「うわーーまた爆死だよ。またアーチャーいねーよ」
「爆死乙。俺ナイチンゲールあたったぜ?」
「クソッタレめ。やっぱ初めからリセマラしようかな?」
「はあ?ジャンヌオルタもってんのに贅沢言ってんじゃねえよ!セイバーなんてジャンヌとバーサーカーいりゃいいじゃねえか」
「サポートが埋まらないんだよ!誰かさんがクリア報酬のタビデ売却してマナプリにしたから!」
「いいじゃん。そのマナプリで買った呼符でカレスコ当たったんだから」
「もう六枚だよ?もうお腹いっぱいだよ。アーチャーと交換してくれないかな?」
「回転数が全てだ。ほらまだ石あるんだから引こうぜ?俺も引くから」
「くそ……でもアーチャーが当たる希ガス」
「お、虹回転」
「はあ!?どのクラスだよ!」
「アーチャー」
「クソッタレ!!!」
「しかもアルジュナ。これでカルナと並べられる」
「ふん。いいし、ギルガメッシュ当たるし」
「いやギルガメッシュ限定鯖だし。お、金回転じゃん」
「アーチャーアーチャーアーチャーアーチャーアーチャー」
「キャスターだな」
「……まあエレナじゃなかったらいいか……誰これ?」
「ナーサリー・ライムだな」
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「………ん、あれ?」
寒い風で目を覚ます。周りには蟲の死骸だらけ。俺の体も返り血でベタベタしている。
「今の夢は……また前世の夢だったりして」
痛む体を起こし辺りを見渡す。何処も蟲、蟲、蟲だらけ。幸いにもここらは家もないし人通りも滅多にない。誰かに見られたこともないだろう。
「目が覚めたのねマスター」
「アーチャー。どれくらい寝てた?」
「ほんのちょっと、十分ぐらいかな」
「そうか。さてみんなの所に行かなきゃな。場所わかるか?」
「衛宮士郎とセイバー、アーチャーが固有結界の中に入っていったわ。あとは新都で蟲のボスと戦ってる。今はバゼットとギルガメッシュ、アサシンで戦ってる」
アーチャーの奴、生きていたのか。それにバゼットさんが戦ってる。無茶しやがって。
「衛宮は大丈夫だろ。新都に行くぞ」
「分かったわマスター」
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蟲は沸き続ける。臓硯の体から無数に。
「せりゃあ!」
ジャケットを脱ぎ捨ていよいよ本気になってきたバゼット。臓硯に拳を叩き込むも、叩き込む度に蟲が這い出てくる。まさに臓硯を叩けば蟲が一匹である。
「阿呆が!その肉塊を叩いても蟲が湧き出るだけだと何故わからぬ!」
「私にはこれしか出来ないので」
「不器用もここまできたら清々しいね」
這い出てきた蟲を切り捨てるギルガメッシュとアサシン。状況は変わらず、相変わらず不利である。
それに問題は無数に這い出てくる蟲だけではなかった。
「チッ、また重なったか。有象無象が積み重なったところで!!」
「AAAAAA__________aaAAAA______!!」
およそ3メートル。かのダレイオス三世に匹敵する巨体。蟲が文字通り重なり合い同化したのだ。これで5度目。またしてもギルガメッシュとアサシンの前に立ちはだかる。
「アサシン!」
「なるほど剣を使えと。英雄王、一本借りてもいいかな?」
「暗殺者に貸す宝物などない、と言いたいところだが今回は特別だ。壊すなよ」
イリヤの魔術で剣の力を得た『セイバーアサシン』。ギルガメッシュから魔剣グラムを借り蟲を切り捨てる。その剣技はかつて共に戦った
「ほう……貴様なら軍神の剣の方が良かったか?」
「僕は暗殺者だよ?それこそ殺しやすい武器を好む。正直剣は使いにくいな」
「ならば返せ」
立場から見れば『狙う者』と『狙われる者』だ。しかし暗殺者さえも自分のペースに引き込む。これがカリスマの力か。
「(これでは拉致があかない。いっそ奴を燃やしてしまうか)だああっ!!」
臓硯の頭に踵落としを炸裂させる。メリメリと食い込んで行く。普通の人間なら即死だ。しかし相手は化け物と化している。この程度では死なない。だからこそ更に叩き込む。
「燃えろ!!」
炎のルーンを何度も臓硯に刻みつける。流石に炎には勝てないのかもがき苦しんでいる。何はともあれこれで終わりだ。
「失せろ雑種!!」
ギルガメッシュの宝物が蟲に風穴を開けていく。そのまま灰となり消え失せた。あとは臓硯の後処理だけだ。
「バゼット、後ろよ!」
「なに!?」
臓硯の右手がバゼットの体に突き刺さる。溢れ出る鮮血。更に臓硯は弄ぶようにバゼットの体の中で指を動かす。その度にバゼットはもがき、血を吐き、目が虚ろになっていく。
「ぐっ、あああああっ!」
「ふむ、お主の泥、少ししか取れなんだわ」
バゼットから手を引き抜く。意識を失ったのかバゼットはその場に倒れる。臓硯の右手には黒いドロドロした物。ギルガメッシュにはそれが何なのか一瞬で理解できた。
「聖杯の泥。雑種め、それで何をする」
バゼットの前に立ちはだかるギルガメッシュ。それを見て臓硯は悪趣味な笑みを浮かべる。言峰よりも気味の悪い笑み。ギルガメッシュはここまで吐き気のする笑みを見たことなかった。
「随分と変わったのぉ英雄王よ。前の慢心王の姿は何処へやら」
「慢心を捨てたのはこの現世に住み続けた結果だ。彼女と出会ったおかげだ。我は彼女と結婚するために慢心を捨てたのだ!」
(彼女って誰なのかしら……セイバー?バゼット?それとも私?いや桜の可能性も)
「アイドルに現を抜かすとはの。王も落ちたものよ」
「虹架ちゃんを愚弄するか雑種!!」
(全く知らない人だったーー!!)
「まあそれだけではないがな。奴と決着をつけるためだ」
ギルガメッシュは宝物庫から乖離剣を引き抜く。既に回転を始めている乖離剣。その出力は河川敷でセイバーと共に放った比ではなかった。
「ともあれここで消えてもらうぞ蟲ケラ。貴様がいては我の邪魔だ」
「じゃが……一足遅かったのお」
臓硯は聖杯の欠片と聖杯の泥を自身の体に食い込ませる。そしてそのまま体に喰われていく。
「欠片には既に4騎のサーヴァントの霊基が詰まっておる。ようやく儂の悲願が」
「4騎だと?やられたサーヴァントはアヴェンジャーとライダーだけの筈だ!」
「儂がそこまでボケたと思うてか?既に10年前に湖の騎士を贄にしておるわ」
「それでも3騎だ。やはりボケておるな老害。我があの世に送ってやろう」
「ボケはお主じゃ英雄王。既にセイバーはやられておろう。あのセイバーはムーンセルで呼び出したにすぎん。いわばムーンセルのサーヴァントじゃ。じゃが儂はあの時にやられたセイバーの魂を欠片に詰めておる。ほれ、これで4騎じゃ」
「そうか。解説ご苦労、消え失せよ雑種!!」
乖離剣から暴風が吹き荒れる。文字通りの全てを飲み込む原初の地獄は臓硯を飲み込んだ。しかしギルガメッシュの表情に余裕はなかった。
そう、手応えがなかったのだ。まるで無に地獄を放っただけ。ただの無意味な行動。
「残念じゃな。これで儂の悲願は達成……され……」
「何処に行った!?」
臓硯の姿はなかった。悲願は達成された。そう言葉を残して。
◇
地獄の釜に人影一つ。
「ふふっ臓硯よ、大義であった」
黒い礼装を見に纏い、女は姿を現した。
「役目は終えた。果たし得なかった理想を夢見ながら逝くがいい」
暗い洞窟でその瞳はある一点を見ていた。方向から見て新都。
「しかし我の姿を見るのが長年の夢だったとは。愚かなのかそうでないのか。だが英霊4騎では足りぬなぁ。劣化しているのもあれば、欠けているものもある。光に包まれたものもあれば、復讐の塊もある」
足取りは外へと向かっている。
「まあよい。我を目覚めさせた褒美で体の芯まで吸い尽くした。ゾォルケンもさぞ嬉しかろう」
そしてその姿が外へ出る。
「さあ、捧げよその魂、その命を!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ギルガメッシュ!」
「我の名を叫ぶは……アーチャーのマスターか」
「終わったのか?」
「戯け、ここからだ」
途端、禍々しい魔力がこちらに迫ってくる。いやもう来ている。真上から感じる魔力。手足の震えが止まらない。上を見上げると、
「姿を現したか」
「何なんだよアレ」
「この魔力量……サーヴァントを優に超えてる」
「ユスティーツァ・リビライヒ……」
「まさかこんなところで、あんな化け物と出会うとはね」
「ユスティーツァ!?それってイリヤのご先祖様!?」
「……愚かな末裔よ。なんなのだその姿は」
「ああ……これは…その……えへへ」
イリヤが照れている。それにイラついたのか無言のままユスティーツァは右手をかざす。掌には既に魔力の塊が造られている。
「もしかしてビッグバンアタック!?……もうダメだぁ、おしまいだぁ」
「ふざけないでマスター!ふざけたい気持ちは分かるけど!」
「それほどデタラメというわけだ!!」
ユスティーツァのビッグバンアタックとギルガメッシュの
「マスターお願い!ありす、アリスを。不思議の国のアリスをイメージして!!」
「はあ!?あ、アリス?アリス、アリス、アリス」
突然のアーチャーの頼み。妙な迫力があって断れなかった。
不思議の国のアリス………アリス………ありす………キャスター……キャスター?………いや確か真名が………
『誰これ?』
『ナーサリー・ライム。extraに出てくる『ありす』のサーヴァントだよ』
「ナーサリー……ライム」
その名を呟いた瞬間、アーチャーが光に包まれる。そしてユスティーツァのビッグバンアタックを押し返した。いや正確にはアーチャーの呼び出した数人が押し返した。全員がアーチャーに注目している。それもそうだ。
黒いゴスロリ。銀色の髪。手に持った
「アーチャー……なんだよな」
「ええ、私はアーチャーよ。真名はナーサリー・ライム」
「貴様、我の一撃をものともせぬとは」
「当たり前でしょ。私のトランプ兵は最強なんだから。私と貴女では差があるのよオバサマ」
挑発するように指を指すアーチャー。これなら、
「勝てるかアーチャー!」
「え、無理よ」
「はあ?」
恐らくアーチャーを除いた人の気持ちが一つになった瞬間だった。
アーチャーの真名は『ナーサリー・ライム』でした。では何故アーチャーなのか。何故アリスではなかったのか。それは次回で。