彼女には家族がいた。夫と子供が一人の三人家族。けっして裕福だとは言えないが、幸福ではあった。その日も夫は仕事に向かい、家で子供とすごしていた。奴が来るまでは。
◇
「・・・・柄にもなく」
昔を思い出していたサーヴァントが一騎。アヴェンジャーだ。古びたソファに寝そべっていたら、いつの間にか昔を思い出していたようだ。
「早いところ全て倒して、奴を殺さなくては」
『倒す』のはサーヴァント。では『殺す』のは誰なのか。これを知っているのはアヴェンジャーのみだった。
「ん?・・・・また一つ無くなったか」
アヴェンジャーが見つめる先には割れたビン。そこから点々と続いていく足跡。逃げた『兵器』を壊すのもお前の仕事だ。マスターに言われた言葉を思い出す。
「仕方ない。これも仕事だ」
アヴェンジャーはフードを深くかぶり外へ出た。そして驚愕する。逃げ込んだであろう地帯が跡形もなく消し飛んでいることに。
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「寝てんのか?」
「ええ、寝ているわ。行くなら今のうちだけど」
アーチャーに親の様子を見てきてもらう。バゼットさんが帰ったあとすぐに帰ってきた我が両親。鉢合わせしなかったのか不思議だったが。
しかしこちらも問題があった。アーチャーだ。
『俺の友達のアーチャーだ』なんて言えるわけもなく。結局部屋に押し込んだまま内緒にしてしまった。そして霊体化すればよかったと後から気づいたのだ。
「まあメモは残してるし、家出って訳じゃないんだから」
「そうだけど、やっぱり私も挨拶を」
「いいから、しなくていいから!!」
これから俺達は学校をサボってバゼットさんの家に向かうことになっている。同盟を組むに当たって互いに同じ拠点のほうが色々と便利、という向こうの意見でこうなった。正直お泊まり会みたいで楽しみだ。
「何とかバレずに家を出れたが」
「家の場所分かるの?」
「一応道のりは教えてもらったから大丈夫だ」
道のりが描かれている紙を頼りに家を目指す。しかし問題が発生した。
「ええっとここを曲がって・・・・あれ?行き止まりだ」
「飛び越えたんじゃないの?」
「マジかよ。でも向こうは人の家の敷地内だぞ」
「バレたら面倒ね。迂回しましょ」
と、このように『超人バゼットさん基準』で描かれた地図はあまり役に立たず、結局一時間遅れで到着した。
◇
「おや、やっとつきましたか」
「あんたの基準で地図を書くから遅れたんだよ!」
「まあバゼットはそういうのよくあるからな。我慢しねぇとついてけねぇぞ小僧」
「よく我慢できるわねランサー」
辿り着いた先には立派な洋館。かなり古びた洋館だがそれでも立派なのはかわりない。ここに二人で住んでるのか?
「それじゃあ早速段取りをしましょうか。まず我々の目下の敵はアサシン陣営。それは他も同じでしょう。次にセイバー、アーチャー陣営。ここは強敵ですから細心の注意をはらって。とここまでいって気づいたことは?」
「え?あーーーあとの二つは?」
「つまりライダー、キャスター、バーサーカーのどれかでしょ。どのクラスか分かってるの?」
「ライダーがいるのは違いねぇ。あとは、アーチャーか」
ランサーの発言に目が点になる。何?アーチャーがもう一人?つまりこの聖杯戦争にはアーチャーが三人いるってのか?ははっ、アーチャーのバーゲンセールだ!
「真名はギルガメッシュ。古代メソポタミアの英雄王です。ランサーは昨日戦ったと言っていますが」
「昨日デケェ音したろ。あれ俺だ」
「ギルガメッシュは無数の宝具を所持しているようです。それで森の一部が消し飛んだようで」
アーチャーが三人。俺のアーチャー、遠坂の赤いアーチャー、あとは英雄王ギルガメッシュ。かなりの激戦ですハイ!
「野郎はかなり厄介だぜ。倒すならセイバーの所とも共闘しなきゃ勝てねえ」
「貴方がそこまで言うとはね。無事なのが不思議」
「まあ俺に当てるには武器が少なかったけどな!!」
笑い飛ばすランサーに呆れるバゼットさん。真剣に悩むアーチャーに取り合えずヤバイってことしか分からない俺。うむ、これは不味いでござる。
「まあ、考えても仕方ありません。真琴君、朝御飯食べましたか?」
「いや起きて速効来たから。まだ食べてないけど」
「それじゃあ食べに行きましょうか。勿論年配者であるランサーの奢りで」
「ハハハハッ、ちょっと釣り行ってくらぁ!」
「逃げましたね」
「逃げたな」
「逃げたわね」
◇
朝御飯の牛丼を平らげ少しゆっくりして、
「よし、特訓だ」
特訓を開始する。バゼットさんは仕事があるとの事で自分の部屋に籠っている。よって相手するのはアーチャーになるわけだが。
『ええーそんな殴る蹴るの特訓なんて嫌よ。やるなら木でやりなさい。木で』
なんて言われて仕方なく大きな木を見つける。流石に殴る蹴るで木を倒すのはほぼ無理だから、
(なんかいい特訓の方法ないか?)
《ああ!沖田さんの団子食べましたね!もう許しません!》
《ええ?何あれアンタの?ごめんなさい『沖田団子』かとおもって食べちゃったわ(笑)》
《まあまあ喧嘩は程々に》
《おい、俺のゴールデンプリンどこいった?》
《皆喧嘩・・・・バラバラにしちゃう?》
《やめなさいジャック!それだけはダメ!》
《・・・・ゥゥ・・・・》
(うっわ!誰も聞いてねぇ!!あともう一人増えてる!)
《あ、どうも沖田総司です!気軽に沖田さんでいいですよ!》《そんなことないわよ。ちゃんとフランが聞いてるじゃない。あんたこそちゃんと聞きなさいよマヌケ!》
(同時に喋るな!!あとありがとうフラン!!)
《・・・・ウ・・・ン・♪》
(ってそうじゃない!誰かなんかないの!?)
《それなら『縮地』なんてどうでしょう。沖田さんも隊に入った時は近藤さんにまずさせられましたし》
縮地・・・・頭の中で検索する。縮地あれ?沖縄のテニス部が使うあれ?つまり瞬間移動みたいなもんじゃん。無☆茶☆ブ☆リ☆キタコレー!!
(って無理だろ!!)
《出来ますよ。沖田さん四時間ぐらいで出来ましたよ?》
(流石幕末の天才剣士!でも俺は天才じゃないんだけどなあ!)
《そんな天才だなんて~。褒めても菊一文字しか貸しませんよ~》
手元に現れたのは日本刀。沖田総司の刀か。てか日本刀重っ!
《それで牙突するんですよ》
(縮地しながらか?ほぼ無理だから)
こうして俺の縮地特訓が始まった。大丈夫、中学生が出来るんだもん。俺にだって出来るさ。
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「まさかあそこまで怒られるとは」
ライダーはズキズキする頭を押さえながら海岸沿いを歩いていた。
昨日の夜、遠坂凛と衛宮士郎を襲撃したと言った瞬間、
『このおバカーーーー!!!!』
フライパンで一撃。ライダーは家を追い出された。ライダーにとっては戦う覚悟の出来ていないマスターの代わりに色々とやってやろうと思っての行動だったが、
「裏目に出るとは。やはり何も変わってないな」
生前を思い出す。ダチのためにやっていた行動が裏目に出たことがあるライダーにとって、これはなんともないこと。もっとも家から追い出されたのは初めてだが。
「よう兄ちゃん。頭押さえてどうしたよ」
「・・・・アロハーか」
「ランサーだよ!」
ライダーに声をかけたのはアロハシャツをきたアロハーもといランサー。今日はまだ日が出ているとはいえ、今は2月。半袖のアロハシャツで過ごすにはまだ早いと考えるライダー。
しかしライダーは夏だろうが長袖のライダースーツだった。
「んで、こんなとこで何やってんだよ」
「マスターに家を追い出された」
「ハハハハハハッ!!追い出された!?そいつは傑作だな!」
ライダーにとってみればこの笑いはバカにしているものだと分かる。手に宝具を具現化する。
「まあ待てや。今日は戦う気はねえ。ちょっと釣りの気分でな。どうだ、一手遊んでくかい?」
「・・・・・・・・気分は晴れるか」
そしてここにサーヴァント同士の釣り対決が始まった。しかしランサーは分かってなかった。ここが釣りの名スポットであることに。全ての野郎共が集うことになるとは・・・・ある意味最大の決戦が始まる場所になろうとは。
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(もう一人のアーチャーのマスターは学校に来ていないのか?)
学校を霊体化して散策するアヴェンジャー。マスターの命令でとあるトラップを仕掛けてこいとのことだ。何でも『形のない島の怪物』に関係のあるトラップとのことだが。
(しかしどいつも抜けている。本当に聖杯戦争に参加しているのか?)
セイバーのマスターはずっと寝ている。アーチャーのマスターは猫かぶりで、もう一人のアーチャーのマスターはサボり。唯一ライダーのマスターだけがまともだ。
(しかしこうしてみると、確かに学校に仕掛けるのは正解だな。まさか半分のマスターが高校生とは)
トラップを仕掛け終わり学校を出る。恐らくアーチャー位にはバレるだろうが、見つけることは出来ない。トラップは五日ぐらいかけて竜脈から魔力をすいとりながらゆっくりと起動するらしい。
「ほう、復讐者がいると聞いて来てみれば、本当にただの復讐者とはな」
アヴェンジャーが振り向くとそこには見たことのないサーヴァント。こんな奴は見たことがない。いったい何者なのか。
「ハッ、雑種ごときが我に刃を向けるか。よかろう、ただの人間風情が、我にどこまで食らいつけるか、見せてみるがよい!!」
サーヴァントは空間を歪ませて一本の剣をもつ。あれは宝具なのか。それとも『歪んだ空間』が宝具なのか。しかしアヴェンジャーにとってはどうでもいいこと。奴を殺すための通過点でしかない。
「いくぞ・・・・」
「よかろう、力の差を知るがよい!」
白昼の中、王と復讐者の戦いが始まった。
アヴェンジャーの真名に気づける人はいるかな?この段階で気づいたらスゲーとしか言えないです。
そして真琴が特訓開始。最初は縮地。え?いきなりハードルが高い?大丈夫、もっとめんどくさくなるから。
次回はギルガメッシュVSアヴェンジャー!!