リリカルの大冒険   作:銀の鈴

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すいません。今回は大魔王の出番はありません。
あと、石は拾わないで下さいね。


13話「時空管理局の聖女」

私が助けた男の子は、クロノ・ハラオウンと名乗った。

 

全身の火傷に、何やら怪しげな魔法を掛けられたらしく、呪文を唱えられず、身動きも殆ど取れない状態に陥っていた。

 

喋るのも辛そうだったので、名前以外は殆ど聞けていないが、心根の優しい男の子だということは直ぐに分かった。

 

彼は殆ど動けないから、身の回りのお世話を全部してあげたら凄く恐縮をしてしまい、最後には“責任は取ります”と言いだしてしまった。

 

きっと、下の世話やお風呂に入れてあげた時に、彼が起こしてしまった男の子特有の生理現象の所為だろう。

 

最初は見て見ぬ振りをしていたけど、クロノ君は動けないせいで自分で処理が出来なく、辛そうだったから、ついお手伝い(・・・・)をしてあげた。

 

うふふ、その時の彼の反応は可愛かったとだけ言っておこう。

 

そんな時間を過ごしている時に、救援信号が飛び込んできた。

 

こんな管理外世界の中でも、辺境に位置する場所での救援信号に驚いたけれど、無視をする訳にもいかない。

 

私は急ぎ、救援信号の場所へと向かった。

 

 

 

 

まさか時空管理局が誇る、時空航行部隊に所属する次元空間航行艦船『アースラ』が難破しているとは思わなかった。

 

何でも「第九十七管理外世界」 つまり、私がジュエルシードを狙って活動していた地球に派遣されたが、到着後直ぐに原因不明の大爆発が起こり、訓練を積んだはずの隊員達も大半が恐慌状態に陥ったそうだ。

 

正気を保っていた艦長以下の少数は、何とか現状を復帰しようと頑張っていたが、恐慌状態の隊員達はいつまで経っても正気に戻らず、暴れ続けていた。

 

不思議と恐慌状態に陥った者同士は争わずに、正気の者を狙うという不可思議な状態だったという。

 

そして、その正気の少数の者達の中に問題があった。

 

正規の隊員ではない研修生達がいたのだ。

 

幸いな事に、事故当時の研修生達は『アースラ』内の見学中で、特に魔導防壁が厳重な重要施設内にいたため、恐慌状態の隊員達から襲われることはなかった。

 

だけど、その研修生達はミッドチルドでも上流階級に所属する者達の子弟だった。

 

時空管理局の高官は勿論として、有力な管理世界の元首レベル、政・経済界の大物達、そんな子弟達が危険に晒されている。

 

時空管理局も恐慌状態に陥った。

 

現場の艦長達が命懸けで研修生達を守っている間、時空管理局では責任の押し付け合いで時間を無駄にしていたらしい。

 

そして、研修生の中に孫を持つ、時空管理局の高官が異変に気付き、研修生達を『アースラ』に見学させた責任者であり、今回の事件を必死に隠蔽しようとしていた者を文字通りにぶっ飛ばして、事態の収拾を命じた。

 

すぐさま『アースラ』の艦長は、禁止されていた救難信号を発信した。

 

そこに駆けつけた私は、艦長の要請を受けて、恐慌状態の隊員達を一人残らず叩きのめして拘束した。

 

あの恩人である彼女に身体を治してもらったお陰で、最盛期の力を取り戻していた私でもギリギリの戦いだった。

 

何度も挫けそうになったが、まだ年若い研修生達を守る為に、そしてその研修生達の力も借りながらも何とか勝つ事が出来た。

 

全てが終わった時になって、やっと時空管理局の応援が到着した。

 

遅すぎる応援に憤る研修生達だったが、それまでの戦いを通じ、年齢を超えた友情を育んていた私の取りなしを受けて、その怒りを収めてくれた。

 

その事は艦長に随分と感謝されたが、私としては今回のことを大事にして、自分の正体が明るみに出る事が嫌だったに過ぎない。

 

しかし、私の正体はアッサリとバレてしまった。

 

私は法を犯した研究をしていたため、捕まることを覚悟したが、事態は私の思わぬ方向へと進展していった。

 

研修生達が強烈に私の弁護をしてくれたのだ。

 

私がそのような事に手を染めるには、必ず理由がある筈だと言って、なんとアリシアが犠牲になったあの忌まわしい事故にまで遡り、再捜査が徹底的に行われた。

 

その結果、私の名誉は回復され、あの事件に関わった者達は全て法の裁きを受ける事になった。

 

私の禁忌の研究も情状酌量されて、無罪となった。

 

全ての事が怒涛の勢いで流れていき、私が気付いた時には、“悲劇に翻弄されながらも正しき心を忘れずに若き命を救った時空管理局の聖女”などと祭り上げられていた。

 

そう、時空管理局の聖女だ。いつの間にか私は時空管理局の名誉提督とかいう訳の分からない役職に付いていた。

 

まったく、時空管理局の保身というのは相変わらずのようだ。事件を解決したのはあくまでも時空管理局にしたいらしい。

 

私はクロノ君の世話をしながら呆然とそんな事態を受け入れるしかなかった。

 

ちなみにクロノ君は『アースラ』の艦長の息子だった。

その為、クロノ君の随分と歳の離れたプロポーズも現実味を帯びてしまっていた。

 

艦長――リンディには何故か応援されている。

 

「歳の差なんか気にする必要はないわ!」

 

彼女としては若いだけが取り柄の、いけ好かない女に息子を取られるより、私と結婚して欲しいそうだ。

 

それにしても、アリシアとフェイトの事を随分と放ってしまっている。

 

もう少し、状況が落ち着いたら地球に行かなくてはいけないだろう。

 

そういえばジュエルシードはどうなったのだろう?

 

私は心配になるが、クロノ君が甘えてくるから応えてあげなくてはいけない。

 

ああ、いけない母親を許してね。

 

心の中で、アリシアとフェイトに謝りながら、私はクロノ君とイチャイチャするのだった。

 

 

 




いや、止めてっ!
石は投げないで!!
こういうノリのお話だから仕方ないの!!
次回っ!!
第14話「蒸発っ!?フェイトちゃんのお母さんを探せっ!!」
乞うご期待!!
石は捨てようね!!
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