぁっ!?」

 

「初対面の人に何したの!?」

「何もしてないわよ!! 分かんない、ちょっと無理! リリー、パス!」

 

「いや……ごめん……! 君は何もしていない……悪いのは、俺なんだ……! ただ、すこし……嬉しくて……!」

 

シュバルツ……お前……。

っ、だったら……! 

 

「いよーし、決まりダ! シュバルツ、こっから先はしばらく俺っちが引き受けル! その間、好きなだけヨっちゃんと喋って来イ!!」

「……ありがとう、憐……」

 

 

言葉は告げず、サムズアップで答える。

さぁて、ちっとばかし付き合えよロイミュード達! 俺っちが相手になってやラァっ!!! 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

正に私自身の生き写し、彼を見た第一印象がそれだった。槍をその手に携えて、竜騎士(仮称)が問いかける。

 

「……汝、名はなんという」

「え……?」

 

「我が名は竜騎士シュバルツ! 天界より天使を守護するために降り立った、断罪の竜騎士! 俺には見える、汝の姿は下界を生きる仮初のもの……今一度問おう、汝の真名はなんだ!」

 

堕天使と竜騎士、本来ならば相容れることの無い存在。だが、この男は何かが違った。

 

ならば、こちらも応えねばなるまい。

 

「ククッ……どこの愚か者かと思いましたが、見る目があるようですね。そう! 我が名は堕天使ヨハネ! あなた、竜騎士と言いましたね。天界より降り立ったのなら、その位階を示しなさい」

 

「我は大天使ミカエル配下、天頂四大騎士ウルフェリオンの末弟。しかし下界に蔓延る悪から天使を守護するため言いつけを破った身……お師匠の名を借りることは出来ない……」

 

「なるほど、ウルフェリオンの末弟ですか。私が天界にいた頃、彼とは何度も言葉を交わし、時には剣を交わした間柄なのです……懐かしき天界の記憶、そうあれは魔界と天界の存亡を揺るがす最終呪詛プロジェクト『ルシファー』を構築した時のこと……」

 

「なっ……! あの数多の使い魔を同時生成し、世界一つを呑み込むという混沌極まるアジェンダを……!?」

 

驚きに駆られる私だったが、シュヴァルツは突然より真剣な顔になり私に向き直った。

 

「……堕天使ヨハネよ。名のある天使と見込んで、一つ話を聞いて欲しい」

 

「いいでしょう、竜騎士シュバルツ、我が同士。迷える子羊を導くのもまた……地上に降りし堕天使の使命!」

 

「恩に着る……俺には、相棒と主君がいる。相棒は人ならざる残酷さを持ってはいるが、俺の行く末を示してくれる、全てを任せることが出来る奴だ」

 

「人ならざる……魔物?」

「そして我が主君は、俺が命を捧げると心に決めた最愛の天使だ。彼女は俺の全てを肯定してくれた。彼女と出会えたから騎士としての俺がいる。だが……ここは異界の地、俺の強さを支えてくれる相棒も主君もいない。ここにいるのは、残った弱き俺だ……」

 

道に迷えるか弱き竜騎士。

なればこの堕天使ヨハネ、汝に道を指し示しましょう!

 

「堕天使ヨハネが宣言します。生命である限り、光と闇が、強さと弱さがあるのは当然。だから……悩むことはありません、その弱さもあなたなのです! 嫌っていた自分が、人に愛されると知るように。完全に別なんて、そんなことは有り得ないのです!」

 

「弱さも、俺……!?」

 

「弱き者ならこの堕天使ヨハネが直々に契約を……そう思ったけれど、あなたにその必要はないようです。あなたなら飛べる! この矛盾の空を!」

 

「……たまにはいい事言うじゃない、善子ちゃん」

「ヨハネよ!」

「最後にもう一つだけ……聞いてくれ」

「……な、なに? さっきので終わりだと思ってたんだけど……」

 

 

「俺は戦いに身を投じるため、家族を置いてきた。危険から守るためとはいえ一方的に、言葉も交わさず」

 

「家族……?」

 

「やっと気付いたんだ。俺のせいで、家族がどれだけ迷惑を……! その顔に泥を塗る過ちも犯した! 本当に……ごめん…!俺がお前の未来を歪めたっ……! 俺は、お前に……なんて謝れば…」

 

 

それは騎士ではなく、ただ1人の少年としての言葉。その口から出てきたのは懺悔の言葉、彼が置いていった家族への謝罪に他ならなかった。

 

それなら私も「私」として彼に答えてあげなければいけない。

 

「……何言ってるの、大事な家族なんでしょ? だったら迷惑だなんて思ってない」

 

「っ……!」

 

「この私が保証してあげる! ちゃんと帰って、家族と向き合いなさい。許しが無いと帰れないなら、私が許すわ。全然関係ないけど無いよりはいいでしょ?」

 

関係ない、だろうけど……彼にはどうもシンパシーを感じて仕方がない。初めて会ったはずなのに何処か互いの在り方が似ていて、それ故に悩み苦しんでいた。

 

少しでも寄り添ってやる事が救いとなるならば、私はそうして手を差し伸べよう。たとえ堕天使なのだとしても、それで誰かを救えるならば、私はそれでいい。

 

そのままでいいということを、私自身がみんなから教えられたように。

 

「すごいな……やっぱり俺の誇りだ。強く、綺麗に、立派な天使になったんだな……善子」

「ヨハネ!……って、なんで私の真名を……」

 

「あれ……? 別の世界から来て、この見た目……もしかしてこの人って、善子ちゃんの───」

 

私の?リリー、何よそれ……と聞こうとした瞬間放たれるロイミュードの弾頭。

 

憐が討ち漏らしたらしいそれが私たちに迫っていた。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

ヤベェ! 一発撃ち漏らした! 

すぐさま向かうも間に合わない。これまでかと思いきや……

 

 

シュヴァルツがそれを槍の一振りで爆風ごと叩き割った。

 

「堕天使ヨハネ、その従者。そして黒騎士! 時間を取らせた。騎士道に則り、心より全身全霊の感謝を!」

 

「完全復活……ダナ! シュバルツ!」

 

「あぁ! もはや俺を縛る楔は、何一つ存在しない! 最大級の礼としてお見せしよう、堕天使ヨハネ! そして傷一つ付けぬよう守り抜くと約束する! この竜騎士の戦いを刮目せよ!」

 

《Dragon!》

 

「変身!」

 

銀の鎧を身に纏う。ヨッちゃんはその隣に立ち、立ち塞がる機械兵士共に向けて言い放った。

 

「この堕天使ヨハネの名の下に宣誓します。この歪な世界に邂逅した勇士達よ、今こそ力を結集させ堕天同盟の名を響かせる時です。名を連ねるは堕天使ヨハネ、そして!」

 

「信仰の白銀竜と契約せし、天使を守護する天界の槍! 竜騎士シュバルツ!」

 

「……え、私? えっと……堕天使ヨハネの闇の盟友、リトルデーモン・リリー!」

 

「マジか梨子サン。これ俺っちも言うヤツ?」

「いつもと違う奴でね」

 

「ヨッちゃん無茶ぶりィ……っと……、地の果てから闇を駆け、悪を噛み砕く漆黒の獣騎士! 地獄の狩人スレイヤー!」

 

 

「「我ら堕天同盟が、汝を闇へと葬る!!」」

 

 

世界を越えた出会い、引き合った運命。

互いに喜び、笑い合った。

 

「まずはリリー!地獄の狩人に天啓の神器を!」

 

「そうだったわね……これ、先生から預かった新しいシグナルバイクよ! 使って憐くん!」

 

「お、マジ!? この期に及んで新装備って、あの人も粋なコト……このシグナルバイク!?」

 

梨子サンが投げ渡してくれたのは、シュヴァルツのバイクと同じデザインのシグナルバイク。

標識がある部分にはドラゴンメモリと同じクレストが描かれてイタ。

 

「大魔導士キリカ曰く、異世界の術師と共に創造した奇跡の魔道具……」

 

「永斗さんと一緒に作った、あっちの世界の仮面ライダーの力を使えるシグナルバイク……って先生が!」

 

「こりゃシュバルツの力が使えるってことカ! リョーカイ! そうと決まりゃ、有難く使わせてもらうゼ!」

 

《SignalBike!》

《Signal koukan!Legend!!》

 

メテオデッドヒートの装甲の上に一角獣の様なデザインの紫の装甲が重ねがけされる。

 

「ん? なっ、それ俺の鎧!!」

 

「うわ、スッゲェゴツい……でもなんか力が漲ってクル……?」

 

ケドちょっとばかし重いナ……そう思ってると下級ロイミュード達がこちらに向かってくる。攻撃を捌きながら動き回るうちに段々と体が鎧に慣れてきたのか体全体に力が馴染んでクル。

 

「邪魔だってノ!!」

 

そして、039が近づき飛びついてきたのを振り払おうとしたが……

 

『────ッ!?』

 

なんと軽い一振りで遥か後方にまで吹っ飛ばされタ。すげぇ……この鎧の力はパワーの強化みてぇダナ……? 

 

「スゲェ……! 軽く殴っただけでこの吹っ飛ばしカヨ!! これがマキシマムオーバー!!」

 

「フッ……当然だ。俺の鎧だからな! 俺の!」

「さぁドンドン行くゼ! 頼むぜユニコーン!」

 

「ヨハネ、俺にも! 俺にも無いのかあぁいうの!? 勝手に使って黒騎士だけズルいぞ!」

 

「ククッ……もちろんあるわ! さぁ、堕天使の恵みを使いなさい!」「先生の、ね」

 

「感謝する! よし、これで俺も黒騎士の力を……ってアレ!? これ黒騎士じゃないぞ誰だこれ!?」

 

シュヴァルツに渡されたのは同じく紫色のガイアメモリ。

 

だがそこに描かれていたのはアルファベットの記号ではなく、なんと俺っちの尊敬する初代仮面ライダーの先輩『プロトドライブ』こと000、仮面ライダーチェイサー先輩だった! 

 

「おぉッ! これはチェイサー先輩ダナ!」

 

「チェイサー?」

 

「かつてはロイミュードの番人にして死神だったんダガ……今じゃロイミュードから人間を守った大英雄! 俺っちが尊敬する大先輩ダ!」

 

「伝説の死神……いいだろう。この竜騎士に力を貸せ、仮面ライダーチェイサー!」

 

《Chaser!》

 

《Chaser! Maximum Over!!》

 

そのメモリ……『チェイサーレジェンドメモリ』をエデンがスロットに装填。

 

するとエデンの背中に閉じた翼のようなバックパックが出現。右腕へ移動しメタルクロー『ファングスパイディー』へ変形、装備された。

 

って、あれ魔進チェイサーの能力じゃねぇか! 博士アレまで再現したノカ!? 

 

「さぁ征くぞ、死神竜騎士が貴様を凌駕する!」

「俺っち達の裁きをうけナ!」

 

超パワーと超防御、シンプル故強い俺っち達のクローが迫る奴らを片っ端から斬り付け、削り、薙ぎ倒す。

 

さっきまでとは桁外れの突破能力であっという間にディファレントの下へ辿り着き、至近距離から俺っちの全力攻撃が炸裂!

 

『……!?』

 

「効いた……って感じの反応ダナ!」

 

余波だけで木々を激しく揺らす一撃。

明らかに見せた反応が異なっていたが、それでも許容範囲内だったらしくディファレントはすぐさまカウンターの構えを見せル。

 

 またエネルギー反射を喰らいそうになる寸前エデンの武装が弓形状をした『ウイングスナイパー』へと変形。

 

射出された矢はディファレントの腕の関節を的確に射貫き、その動きを止めた。

 

「攻め続けろ黒騎士! 周りは俺に任せておけ!」

「オッケー任せたゼ、シュバルツ!」

 

カウンターを封じた隙に、強化された火力でガンガン攻めル! 吹っ飛ばされた奴らもこっちに向かってくるが、それはエデンが抑えてくれていル! 

 

 エデンの武装が再度変形、翼が折りたたまれその中心部からは蛇のような金属鞭が生えてくる。『テイルウィッパー』だ。

 

「蜘蛛に蝙蝠、そして蛇! 全員纏めて俺が相手だ機械兵!」

 

翼を広げる040、力と速度で殴りかかる038、捕縛糸を吐く039。

統率された動きだが、なんとエデンがその全てを金属鞭で制してみせた。

 

飛ぶ040をはたき落とし、糸を斬り裂き、038を退ける。

巧みな鞭の操術で、近くでやり合う俺っちの戦いには一切干渉させることなく、しかも初見でチェイサー先輩の武装を使いこなしてイル。

凄まじいセンスダ……

 

俺っちも負けじとラッシュを繰り出す。が、それもエネルギー吸収からの反射ではなくただ反撃に徹しガトリング乱射というマシンゆえの戦法を取ってきタ。けどナ……! 

 

「効かネェんだよ、そっちの攻撃はナァ!」

 

攻撃を喰らう瞬間、フェニックスメモリの「イモータルフェザー」を展開。

 

タワー戦で使っていた時のように受けたダメージを即座に再生・回復させ、メテオデッドヒートの炎とフェニックスの炎を合わせて両腕に宿し、一気に放出!

 

「ヴォルケイノ・ツヴァイ・ブラスター!!」

「トリプルチューン!!」

 

フェニックスとメテオデッドヒートの炎、そしてエデンの方はバット・コブラ・スパイダーの3種の武装を同時展開した『デッドリベレーション』から放たれるエネルギー砲が吸収を解いたディファレントに炸裂。

 

だが、やはり異常進化態は強くこれでも撃破はできていない。

 

「ならばもう一発!」

《Chaser! Maximum Drive!!》

 

エデンがドライバーにチェイサーメモリを装填。トドメを刺そうと必殺技の体勢になり───

 

「来たれ異界の追跡者! 紫の爆音が生命の業を死へと───」

 

 

《マッテローヨ!》

 

「……なんて!?」

 

止められた。

見ればその槍は歩行者用の信号機と斧が一体化したような武器のオーラを纏っており……って、あれチェイサー先輩のシンゴウアックスじゃねぇカ!?

 

「あぁ……シュバルツ?それシンゴウアックスつって、そーゆー仕様なんだワ。信号待ちってコト。悪いけどもうチョイ待ってテ」

 

「待つのか? 今? まぁ確かに信号待ちは大事なルール、騎士道!」

「堕天使の翼を以てすれば、横断歩道なんてひとっ飛び!」

「それ言ってる場合じゃないと思うんだけど……」

 

そうこうしているうちにピーッ! という音と共にエネルギーチャージ完了を知らせる合図が鳴っタ。

 

《イッテイーヨ!》

 

「あ、行っていいってサ」

 

「よし来た! 喰ら……!」

 

《Full throttle!!》

 

寄りかかっていた槍を引き抜き、勢いのまま振り翳ス。

その瞬間、起こる凄まじい爆風。

紫の波動が山肌と木々を薙ぎ、水平線目掛けて爆走していった。

 

通り道にいた3体の下級ロイミュードは全員爆散し……よく見えなかったケド多分アレコアごとやられテル。馬鹿ミテーに強烈な一撃が放たれ、ついでにエデンも反動でぶっ飛んだ。

 

「こ……これは神話級の一撃ね……流石にちょっと引く……」

 

「ふ……フッ……こ、これが竜騎士の本気……! ……!?」

 

「なんつーアホみてぇなパワー……流石は先輩の武器……ってかやり過ぎダロ博士」

 

「あぁ、そういえば……」

 

『士門くんとの悪ノリでチェイサーメモリだけ出力と燃費の調整馬鹿みたいな出力にしちゃったけど、なんか竜騎士は無敵って言ってたし多分大丈夫だよな! じゃ、よろしく!!』

 

「なんて言ってたっけ……」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「お待ちなさい!」

 

「just a moment!!」

 

瞬間、空から聞こえた声。

アレは……瞬樹くんのライバーン!? 

 

しかもそこから2つの影が……って、アレは!真っ直ぐに飛び降りて来て……っぶね!? 

 

「お待たせしました!隼斗さん!」

 

「でもGood timingだったようね!」

 

ギリギリキャッチし顔をよく見る。

なんと飛び降りて来たのはダイヤさんと鞠莉だった!

 

 

「ダイヤさん!?」

 

『え、鞠莉さんまで……なんで?』

 

「お前が黒澤ダイヤか。なんで瞬樹のバイクに乗って来たかとかはこの際突っ込まねえが……危ねぇぞ退いてろ!」

 

「フフーン!ハヤト!エイト!それにアラシ!センセイからのpresentよ!!」

 

俺と、そしてダブルにそれぞれ手渡される手のひらサイズのアイテム。

 

俺にはシグナルバイク……これってダブルのバイク!? そしてダブルに手渡された方は2本のガイアメモリ。だが、そこに描かれていたのはアルファベットではなく……

 

「これって……!?」

 

「なんだコレ?英語じゃねぇな……仮面ライダーか?」

 

『そういうことね。よかった、博士間に合わせてくれたんだ』

 

赤い方のメモリには真紅の装甲を身に纏った戦士 泊進ノ介先輩の変身する『仮面ライダードライブ』が、白い方のメモリには俺が尊敬する大先輩、詩島剛先輩が変身する『仮面ライダーマッハ』がそれぞれ描かれていた!!

 

「ドライブ先輩! マッハ先輩!? どうして……」

 

『やぁ、無事届いたようだな!』

 

通信機から聞こえる声。

何処か疲弊した感じが感じ取れるに、相当な無理をさせてしまっていたらしい。

 

「博士!コレって……」

 

『シグナルレジェンドダブル、そしてドライブレジェンドメモリ、マッハレジェンドメモリだ! ダブル、ドライブ、マッハのそれぞれの力を再現できるようになるアイテムだ!コイツでエルバをぶっ倒したまえ!!』

 

 

俺はダブルのシグナルバイクを、ダブルはドライブとマッハのメモリを握りしめ、エルバに向き直る。

 

「ってかなんで俺だけこれ一個なんだよ! むしろドライブ先輩達の力とか俺の方が使いたいんだが!?」

 

「ぐだぐだ文句言ってんじゃねぇ、オラ行くぞ!」

 

『さぁお待ちかねだね。先輩ライダーの力……使わせてもらうよ!』

 

《Drive!》

 

しかもご丁寧にメモリの音声がクリム・スタインベルト博士っぽいし!ズルいぞ!だがそのこだわりはNiceだ博士!

 

《Drive!Maximum Drive!!》

 

マキシマムスロットにセットすると、ダブルの目の前に一本の剣が現れる。車のハンドルが付いた特徴的な形状の剣……『ハンドル剣』だ。

 

「なんだコレ……永斗の趣味か?」

 

『能力は博士に任せっきりだったから……ドライブの武器だと思うけど、ハンドルソード?』

 

「ハンドル剣だ」

 

「まんまじゃねぇか」

『もう少しいいネーミング無かったの?』

 

「文句なら泊先輩に言え。言わせないけどな!とにかく使ってみろ!」

 

「使ってみろって……あぁクソ! んなトンチキな剣どう使えば……」

 

シャフトを背中に戻し、ハンドル剣で斬りかかるダブル。ディストピアの徒手空拳による攻撃を避け、まずは二撃。蹴りの攻撃を左腕で受け止めたあともう二撃入れた。

 

「へぇ……名前の割には以外と使いやすいじゃねぇかコレ」

 

「フフン……それだけじゃねぇぜ! ハンドル切ってみろ!」

 

「ハンドルを?」

『アラシ貸して。こうでしょ』

 

《Turn!》

 

「これでどうすんだ?」

 

「こうすんだ。ほら行ってこい!」

 

「うおおっ!?」

 

そのまま背中を押してやるとダブルが急加速。目にも止まらぬ速さで連続斬りを繰り出す。

 

「な、なんだ今のは……」

 

「コレもハンドル剣の能力だ! それに……ドライブの力が使えるってんなら多分アレも……っと!」

 

メモリが装填されたスロットのボタンを叩く。すると今度は車のドアのついた赤い銃が現れた。

 

「なんだ? 銃……まさかコレ……」

『ドア銃だね』

 

「正解だ永斗少年!」

 

「マジでネーミングセンスどうかしてんぞお前の先輩!」

 

「それは言わねえ約束だ、んじゃまそろそろ俺も行くかぁ!」

 

《SignalBike!》

《Signal koukan!Legend!!》

 

シグナルブレイヴと入れ替えてレジェンドダブルのシグナルバイクを装填。一瞬ダブルのライダーズクレストが浮かび上がり、俺は体に緑色の風を身に纏った。

 

「よーし……行くぜ!」

 

ダブルが度々やってたように手首をスナップさせ、加速してディストピアに向かって行く。

 

蹴りを一発、二発。風の力が二乗になった事+機動力の増加で威力も倍増し、更にダメージが加速する。

 

『ま、銃ならコレだよね!』

 

《Luna/Trigger!!》

 

ダブルは黄色と青のルナトリガーにチェンジ。ドア銃と青い銃……トリガーマグナム? との二丁拳銃で弾丸を乱射する。

 

「へぇ、名前の割に威力はいいじゃねぇか」

 

「お前ばっかズルいぞ!それよこせ!」

 

煌風を納刀しダブルからハンドル剣を奪取、ディストピアに接近して斬りつける。

 

「ったく……使いてえならそう言えっての」

『憧れの先輩だっけ? それなら尚更だよね〜。って、ん?』

 

銃を連射していたダブルの攻撃が突如止む。

見ればトリガーマグナムからは弾が出ているが、ドア銃からは出ておらず……弾切れか。

 

「ドアを開けて閉めろ!」

 

「あ?開けて閉める?……こうか」

 

ドアを開け、勢いよく閉めた。そして────

 

「喰らえ!」

 

 

《半・ドア…………》

 

 

「……は?」

 

弾丸が発射されなかった。よく見るとドアが少し開いたままになっている。これではリロードができていないのだ。

 

「ばーか……ドアはちゃんと閉めろって」

 

「なんだよそれ!?」

 

そう、このドア銃はしっかりと開けて閉めないとリロードされないという忠実な再現力がまたいいんだよな。手間は確かに否定できないが……

 

『そうだよアラシ、開けたらちゃんと閉めないと……』

 

「いやそうじゃねぇだろ!なんだこの仕様は!?」

 

「ドア銃を作った沢神りんな博士の拘りなんだとさ」

 

「なんだよそのこだわり……どいつもこいつも一周回って馬鹿なんだろ、天才ってやつは」


 

《Charge!》

 

ぶつくさと文句をいいながらも今度はちゃんと開けて閉めてリロード、再び弾丸を乱射する。

 

「そうそう……よーし、俺も!」

 

出現させたトリガーマグナムで風の弾丸を連射し撹乱。

 

そのままブラッシャーとマグナムを投げ捨ててハンドル剣とさっきまでダブルが使っていたシャフトを構える。

 

《Turn! ドリフト・カイテーン!!》

 

「行くぜ!」

 

ハンドルを切ってクラクションを鳴らし、シャフトと共に構えて駆け出す。そのまま体を捻って回転し、独楽のようにディストピアを連続で斬りつけ、同時にシャフトで連打。

 

『アラシ、こっちも使ってみようよ』

 

「ああ、この白い方だな!」

 

《Mach!》

 

《Mach!Maximum Drive!!》

 

スロットに今度はマッハ先輩のメモリが装填される。俺はその時先輩の戦い方を思い出し、アラシに呼びかけた。

 

「アラシ!サイクロンジョーカーに戻せ!」

 

「あ?……おう」

 

ダブルはルナトリガーから初期フォームのサイクロンジョーカーへと元に戻った。

 

「でもなんでだ?」

 

「マッハ先輩の力を活かすならその姿が多分1番だ。ほらコレ!」

 

俺のゼンリンシューターを呼び出し、ダブルに手渡してやる。まあこれは青だから色が違うんだが……

 

「さぁ着いてこい!」

 

『着いてこいって……あーでもなんか速そうな感じするね』

 

「おいファースト、さっきからボサっと見てんじゃねぇよ。テメェも合わせろ!」

 

「異世界の仮面ライダーの力。珍しかったから見入っていただけだ。指図をするな!」

 

走り出したダブルが急加速、ブンブンというエンジンを吹かしたような音と共に凄まじいスピードでディストピアに連撃を叩き込み、さらにゼンリンシューターを連射。

 

『すっご……ライトニングより速いよこれ』


「この速さなら置いて行かれねぇな!」

 

 

「よーし……俺も!」

 

《Turn!Turn!U・Turn!!》

 

ハンドルを2回切って連続で斬りつけ、もう一度ハンドルを操作。2連続で斬撃を喰らわせたあとそこから加速し急カーブ、もう一度斬りつける。

 

更にダブルがカクサーンの能力を発動、弾を分裂させディストピアの頭上に弾丸の雨を降らせる。

 

「泊進ノ介……詩島剛……!ここにいない仮面ライダーの力まで……一時霧香……!」

 

 

急ブレーキをかけ並び立つ俺とダブル。そして、俺はドライバーのシグナルレジェンドダブルをハンドル剣に装填! 

 

《ヒッサーツ!Full throttle!!》

 

《Drive!Maximum Drive!!》

 

「ハァァァァッ!!」

 

「レベル……2!」

 

緑と青、異なる色の風を纏った斬撃がディストピアに炸裂。更に何処からともなく現れたのは真紅のボディのドライブ先輩の相棒マシン、トライドロン! 

 

「我流剣 二ノ技……二刀流・怒髪天(どはつてん)!」

 

ファーストの斬撃がディストピアの拳と打ち合い、ディストピアがその衝撃で大きく弾かれる。

 

そして、その吹っ飛ばされた先に待ち構えていたのはトライドロン。高速周回するそれの中心に叩き込まれたならば、逃げ場はもう無い。

 

「『ダブル・スピードロップ!!』」

 

ディストピアの周りを高速周回しダブルはそれを使って連続でキックを叩き込む。

 

「よーし……俺も!!」

 

せっかくの機会、これを逃したくは無いと俺の心が疼き自慢のスピードで隙間を縫って乱入、ダブルと同じようにトライドロンを蹴りながら連続キックを浴びせる。

 

「「『ハァァァァッッ!!!』」」

 

最後の一撃が入り、俺とダブルは地面を擦りながら同時に着地した。

確かな手答え。拳を打合せ、決定的な一撃が入ったことを確信。未だ変身こそ解けていないが、ドライバーから火花を散らすディストピア。

 

アレならもう大丈夫だろう、そう思っていたのだが────

 

 

「───どうでもいいな」

 

「っ……おいざけんなボケが。倒せた流れだったろうが!」

 

「流石にJokeが過ぎるぜ、まだ起きるってのかよ!」

 

「天城隼斗……切風アラシ……士門……いや、もういいか。俺にとっては結局、全部が無価値だった。それだけの話だったんだ」

 

もはや死に体のディストピア。

だが、何処にそんな気力残っているのか奴はなおも立ち上がってきた。

 

奴が手を空にかざすと、黒雷が収束。

その手に現れたのは剣……いや、Battle-Axe(戦斧)……!? 

 

「雲があると、見栄えが悪いか」

 

巨大な斧を振るう。

放たれたエネルギーが天空で爆ぜ、その一撃は()()()()()

爆発が起こるよりも遥かに静かに、鷲頭山上空の雲を全て消滅させた。

 

「どういうことだよ……どこにそんな力が!」

 

「馬鹿を言うな。ずっと考えて試していただけだ、俺が笑うための手段を。だが無理だと悟っただけの事。俺がただ世界を壊すのに、策も力も必要無い」

 

世界を壊す……?

コイツ、一体何を……! 

 

 

「テメェ……まさか元の世界に逃げる気か!? 上等だよ、どこまでだって追いかけてやる」

 

「帰る? 違うな、俺が向かう場所なんてどこにもない。だから壊すんだ。今度は世界の移動なんて生温いことは言わない、二つの世界を衝突させる」

 

「衝突!? そんなことになりゃ……どうなっちまうんだよ!」

 

『分かんないけど……上手いこと融合できても死人は千や万じゃ済まないだろうし、下手すればぶつかったとこから綺麗さっぱり対消滅……! 普通にぶつかっても災害どころじゃないでしょ……!』

 

「絶望し、生きる理由を、戦う理由を忘れたか? 精々味わえ、それが俺の憂鬱だ」

 

斧を大地に突き刺す。

その瞬間、地面をエネルギーが駆け、足場がひび割れ崩壊を始める。そしてディストピアは憂鬱そうに、それを発した。

 

 

「開闢せよ、『憂鬱世界』───」

 

 

あの時と同じ黒い霧。

重加速とも異なるこちらの動きを阻害する謎の力……!! 

まるで自身にかかる重力そのものが強くなったかのように動けない。

 

 

「最初からこうするべきだったんだ。こんな結末、あぁ全く……笑えないな」

 

黒い穴の空いた空を睨む。

うっすらと見える『あちらの世界』らしきものが、あと少しで来る覆しようのないBADENDを物語っていた。

 

動こうにも身体が言うことを聞かない。手足どころか指一本すら動かせず、まるで体が石にでもなったみてぇだ……!

 

 

「(っ! 馬鹿野郎が……!こんなもんに負けてどうすんだ!今までこんなpinch何度もあっただろ!こんなもんに負けて……どうすんだ!)」

 

……って、気合いで持ち直したはいいけど根本的な解決には至ってねぇ。

 

それに、さっきから感じる妙な違和感。

目の前のディストピアはただ突っ立ったままで仕掛けてこねぇ。

 

これが動きを止める能力だってんならそのままこっちを仕留めりゃいい話だ。なのに向こうは動かない、というか動こうともしねぇ……なんでだ? 

 

動けない……動かない……

 

 

『開闢せよ、『憂鬱世界』───』

 

『憂鬱とは停滞の意志さ。外界に希望を見いだせなくなり、前進の意味を見失った時、人はそれを憂鬱と呼ぶ。君たちが今感じているソレは、俺を蝕む憂鬱の一片だ』

 

『選別はこれまでにも行っていた。俺以外にこの退屈を共有できるものがいれば、そう思ったんだが……誰一人として俺の憂鬱を受け入れる者はいなかった』

 

 

「(……まさか!)」

 

繋がった。

正に『脳細胞がTop gear』だ!! 

 

「(奴のあの能力、アレは恐らく術者であるエルバ本人の精神状態の強制! 憂鬱ってやつそのものを俺たちに押し付けている……みてぇなもんだろう。それなら奴もまた俺たちと同じ状態のはず!)」

 

それにもう一つ。奴はゴールドメモリ……上級クラスのドーパントでありながら大ダメージが回復するどころかほぼそのままになっている。

 

つまりあの能力はドーパント依存じゃなく、エルバの奴自身の力。あの能力は人間の姿でも常時発動しているやつで、恐らくその能力が奴の身体にも干渉しているからだと思われる。それでも他が止まってないのに関しては、普段は奴の意志で出力を抑えてるって事なんだろう。

 

だが今は恐らく出力MAX、つまり奴自身も動く事はできない!……けどあの時、初めて奴の能力を受けた時ただ1人憐だけはコレを破って動けていた。あの時は憐がブチギレてた……憂鬱に囚われていなかった影響だ。

 

だったらそれを無くせばいい。

とことん精神を研ぎ澄まして心の底の底からですら、『憂鬱』って奴を消し去る! 

 

「(もう考えるのはやめた!この止まった世界の中で、奴に追いつけるのも……走れるのも俺たちだけ。だったらやるしかねぇだろ?行くぜアラシ、俺とお前で……世界を救う!!)」

 

抜刀した煌風を地面に突き刺し、心を研ぎ澄ます。コツなら何度もやったおかげで掴んでる、花丸ちゃんとの滝行を思い出せ! 

 

ほんの一瞬でいい、怒りも、恨みも、憎しみも!全てを捨てて……至れ、Clear mind!!

 

 

「「うおおおおおおおおおっ!!!!」」

 

 

俺が立ち上がると同時にダブルも能力を破っていた。どうやら互いに同じ結論に至っていたらしい! 

 

「……は……!? 馬鹿な……! この憂鬱世界の中で、何故動ける……!?」

 

「テメェとは違うんだよ根暗野郎が! 背負う責任、戦う覚悟ってやつがな!」

 

『まぁ僕は死ねないからねー。全部諦めてずっと後悔する方が、死ぬより面倒くさい。だから諦めない』

 

「俺達を舐めんなって言っただろエルバ! 俺達はヒーローだ! ヒーローは……憂鬱なんかじゃ終わらねえんだよ!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

また突然俺っち達に重くのしかかるあの時のカンカク。だけど……なんのこれしきィ!! 

 

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》

 

体に纏ウ紅蓮の炎!俺っちをこんなもんで止めれると思うナ!!! 

 

「……っシャア!!しっかり覚えてるゼ、あの時の感覚! 体中熱くなるくらいの怒り! こんなもんで俺っちのデッドヒートは止められネェ!!」

 

前の時と同じひたすらブチギレモードで振り払う! どうってことネェぜ!!

 

「フッ……竜騎士、再び復活!」

 

「シュバルツ! マジかお前、このプレッシャーをぶっつけで乗り切ったのカヨ!」

 

「プレッシャー……?何のことだ。俺はただ、さっきの死神の一撃の代償で動けなかっただけだが……」

 

「……ハハッ! お前やっぱ半端ねぇナ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「さぁ引っ越しの準備はできたかクソ野郎。悪ぃが元の世界にも帰らせねぇぞ。テメェの引っ越し先は地獄だ、憂鬱になんて一人で堕ちてろ!」

 

動きが鈍るディストピアに反しダブルは身軽に全霊の回し蹴りを叩き入れる。

 

「お前の敗因はsimpleだ! お前は俺達の逆鱗に触れた! 覚えておけ! 俺達は……スクールアイドルを守る、仮面ライダーだ!」

 

加速、そしてぶん殴る!音速に匹敵するRush attackがディストピアの装甲をぶち抜いた。

 

「つまんねぇ人生の終わりが見えたか。そいつがテメェのやってきたことのツケだ。そういや、テメェにはまだ言ってなかったよな」

 

 

「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」

 

 

「何故……だ。俺の苦しみを、重さを……絶望を……! 全て知ったはずだ! 何故お前達は笑っている。何故お前達の世界は晴れた……! 何故、俺、だけ……が…………」

 

ダブルの決め台詞がディストピアに突き刺さる。今能力の影響を受けているのは奴だけ。回復力が遅く、更に動きすら鈍くなっているならここで絶対に仕留め切る! 

 

煌風とリジェネレイトブラッシャー、俺本来の武器である2種を再び構える。

 

 

「…………愚かだな、まるで子供じゃないか」

 

 

立場が大逆転し、崖っぷちに追い込んだはずのエルバ。だが奴は……

 

 

「は……はははははっ!! あっはっはははははは!!」

 

エルバは何故か()()()()()

腹を抱え、まるで子供のように。それまでの激情が嘘だったかのように一転して笑っていたのだ。

 

そして、ふと見上げてみると空に開いた穴も閉じていく。すぐそこにあったはずの終わりが消えていった。

 

 

「……認めよう、天城隼斗。切風アラシ。士門永斗。そして……松浦果南。俺は君たちを侮っていた。俺より下の、取るに足らない存在と。だが訂正する、それは誤りだ」

 

「急に何言ってやがんだテメェ……」

 

「まぁ聞いてくれ。劣っていたのは俺だ。全ては君たちの言う通りだった! 俺は認めたくなくて、駄々をこねていたに過ぎない。滑稽だろう、笑うといい」

 

『隼斗さん、この人急にキモくなったんだけど……その……』

「分かってる永斗少年。さっきよりもずっと、強さの圧が半端ねぇ……!」

 

 

よくわかんねぇけど、何処か吹っ切れたような感覚。アイツ、これまで以上に隙が無くなってやがる……! 

 

「世界を滅ぼすのは中止だ。災害にだろうと立ち向かおう、この世界の全てのライダー、悪に挑もう。空を飛び、海を駆け、大地を制する日まで退屈する暇なんて無い。俺に出来ないことなんて山ほどある」

 

「……させねえよ。お前にはもう、何も!」

 

「それでいいさ仮面ライダーソニック。……そうだ、そういえば一つ、自覚したことがある。俺は松浦果南に恋をしていたようだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………はぁ!!??」

 

 

 

「これだけ生きて初めての経験だよ。だが、彼女は君を好いているようだ。それでは全く笑えない。だからこれが、俺の最初の挑戦だ」

 

引き抜かれた斧でこちらを差し、奴はそう宣言した。

 

 

「仮面ライダーソニック、恋敵の君を超え、松浦果南を手に入れる。仮面ライダーダブル、俺を否定する君を倒し、俺という存在を俺自身が肯定する。さぁ……ここからが本当の勝負だ。笑い合おう、仮面ライダー!」

 

「……あ゙?」

 

吹き荒れる暴風。放たれたそれはさながらhurricaneの如く、俺の心と共鳴し辺りの木々を激しく揺らしていた。災害にも、他の仮面ライダーにも挑む。それはいい、そうする前にぶっ潰すだけだ。いや良くはねぇが……ねぇが…………その言葉がどうでもよくなるくらいに────

 

 

その最後の一言だけは、聞き捨てならねぇ!!!! 

 

 

 

「ざっけんなクソが! 誰が誰に恋したって!? お前みたいな悪党に姉ちゃんを渡すわけねえだろうが!! もう我慢ならねぇ……俺がぶっ殺す!!!」

 

 

「急に開き直ってんじゃねぇよボケ! そのまま落ち込んだまま死んどきゃよかったんだカスが!!! 何回でも否定してやんよ憂鬱ゲリクソ野郎!!」

 

『お二人さん。ヒーローの台詞じゃないよそれ』

 

互いに怒りのvoltageがメーター振り切ってヒーローにあるまじき暴言を放ってしまったが、それぐらいにマジでそれは許せねぇ!! 

 

怒りと共に構え直した瞬間、ディストピアは一瞬で俺とダブルの懐に切り込んで来ていた。

 

「嘘だろ、速───」

「体が軽い。思い出す、生まれた頃のようだ」

 

そうか! 今のアイツも俺たち同様憂鬱を振り払っている……だったら本来の力を発揮できて当然なのか!! 

 

身の丈ほどの斧を軽々振り回し、しかも当然のように空間切断の能力付き。

 

そんなクソチートみたいな攻撃をなんとか切り抜けたが……

 

すぐさま振り下ろされる次の攻撃。振り上げた斧が、縦一閃に叩き下ろされた。黒い閃光を纏うその一撃は地中深くにまで到達。山を割り、ここから見える海すらも切り裂いた。

 

『地形変えたんだけどあの人……!!』

 

「正真正銘、これが俺の全力だ。君たちに対する全霊の敬意を示し、久々に『技』を使うとしよう」

 

 

技!?

あの空間切断って技じゃ無かったのかよ!? いやそんなことはどうでもいい、さっさと避けなきゃとにかくヤバイ!!

 

「───黒天の彼方(ネロ・ユニヴェルソ)!」

 

衝撃波に加え、この感覚は奴の能力。

それに加えて無数のエネルギーの斬撃が同時に飛んできてそれには空間切断付き! なんだよこの無理ゲー!!

 

「やるしかねぇ!! 突破するぞ!!」

「All right! 上等だぁッ!!」

『あーもう! なんなのこのクソゲーは!!』

 

雑にクソ強く、それでいて緻密に放たれた攻撃が俺たちに襲いかかる。たった一振りでコレ撃てるってマジでどうかしてんだろ! 

 

なんとか避け、捌き切ろうと試みるがやはり難しかったのか……受けきれねぇ、そう思った途端…………

 

突如として何かが俺たちの間に割って入り、そのおかげで技を突破できた。

 

「なんだ今の……!」

「いや、一瞬見えた。今のはファースト!……どこ行ったんだ?」

 

ファーストが?やるじゃねぇか……と、奴がいた場所をみるとそこにはジョーカーメモリよりも黒いガイアメモリが落ちていた。

 

流麗な斬撃が竹を斬る“S”。

間違いない、ファーストが使うスラッシュのオリジンメモリだ! 

 

『これ、スラッシュメモリ!? マジで……!?』

 

「good.粋な計らいしてくれやがるぜ……!」

「いつからそんな仲になったんだ? まぁ使えって言うなら上等だ。借りパクしても文句言うんじゃねぇぞ!」

 

《Slash!》

 

ダブルはジョーカーメモリを引き抜き、オリジンメモリの“S”、スラッシュメモリを装填。再びドライバーを展開し新たな姿へと変身した! 

 

「『変身!』」

 

《Cyclone/Slash!!》

 

ギターと共に鳴り響く三味線の変身音。和洋折衷な音楽と共にダブルの姿は左半身がより濃い黒へと変わり、マフラーの代わりにその腰には2色のマントが現れ左手には一本の剣が現れた。

 

これがダブルの新たな力『サイクロンスラッシュ』!! 

 

「“S”のメモリを継承したか……!」

 

『いいね、スペシャルな感じ。いつも以上に……下手すりゃファング以上の力を感じる』

 

「隼斗!俺はまだ見た事ねぇけど、お前まだ限界突破の全力があるんだろ? それまだ使えるか!」

 

「オーバーブレイクのことか?10秒くらいなら……いや……」

 

10……いや、奴があの時よりダメージを負っているとはいえ、吹っ切れた奴をたったそれだけで仕留められる自信はない。

 

それに、ここまで2度もオーバーブレイクを使用したせいでガチで体も限界に来ている。

これ以上無理したら本当に命に関わる、けどやるしかない。

 

ごめん姉ちゃん。

俺は今から───人生で1番命を賭ける!! 

 

 

「20秒だ!20秒なら全速力で駆け抜けられる!」

 

『了解。思ったよりもずっと長いけど、博士には黙っとくよ』

「命運賭けるには十分過ぎる時間だ。この20秒で……終わりにするぞ!」

 

「いいだろう。さぁ、最後の勝負だ!」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「凄い地響き……さっき海も割れたし、あの空の穴も消えた……何が起こってるの……?」

 

「愚問ねリリー。きっと近づいているということよ、この聖戦の終幕が! さぁ堕天使ヨハネの名において命じます! 我が堕天同盟よ、今こそ地上を救いへと導くのです!」

 

「合点承知! ハーさんも激しくやり合ってるみたいだシ、俺っちたちもいっちょ行こうゼ!ド派手にナァ!!」

 

「あぁ!心が無い貴様にも刻み付けてやる、憂鬱の傀儡!来たる断罪の恐れを、そして我らが天使の偉大さを!」

 

そう言うとエデンは盾の形をした不思議なガイアメモリを起動。バックル部分を取り外しテ、剣の形をした別の装備を装着しタ。

アレがアイツのパワーアップアイテムか!

 

《Heaven!》

 

「待たせた黒騎士! これが俺の、ガチの上のガチ! 刮目せよ、我が名は天竜騎士シュバルツだ!」

 

装填されたヘブンメモリが更に叩き込まれ、盾が展開して左右三枚ずつの翼ニ。

 

《Heaven!Maximum Over Load!!》

《Mode:MESSIAH》

 

メットや胴体、腕、脚……体の至る所に宿した翼の意匠。鎧は元の銀から輝く白になッテ、胴体の竜の顔が噛みついた緑のラインがアルファベットの『H』を鎧に刻んダ。

 

その手に持った槍……エデンドライバーはランス型からスピア型に。

エデンはその身を御伽噺の聖騎士のような姿に進化させタ!

 

「仮面ライダーエデンヘブンズ! 異界の地にて、いざ! 再誕!」

 

『……!!』

 

名乗りを遮るかのようニ間髪入れず仕掛けてクルディファレント。

爆発的加速からノ急接近、エネルギーを両腕に充填シ、ガトリングヲ乱射してキタ。

 

「シュバルツ!」

 

しかし、一瞬の強い光が放たれたかと思ったらエデンの姿は何故かディファレントの背後に。アイツ、瞬間移動の能力持ってんノカ!即反応したディファレントだが、一歩遅い。エデンドライバーに光を纏わせて振るうと、衝撃波がディファレントを遥か天空に吹っ飛ばしタ。

 

「瞬間移動に超パワー……アレがシュバルツのガチ……スッゲェ!」

 

「当然でしょ憐。この堕天使ヨハネが認めた竜騎士よ!」

 

だが、ディファレントは弾き飛ばされた先、落ちてくることなく空中で留まっていテ……

 

「アイツ飛べたのカヨ……」

 

「望む所だ。我ら2人の竜騎士、双方共に羽ばたく翼を持っている。その大空が貴様の墓標だ! ロイミュード!」

 

「ヨッシャ! そこで見てな、ヨっちゃんに梨子サン! シュバルツと一緒に、いっちょ世界救って来っカラ!」

 

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》


 

イグナイターを連打してシフトアップ。

炎を纏ってその熱と闘志をバースト!! 

 

俺っちは紅蓮の翼を、エデンは光の翼を広げテ戦いは空へと場所を変えル。その瞬間ディファレントはカメラアイを怪しく光らせ────

 

『……破壊!』

 

うぇ!?……そうか、ここまでの戦闘でようやく()()()なってきたってことカ!

 

「急に喋りやがっテ! ビックリすんだろーガ!」

 

あの時と同ジ、強力なバリアがディファレントを覆う。いや、あのバリアなんか違うナ……

 

「……そうか!」

 

間違いねぇ! アレ超重加速混じりダ!ったくめんどーナ……だったらこっちは更に勢いを爆発させテその守りを突破!灼熱のクローで、胴体をぶったギル!!赤く焼けたような傷痕ニ重ねるように、次々と爪痕を刻み付けていク。

 

ダガ、向こうもこのまま接近戦を続ける理由は無く、衝撃波でディファレントは俺っちを地上近くまで吹っ飛ばした。

 

「任せタ、シュバルツ!」

 

『……!?』

 

「こっちだ!」

 

バリアをテレポートで突破、光の一閃がディファレントを刺し貫いタ。

四方八方から放たれる反射エネルギー弾の反撃をエデンはテレポートで避け続けル、空を駆ける閃光にディファレントは追いついて行けてナイ。

 

天刃飛翔(ヘブンズソード)!」

 

エデンの周囲に出現する3本の光刃。周囲を飛び回るそれによって増えた攻撃手段に意識向けたディファレント。隙ありィ! 

 

「ただいま……ッテナ!」

 

 

「それを使え黒騎士!」

「ありがたく頂戴するゼ!」

 

クローでぶった切って、エデンの刃を受け取り、斬りかかル。

 

ディファレントはもうこちらの戦闘パターンを再学習したノカ、クローを装備して対応。2対1の斬り合いを分析し、渡り合ってイル。だが、この光刃を持ってる俺っちはエデンのサポート下にアル。

 

ディファレントのエネルギー斬撃がヒットする寸前に俺っちを瞬間移動させ、転移先でクローをガントレットに変形させてぶん殴る!

 

『……スレイヤー……!エデン……!』

 

ガントレットに纏った黒い炎で焼け焦げるディファレント。

繰り出された無数の追尾式のエネルギー斬撃も、エデンの2本の刃に阻まれ、その隙に接近。

 

俺っちがぶん投げた光刃がディファレントを斬り、反転、他の2本と同様にエデンの槍に合体し強化された槍の光が、空に、海に、大地に降り注ぎ、ディファレントの装備を一撃で打ち砕いタ。ケド…………

 

「……チクショウ、やっぱ足りねぇよナァ……」

 

思わず舌打ちして呟いた。

肝心のディファレントに入っているダメージは充分とは言い難イ。これだけ攻撃しても、多分かなりの攻撃を吸収されている。

 

そもそも、前に戦った時はダブル、ハーさんに俺っち、エデンの必殺技を全て吸収され、全部反射されてイル。

 

軽〜く見積もってあれ以上の攻撃を2人でやんなきゃならネェ。装備を破損したディファレントが、大きく構えている。さっきの攻防で気を向け過ぎたせいで反応が遅れてしまった。ここまでのエネルギーをこっちに反射する気カ!

 

「噂をすれば光が射す……か……!」

「影ナ! シュヴァルツ!その姿、防御はそんなダロ!? 俺っちの後ろ隠れてロ!」

 

砲撃の如く放出されたエネルギーを、俺っちが受け止める。

隕石から作られたメテオデッドヒートの装甲は元より防御に長けてイル。まあそれにも限度があるカラなんとか耐えられはしたものの、かなり体力を持ってかれた……

 

「クッソ、急に頭悪い攻撃しやがっテ……いや待てヨ……!?」

 

よく見たらディファレントの体の光が、先程よりも弱まっている。今はでっかい攻撃を放った直後……………………そうか!

 

「シュバルツ! アイツ、さっきからちょくちょくエネルギーを“排出”してル! 溜めたエネルギーは出さなきゃ消えなくて、体に溜めておけるエネルギーにも限界があるんダ!」

 

「トイレみたいなものか!」

 

「……うんじゃあそれでいーワ! 認識が汚ぇケド!」

 

「フッ……つまり、どういうことだ!」

 

「アイツがパンクするまで、放出させずにぶん殴り続けル! とどのつまり根性の体力勝負ダ!」

 

文字通りのデッドゾーン真っ只中。

せっかく見つけた大チャンス、ここでケリをつけてヤル!! 

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

《Gaia Connect》

 

《Heaven!》

《Dragon!》

 

《Maximum Over Drive!!》

 

「ブレイクダウン・シャウト!!」

 

炎を纏った拳ごと、ディファレントの奴を地面に叩きつける。地面が波状にひび割れ、さながら火山の噴火のように爆炎が噴き出した。

 

『津島善子……!!』

 

起き上がったディファレントからは、今までソイツが向けてこなかった激情が感じ取れタ。

 

さっきと同じエネルギー砲を撃とうとしてイル……エネルギーその矛先は……ゲッ! ヨッちゃん!? 

 

 

「貴様、誰に向けて牙を剥いている!」

 

 

瞬間移動したエデンがエネルギーのヨッちゃんに向けられた腕を斬り落とし、槍を放り投げて顔面に回し蹴り。更に、神速の殴撃がもう一度頭部を襲っタ。

 

「あと、名を呼ぶときは気を付けろ。貴様如きが二度と間違えるな……『ヨハネ』だっ!!」

 

いつもの詠唱を省略シ、最短最速で、ディファレントに莫大なエネルギーを叩きつけタ! 

 

楽園を統べる天竜皇の裁剣(ロード・エデン・カラドボルグ)!!」

 

光が槍と一体化し、光剣となってディファレントに炸裂させる。大地を割るほどの一撃ダガ、それもディファレントに触れた部分から吸収されてイル。出力を上げ続けるが、ディファレントはそれさえも吸収してしまっタ。このエネルギーを跳ね返されたら辺り一帯消し飛ブ…………いや! 

 

「「まだだ!!!」」

 

終わってなんかいない。この体が動く限り、この心が叫ぶ限り、騎士道が折れない限り、俺っち達は倒れない!!

 

《Volcanic!キュウニ!Dead Heat!Meteor!!》

 

「ガルァァァァァ!!」

 

もういっぺんイグナイターを連打し、この身すら焼くような限界を超えた熱量が空間を喰い尽くス。木々を、大地を焼き尽くしながらガントレットを叩きつける!エデンもヘブンメモリを閉じ、盾の中心に出現したコネクターに、一本のメモリを挿した。

 

《Chaser!》

 

《Chaser!Maximum Over Reload!!》

 

「堕天竜騎士……シュバルツ!」

 

チェイサー先輩の力を受けたエデンヘブンズがもう一度翼を広げる。闇と光の異なる力。死神の力を得たエデンの姿を見て、ヨッちゃんの口から言葉が零れた。右翼は白。左翼は黒。正に堕天使のエデンヘブンズ。モノクロの羽が舞い落ち、炎が走る大地を蹴って、俺っち達はディファレントに向かって駆け出した。

 

俺っち、シュヴァルツ、そしてヨッちゃん。

生まれも育ちも違うケド、志はみんな一緒。3つの心が一つになって、一つの詠唱(ことば)を紡ぎ出す! 

 

「悪を滅ぼセ、激憤の業火!! 悪鬼羅刹、魑魅魍魎、地獄の狩人は全てを燃やシ、狩り尽くス!! 絶望の暗闇を切り拓ケ!!」

 

「絶望を超え、二頭の竜が遍く世界に光をもたらす。我は断罪の使者。愛する堕天使の願いに応え、異界の大地を救世する者!!」

 

 

「光と闇は一つに! 堕天の絆が結ぶ、奇跡の剣は世界を導いた! 全てのリトルデーモンよ、愛する地上の人々よ! その目に焼き付けよこれが……仮面騎士が紡ぐ希望の光!」

 

 

感情と気力の全身全霊を乗せたエデンドライバーとスレイクローを、絆が結んだ大いなる力を───ぶっ放す!!

 

《Heaven!》

《Dragon!》

《Reload・Chaser》

 

《Maximum Over Drive!!》

 

《ヒッサツ!Volca Full throttle!Dead Heat!!》

 

《Meteor!!》

 

 

「「「騎聖と鬼神の竜皇剣(インフェルノ・エデン・レーヴァテイン)黙示録(アポカリプス)!!」」」

 

 

獄炎の剣がディファレントを貫く。

ディファレントの身が炎に焼かれ、行き場を失ったエネルギーが外へ拡散仕掛けてイルが、エデンヘブンズの力で遥か上空に送られ蓄えられた全てのエネルギーを吐き出して大爆発した。

 

俺っち達2人は空を見上げて一緒に倒れた。流石に本気を出し過ぎたカナ……今から助けに行きたいけど正直シンドイ……ま、大丈夫でしょ。

あの3人なら絶対ニ……

 

「後は頼むゼ……!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「行くぜ!!」

 

イグナイターを連打。深呼吸して、さっきと同じように心を落ち着け…………落ち着かせ………………〜〜ッ!!

 

 

「られるかボケェェェェェ!!!」

 

体から放たれる暴風+衝撃波がディストピアとダブルを同時に怯ませた。

 

「どあっ!?っぶねぇな隼斗!!」

 

「っ! あ、悪い……つい…………」

 

『まあ果南さん関連でアレコレキレてるのは分からなくも無いけど今は冷静に。じゃないと使えないんじゃないのそれ?』

 

「っ……分かってる! 今度こそ……」

 

武器をそれぞれ逆手に持ち替え、左手は印を結ぶように構える。cool down……cool down……

 

そうだ、この20秒で仕留められなきゃ俺の負け……! マジで本気のDead or Arive!!いくぜ天城隼斗、今こそ風と一つに……

 

 

 

 ────見えた、一雫!! 

 

 

「Clear mind!永遠に輝く俺の翼が 新たな未来の扉を開く!!」

 

全てを超える……力をこの手に! 

 

「オーバーブレイクモード!解放ッ!!」

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

発生した小型の竜巻が俺の体を包み、青く光り輝く。そして、ブレイヴソニックの装甲が展開して青から水色に近い輝きを放ち翼からエネルギー粒子を放出。

 

竜巻をぶった斬り、変身完了!! 

 

「おぉ、ソイツが……!」

『オーバーブレイクモード……コアドライビアが半永久的に生み出す膨大なエネルギーを、変身する隼斗さんの肉体に流し爆発的な身体強化をするっていう……』

 

「来たか……輝くソニック……!」

 

 

「っ……!」

 

変身してもうすぐに膝が崩れそうになる。

身体を襲う傷の痛み、息苦しさ。これじゃあ何秒保つかすら分からねえ……! 

 

「……さっさと終わらせる!!」

 

力強く一歩を踏み込み一気に急加速。

とにかくまず空間切断の能力を発動させない事が大前提、ひたすらに攻撃を撃ち込んで隙を作らせねえ。

 

煌風とブラッシャーの2本にエネルギーを纏わせhit&away……いや、オーバーブレイクによる加速でもはやhit&hitとも言うべきラッシュを叩き込む! 

 

「は、速え……!」

『いやぁ……目で追うのが精一杯ってマジであるんだねぇ……』

 

「俺たちも行くぞ、永斗!」

『とは言ってもあのスピードについていくのはしんどいよ? どうすんのアラシ』

 

 

「いいや、今の俺らならアイツに追いつける!」

 

『あ、そうか。そうだったね!マッハ先輩、もう一度よろしく!』

 

《Mach!》

 

《Mach!Maximum Drive!!》

 

ダブルはマキシマムスロットにマッハメモリを装填。白いオーラを纏ってその手に持った剣『スラッシュブレイカー』を構え急加速。

俺たちの戦ってるところに割り込んできた。

 

「俺たちを忘れんなよ!」

 

「面白い!来るがいい、仮面ライダー!」

 

煌風で斬り込み、ディストピアの斧をブラッシャーで弾きつつダメージを与えていく。

 

ディストピアが斧を振るおうとした瞬間、ダブルがそれを弾き、俺が急加速して跳び膝蹴り。そのまま2連続で殴りつけ、五連撃。

 

ダブルが剣を振るい、さっきまでの戦いでつけた傷を狙って集中攻撃を喰らわせた。

 

「やるな……だが、()()()()()()()()()()()()?」

 

俺たちの足元が崩れだす。ここまでの激しい戦いに、そもそもfieldの方が耐えれてねえってことか! 

 

しかも、突如ディストピアの周囲の空間が歪みその姿が消えて────

 

「名も無い技だ、何せ初めてやったからな。挑戦というものはいいな……世界が瞬きで塗り替わる、形容し難い快感だ!」

 

『っ! 隼斗さん!!』

 

「問題ねぇ!」

 

 真正面に現れたディストピアは斧にエネルギーをチャージし空間切断を俺に放ってきたが、この速度なら余裕で躱せる。

 

身体を捻って回避、もう一度踏み込んで強く煌風を振り下ろす。

 

「っ!」

 

「隼斗!合わせろ!」

 

「おう!!」

 

《Slash!Maximum Drive!!》

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

 ダブルはスラッシュメモリをブレイカーに装填、俺もリジェネレイトブラッシャーを捨てシグナルソニックを煌風に装填!

 

「隼斗流剣技、拾ノ芸!」

 

「『これで決まりだ!!』」

 

互いに剣を握りしめ、最大の必殺技を放つ! 

 

「一刀流!天之波覇斬(アメノハバギリ)!!」

 

「『スラッシュストリーム!!』」

 

吼える青龍のオーラを纏った俺と、緑の烈風を纏ったダブルが強力な連撃がディストピアの斧とぶつかり合う。しかし────

 

 

「っ!?」

 

息苦しさがより強くなり、体から力が抜けていく。心臓が締め付けられるような苦しみが俺を襲い、仮面の下で血を吐いた。

 

「隼斗!?」

 

「っまだ……まだぁ……!!」

 

 

「諦めたまえ、これ以上無理をすれば君は間違いなく…………」

 

だが、まだ終わってたまるか……! 吐いた血を飲み込み、煌風を強く握りなおす。

 

「ぶざ げん゙な゙…………ッ!これ以上……お前に好きにさせてたまるかぁぁぁッ!!!」

 

 

「そうか。…………君ほど勇敢な戦士は初めてだ。俺がこうして心惹かれたのも……倒すのは非常に心苦しいが……」

 

ディストピアが振るった斧が必殺技を打ち消し、俺たちを空高く弾き飛ばす。そして、斧に黒いエネルギーが収束して…………

 

「しまった!」

『マズイ!今空中に飛ばされたら逃げられない!!』

 

「ここまでだ。……さらばだ、我が宿敵たち!仮面ライダーソニック、仮面ライダーダブル!!」

 

放たれる斬撃。

今まで放ってきたどれよりも大きく、そして強い。空中に打ち上げられ逃げ場は無く、この体で咄嗟の回避は不可能。

 

そう考える前に俺の体は動いており…………

 

 

「させるかァァァァ!!!!」

 

 

もちろん自分の体の事は分かってる。

この攻撃を『2人共避けきることはできない』事も。だから────

 

最後の力を振り絞ってダブルを突き飛ばした直後………………

 

 

「……………………なんと」

 

 

「…………っ!?」

『……そんな……!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………だよ…………なぁ………………」

 

 

 

漆黒の斬撃が、俺の体を直撃した。

 

 

体は徐々に力を失い、落下していく。見ればダブルは地面に叩きつけられてはいたが、変身は解けていない。

 

「あぁ、よかっ……た……」

 

安心と共に体から力は抜け、意識は薄れていく。やがて俺は…………海面に落下した。

 

 

「隼斗ォォォォッ!!?」

『まさか隼斗さん、僕らを庇って!?』

 

 

「まさかここまでするとはね……驚いたよ、天城隼斗。最期まで仲間のためにその身を捧げて散るとは……素晴らしい。敵ながら賞賛に値する」

 

 

「……何勝手に終わらせてんだてめぇ……」

 

「……何?」

 

 

「アイツがまだ死ぬわけねえだろうが馬鹿が!あの何処までもお人好しで!仲間思いで!馬鹿みてえに真っ直ぐで!誰よりも正義のヒーローしてるアイツが!たかが空間ぶった斬る攻撃喰らった程度で!!」

 

『いやアラシ、いくらなんでも今回は……いや、そうだね。隼斗さんなら死ぬはずない!あんなこれ以上ないくらいのヒーローが、こんな所で終わるはずがない!』

 

「昼寝するにはまだ早えぞ隼斗!お前が本当に死んでるってんなら俺が天国だろうが地獄だろうが引き摺ってでも連れ戻しに行ってやる!だから……まだ勝手に諦めてんじゃねぇぞ!!!」

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「…………ぁ」

 

うっすらと目を開く。

意識はぼんやりとしていて、見えるのは何処までも深い暗闇に自分が吐き出した空気が泡となっていくのが見えるだけ。胸元を見ると血は出ていないが削り取られたような黒い傷痕が。

 

弱々しく手を伸ばしながら今にも止まりそうな頭で考える。アラシと永斗少年は無事だろうか、憐や瞬樹くんたちは大丈夫だろうか。疑問は尽きないが……今の俺には、もう何もできない。

 

「(にしても……『死ぬ』って意外と怖くねぇんだな……頭がふわふわして……このまま目ぇ瞑れば普通に眠るだけって感じ……)」

 

さっきから手足の感覚が徐々に消えていってもうほとんど動かせず、指先が辛うじて動く程度。それに視界すらボヤけてきて、段々と眠くなってきた……

 

あぁ、こりゃ今度こそ死ぬな……父さん、母さん、先立つ不孝を以下省略……千歌、曜、梨子ダイヤさん、鞠莉、ルビィちゃん、善子、花丸ちゃん、姉ちゃんを頼む……憐、博士……後のことは任せた……

 

姉ちゃん……まだ言いたかったこと、やりたかったことは結構あるし、アイツの言ってたことが心残りだけど、俺もうダメみたい……とりあえず姉ちゃんが絶対あんなのに靡かないって信じる……あぁやべぇ、もう……無理…………

 

 

姉ちゃん…………ごめん。

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーッ!ーッ!』

 

 

 

 

意識の消えかかっていた俺に呼びかける何か。この海の底にまで飛び込んできたアレは鳥……それにアレは…………シグナルバイク達、なのか……? 

 

「お前……ら……?」

 

『ーッ!ーッ!』

 

「諦めるなって?…………無理だよ。体力は尽きた、それにこの傷、こんなの……もうどうにもならねぇって…………」

 

 

 

『なんだよ、諦めんのか?』

 

 

「…………?」

 

 **が、聞コエル。

 

『絶対ぶっ殺す、なんて吠えたのは虚勢か? だとしたらガッカリだな』

 

 コエが…………聞こえる。

 

「(……誰だよ?迎えの天使にしちゃ、急に出てきて……随分失礼じゃねえか?)」

 

 

『もう負けない、なんて誓った言葉。アレは嘘だったのか?』

 

 

声が、聞こえる。

 

 

そうだ、これ以上好きにはさせない。

俺たちの世界で、絶対に……

 

 

「……がう……」

 

 

『聞こえねえな』

 

 

 

「違うっ!!」

 

 

朧げだった意識が覚醒する。そうだ。

 

何があっても守るって、絶対にアイツを倒すんだって決めたのは誰だ? まだ頭も体もギリギリ動かせる、だったら!こんな所で諦めてたまるか、終わってたまるか!! 

 

『ほぅ……威勢の良さは負けちゃいねぇか。いいだろう、少しばかり力を貸してやる。

 

この“切り札”どう使うかはお前次第だ』

 

すると、俺の目の前に黒光りする何かが降りてきた。輝きを放つそれは、俺が散々見てきた、『ダチ』の持っていた────

 

 

温かなそれが体の中に入っていくと同時に、力を失っていた手足に力が戻る。治るはずの無い傷が消えていく。体力もマシなレベルには戻ってきた。

 

「……よし、復k……ガボボボボッ!!?」

 

 

忘れてたここ海ん中じゃねぇか!? 

ヤバイ……!なんとか戦死は免れたけど、今度は……溺れ死ぬ……

 

 

『ーッ!』

 

 

ぼばべば(お前ら)!?」

 

 

マガールⅡ、カクサーンⅡ、トマーレⅡ、キケーンⅡ、それにアレは……ダブル、エデン、それに……スレイヤーとデッドヒートメテオ!?

 

降りてきたシグナルバイク達が円を描くように俺の周りを駆ける。

 

光を発しながら広がり、縮みを繰り返すそれは、まるでドライブ先輩の…………

 

『ーッ!!』

 

射出されたシグナルブレイヴを手に取る。そうだ……そうだよな! 

 

 

「(例え体が限界でも!)」

 

その意志がまだ生きてるなら

 

「(どんなに絶望的な状況でも!)」

 

0.1%でも希望が残っているのなら

 

「(この命がある限り!)」

 

愛する人たちがいる限り

 

「(俺は!)」

 

それを全力で守り抜く!そうだ、俺は────!! 

 

 

「俺は、仮面ライダーソニックだ!!」

 

 

シグナルブレイヴを掴み取る。

再起動したドライバーにそれを叩き込み心の底から湧き上がる闘志と共に、高らかにその言葉を叫ぶ!

 

 

 

「変身!!」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「まだやれるかよ、永斗……!」

『正直もうマジで限界だけどね……僕らが諦めたらその瞬間コンテ不可能ゲームオーバー。ハードコアもいいとこだけどやらなきゃね……!』

 

「まだ憂鬱に堕ちないか。それでこそだ。天城隼斗ももういない、序列4位“S”のオリジンメモリの力があるとはいえ、君達たった2人で何ができる?」

 

 

「……たった2人だぁ? 何言ってんだテメェ」

 

「……何?」

 

「あいにく俺らは2人じゃねぇ。あっちの世界に残してきたアイツら、瞬樹、Aqours、憐、霧香博士、それに…………隼斗も!」

 

『そ、スポ根は好きじゃないんだけどね。僕らはみんなの想い全部を背負って今ここに立ってる。今の君が相手してるのはたった2人なんかじゃない!』

 

「全ての想い……か。ならば今ここで、そのことごとくを打ち砕こう!」

 

 

再び斧にチャージされる漆黒のエネルギー。今度こそ全てを無に還さんとするソレが放たれようとした────その瞬間

 

 

『ッ! アラシ!』

 

「…………アレは!?」

 

海の方に見えたのは巨大な竜巻。

それは海水を空高く巻き上げ、やがて…………

 

「何っ!…………まさか!?」

 

 

 

 

「そのまさかだ!!」

 

 

《O V E R - B R E A K!!》

 

 

光の柱が暗雲ごと竜巻を貫き、俺の姿を露わにした。頭上から陽の光が差し込み、明るく俺を照らしている。

 

 

「天城…………隼斗…………!?」

 

「はッ……思ったよか元気そうだな……!」

『信じてみるもんだね。隼斗さんコンティニュー入ります……ってか何あの姿……』

 

空中を蹴って一気に加速。が、いつもの感覚で加速したつもりがあっという間にディストピアの背後にいた。

 

「え!? っととと……ウルァッ!!」

 

そのまま煌風で叩き斬るつもりだったが反応が遅れて咄嗟に奴を蹴り飛ばす。だが、ただのキックじゃびくともしなかったディストピアが、衝撃波を伴って大きく吹っ飛ばされた。

 

「お……え…………え!?」

 

「隼斗!?」

『隼斗さん!』

 

ダブルが駆け寄ってくる。

ああよかった、やっぱり無事だっ……イデデデデ!? 首! 首絞まるって! 

 

「テメェふざけんな!勝手に庇って死にかけてんじゃねぇよ殺すぞ!?」

 

「いやしょうがねぇだろさっきまでガチで死にかけだったんだぞこちとら!?」

 

『でもよかった、生きてて……それより隼斗さん、その姿なに?』

 

「え?…………ああ、これか……」

 

 

改めて今の自分をよく見てみる。見た目はブレイヴソニック、しかもオーバーブレイクモード…………なのだが。水色に輝いていた全身の装甲が白銀になり、背中に生えるアクセラーウイングが淡く紫色のオーラを纏いマフラーの様に靡いている。Fテイルスラスターも白銀の光を纏いまるで腰マントのようになっていた。

 

しかも、何故かオーバーブレイク特有の負荷による体の苦しさを一切感じない。

 

「うーん……わかんね!けどまぁ……さっき以上の力が湧いて来るのは確かだ!」

 

「さっき以上って……大丈夫なのかよそれ?」

 

『……ちょっと待って、え……これマジ……?』

「どうしたんだよ永斗?」

 

何やら物凄く驚いている様子の永斗少年。

なんだよ、なんか分かったのか? このパワーアップの原因……

 

『アラシ……ジョーカーメモリ持ってる?』

「あ? 何言ってんだよ、ちゃんと持って…………ねぇ…………!? ふざけんなまた失くしたのか!?」

 

『いや、それは違う。あと、僕はサイクロン持ってる。ファングはいないけど……今回のコレは違う』

 

「…………おい待て、まさか……!」

 

 

 

 

『……隼斗さん、ジョーカーメモリ……持ってる?』

 

 

は?ジョーカーメモリ?そんなもの持って……え…………? 

 

色々弄っていると、手元にあったのは漆黒のガイアメモリ、描かれてるのは『J』。

 

 

『……確定だね。隼斗さん、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「「はぁっ!!?」」

 

ジョーカーメモリと一体化!?それって永斗少年と同じってことか!? 

 

「おいちょっと待て永斗! お前それ本気で言ってんのか!?」

 

『ファングと一体化してるから感じ取れる。それに、そうじゃなきゃアレ喰らって生きてるのおかしいし。それにこれは、まさかスラッシュの……?』

 

「なんだそれ……つか適合者俺だろうが。んな事有り得んのかよ」

「え……有り得ないけど」

 

「有り得ないのかよ! どーなってんだ俺の体!?」

 

本来の持ち主であるアラシではなく何故か俺に引き寄せられ、更には一体化までしている。どうなってんだよマジ……? 

 

「マジで分かんない……でも、ちゃんと一つになってる僕に比べたら今の隼斗さんとジョーカーの繋がりはかなり弱い。多分本当に一時的なものだと思うけど……』

 

「マジかよ……」

 

「……ともかく、今のところ特に害は無いんだよな? 永斗少年」

 

『多分ね。限定的とはいえど、僕と同じなら多少のダメージも問題無いはず……でもどうやって……?』

 

「うるせぇな、一体化しちゃったもんは仕方ねぇだろ。奇跡ってことにしとけや」

 

「奇跡、か……」

 

 ダブル(アラシ)がこちらをまじまじと見つめて来る。

 

俺すら知らない未知の強化形態、しかも自分が持っていたメモリと融合してるってんだからそりゃ驚くだろうが……

 

 

「な、なんだよジロジロと」

 

「なんでもねぇ。ただ、テメェも大概頑固な野郎だなって思っただけだよ」

 

「あいにく諦めは悪い方でな。死のうがくたばろうが……負けを認めない限り、大事な人がいる限り、俺は死なねえよ!」

 

「当たり前だ、そうじゃなきゃ困る」

 

そう言って笑いながら俺の胸に拳を当てるアラシ。それを掴むと、俺は奴に問いかけた。

 

「……なあアラシ、覚えてるか?あの夜の事」

 

「夜?」

 

「『感情論抜きで考えた時、アイツらにとって俺達は何のために存在してると思う?』……お前が聞いた言葉だ」

 

「あぁ、丁度それ考えてたとこだ。でもアレはただの比喩で……」

 

「俺、なんとなく答えが分かった気がする」

 

「答えって……なんだよ?」

 

 

「…………分かんねえ!!」

 

「…………はぁ??」

 

何のためにいるのか。

考えたけど、結局全然分かんなかった。

 

幼馴染だからとか、仲間だからとか、ありきたりな理由しか浮かんでこなかった。感情論抜きで、と言ってたが結局俺が行き着いたのはそういう想いだった。

 

「仲間達が大好きだから。守りたいから守る、理屈なんかどうでもいい!それが俺の…『天城隼斗(仮面ライダーソニック)』のあり方なんだ!だから……もう考えるのはやめた!!」

 

誰にも俺を笑わせない、誰にも文句は言わせない!そう決めたから、だから俺はこうして立っている、戦える! 

 

「ったくお前は……」

『でも、隼斗さんらしくていいじゃん。僕は嫌いじゃないよ』

 

「だな。そうだ、お前はそのままでいい!難しい事は考えんな!」

 

「ああ!」

 

思わず笑みが溢れて笑い合う。そうしていると、さっき吹っ飛ばしたはずのディストピアがいつの間にか目の前に立っていた。

 

「やはり生きていたか仮面ライダーソニック……だがなんだ……俺は知らない……なんなんだ、その姿は……!?」

 

「I don't know!だけどこれだけは分かるぜ、この姿は……今の俺の天辺だ!!」

 

輝く風がフィールドに吹く。その風が、再び俺達に力を与えてくれている。

 

「ッハハ……ハハハハハ!面白い!やはり君は面白い!天城隼斗!!」

 

「さぁ、終わらせようぜエルバ!最後の一走り……付き合いな!!」

 

「面白い!来い!ダブル!ソニック!」

 

 

俺達がそれぞれ武器を構えたのと同時にディストピアが黒いエネルギーを圧縮、大型弾にしてこちらに放つ。

 

だが、その程度今の俺には通じない!煌風で真っ二つにぶった斬り、エネルギー弾が背後で大爆発した。

 

「これまでしてきた事の報い、受けやがれ!」

 

一気に急加速、またしてもover runしかけるが急ブレーキをかけてターン、ガラ空きの背を煌風で連続斬り。追いついて来たダブルがディストピアの斧と打ち合い、上に弾いたところをブレイカーで斬りつけ、更に突き出す。

 

「ッ…………まだ……まだ!」

 

 だが、それを斧で弾きディストピアは再び空間切断を放とうとエネルギーをチャージしだす。

 

「させるか!」

 

《Blessing!Maximum Drive!!》

 

だが、それを見越していたかのようにダブルはスラッシュブレイカーにブレッシングのメモリを装填、白い光を纏った刃が振り下ろされた斧と打ち合い、対消滅。その邪悪なエネルギーを打ち消した。

 

『もう1発!』

 

《Drive!Maximum Drive!!》

 

「『ダブル・ドリフトスラッシュ!!』」

 

ハンドル剣を呼び出したダブルが二刀流で高速回転し、ドライブ先輩さながらの連続斬りを繰り出す。そして俺は────

 

 

「ファースト……お前の力、借りるぞ!」

 

この体に残る好敵手の力。今こそ、これを全開で解き放つ! 

 

「共鳴しろ、オリジンメモリ『S』!!」

 

翼が紫色の光を放ち、背中から放たれた羽が無数の剣や刀と成る。

 

《ヒッサツ!ぁふるすろっとる!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Sonic!W!!》

 

「オマケにコイツも!」

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!!》

 

「我流剣 “継承“」

 

カクサーンⅡを装填した煌風とシグナルソニックとレジェンドダブルを装填したブラッシャーを構え、更にドライバーのフルスロットルを上乗せ。生成された刀剣と共に、一斉に斬りかかる! 

 

 

「多刀流 裂空(れっくう)!!」

 

正に剣撃の雨霰。空をも引き裂く程の連撃がディストピアの斧とぶつかり合う。

 

「この力…………まさか、ジョーカーだけでなくスラッシュの力まで!?」

 

 

「いっ…………けぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

 

全力で振り下ろした剣がディストピアの斧を粉々に打ち砕く。

だが同時に煌風とブラッシャーもここまでの激闘で限界を迎えたのか、刃にヒビが入り、砕けてしまった。

 

互いに武器を失い、残ったものは己が身だけ。

これが正真正銘、最後の────

 

「面白い……! 次の一瞬、死んでいるのはお前達か! 俺か! 何も分からない、この美しい世界に生きる、この一瞬! それだけが全てだと、さぁ笑おうか仮面ライダー!!!」

 

剣と斧、2つの武器も失った奴にもう勝ち目は無い。────そう判断するには早かった。

 

■■(■■・■■■)

 

奴の呟いた何かをトリガーに、奴の姿が闇に包まれる。人型か、それとも獣のような姿か。周囲に広がる黒のせいでよく見えないが、もはやドーパントという括りですらなくなった『何か』がそこに立っていた。

 

それがどうした。俺は恐れない、止まらない!! 

 

「エルバァァァッ!!」

 

闇を纏った一挙一動がフィールドを削る。だが、今の俺にはそんなものは通じない! 

 

「オルァァァァッ!!」

 

「ガッ……!?」

 

先に攻撃が届いたのは俺だった。ガラ空きだったボディに1発高速のパンチを叩き込み……

 

「ぶっっっっっ飛べェェェェェェっ!!」

 

右足を大きく振り上げ、ディストピアを空高く蹴り飛ばした!! 

だが、奴は諦めまいと腕を振るう。衝撃波が地面を抉り、大気が削られ黒く染まる。

 

けど、俺は確信した。あの姿は諸刃の剣。確かにこれまで以上の、尋常じゃないエネルギーを放っているけど、同時にそれは偉く脆い!

 

奴に武器は無く、逃げ場の無い空中。ここが最後のBig Chance!! 

 

『アラシ!』

「分かってる!今度こそ決めるぞ、隼斗!!」

 

「ああ!行くぞ、アラシ!永斗少年!!」

 

《Slash!Maximum Drive!!》

 

《ヒッサツ!Full throttle Over!Brave!!》

 

ダブルはマキシマムスロットにスラッシュを装填、俺もドライバーを展開、イグナイターを押して必殺技体勢に! 

 

すると、麓の方から走ってくるのはダブルのバイク『ハードボイルダー』と俺の『ライドソニック』。2機のマシンは光を纏いディストピアに向かって飛んで行く。その周囲を縦横無尽に駆け回り、奴を球状のエネルギーフィールドに閉じ込めた。

 

「飛っっっべぇぇぇぇ!!」

 

俺はダブルの手を取り、思い切りぶん投げる。風による後押しを得たダブルが空中へと飛び上がり、俺も一瞬でそれに追いつく。

 

同時にライダーキックの体勢を取り、ディストピアに一撃。だが、それだけでは終わらない。

 

ライドソニックとハードボイルダー、2機を足場にして何度も何度もディストピアに連続でライダーキックを叩き込む! 

 

 

「これで……」

 

 

「「『終わりだ!!!』」」

 

その瞬間、初めて出会った時を思い出す。

ダブルのキックの風を吸収、吹っ飛ばしてしまった時。

 

あの時感じたのは、異なる2つの風の『共鳴』。

ダブルのサイクロンの力、ソニックの持つ風の力。

 

 

俺、アラシ、永斗少年。俺たち3人の全ての力を奴に叩き込む。

三位一体のLast Attack! 

 

相乗り(ダブル)の力で音速(ソニック)を超える!! 

 

 

「「『ダブル・オーバー・エクストリーム!!!』」」

 

 

緑と紫、そして白銀と蒼。四色の風纏い、全力を超えた一撃が砕くのは憂鬱蔓延る絶望郷。

 

 

「あぁ…………笑えないな。これでもう……終わってしまうだなん……て……」

 

 

大爆発に呑まれ奴は笑う事なく消えていく。

ようやく全てが…………終わりを告げた。

 

次回に続く。

 




ここまでお読み頂きありがとうございました!

互いにやりたい事を詰め込んだ結果、過去最長の話となりました。
このコラボ編も後はエピローグを残すのみです。どうか最後までよろしくお願いします!

それでは次回もお楽しみに!!

146さんサイドはこちらのリンクからどうぞ!

https://syosetu.org/novel/96993/72.html
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。