ラブライブ!サンシャイン!!×仮面ライダードライブサーガ 仮面ライダーソニック   作:Master Tree

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クソお久しぶりですMaster Treeです。
昨年から社会人となりまして、環境の変化だったり二輪免許を取得したりと色々立て込んでて結局また更新遅れました…本当にいつになれば完結できるか、もう作者ですら分かりません。

そういえば数ヶ月前から身内で話題になってたのでひろプリを見始めました。プリキュアとか幼い頃に響鬼のついでにマックスハートかじってた程度だったかつちょっと避けてすらいたのですが、今となってはツバあげに狂わされてます。

あと、同じ青系ヒーロー属性ってことで隼斗とソラちゃんを並べてみたいと感じた今日この頃です。スピンオフとかでやってみようか…

さて、このシリーズもいよいよ北海道編。
試される大地と称される北の果ての地で、彼らを待っているものは何か…それでは本編どうぞ!


第二期11話 白き大地が導くものは何か

 

 

これまでのサンシャインサーガ !

 

霧香博士に駆り出され出かけた先で謎のロイミュード、ズンボガンボとエンカウントした隼斗は、途中合流した憐との共闘の末に見事そいつを打ち倒した。

 

と、一安心したのも束の間今度はなんとゴルドドライブが現れた!新たな力、武器コピーを使ってきたものの、その程度で苦戦する2人ではなく、難なく倒すことに成功する。

 

戦利品として奴が落としていったシンゴウアックスも手に入れて戦力アップもできた一行。

だが隼斗だけは、交戦したゴルドドライブに謎の違和感を覚えていたらしく……?

 

 

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吹き荒ブ吹雪、体を打ち付けル冷たい風…まともに先の見えナイ白い世界。

 

「ここ、何処…?」

「何も見えませんわ…!」

 

「天はルビィたちを…」

「見放したずら…」

 

「これがsnow white!beautiful…」

「しっかりして鞠莉!」

 

 

白、白、白。

俺っち達の前に広がるのは、ただただ雪ばかりの真っ白ナ世界。

 

「雪め、甘いわ!この程度、避けるべし…!」

「避けランねーダロ」

 

あ、ヨッちゃん吹っ飛ばされた…

 

「そうだよ、これ多分夢なんだよ…」

「そうそう、目を閉じて…目が覚めたら自分の家で……」

 

「って、なるわけないでしょ。だってここ……

 

 

 

 

北海道だもん!!」

 

 

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「いやぁ、はるばる来たね!函館!」

「まさか地区大会のゲストに招待されるなんてね!」

 

「うぅ…でも寒っ……」

「曜ちゃん、もうちょっと厚着した方がいいわよ」

 

そう、俺っち達は大会側の招待を受けて、遠路はるばる北の大地、北海道までやってキタ!

北海道にはSaint Snowもいる訳ダシ、偵察にはもってこいって訳ダナ!

 

「さぁ行くわよ!リトルデーモンリリー!レッツ・ニューワールドんぎゅ!?」

「っと!」

 

案の定滑ってコケそうになったヨッちゃんをなんとかギリ受け止める。受け止めるっつーか首根っこ掴む形になっちまったケド。

 

「気をつけろヨ…地面凍ってるんだカラ」

「死ぬ…!その前に息の根が止まるから…!!」

「ああ、ワリ…そういや、マルちゃんは?」

 

 

「お待たせずら〜」

 

声がした方を振り向くと、そこにはやたら大きくなったマルちゃんガ。いや、それ厚着か?それともただ太って…はネェか。流石に有り得ねえわ。

 

「やっとあったかくなったずらうわぁぁ!?」

 

あ、ルビィちゃん、ヨッちゃん、曜サンの3人がマルちゃんの下敷きに。あーあーなんて事に……

 

「それにしても、隼斗さん残念でしたわね」

「ねー、隼斗ってばよりによってこんな時に……」

 

ダイヤサンと果南サンが口々にそう言う。ああそうそう、なんでハーさんがいないのかって話ダガ…ちょっと前まで時を遡るナ?あれはそう…確か2日前のラボで…

 

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「ホッガイドウ?メッジャイギデェゲドミデノドオリダガラ…ゲホッ!ゲホッ!ズマネェゲドオマェラデイッデゴイ…ゲホッ」

 

「なんて?」

 

「北海道?めっちゃ行きてえけど見ての通りだから咳き込む音×2、済まねえけどお前らで行ってこい、以下咳き込む音」

「通訳ありがとう先生」

 

ベッドに横たわり、鳥の足に吊るされた氷嚢を頭に乗っけて寝ている病人スタイルのハーさん。ってかマトモに声が聞き取れないんダガ。

とりあえず俺っち達はみんなマスクしてルから大丈夫だケド…

 

「多分、今まで無理してたのが一気に来たって感じなのかな?」

「確かに、ここまで立て続けに大事件が連発…大戦をくぐり抜けてきた戦士がまさか病魔に倒されるとは……」

 

「隼斗ってばこれまで全く風邪ひかなかったのに…」

 

「まあ、なんとかは風邪引かないって言うしね!よかったじゃん隼斗くん、違うってことが証明されて!」

 

「ボマエニダゲハイワレダガネェッテノ!ゴノバガヂガゲホッゲホッ!」

「え?」

「お前にだけは言われたかねぇってのこのバカチカ、以下咳き込む音」

 

「思いの外重症ですわね…」

「こりゃハヤトは当分Recuperationね」

 

「あーもう私に伝染すなよお前…そういう訳だ、私の見立てでは多分当分マトモに動けなそうだし君らだけで行ってくるといい。私も看病の為に残るよ、千歌くんのお姉さん方も仕事で頼れないだろうしね」

 

「ええ!?隼斗くんはともかく先生も!?」

 

「ああ、コイツを1人で放置するのも危険だしな。個人的に少しやっておきたい仕事もあるし…憐、彼女達を頼むぞ。あと、お土産よろしくな!」

 

「任せナ!俺っちなら大丈夫ダゼ!」

 

 

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「ハーさん大丈夫カナァ…」

 

「大丈夫だよ、霧香先生もついてるし!」

「そうそう、さっさと治して元気にトレーニングでもしてるんじゃない?」

 

「だといいけど…」

 

「なーにカナン、ハヤトが心配?」

「心配っていうか!その…また変なことしてないかなって」

 

「博士がいる以上、無茶はさせナイと思うケド…まあ果南サンの心配も最もだよナ」

「まあ…大人しくしていることを祈るしかありませんわね。あとは先生も先生で何かしてないか…」

 

『あー……』

 

どうやらエルバの事件の一件のせいでAqoursメンバーの中での多少博士の信用が落ちてるらしイ。頑張れ博士…

 

「まあまあ話はその辺で…あ、着いた〜!」

 

そうこうしている内に地区大会会場に到着。出場チームの中に、Saint Snowも載っていた。

 

「あ、あの!Aqoursの皆さん…ですよね!?」

 

そこへやって来たのは地元の女子高生達。どうやらAqoursのファンらしい。

 

「あの、写真…撮ってください!!」

 

「み、みんな…お、落ち着いて!」

「アンタが落ち着ケ。あ、俺っちが撮るヨ」

 

「あなたは…?」

「Aqoursのマネージャー、憐くんでーす。ヨロシク」

 

そんでファンの子と写真を1枚撮り、俺っち達はSaint Snowの2人に会いに行く事ニ。

 

「失礼しまーす…Saint Snowのおふたりは…」

 

「…!ああ、お久しぶりです!」

 

俺っち達に気付き、姉の方…聖良サンって言ったっけ?その人が挨拶してくれタ。

 

「ごめんなさい、本番前に…」

「いえいえ…ん?」

 

「どうかしましたか?」

「ああ、いえ。1人足りないなと…確か、天城隼斗さん…でしたっけ?」

 

「ああ、隼斗さんですか?実は……」

 

ダイヤサンが経緯を話すと、聖良サンは少し残念そうな顔をしていた。

 

「そうですか…でも病気なら仕方ないですね。彼にお大事にとお伝えください」

「分かりました」

 

「今日はぜひ楽しんでいってください。皆さんと決勝で戦うのはまだ先ですから」

「はい、そのつもりです」

 

「なに?もう決勝に進んだ気でいるの?」

「随分な自身ダナ…らしいといやらしいガ」

「ものすごい自信…そしてものすごい差し入れずら…」

 

「食うなヨ?」

「憐くんはマルのことなんだと思ってるずら!?」

 

いやだってマルちゃん俺っちたちの中じゃ大食いキャラで通ってル…通ってナイ?だし。

 

「お二人とも、去年の地区大会は圧倒的な実力で勝ち上がってきたし…」

「マ、今更頑張れとかの言葉は不用だよナ」

 

「それに、また見せつけようとしてるんじゃないの?自分達の実力を」

 

「いえいえ、他意はありません。それにもうみなさんは何をしても動揺したりしない…」

 

「どういう意味ですの?」

「Aqoursは格段にレベルアップしている。今は紛れもない優勝候補ですから」

 

「優勝候補…」

「…あの時は失礼なことを言いました。お詫びします」

 

そう言って深々と頭を下げる聖良サン。

俺っちも東京イベでの事は少し聞いてるケド…うーん、この場にハーさんがいたらなんと言ったのヤラ。

 

「次の決勝では、共にラブライブの歴史に残る大会にしましょう!」

「…うん!」

 

差し出された手を握る千歌サン。

これで正真正銘、対等なライバル同士ってことダナ。

 

「理亞!理亞も挨拶なさい!」

 

聖良サンが理亞ちゃんの方に呼びかけるガ、彼女は椅子に座りイヤホンをつけたママ。こちらの声は聞こえてないようダ。

 

「ああ、いいんです!本番前ですもんね…」

「よっぽど集中してんダロ。行こーゼみんな」

 

「…」

 

「ルビィちゃん?」

「ホラ行くゼ?」

 

「あ、うん!」

 

 

そして、俺っち達も観客席へ。

招待枠として中々いい席を用意してくれてイタ。

 

「スゲェ声援ダナ…」

 

「観客席から見て、ステージ上の自分達がどう見えているか…」

「どうすれば楽しんでもらえるかも、すごく勉強になるはずだよ」

「だよね!」

 

「Saint Snowさんは?」

「確か次のはずだけど…」

 

「あ、始まるずら!」

 

マルちゃんに言われステージを見ると、2人が背中合わせでスタンバってるのが見えタ。

 

「サテ、何気俺っちセイスノの生パフォーマンスみんのは初だからナ…お手並み拝見といきますカナ」

 

「its show time!」

 

 

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『ー?』

 

「ゲホッ、ゲホッ…ん?あぁ、鳥か…。心配すんな、罹ったばっかの時に比べりゃだいぶラクだ。ま、あと2日もありゃ流石に治んだろ。Christmasには響かないはずだ」

 

 

「治りかけてるからって油断するなよ?あくまで君は人間なんだから…いくら強くなっても、己の本質を忘れるなよ」

 

 

白衣ではなく、何故かエプロン姿にバンダナを巻いた姿の博士がラボのドアを開けて入ってきた。

 

「家庭科室でお粥作ってきたが、食えるか?」

「Don't worry.飯食えないレベルじゃねぇよ。…というか」

「うん?」

 

「あの時も思ったけど、博士って料理できたんだな」

「そりゃできるさ、私だって歴とした社会人だし天才だぞ?自炊とてお茶の子さ。というか君は私を生活能力皆無だと思ってたのk「おう」食い気味でいうんじゃないこのガキ…」

 

 

そう言いつつもレンゲで掬った玉子粥を冷まし俺の口に運んでくれる辺り、博士の面倒見のよさが伺える。

 

「…アイツら、どうなったかな」

「Saint Snow?Aqoursの面々?」

「Aqoursも大事だが、まあ前者だよ」

 

「そんな心配する程でもなかろうさ。彼女達、実力は確かなのだろう?私も彼女達のパフォーマンスは動画で見たが、アレなら決勝まで勝ち上がってくるのはほぼ確と言ってもいい。しかし、君が彼女達を気にかけるとは。嫌いだったんだろ?」

 

「最初はな。喧嘩ふっかけられた気がして頭に血ィ登りもしたが…まあ実力は本物だしな、そりゃ気にもなるさ。…決勝で当たるかもしれねぇんだ」

「…そうかい」

 

テーブルの上に置かれたスマホがメキシカンなけたたましい音を響かせる。そういや結果分かったら電話くれって言った気がする。…覚えてないけど。

 

「…と、噂をすればか」

「ブレイヴ・ファルコン。電話応答、隼斗のスマホとの無線接続、及びスピーカーモードON」

 

「は?」

 

霧香博士が鳥に向かって言葉を投げかけると、俺のスマホが勝手に操作されて、同時に鳥の目がオレンジ色に光った。

 

『もしもし隼斗くん?』

 

え!?鳥から千歌の声が!

しかもなんか翼を広げて身振り手振りして話してる…?

 

『鳥ってどういう状況?ファルコンちゃんに何かあったの?』

 

今度は曜の声、目が水色だ。

どうやら話してるメンバーに応じて目の色が変わってるみたいだが、これって…

 

「ブレイヴ・ファルコンにスマホと連動できるスピーカー機能をつけてみた。音楽の再生や、このような進化した音声通話を楽しめる」

「なんだその無駄機能…」

「遊び心と言いたまえ」

 

『また先生が何かやってましたのね…』

『隼斗?ちゃんとご飯食べてる?休んでる?』

 

レッドとグリーン…ダイヤさんと果南姉ちゃんだ。

 

「大丈夫。飯もさっき食ったし、大人しくしてるよ」

『…まあ、ならいいけど』

 

『聞いてよハヤト〜!カナンったらこっち着いてからずっとハヤト大丈夫かな〜ってソワソワしてて…』

『もう!それは今はいいでしょ!!』

 

「心配してくれてありがと。でも、だいぶ楽になったから大丈夫だよ」

『そう?…ならいいけど』

 

「それよりどうなった?いや、まあ聞くまでもないが一応聞いとくわ。Saint Snowが決勝進出、東京で俺たちとぶち当た…」

 

 

『…違うの』

 

ピンク色の光とこの声、ルビィのものだ。

 

「違う?何が?…いや待て、まさかとは思うが…」

 

『マジだよ、ハーさん。Saint Snowは…』

 

 

スピーカー越しに憐から告げられた北海道地区大会の衝撃の結末に、俺も博士も耳を疑った。

 

 

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「びっくりしたね…」

「まさか、あんな事になるなんて…」

 

「これがラブライブなんだね」

「一度ミスをすると、立ち直るのは本当に難しい…」

「一歩間違えれば私たちもってこと?」

 

「否定はできないゼ、ヨッちゃん。決して他人事じゃネェ…ある意味俺っち達もだケド」

 

「でもこれで、もう決勝に進めないんだよね…Saint Snowの2人…」

「敗者復活戦、なんて都合のイイもんもないシナ…」

 

 

結論から言うト、Saint Snowはトップ3にも入れず敗退。理亞ちゃんの方がステップをミスって2人ともぶつかって転倒…とてもじゃないが続行不能って感じだっタ。

 

俺っちが控室で感じタ、あの張り詰めた空気…あの時、何かしらアクシデントは起こりそうダなんて直感が告げていたガ、まさかこうなるなんてナ…。

 

 

「まだ気になる?」

「うん、まあね…」

 

「ずっと2人でやってきたんだもんね…」

「それが最後の大会でミスして…」

 

「まぁ、こんなこともあるサ。勝負の世界なんだから…なんて、割り切れねえよナ」

 

「でも、私たちが気に病んでも仕方のないことデース」

「…そうかもね」

 

「あの2人なら大丈夫だよ」

「仲のいい姉妹だしね」

 

「じゃあ、この後はホテルにチェックインして…」

「明日は晴れるらしいから、函館観光だね!」

 

 

そんで翌日。

俺っち達は色々街を見て回った後五稜郭タワーへとやってきていた。

 

五稜郭…時代の移り変わりの幕末、新政府軍と旧幕府軍がやり合ってたとかなんとか…まあ俺っち歴史そんなキョーミ無いんだけどネ。

 

しかしタワーの上から見ると、本当に五角形が綺麗ダナ…今ほど技術が発展してないにも関わらず、昔の人ってスゲェな…。

 

 

その後、歩き回って疲れたナって事で俺っち達はお茶にする事ニ。見つけた店が────

 

 

 

「『くじら汁』?」

「シブい…」

 

「今調べてみたら塩漬けにした鯨の肉やら野菜とか山菜を煮て作るんだってサ。年越しの時に食うらしいゼ?」

 

「とにかく入ってみようよ!すいませーん?」

 

 

千歌サンが戸を開けて呼ぶも、何故か声はしない。…開いてるよナ?

 

「商い中って書いてありマース」

「じゃあ開いてるカ」

 

「失礼しまーす…!」

 

マルちゃんも寒がってたので、とりあえず中に。靴脱いで入るタイプか…

 

 

「ワタシぜんざいが食べたいなー!」

「俺っちせっかくだしくじら汁食ってみるカナ…あと抹茶」

 

「憐くん以外とシブいチョイスなのね…」

 

「ルビィちゃんは何ヲ…ルビィちゃん?」

 

一番遅いはずのルビィちゃんが来ねェ。

廊下を覗いてみるも入り口にはおらず…いや、反対方向に一瞬赤毛が見えたナ…トイレか?

 

「オーイ、ルビィちゃん何を……エ?」

 

とりあえずルビィちゃんは発見。

が、俺っちはそっちよりももう1人の方に目が向いてイタ。

 

ベッドにうつ伏せになってイテ、さっきまで泣いてたのか目元が赤くなっていたその人物。

 

「アンタは…!」

 

Saint Snowの鹿角理亞ちゃんだったノダ。

 

 

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「ウメーなコレ!」

 

「綺麗な見た目…」

 

「雰囲気のある、いいお店ですね」

「その制服も可愛いし!」

 

「この美味しさ…まさに天界からの貢物!」

 

「おかわりずら!」

「早っ!?」

 

 

「学校に寄られるかもとは思っていましたが、ビックリしました」

 

「そりゃ俺っち達もっすよ。まさか観光の休憩がてら偶然立ち寄ったここが、聖良サン達のウチだったなんてナ」

 

「街並みも素敵ですね。落ち着いてて、ロマンチックで…」

 

「ありがとうございます。私も理亞も、ここが大好きで…大人になったら2人でこの店を継いで暮らして行きたいなって…」

「…そうなんだ…」

 

「…昨日は、残念でしたわね」

 

「いえ。でも…」

 

 

「食べたらさっさと出ていって!」

 

 

「理亞!なんて言い方を…!」

 

 

そう言ってルビィちゃんに何か呟くと、理亞ちゃんは店の奥に引っ込んでいってしまっタ。

 

「ごめんなさい。まだ昨日の事が引っかかってるみたいで…」

「…まあ、そうですよね…やっぱり」

「無理もネェよ。あんなのがあった後じゃナ…」

 

「でも、私は後悔してません。これまで全力でやってきたことに変わりはありませんから。だから理亞も、きっと次は────」

 

「嫌!何度言っても同じ!私は続けない、スクールアイドルは!Saint Snowはもう終わり!」

「本当にいいの?あなたはまだ一年生、来年だってまだチャンスは…」

 

「いい。だからもう、関係ないから。ラブライブも…スクールアイドルも」

 

 

そっか、理亞ちゃんに関しては俺っち達と同じ一年生…三年生の聖良さんはともかくまだやれるのか。なのにやらないって…

 

「お恥ずかしいところを見せてしまいました。ごめんなさい」

 

「don't worry.ってハーさんなら言うかもナ。ああそうそう、ハーさん思ったより体調楽になってた見たいダゼ?この分ならクリスマスまでには治せるかもってサ」

 

「そうでしたか。それはよかった…ごゆっくりどうぞ」

 

 

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その後、昼食がてら有名なバーガーショップへ。さっき割と食ったはずなのに意外と腹減るもんダナ…マルちゃんはこれまたデカいハンバーガー食ってるシ…

 

「何も辞めちゃうこと無いのに…」

「でも続けるにしても、理亞ちゃん来年は1人になっちゃうんでしょ?」

 

「新メンバーを集めてrestart!」

「って、簡単には考えられないでしょ?」

 

「正直コミュ力長けてるとは思えんしナ…」

「憐君?」

「いっけね、口がスベッた」

 

「わたくし達もそうでしたものね…」

 

旧Aqoursから今に至るまでの事カ…俺っちも加入前の事はよく知らないケド…色々あったってのは聞いた事がアル。

 

「結局ステージでのミスって、ステージで取り返すしか無いんだよね…」

「ですが、そうしてすぐ切り替えられる程、人の心は強くはないのですものね…」

 

「自信、無くしちゃったのかな…?」

 

 

 

「…違うと思う」

 

「ルビィちゃん?」

 

「聖良さんがいなくなっちゃうから。…お姉ちゃんと一緒に続けられなくなるのが嫌なんだと思うお姉ちゃんがいないなら、もう続けたくないって」

「ルビィ…」

 

「アンタ…」

「すごいズラ…」

 

まぁ、気持ちは分からんでもナイ。

今までずっと一緒だったのが、あんな事があって終わって…それで今度は1人でって…辛えに決まってるヨ。

 

「そうだよね…寂しいよね…」

 

「ち、違うの!ルビィはただ、理亞ちゃんが泣いて…あっ」

 

「泣いて?」

 

「…あぁ〜」

 

「ピ…ピギィィィィ!!」

 

さっきのアレか…とふと思い出しタ。

って、ルビィちゃん飛び出してっちまったんダガ!?

 

「ワリ、俺っち行ってくる!」

 

「きゃっ!?」

 

「っ、ヤベッ!」

 

ルビィちゃん追いかけなきゃって気持ちで気づかなくて、人とぶつかってしまった。なんとか反射でギリギリ相手の手を掴んで尻餅つくのは避けられたケド…

 

「ごめんなさい!大丈…」

 

「…憐くん?」

「へ?」

 

「憐くんよね!?」

「なんで俺っちの名前…アレ!?」

 

ベージュのコートに暗めの緑色のマフラーを巻いたハーフアップな栗色の髪の女性。俺っちはこの人の事をよく知ってイタ。

 

「…明日香おねーちゃん!?」

 

ぎゅうと抱きしめられ、頭を撫でられた。この人は明日香おねーちゃん。

俺っちがまだ幼かった頃…よく覚えてないんだけどよく一緒に遊んでたらしいオネーサンで…父さんと母さんが亡くなったあとは親代わりに育ててくれたヒト。

 

「急にいなくなって、連絡つかなくなったから心配してたのに…無事でよかった。元気そうでホッとしたよ」

「…まぁ、色々あってネ。とりあえずちゃんと学校も行ってるし、今は楽しくやれてるヨ」

「…そっか。ならよかった」

 

「憐さん!?ルビィは…あ…」

 

明日香おねーちゃんをみるや否やペコリとお辞儀をするダイヤサン。

 

「こちらの方は?」

「…憐くんのお友達?」

 

「まあ、そんなとこ。今の学校の先輩で仲間の…」

「黒澤ダイヤと申します。あなたは…憐さんのお知り合いの方ですか?」

 

「ダイヤちゃん、って言うの?いい名前ね。あ、私は安達明日香。憐くんのご近所さんってところかな?」

「ダイヤちゃん…って、憐さんのご近所さん!それがどうしてこちらに?」

「確かに、偶然とはいえ北海道だなんテ…」

 

「旅行旅行。一人旅ってところかな?たまにはこういうのも良いでしょ?」

「確かに…あ、ダイヤさん。ルビィちゃんならあっち行ったゼ?今ならまだ間に合うと思う」

「分かりました!」

 

そう言ってダイヤサンはルビィちゃんの元に駆けて行った。

 

「それにしても、本当に久しぶりだね。というか俺っちって、何その一人称?」

「キャラ作りカナ?ほら、第一印象とか新しい場所だと大事じゃん?」

「フフッ♪だとしてもそれは変でしょ?」

「エ〜そうカナ?」

 

 

「そうだ、積もる話もあるし、少し2人で話さない?」

「あ〜そうしたいんだケド、今他のみんなもいるカラ…」

「ああそっか…じゃあ、今夜って空いてる?」

 

「夜?いいケド…」

「連絡先変わってないよね?こっちから連絡するから、そしたら落ち合おう?」

「分かった!」

 

「それじゃ、また後でね!」

「オウ!」

 

 

 

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「あれ?ルビィは?」

「ちょっと行きたい所があるって」

 

「それに、さっき憐も出て行ってたけど…」

「憐くんも同じ。なんかすごい美人さんと一緒だったずら」

 

「すごい美人…ハッ!まさか、逢引き!?いやでも憐って彼女いなかったわよね…まさか、この地で運命の出会いがあったとでも!?」

「そうかもね〜」

 

「というかそのハンバーガー…」

 

「あ〜むっ!」

 

「ルビィに買ってきてあげたやつでしょ?」

「いらないって」

 

 

 

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「ゴメン!結局無駄に時間かかっちまっテ…」

「ううん、大丈夫!それにしても、良い子達だね、みんな」

「まぁ、ネ…」

 

案の定みんなに見つかって明日香おねーちゃんとの関係をしつこく聞かれたせいで、思いの外出発が遅れてしまった。

 

「じゃあ、行こっか!」

「オウ!」

 

すると、俺っちの手が手袋をつけた明日香さんの手に握られた。一応俺っちも手袋してるから寒くは無いんだケド…

 

「あ、ゴメンね?つい昔の癖が…」

「あーいいのいいの!俺っちもまぁ、嫌ではないシ…?」

「そっか。ならこのままで」

「うん!」

 

そうして俺っち達は、夜の街へと繰り出した。

今の時期の夜らしくイルミネーションが煌めいていて、昼間の街とはまた違った雰囲気を醸し出してイタ。

 

「へぇ〜!じゃあ憐くん今はあのスクールアイドル…Aqoursって子達の友達ってこと!?」

 

「そうそう、色々あってサ。今はもう1人の先輩…こっちも男でハーさ…隼斗サンって人なんだけど、これがすごい頼りになる人でサ。その人と一緒にマネージャー的な事やってるんだ」

 

「アイドルのマネージャーさんかぁ…なんだかすごい事してるね。でも、そのもう1人の子は?」

「あー実は色々忙しくしてたせいか体調崩して風邪引いててサ…今は療養中」

「あらら、せっかくの北海道なのに…」

 

「だからその分色々土産話を持ち帰ってやろうカナって。ちょうど明日香おねーちゃんにも会えたしネ」

 

「なら、今度その子にも会わせて欲しいな?憐くんが尊敬してるっていうその人にも」

 

 

「尊敬、か…どうだろうな」

 

あの戦いからしばらくが経って、ふと思う事がある。実力は上、だなんて最初に言ったこともあったけど、自分とあの人の間には、とっくに差ができているのではないかと。

 

「…どうしたの?」

 

「尊敬、というよりは…もしかしたら嫉妬かもね」

「嫉妬…?」

 

ダブルの協力ありきとはいえ、ハーさんはあの強敵、エルバを打ち破った。蛮野の野郎も1人で撃ち倒せる程に力をつけて、使用者の体への負荷が大きいオーバーブレイクによる限界突破をも使いこなした…。

 

「俺っちとは違って、あの人なんでもできる人だからさ。仲間のみんなにも好かれて、すごく頼りにされてるからさ。どんな不可能も可能にしちゃう、正義のヒーローって感じで…」

 

あの先輩達と比べるとどうかは知らないが…オレの思う限り、今のあの人は間違いなく『最強』になったと言っても過言では無い。

 

 

「ヒーロー、かぁ…」

 

「…おねーちゃん?」

 

「憐くんだってそうじゃないの?だってあの子達、みんな憐くんのことを…」

 

「今は、ね。けど…オレはヒーローなんてもんじゃ…」

 

 

 

「────!」

「────!」

 

何やら言い争う声が聞こえる。

その2つとも、何処か聞き覚えのある声で…

 

「この声…」

「あっちから!」

 

明日香おねーちゃんの手を引いて声の聞こえた方に走る。するとソコには…

 

「バク転できないでしょ?」

「日本舞踊だったら人に教えられるくらいできるし、お琴もできるし!」

「スクールアイドルに無い!」

「そんなことないもん!必要な基礎は同じだって、果南ちゃんも言ってたもん!」

 

 

「…ナニしてんのルビィちゃん」

 

「あ、憐くん…と、誰?」

「何?あなたの知り合い?いや、男の方は確かマネージャーだったわね。えーと…憐?」

 

「せーかい。そしてこっちガ…」

「安達明日香。憐くんのお姉ちゃんってところかな?」

「憐くんお姉ちゃんいたの!?」

 

「あ〜近所の、ね。近所の。血の繋がりは無いの」

「あ、そうなんだ…」

 

「で、何してたのサ2人共…」

 

「ルビィと理亞さんのお姉ちゃん、どっちがすごいかって話!憐くんはどう思う!?ルビィのお姉ちゃんの方が凄いよね!?」

「いいえ!あなたもパフォーマンスの動画とかを見た事があるなら分かるはず!姉様の方が上!」

 

 

「…あーそうだナ〜…うーん…どっちもどっちじゃナイ?」

 

「どっちもどっち?」

「どういう事?」

 

「伝統文化に触れて育ってきたダイヤサン、ラブライブのためダンスも歌もパフォーマンスも、様々な形で磨いてきた聖良サン…やってきた事は違えど今は同じ土俵で勝負してて…とにかくどっちも凄いってことサ」

 

「…結局、答え有耶無耶にしてるじゃない」

「それを言うんじゃねぇヨ…」

 

「あの〜少しいいかな?」

「…なに」

 

「えーと、理亞ちゃん、でいいのかな?」

「そう…ですけど」

「そのお姉さんのこと、大好きなのね」

 

「当たり前でしょ!それにアンタ!」

「俺っち?」

 

「違う!アンタじゃなくて…」

「ルビィのこと?」

 

「そうよ!普段気弱な癖に…」

 

「…だって、大好きだもん。お姉ちゃんのこと」

「…ルビィちゃん」

 

「それでね?ルビィ、お姉ちゃんと話して分かったの。…嬉しいんだって。お姉ちゃんがいなくても、別々でも…頑張ってお姉ちゃんの力無しでルビィが何かできたら嬉しいんだって。

 

…きっと、聖良さんもそうなんじゃないかな?」

 

「ダイヤサンと話した?…俺っちが明日香おねーちゃんと話してる間に、何かあったの?」

「うん。…実はね」

 

「憐くん、どういうこと?」

「あ〜ほら、昼間会った黒髪のヒトいるでしょ?あの人がダイヤサン。ルビィちゃんのお姉さんだヨ」

「あーあの人!姉妹だったんだ!…あ、ゴメンね話逸らしちゃって。で、何があったの?」

 

ルビィちゃんは、理亞ちゃんの気持ちに気づいていたらしい。同じ三年生の姉を持つもの同士、ルビィちゃんもまたダイヤサンの卒業を控えてイル。

 

ダイヤサンは、一年のみんなと、二年のみんなと、そして俺っち達とここまでこれた事を、ルビィちゃんの成長を、とても喜んでイタ。

 

それと同時に 全部終わったらどうするかというのを聞かれたらしイ。ルビィちゃんの答えは…

 

『分かんない。でも、学校無くなっちゃうし、お姉ちゃんたちもいなくなっちゃうし…』

『…そうですわね』

 

『お姉ちゃんは?』

『…そうね。分からないですわ、その時になってみないと。今はラブライブ決勝の事しか考えないようにしていますし。ただ────』

 

 

 

「…そんなのは分かってる」

「理亞さん…」

 

「だから頑張ってきた。姉様がいなくても1人でできるって、安心してって。なのに…最後の大会だったのに…!」

 

 

自分のミスで、それを終わらせてしまっタ。

その責任感が、彼女に重くのしかかっていたのだろう。

 

「じゃあ、最後にしなければいいんじゃないかな!?」

 

「…?それってどういう…」

 

 

その瞬間、俺っち達に何処からともなく鉄線が飛びかかって来た。鉄線は足元に刺さるとスパークを散らし火花が俺っち達を襲った。

 

「キャッ!?」

「なに!なんなの!?」

 

「れ、憐くん!これって…」

 

 

「ようやく見つけたぞ、仮面ライダースレイヤー!」

 

「ッ!テメェは…」

 

そこにいたのはコブラ型のロイミュード。

そのナンバーは…065。

 

「か、怪物…!?」

「憐くん…仮面ライダーって…?」

 

 

「…人違いじゃねぇノカ?誰が仮面ライダーだって…」

 

「しらばっくれても無駄だ!既に004から情報は聞いている。それでもなおシラを切るつもりならば…」

 

 

096が変化する。

髑髏顔に老人のような顔つき、腰に差した一本の竹刀のような剣。進化態のジャッジ・ロイミュードだ。

 

「ただの人間を騙る悪として貴様を裁く!」

 

「やっぱり、ロイミュード….!」

 

「それって、確か昔ニュースでやってた機械生命体…!?」

「東京で出てたって聞いたはずなのに、なんで北海道に!?」

 

理亞ちゃんと明日香おねーちゃんも驚いている。そうだよな、俺っち達はともかく2人はロイミュードが蘇ってるってことを知らねーもんナァ…!

 

「行くぞォ!!」

「3人とも、離れてロ!」

 

走り込んできたジャッジの剣による素早い打ち込み。初手の2回は避けられたが、その後の連撃はガードせざるを得なかっタ。

 

「どうした!変身しなければ死ぬぞ!!」

 

そのまま突きが腹に直撃し思わず蹲る。

クッソ…!明日香おねーちゃんには黙ってるって決めたノニ…!

 

「まだ変身を渋るか…であれば、仕方ない」

 

ジャッジの視線が向いた先は…っ!ルビィちゃん達!?

 

「ピギッ…!」

「悪人以外をいたぶるのは主義に反するが…悪く思うな、小娘共!」

 

腕から射出されるワイヤー。

高電圧をまとったソレは、生身の人間が喰らえばひとたまりもなイ…!

 

3人に迫るワイヤー。だが────

 

「2人共!」

 

ルビィちゃんと理亞ちゃんに覆い被さるようにして2人を守る明日香おねーちゃん。

 

 

それを見て、オレの心も決まった。

 

「お前ラ!」

 

シグナルスレイヤーとシフトデッドヒートメテオがそのワイヤーを弾いた。突然の事にジャッジも驚いたようだが、達人をコピーしてただけはある。すぐに体勢を立て直してイタ。

 

 

「…ようやくやる気になったか、仮面ライダー!」

 

「仮面…」

「ライダー…?」

 

3人の前に立ち、ドライバーを構えル。そうだった、だいぶ前にハーさんにも言ったっけ。正体バレがなんダ、それで守りたいもん守れなくなるぐらいなら…失うぐらいなら…

 

そんなもの、クソ喰らえだ。

 

「理亞ちゃん、それに明日香おねーちゃん。

それにルビィちゃんも、安心していいヨ。ここからは…俺っちが守る!」

 

「憐…くん…?」

「あなた、いったい…」

 

「明日香おねーちゃん、見てて。今の俺っちを…俺っちの、変身!」

 

マッハドライバーMk-IIを装着、シグナルランディングパネルを展開し、シグナルスレイヤーを装填。パネルを下ろした。

 

《SignalBike!Rider!》

 

両手は爪を立てるような手つきで、立てた左腕と横にした右腕を交差させ、右手をゆっくりと引く。腰を落としながら体を左に捻って左手は腰に、右手は爪を立て、敵に向けて構える。

 

そして自分を戦士に変える、2文字のフレーズを唱えた。

 

「────変身」

 

漆黒の狼を模した装甲が身を包み、鋭い爪が黒光りする。橙の鋭い複眼が光り、俺っちを1匹のケモノへと変えタ。

 

「憐…くん…?」

「あなた、それは…!」

 

「きた!仮面ライダー!」

 

「ほぅ…」

 

 

「この世の悪党、魑魅魍魎。全てを狩り殺す漆黒の戦士!仮面ライダー…スレイヤー!」

 

悪を闇を、全てを己の黒で塗りつぶす。

仮面ライダー、スレイヤー!

 

「勝負ダ…ジャッジ!」

「いいだろう、かかって来い若造!」

 

互いに爪と剣を構えて駆け出す。

ハーさんがいない今、俺っちが1人でコイツを倒すんだ!

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

「ハァッ!」

「っ!にゃろうッ!」

 

剣による攻撃を左のクローで受け、右で切りつけル。そのクローを上に弾き胴に一発。

 

戦闘開始から少し経った今も俺っちとジャッジの攻防は一進一退の状況だっタ。

 

「答えロ!何故俺っちを狙ってきた!ハーさんって選択肢もあったダロ!」

「知れた事を!あの小僧では俺の力の足しにならん。さっきも言った通り、俺の目的は貴様だ仮面ライダースレイヤー、狩夜憐!」

 

「名前が売れてて嬉しいネェ…ハーさんばっか警戒されんのも腹立つから、ヨォ!!」

 

振り下ろされる剣をクローで弾き、左右の連撃。

ドロップキックで吹っ飛ばす。ジャッジは地面を転がるも、剣を杖にして即座に立ち上がっタ。

 

「んで、なんなのさ。目的が俺っちって」

 

「俺はかつて、とある男の復讐のために人間と手を結んだ。だがあと一歩及ばず仮面ライダーに阻まれた!あの甘い正義を掲げる小僧共に!」

 

再びの激しい打ち込み。先ほどよりも目が慣れたのか、今度はクローでガードして受け切って剣を押し上げて側頭を入れる。

 

「その復讐のためってか!なら俺っちを狙うのは筋違いだと思うけどナァ?」

「いいや、そうでもないさ」

「なに…?」

 

「仮面ライダースレイヤー、狩夜憐。俺は知っているぞ。貴様にもいるのだろう、殺したい程に復讐したい相手が!」

「っ!?」

 

何故、お前がそれを知っている。

思い出したくも無い、自分の中に封印した、そして2度と繰り返すまいと誓った、あの地獄のような記憶の事を…!

 

脳裏に過ぎる、かつての光景。

腕に負った古傷が疼く。

 

「どうだ、仮面ライダー。俺と来ないか?」

「んだと…!」

 

「俺がお前の代わりに…いや、お前に復讐させてやろう。俺とお前が組めば、あの時をも超える最強の復讐者へと進化できるはずだ。どうだ、悪い話では無かろう?」

 

「っ!黙レ!!」

 

突き出したクローがジャッジの胸を抉る。

確かに、奴は憎い…殺したい程に!でも…例えそうだとしても、オレは…俺っちは!

 

「ロイミュードと組むなんて、ゴメンだぜ!!」

 

《ズーット!Slayer!!》

 

シフトアップして加速、ジャッジに急接近すると飛び蹴りをかまして吹っ飛ばし、更に追いついて両手のクローによる連撃。掴んで地面を転がり蹴り飛ばしタ。

 

「っ!まさか、ここまでとは…」

 

「それは…()()が独りで成すべき事だ」

 

《ヒッサツ!Full throttle!Slayer!!》

 

ドライバーのパネルを上げ、イグナイターを単押しして再び下ろす。両手のスレイクローにエネルギーがチャージされる。

 

「ハンティング・エンド!」

 

立ち上がったジャッジに放たれる、エネルギーの斬撃の雨霰。ジャッジのボディーはズタズタに引き裂かれ、爆散した。が────

 

 

「…逃げたか」

 

どうやらあの剣で電撃を放って、エネルギーの斬撃の一部を弾いていたらしい。コアの破裂する音がしなかっタ。

 

「ま、いいや。次仕留めればいいだけのコトだしナ」

 

《オツカーレ!》

 

「…ふぅ」

 

「憐くーん!」

 

シグナルスレイヤーを抜き、変身を解いた。

なんとかハーさん抜きでもやれた事にホッとして小さく息を吐くと、3人が駆け寄ってキタ。

 

「勝ったの!?」

「とりあえずは、カナ。逃げられちった」

 

「あんだけカッコつけておいて、逃げられたんだ」

「ハァ!?助けられといてそれ言うかヨ普通!?」

 

「まあまあ2人ともその辺に。それよりも、憐くん。今のは────」

 

「ごめんね、明日香おねーちゃん。コレが今の俺っち、仮面ライダー」

 

「憐くん…」

 

明日香おねーちゃんの手が俺っちに伸びる。

ハーさんが果南さんにやられたみたいに引っ叩かれるかと思いきや…ぽすん、と頭の上に手が乗せられ、撫でられていタ。

 

「すごいじゃん。本当にヒーローになっちゃってたなんて」

「おねーちゃん…」

 

「そうだよ!憐くんはすっごくすっごく強いんだから!ルビィもお姉ちゃんも何度も助けられたし…!」

 

「ルビィちゃん…あんがとナ」

 

「…まあ、すごいってのは分かった。それは認めてあげる」

「何を偉そーニ…」

 

「でも、みんな無事でよかったね。それでいいじゃない」

「明日香おねーちゃん…」

 

「それよりもルビィちゃん」

 

「へ?…はい!?」

「そんなに驚かなくても…あ、そうそう。あの時、何か理亞ちゃんに言い掛けてたんじゃないかなって思ってさ」

 

 

「…あ、そうだった!忘れてた!理亞ちゃん!」

「…な、なに?」

 

その瞬間、俺っち達の周りがパッと明るくナル。ふと見ればそこには巨大なクリスマスツリーが。

 

 

「…理亞ちゃん、歌いませんか?一緒に曲を…お姉ちゃんに送る曲を作って、この光の中で…もう一度!!」

 

 

 

次回に続く!





久々本編は函館回からのスタート。
隼斗は風邪でくたばってる途中のため、今回は憐が頑張ります!
彼が幼い頃に世話になっていた女性、明日香も加わり彼に関する物語が加速します。

またジャッジが少し触れていた憐の過去については以下のリンクから度近亭心恋さん作の本シリーズスピンオフ作品『仮面ライダーソニック 掌編集』をご覧ください↓
https://syosetu.org/novel/239403/

なお、その憐本人のエピソードがアレなためR-18指定作品となっています。18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。
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