機動戦士ガンダムSEED DESTINY ~THE GUN OF DIS~   作:バイル77

2 / 3
第一話 「再会、αナンバーズ」

すでにユニウスセブンは落下阻止限界点を超えてしまっている――ザフトはMSを使ったメテオブレイカーでの粉砕作戦を実行していたが手遅れの状態となってしまった。

実行部隊である【ジュール隊】はすでに大気圏に突入しつつあるユニウスセブンから退避している。

 

 

「くそ、このままでは地球が…!」

 

 

損傷した1機のMS――ザフトでは【ザク】と呼称されるMSが大気圏に突入しつつある死地に残り、メテオブレイカーを起動させている。

ザクのパイロットは【アレックス・ディノ】――この名は偽名であり、正体は前大戦の英雄でありザラの子――【アスラン・ザラ】

本人は英雄などと思ってはいないことは余談だが。

 

 

『アンタ、何してるんだよっ! 損傷してるし、ミネルバに帰還命令が出てるはずだろっ!』

 

 

トリコロールカラーのMS――GタイプのMSがザクに接触回線で呼びかける。

GタイプのMS――【インパルス】に搭乗しているパイロットの名は【シン・アスカ】――新兵ではあるが優秀なMSパイロットである。

 

 

『少しでもメテオブレイカーを起動させる! 後は俺がやるから君は戻れっ!』

 

『あの人達だって離れてるのに…アナタはなんで残ってるんだよっ!』

 

『これは俺がやらなきゃいけないんだ、だからっ!』

 

『…なら、俺もやりますよ、2機の方がさっさと起動できるっ!』

 

 

インパルスが少し離れた地点に放置されていたメテオブレイカーを起動に入る――その様子をザクのコックピットからアスランは眺め、驚愕しつつも笑みを浮かべた。

 

 

『死ぬかもしれないんだぞ?』

 

『死ぬつもりはないですね、俺は…アナタの方は起動終わったんですか?』

 

『ああ、終わった、残りを起動させるぞっ!』

 

『分かってますってっ!』

 

 

2機が迅速にメテオブレイカーを起動させる――ユニウスセブンの大地に打ち込まれたメテオブレイカーのおかげで大地は砕かれていく。

しかし起動させたメテオブレイカーの4割が大気圏への突入による振動と摩擦熱で起動を停止――本来ならば大気圏で燃え尽きるレベルまで砕けるはずであったが、燃え尽きない大きさの破片がいくつも残っている。

 

 

「くそっ、まだ大きい破片がいくつも有るってのにっ!」

 

『シンッ、ミネルバに帰還しなさい、大気圏に突入しつつタンホイザーで破片を狙撃します!』

 

 

インパルスのモニターに母艦の艦長【タリア・グラディス】の顔が映る。

 

 

『りょっ、了解っ!』

 

 

インパルスが現在装備している【フォースシルエット】ならば地球の重力を振り切ってミネルバに辿り着くことも可能だ。

しかし――

 

 

「あの人はっ!?」

 

 

インパルスのセンサーでザクを探す――ユニウスセブンから離れた場所にザクの姿を見つける。

だがザクは損傷した機体で大気圏突入の体勢を取っていた。

 

 

「…くっ、見捨てることなんてっ!」

 

 

スラスターを全開に噴かせ、インパルスがザクの元に翔ける。

 

 

――――――――――――――――

同時刻――

 

 

「…間に合ったか」

 

 

死神の様な機体――【ディス・アストラナガン】が大気圏に突入しつつ、ユニウスセブンを自機の武装の射程内に捕らえる。

アストラナガンの装甲は【ズフィルード・クリスタル】と言う自律・自覚型金属細胞――レアメタルで構成されている。

この装甲材には【自己進化】・【自己増殖】・【自己再生】の機能があり、なおかつ並の熱や衝撃にも通さない破格の装甲にもなっている。

その為、ディス・アストラナガンにとって大気圏突入など負担にすらならないのだ。

 

 

「【ディス・レヴ】の出力が通常より上がっている…ユニウスセブンに残っている死霊の為か…」

 

 

ディス・アストラナガンには【ディス・レヴ】という悪霊や怨霊、死霊などの集合体【負の無限力】を吸収し、その力を糧とする動力機関が搭載されている。

その為、ユニウスセブンに暮らしていた人々の霊を吸収し、出力が大きく上がっているのだ。

正確には吸収した死霊や怨霊は、ディス・レヴに吸収された後に本来の輪廻転生の流れに戻され、その際に発生する無限の力を引き出しているのだが。

 

 

「これならば…ん、戦艦か」

 

 

クォヴレーがモニターに映る【ミネルバ】を捕らえる――おそらくミネルバ側でもこちらを捉えている筈だ。

どうやら艦首に存在する砲塔でユニウスセブンを狙撃するつもりらしい――だが威力が足りないだろう。

 

すぐさま【国際救難チャンネル】を開く――かつての世界と同じならばこれでつながる筈。

 

 

『こちら、ザフト軍所属ミネルバオペレーター、メイリン・ホークです、現在本艦は地球へ落下しているユニウスセブン破砕の任務を帯びています、そちらの通信には答えられません』

 

 

繋がった事を確認し、すぐさま口を開く。

 

 

『そちらの戦艦の主砲では威力が足りないはずだ、ここは俺に任せてくれ』

 

『えっ、ちょっ、どういう…!?』

 

 

予想外のクォヴレーの返答にオペレーターであるメイリンがうろたえるがそれは無視する。

 

 

「いくぞ、アストラナガン」

 

 

アストラナガンの両肩から砲塔が出現し、目標を捉える。

展開された砲塔に光の粒子と宇宙に漂うダークマターの構成物【アキシオン】が収束――奔流となって発射される。

 

 

「メス・アッシャー、マキシマム・シュートッ!」

 

 

【meth】とは死を意味するヘブライ語であり、まさに死神であるディス・アストラナガンに相応しい名であろう。

 

 

発射された奔流が質量弾となったユニウスセブンの破片に直撃――破片を薙ぎ払い、照射が終わる頃には塵一つ残ってはいなかった。

本来ならばここまでの威力は【メス・アッシャー】には存在していない、【ディス・レヴ】の出力が上がっているからこそできた芸当だ。

クォヴレーからしてもアストラナガンに搭載されている【最強兵器】を使う必要がないことには安堵していた――その兵器は危険すぎる代物であるからだ。

 

 

『嘘、ユニウスセブンの破片が…』

 

 

繋がったままであった通信からメイリンの声が漏れる。

ミネルバの陽電子砲【タンホイザー】でも完全破壊は不可能だと計算されていたのに、MSとそう変わらない大きさの人型機動兵器の一撃で完全に消滅してしまった有様を見ればこの反応も頷けるだろう。

 

直後、アストラナガンのセンサーは大気圏に突入しているMS2機の反応を捉えた。

 

 

『損傷しているMSか…こちらでMSを救助しよう』

 

『えっ、あっ、はい…よろしくお願いします』

 

 

茫然自失に近い状態となっていたメイリンは咄嗟にそう答えてしまった。

それに少し笑みを浮かべて、クォヴレーは通信を切る。

 

そして大気圏突入を行っているMSにアストラナガンを向かわせる。

 

 

――――――――――――――――

 

大気圏突入の体勢を取っていたザクは何とか大気圏突入を終えることができた。

カタログスペック上は可能であるが、これを実践したパイロットの技量は突出したものであろう。

 

だが次の悲劇が待っていた――ザクは大気圏内での飛行は行えないのだ。

加えて大気圏突入により機体の各所は損傷している、このままでは大地に激突することは間違いない。

 

インパルスも同じく大気圏を突破――こちらは機体に採用されている【VPS装甲】により、目立った損傷はなく大気圏突入を完遂していた。

そして、すぐさまザクに機体を近寄らせ、機体を支える体勢を取る。

 

 

『くっ、君まで落下するぞ!』

 

『アンタは死なせない、それに俺もこんな所で死んでたまるもんかぁっ!』

 

 

フォースシルエットのスラスターから得られる莫大な推力でインパルス単機でならば充分飛行が可能であるが、現在はザクの重量と突入による加速がプラスされている状況だ。

減速には成功しているが、推力が足りずこのままでは2機とも大地に叩きつけられてしまう。

 

 

だがそこに突如として国際救難チャンネルで通信が繋がる。

 

 

『そこのガンダム、聞こえるか』

 

 

インパルスのコックピット内で通信元をモニターで捉える――まるで死神の様なMS(少なくともシンの常識ではMS)だ。

 

 

『あっ、アンタは…!?』

 

『俺のことはどうでもいい、そちらのMSとあわせて母艦まで連れて行こう』

 

 

インパルスとザクにアストラナガンのマニピュレータが伸び、支えられる形となる。

そして先程までの加速して落下していた状態が嘘の様に、機体の落下が停止した。

 

 

(なっ、なんて出力だよ、こいつっ!?)

 

『君は…?』

 

 

不思議とアスランは通信元のパイロットを知っているかの様な気分になっていた。

聞いたこともない声はずなのに――

 

 

『…母艦を捕捉した』

 

 

アストラナガンのコックピットでクォヴレーはかつての仲間である【アスラン・ザラ】と、平行同位体であるこの世界のアスランの声を聞き、複雑な感情に囚われていた。

だが今は自身の感情よりは2機の安全を確保するほうが先決である――感情を押し殺し、捕捉したミネルバに向かいスラスターを噴かせる。

 

 

――――――――――――――――

戦艦ミネルバ 甲板

 

 

「…さてどうしたものか」

 

 

アストラナガンのコックピットでクォヴレーが一人愚痴る。

インパルスとザクを無事、海上に着水したミネルバまで送り届けた彼であったが当然発艦許可など下りるわけがなかった。

 

アストラナガンのモニターを見る――機体の足元には整備士や衛兵が大勢集まっている。

自身の事情を話そうも、狂人の言葉として受け入れられないだろう。

加えて、アストラナガンについてデータを取られる可能性もある――この世界のMSと比べてアストラナガンの性能は文字通り次元が異なる領域のものだ。

再現は不可能だろうが、取られたデータから歪な技術進歩が起こる可能性もある。

 

その為、クォヴレーが退避勧告を発しようとした瞬間だった――かつて使っていた【αナンバーズ専用の部隊間周波数】に通信が繋がったのだ。

 

 

『その機体はクォヴレーよねっ!? クォヴレーなのよねっ!?』

 

 

凛としつつもまだあどけなさが残る少女の声――自身を人間にしてくれた少女の声がクォヴレーの耳に届いた。

その少女の名は――

 

 

『まさか…ゼオラ…なのか?』

 

 

かつての戦友でありもっとも大切な友――【ゼオラ・シュバイツァー】であった。

 

 




死霊を吸収したメス・アッシャーならコロニーくらい余裕かなと…一応砕けてますし。

ゼオラ登場、彼女ともう1人がいなければクォヴレーはずっとアイン・バルシェムだったはず。


次回予告

地球に降下したミネルバでかつての仲間と再会を果たしたクォヴレー。
何故彼女がこの世界にいるのか――そして彼はガンダム伝説の体現者あり最強のMSパイロットとも再会する。

「仲間と共に」

彼等が何故この世界にいるのか――それを知る必要がある。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。