ティガライブ!サンシャイン‼︎   作:にわかラブライバーレベル10億

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みなさん、長らくお待たせ致しました(^ ^)

そしてこんなに更新しなくて申し訳ありません(−_−;)


今回は戦闘描写ありませんが、一応この作品の舞台の地球に、現時点で集まっているウルトラマン達が変身前の姿で勢揃いします。


そして皆様が気になっているであろう今作のもう1人の主人公となる、ネクサスと一体化したデュナミストも最後の方でチラッと登場します(^ ^)

あと、後半グダッていますが、そこはご了承ください(−_−;)

それでは、本編スタート!!!





第7話 転校生をつかまえろ‼︎

前回のティガライブ!サンシャイン‼︎

春にスクールアイドルμ'sを知った千歌ちゃんは、自分の学校にスクールアイドル部を決意した。

 

「受け取れませんわ」

 

その時、千歌ちゃんは東京からピアノをやってるという女の子と出会い、スクールアイドルへの想いを話す。

 

「離して!」

 

「私も仲間と一緒に頑張ってみたい」

 

スクールアイドルを始めるため、作曲をできる人を探していた千歌ちゃん。海で出会った女の子、梨子ちゃんが転校してきた。

 

「奇跡だよ!」

 

さらにそんな私たちの日常に火山怪鳥バードンが襲来。一度はティガが撃退したんだけど、予想より早く戻ってきたの。

 

「キュオォォォン‼︎」

 

「チャァッ‼︎」

 

ティガもダメージが残っている状態で戦ったんだけど、絶体絶命のピンチに。そこに現れたのは、なんと銀色の巨人、ウルトラマンネクサスだった。

 

「シェアッ‼︎」

 

ティガとネクサスは協力してバードンを倒し、再び平和が戻ったんだ。

あ、私は渡辺曜だよ。よろしくね、ヨーソロー‼︎

 

梨子side

これはまだ桜内梨子が東京にいた頃のお話である。この日はピアノコンクール。その出場メンバーの中に彼女の名前があった。

 

「音ノ木坂学院高校1年、桜内梨子さん。曲は『海に還るもの』」

 

会場アナウンスから名前を呼ばれ、ステージのピアノに向かう梨子。見に来ていた客はたちまち拍手を送っていた。

しかし、いざピアノを弾こうとすると、指が震え出し、そのままプレッシャーに飲み込まれてしまった。会場にはざわめきが起こった。

そして現在。かつてと同じように梨子はピアノを弾こうとした。だが、先ほどのことがトラウマとなり、スランプに陥っていた彼女は弾くことができない。彼女はベランダに向かうと、手前の家の窓を見ていた。

 

梨子side out

 

 

OP:青空Jumping Heart

 

 

第7話 転校生をつかまえろ‼︎

 

 

「ごめんなさい」

 

「だからね、スクールアイドルっていうのは・・・」

 

今日、浦ノ星女学院にやってきた桜内梨子は第一声で、断った。その相手は高海千歌、とそれに付き合っている彼女の親友渡辺曜である。曜の方は、苦笑いしており、千歌は食い下がることなく、梨子にスクールアイドルについて教えようとしていた。まあそんな彼女をスルーしていったのも、梨子であった。

 

「ごめんなさい」

 

「学校を救ったりして、すごく素敵で〜!」

 

場面が変わり、食堂。またもや梨子の前に現れ、スクールアイドルについて教授していた。梨子は飲んでいたお汁粉の缶をやや強めに

テーブルに叩きつけ、無言で立ち去っていった。千歌は再び、ガックリとうなだれるとであった。

 

「どうしても作曲出来る人が必要で〜!」

 

「ごめんなさ〜い‼︎」

 

「あだっ⁉︎」

 

体育の時間では、ランニング中に梨子を勧誘する千歌。梨子も謝りながら逃げていき、それを追いかけようとしてその場で派手に転んでしまう千歌。その様子を見守っていた友人たちにすら、呆れられる始末であった。

 

「まただめだったの?」

 

「うん!でもあと1歩、あと一押しって感じかな」

 

「本当かな〜?」

 

場面が変わり、休み時間。中庭にてステップの練習する千歌と曜。どうやらまた失敗してきた千歌に曜が問うが、なぜか自信満々な千歌にジト目を、冷や汗を流しながら視線が送る曜だった。

 

「だって最初は・・・」

 

「ごめんなさい!」

 

本当に申し訳なさそうな笑顔で謝る梨子。

 

「だったのが、最近では」

 

「うぅ・・・、ごめんなさい・・・」

 

「になってきたし‼︎」

 

本当に嫌そうな感じで謝る梨子。どうみてもいやがってるので、勧誘失敗していく未来した見えないのだが。

 

「いやがってるようにしか思えないんだけど」

 

「大丈夫!いざとなったら、ほい!なんとかするし!」

 

「それはあんまり考えない方がいいかもしれない」

 

さらに千歌は、前回出てきた音楽の教科書をどこからか取り出し、またもや自分が勉強して作曲するつもりらしい。この子は学習能力という物がないのだろうか?

 

「それより、曜ちゃんの方は?」

 

「あぁ、描いてきたよ!」

 

千歌が曜に尋ねると、2人は教室に戻り、ある絵を見ていた。それは曜が描いてきたスクールアイドルの衣装の絵だった。絵はいいのだが、描かれているものはちょっと独特だった。車掌、婦警さん、サバゲースタイル(しかもライフル装備付き)の三連星というコンボだった。実は曜は制服が趣味なのだが、にしてもこれは衣装向きではない。特に最後のは。

 

「もうちょっとスクールアイドルっぽいのないの?」

 

「じゃあこれかな?」

 

千歌に言われて開いたページには、いかにもアイドルという可愛らしい衣装の絵が描かれていた。これがあるなら最初からそれ見せればいいのに。

 

「うるさいよ、ナレーションの人」

 

「どしたの、曜ちゃん?」

 

「ううんなんでもない」

 

「ならいいけど。ところでこれ本当に作れるの?」

 

「もちろん。なんとかなる!」

 

「本当⁉︎よ〜し、くじけてる訳にはいかない‼︎」

 

この絵の通りに衣装を作れるとは何気にこの子すごいスキルの持ち主である。親友の心強い言葉を受け、何か決意した千歌はある所へ向かった。

 

「お断りしますわ!」

 

「こっちも⁉︎」

 

「やっぱり・・・」

 

生徒会室だった。この子は思いつくとすぐ行動するのはいいのだが、何故こうも無謀なのだろうか?明らかに今行っても断られるのは分かっているだろうに。

 

「5人必要だと言ったはずです。それ以前に作曲はどうなったのです?」

 

「それは〜、多分、いずれ、きっと、可能性は無限大!」

 

生徒会長であるダイヤに問われ、しどろもどろに答える千歌。そういえば、このスクールアイドル部(仮)は何1つ条件満たしていないんだった。しかし、この空気がこの後のセリフで急変するのだった。

 

「でも最初は3人しかいなくて、大変だったんですよね?''ユーズ''も。知りませんか?第2回ラブライブ優勝、音ノ木坂学院スクールアイドル''ユーズ''」

 

それはかつてこの世界で伝説となりつつある2大スクールアイドルの片割れの名前をあろうことか間違えたのである。まあ普通ならスルーするところなのだが、ダイヤは明らかに雰囲気が豹変していた。千歌は全く気付いていなかったが、隣にいた曜は完全に気付いており、なんとか千歌を抑えようとした。

 

「それはもしかして、''μ's''のことを言ってるのではありませんですわよね?」

 

「もしかしてあれ、''ミューズ''って読む・・・」

 

「お黙らっしゃ〜〜い!!!」

 

という叫び声と共に鳥が飛んで行った。時は流れ、放課後、校門前でバスを待つ千歌と曜。

 

「だって〜。前途多難すぎるよ〜」

 

「じゃあ〜、止める?」

 

「止めない!」

 

「でも具体的にこれからどうするの?」

 

「そこなんだよね〜。ダイ君、ダイヤさんと知り合いなら何かいい手段ないの?」

 

「なんでそこで僕なの?」

 

落ち込む千歌に曜はいつものように鼓舞する。曜いわく、千歌ちゃんがやる気の時はこの言葉が1番効くらしい。そして何故ここに今までいなかったはずの大吾がいるのか?一度ここは先ほどの生徒会室のところまで時間をさかのぼって見てみよう。

 

「言うに事欠いて、名前を間違えるですって⁉︎ああん‼︎⁉︎」

 

何故かμ'sの名前を千歌に間違われて、少しご立腹なダイヤ。千歌はどんどん近づいてくるダイヤに困惑し、曜はどうしようか、と考えながら困惑していた。

 

「μ'sはスクールアイドル達にとって、伝説、聖域、聖天、宇宙にも等しき生命の源ですわよ⁉︎その名前を間違えるとは。片腹痛いですわ」

 

「ち、近くないですか?」

 

そして場面は再び放課後。千歌は知り合いを見つけたらしく、元気よく話しかけるのだった。

 

「あ!花丸ちゃんだ!おーい‼︎」

 

「こんにちは」

 

「はぁ〜〜。やっぱり可愛い〜・・・、ん?ルビィちゃんもいる〜‼︎」

 

「ピィ⁉︎」

 

それは入学式の時にスカウトしたことがキッカケで知り合った花丸とルビィの2人だった。

 

「ふん。その浅い知識だと、たまたま見つけたから軽い気持ちでマネをしてみようと思ったのですね?」

 

「そんなこと・・・」

 

「ならば、μ'sが最初に9人で歌った曲は?答えられますか?」

 

「え、えっと・・・」

 

「ブー!ですわ」

 

再び生徒会室。μ'sのファンでありながら、あまりにも知識がなさすぎる千歌に対し、キツめの辛口コメントを述べるダイヤ。これには千歌も言い返そうとするが、ダイヤは新しい問題を出した。千歌は答えようとするが、すぐさま時間切れとなった。

 

「ほ〜ら、ほら。怖くな〜い。食べる?」

 

「わぁ」

 

「よっ、ほっ、ル〜ルルル〜、ふっ、と〜りゃっ!捕まえた!」

 

そして再び校門前。千歌はどこからともなく出したアメをルビィに差し出すと、ルビィは人見知りゆえにやや警戒しながら千歌を見つめ、アメを見つけるとまるで小動物のようにアメを手に入れようと近づいていった。そして、千歌はタイミングを合わせ、アメを空高く投げ、ルビィの視線がアメの方に向いた瞬間に、抱きついた。そしてそのアメはルビィの口へとうまく着地するという奇跡も起きた。

 

「いや、ルビィちゃん。いくらアメがそこにあったからって、すぐついてっちゃダメだよ?」

 

さすがに大吾はこのルビィの一連の行動を注意しようと声をかけると、ルビィは大吾の顔を見るなり、顔を真っ青にした。その瞬間、抱きついていたはずの千歌を含め、周りにいた女子たちはみな、両耳を塞いだ。

 

「ピギィィィィィィ!!!男の人〜〜〜!!!」

 

大吾が自分以外のメンバーが耳を塞いだのを不審に思った瞬間、とんでもない声量でルビィが絶叫した。大吾はそれに気圧され、その場に膝をついた。

 

「そういえばルビィちゃん。極度の人見知りで、極度の男性恐怖症だったの忘れてた。それでもさすがにこれはこたえるな〜」

 

「ル、ルビィちゃん。大吾さんだよ?この前も会ったのに忘れたの?」

 

「え?あ、大吾さん。お久しぶりです・・・」

 

「うん、久しぶり」

 

ルビィに絶叫され、ちょっと涙目になる大吾。それを見た花丸はルビィに近付き、相手が大吾であることを伝える。するとルビィは大吾だということにやっと気づき、赤面しながら挨拶してきた。大吾はまだ立ち直れないのか、若干涙を流しながらこれに答える。

 

「大吾さん、お久しぶりず・・・、です」

 

「今方言出そうになったね、花丸ちゃん」

 

花丸も大吾に挨拶するが、いつもの癖で方言が出そうになり、大吾に指摘され、やや赤面するのだった。

 

「【僕らのLIVE 君とのLIFE】通称ぼららら。次、第2回ラブライブ予選でμ'sがA-RISEと一緒にステージに選んだ場所は?」

 

「ステージ?」

 

「ぶっぶ〜、ですわ。秋葉原UTX屋上。あの伝説とも呼ばれるA-RISEとの予選ですわ。次、ラブライブ第2回決勝。μ'sがアンコールで歌った曲は・・・、「知ってる。【僕らは今のなかで】‼︎」・・・、ですが」

 

再び生徒会室。先ほどの問題の答えを述べるダイヤは、第2問の問題を出すも、千歌は答えられず、というより答える間もなくダイヤが次の問題に移った。それは分かるのか千歌は右腕を高く上げながら答えた。その瞬間ダイヤは、千歌の方に顔を向けた。

 

「スクールアイドル?」

 

「すっごく楽しいよ。興味ない?」

 

「いえ、丸は図書委員のお仕事があるズラ・・・、いや、あるし」

 

「そっかぁ。ルビィちゃんは?」

 

「え⁉︎ルビィはその、お姉ちゃんが・・・」

 

「お姉ちゃん?」

 

「ルビィちゃん。ダイヤさんの妹ズラ」

 

「生徒会長の⁉︎」

 

「なんでか嫌いみたいだもんね。スクールアイドル」

 

再び放課後。バスに乗り、帰路につく千歌たち。千歌はいつものごとく、ルビィと花丸を勧誘するも、それぞれの理由で断られてしまう。しかも、ルビィはダイヤの妹であることが発覚したのである。千歌はこれに驚き、隣に座っていた曜が発言し、その発言にルビィは俯いた。しかし、その曜の発言を否定する者がいた。そう、大吾である。

 

「別に嫌いってわけじゃないよ」

 

「え?」

 

「どういうこと、ダイ君?」

 

「いや、気にしないで。ところで2人とも、1ついいかな?」

 

「「?」」

 

「いつになったら、この縄解いてくれるの?」

 

「駄目。私たちの知らないところで、たくさん女の子の友達作ってた罰」

 

「なにそれ、すげえ理不尽なんだが」

 

 

 

ーードクンッ

 

 

 

「⁉︎」

 

大吾は何か思うことがありそうな語り方をしたのだが、すぐに誤魔化した。よくよく見てみると大吾は何故か両腕を縄で縛られている状態になっており、どこかへと連行されているような絵面となっていた。大吾は幼馴染である千歌たちに解くよう頼むが断られてしまう。そんな時、今まで感じたことのない不快な感覚が大吾を襲った。

 

「どうしたの?」

 

「い、いや、なんでもない・・・。(なんだ今の?)」

 

大吾の変化に気づいた曜が、大吾に話しかけるが大吾は平静を装って嘘をついた。曜はなぜか残念そうな顔をしたのだが、今は大吾を信じることにして引き下がった。

 

「ですが、曲の冒頭でスキップをしている4人のメンバーは?」

 

「えええっ⁉︎」

 

再び生徒会室での場面。先ほどの問題の続きを述べるダイヤ。まさかの難問に声をあげる千歌に近づきながら、ダイヤの口からまたまたあのワードが出た。

 

「ぶっぶっぶ〜、ですわ‼︎正解は・・・、「絢瀬絵里、東條希、星空凛、西木野真姫」・・・、その通りですわ。この問題を軽く正解するとはやりますわね、大吾さ・・・、ん?大吾さん?」

 

「「え⁉︎」」

 

ダイヤが問題の答えを述べようとした瞬間、ある別の声が聞こえてきた。その声の主を知っていたダイヤはそのまま続けようとしたが、ふと我に返り、確認するようにそちらに視線を送った。同時に千歌と曜もその声の主に気づき、同じく視線を送った。3人の視線の先である入り口には、本来女子校にいないはずの男子、円大吾が立っていた。

 

「「「な、なんでダイ君(大吾くん)(大吾さん)がここにいるの⁉︎(いるんですの⁉︎)」」」

 

「なんでって言われても。明日からこの学校の生徒になるからとしか言えないんだよなぁ。あと、さっきから校内放送で一部始終流れてたよ?ここまでのくだり」

 

「え⁉︎」

 

3人から質問が飛んできて、それに答える大吾。サラッととんでもない事実が返ってきたが、大吾は気にすることなく続けた。大吾の指摘にダイヤは慌てて、千歌がいたあたりに駆け寄った。ダイヤはある棚の上に視線を送ると、電源が入っていたマイクに気づき、速攻でスイッチを切るのであった。

 

「ゴホン。とりあえず、大吾さん。先ほどこの学校の生徒になると言ってましたが、まさか女装趣味があったのですの?」

 

「な訳あるか!まったくダイヤちゃんは、本当に変わらないね」

 

「うふふ、冗談ですわ。大吾さんのそのツッコミのキレも変わりませんわね」

 

「基本的に君たちにしかやってないけどね」

 

「え⁉︎ダイ君、ダイヤさんと知り合いなの⁉︎」

 

「そうだよ」

 

ダイヤはわざとらしく、咳払いすると大吾の方に向き直り、大吾と共に他愛ない会話を始めた。千歌は2人が知り合いなのかを大吾に問い詰めた。大吾はこれに肯定した。

 

「ところでダイヤちゃん。1問目と2問目はまだ分かるけど、3問目は答えられる人あまりいないよ?」

 

「何言ってるんですの?あんなの一般教養ですわ!」

 

「いや一般教養ではない」

 

「ま、まぁいいですわ。とりあえず、あなた方の申請は今回も却下させてもらいますわ‼︎」

 

「ええええ⁉︎」

 

ということがあり、現在に至る。あのあと、帰る前にもう一度生徒会室に行ったが、即却下されてしまった。大吾はその間に手続きを行い、律儀に千歌と曜の授業が終わるまで、生徒会室で待っていたのは別の話。

 

そして場面はバスを降りた千歌と大吾に戻る。千歌はバスから降りると、海辺に1人立っていた1人の少女に声をかけた。

 

「桜内さーん!」

 

「はぁ・・・」

 

「まさかまた海に入ろうとしてる?」

 

「してません!!!ていうか、そこに男の人いるのに、なにするの⁉︎」

 

「大丈夫。ダイ君だもん。ね、ダイ君?」

 

「どういう理屈⁉︎」

 

その少女の正体は桜内梨子であった。梨子は千歌の登場に若干ため息を吐いた。その瞬間、千歌はいつの間にもう後ろまで来て、なんと梨子のスカートをめくったのである。これは距離的に大吾にも見えるため、梨子は千歌に注意した。大吾ももちろん見ていた。梨子のスカートの中・・・、ではなく上空に現れたウルトラサインを。

 

「ごめん。話聞いてなかった。何の話?」

 

「何でもないです。本当に見てませんよね?」

 

「いやだから何が⁉︎」

 

「はぁ。大体ね、こんなところまで付いて来てもアイドルはやらないわよ」

 

「え?ああ、違う違う。通りかかっただけ」

 

「いや無視かよ。まぁいいや。とりあえず、千歌ちゃん。ちょっと野暮用思い出したから先帰ってて」

 

大吾は話の展開がよく分からないまま、この場を去り、ある場所へと向かった。千歌はそんな大吾を怪訝に思いながらも見送り、再び梨子の方を向いた。

 

「そういえば、海の音聞くこと出来た?」

 

「・・・・」

 

千歌は梨子に尋ねた。しかし、梨子は少しだけ悲しそうな顔をするだけであったが、千歌は少しだけ微笑みこう言葉を続けた。

 

「じゃあ、今度の日曜日空いてる?」

 

「どうして?」

 

「お昼にここに来てよ。海の音、聞けるかもしれないから」

 

「聞けたらスクールアイドルになれ、って言うんでしょ?」

 

どうやら彼女は、今の梨子の悩みをどうにかしたい、と考えていたらしい。そのために日曜日に彼女を誘ったのだ。梨子もそれには気づいていたのか、冗談混じりで言葉を返す。千歌は少しだけ悩んだ感じを醸し出しながら、梨子の方に顔を向ける。

 

「うーん。だったら嬉しいけど、その前に聞いて欲しいの。歌を」

 

「歌?」

 

「梨子ちゃん、スクールアイドルの曲全然知らないでしょ?だから知ってもらいたいの。駄目?」

 

千歌の言葉を聞いた梨子は一息つくと、海を見ながら、こう言葉を続けた。

 

「ふぅ。あのね、私ピアノやってるって言ったでしょ?」

 

「うん」

 

「子供の頃からずーっと続けてたんだけど、最近いくらやっても上達しなくて、やる気も出なくて。それで、環境変えてみよう、って。海の音を聞ければ何かが変わるのかな、って」

 

梨子は目の前の海に両手をつかもうとするように出した。しかし、現実はそう簡単ではない。そう感じた梨子の目はどこか悲しげだった。その時、その手を握ったものがいた。そう、千歌である。

 

「変わるよ、きっと」

 

「簡単に言わないでよ」

 

「分かってるよ。でも、そんな気がする」

 

「変な人ね、あなた。とにかくスクールアイドルなんてやってる暇ないの、ごめんね」

 

「分かった。じゃあ、海の音だけ聞きに行ってみようよ、スクールアイドル関係無しに」

 

「え?」

 

「それならいいでしょ?」

 

梨子は目の前に少女の優しさに感銘を受けた。最初は何度も何度も勧誘してくる迷惑な人だと感じていたが、今はそう思ってない。

 

「本当、変な人」

 

その一言に、今の梨子の千歌の人柄の良さに対する評価が含まれていた。

 

 

 

前半part 終了

 

 

場面が変わり、ここはいつもの裏山。ここを大吾はあることを考えながら、歩いていた。

 

(さっきのウルトラサイン、ダイゴさんのじゃなかった。じゃあ、あれはエックスさんの物か?)

 

大吾がウルトラサインを見るのは今回で2度目。以前は先代ウルトラマンティガであるダイゴのものだったが、今回は全く違うものだった。さらに、大吾にはもう1つ不可解なことがあった。それは先ほどバスに乗っていた時に感じた感覚である。

 

「まあ、ウルトラサインで呼ぶってことは、ある程度重要なことだろう。さてと、そろそろ指定の場所なんだけど」

 

「お、来たようだね」

 

大吾が周りを見渡すと少し先の広場で、4人の青年が立っていた。そのうち2人は以前にも会っていたマドカ・ダイゴと大空大地の2人なのだが、残り2人は初対面にあたるため、大吾は誰だか検討つくことが出来なかった。しかし、その2人が来ているスーツに見覚えがあり、ある2人の戦士を思い出した。

 

「そういえばそっち2人はこれが初対面だったね。でも2人が着ている服には見覚えあるんじゃないか?」

 

「はい。そちらのスーパーGUTSの隊員服の方は、ウルトラマンダイナのアスカ・シンさん。そしてそちらの青い服の方がウルトラマンコスモスの春野ムサシさん・・・ですよね?」

 

「正解だ、ルーキー」

 

「君の戦いは、ずうっと見ていたよ」

 

そう、それはかつて様々な宇宙の地球に現れ、平和を守ったウルトラマンダイナことアスカ・シンと慈愛の勇者ウルトラマンコスモスこと春野ムサシだった。

 

「すげえ。本物のウルトラマン達がこんなに・・・、じゃあさっきのウルトラサインはアスカさんたちのですか?」

 

「いや、あれは俺のウルトラサインだ」

 

元々ウルトラシリーズのファンである大吾にとって、ダイゴを始めとしたレジェンドとも呼べる戦士たちがこの場に集まっているという状況は神に出会うのとほぼほぼ等しい。大吾が感激しているとここからまた別の声が聞こえた。そちらの方に顔を向けると見知らぬ男性が立っていた。

 

「えっと・・・、あなたは?」

 

「なんだ、そっち2人はすぐに気付いたのに俺のことは分からないのか?」

 

「仕方ないさ。大吾、彼の右手首の部分を見てみな」

 

大吾は誰なのか本当に分からなかったのか、訝しげにその男を見ていたのだが、ダイゴの言葉通り男の右手首の方に目線を送る。そこにあったあるアイテムを見た瞬間、1人の戦士を思い出す。

 

「それってもしかして、アグレイター⁉︎って事は、ウルトラマンアグルの藤宮博也さん⁉︎」

 

「その通りだ。よろしくな」

 

「いいなぁ、僕なんて自己紹介するまで全然気付かれなかったのに」

 

《君の場合は、XIOの隊員服を着てなかったからだ。着ていたら、大吾くんだって気付いただろう》

 

「すいません、大地さん」

 

ようやく自分自身に気付いた大吾に、優しい声色で応じる。大地は自身は初めて会った時は気付いてもらえなかった事をちょっと根に持ってたようで、これには大吾も速攻で頭を下げた。

 

「さて、大吾。君をここに呼んだのは、さっき君も感じたであろう感覚の正体についてだ」

 

ダイゴが真剣な表情になり、説明を始めると談笑していたアスカたちもそちらの方に顔を向ける。大吾もただならぬ雰囲気を感じ取り、真剣な表情になる。

 

「はい。あんな感覚初めて感じました。まるでなんとも形容しがたい不快な感覚でした。あれは一体・・・?」

 

「あの感覚の正体は、スペースビーストだよ」

 

「スペースビーストって、あのウルトラマンネクサスが戦った⁉︎」

 

「そう、そのスペースビーストだ」

 

大吾はずっと疑問に思っていた、感覚の正体について質問するとムサシが答える。返ってきた答えに動揺する大吾。スペースビーストを詳しく説明すると長くなるので、掻い摘んで説明しよう。

 

スペースビーストとは、ウルトラマンネクサスで登場した怪獣達のことである。正確には怪獣ではなく謎の生物群だが、自分たち以外の動物(ネクサスの劇中では、人間がターゲット)を捕食し、進化し続ける。その禍々しい姿から、当時子供達から本当に怖がられていたことでも有名である。さらに、ネクサス放送終了から、10年経ったウルトラマンXでも1度だけ登場し、Xとネクサスの共闘により倒された。一応ネクサス本編で黒幕でもあるダークザギは倒されているのだが、生き残りがいるため、ネクサスは様々な宇宙に現れている(関係ないが、ウルトラマンダイナのスフィアも生き残りが存在している)。スペースビーストの詳しい設定を知りたい方は、Wikipediaを見る事をオススメする。

 

「ネクサスが現れた時にもしかしたら、とは思っていたんですが、本当に出現していたとは」

 

「一応スペースビースト自体は、大吾が東京でキリエロイドと戦った辺りからすでに出現していたんだ」

 

「え⁉︎そんな前から⁉︎でも1度も感じた事ないですよ?」

 

「それはお前がまだウルトラマンとして未熟だからだ。だけど、お前も感じるようになったことがダイゴのスパークレンスを通して知った俺たちはお前を呼んだんだ」

 

「ああ、なるほど。いまいちよく分かってないけど、ウルトラマンだからってなるとなんでもありって気がしてきました」

 

大吾は、あまりの情報量の多さに頭がパンクしそうになるが、なんとか話についてこれていた。

 

「スペースビーストは一体なぜこの世界に現れたんでしょう?」

 

「おそらくヤプールがなんらかの形で連れてきたんだろう。あのネクサスが出張ってるところを見るとかなりの数だと思う」

 

「そういえば、今までもスペースビーストは現れていたんですよね?さすがにこの街で戦ってたら、気付かれるはずです」

 

「それは簡単さ。全部ネクサスが倒していたのさ。そのうち何体かは僕らも共に戦ってたんだけど」

 

大地が質問を投げかけると、それに答えるアスカ。大吾も質問すると、今度はムサシが答える。その発言にとんでもない情報があった。そう、ネクサスと共に他のウルトラマン達も一緒に戦っていたのだ。大吾が目線を送ると、ダイゴを含めた全員が頷いた。つまり、ネクサスとダイナ、ネクサスとコスモス、といった組み合わせで一緒に戦っていたということである。

 

「待ってください。てことはもう、デュナミストの正体が分かったんですか⁉︎」

 

「ああ、少なくとも今ここにいるメンバーは全員知ってるよ」

 

「一応あいつにも来るように言ったんだが、来る気ないみたいだな」

 

「まあ、彼女の場合はしょうがないのかもしれませんね」

 

大吾はもうすでに会話についていけなくなっていた。まさか自分の知らない所で、すでにウルトラマン達が戦っていたこと、そして自分がずっと探していたデュナミストの正体を突き止めていたことに言葉を失っていた。

 

「もう暗くなってきたし、今日はここまでにしよう。だが大吾、これだけは覚えておけ。スペースビーストは人間に対して、容赦ない。もし、君の友人が襲われたら、君の正体がバレてもいい。なんとしても守れ!」

 

「はい、肝に銘じます‼︎」

 

ダイゴは空を見上げ、この会合をお開きにしようとする。やはり、最年少の大吾がまだ一介の高校生であることを垣間見てもこれ以上長居させるのは良くないと感じ、他のメンバーも頷く。そしてダイゴは大吾に言葉を送ると大吾は頷きながら返事をし、その言葉と共に大吾を除いたメンバーは光に包まれ、何処かへと飛んで行った。

 

 

 

そして、彼らは気づいてなかった。それを見ていた1人の少女がいたことを。

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。ここは浦ノ星女学院の千歌と曜、梨子がいるクラスの前の廊下。大吾は私服で廊下に立っていた。なぜ私服なのかというと急遽決まった男子学生のテスト生であるため、準備が間に合わなかったからである。中から担任の教師から呼ばれ、大吾は緊張しつつも若干リラックスして入って行った。入った途端、あちらこちらから「カッコイイ」とか「優しそう」などといった感想が聞こえてきた。

 

「今日からこのクラスで1年間お世話になる、円大吾です。よろしくお願いします」

 

大吾が自己紹介を終えると、千歌と曜が拍手を送り、続けてクラス全体から拍手が響いた。担任が席を指定すると、そこは千歌、曜、梨子の席の間だった。大吾がそこの席に向かうと、梨子が大吾に話しかけた。

 

「久しぶり、大吾くん。私のこと覚えてる?」

 

「君は確か・・・、昨日海辺にいた・・・」

 

「そうだよね。あれから6年経ってるんだもん。分かるわけないか」

 

梨子は若干悲しげな表情をし、大吾は申し訳無さそうにしたが、彼女の髪飾りを見たとき、1人の少女との思い出を思い出す。

 

「その髪飾り・・・、昔僕があげたやつだ。じゃあ君は、もしかして桜内梨子ちゃん⁉︎」

 

「やっと思い出してくれたのね。良かった」

 

「いや、全然気づかなかったよ。そうか、君が千歌ちゃんが言ってた東京から来た女の子だったのか」

 

大吾がようやく思い出してくれたことで若干顔を赤くしながら笑顔になる梨子。その様子を後ろから見ていた千歌と曜の2人は大吾に尋ねる。

 

「え?ダイ君、桜内さんと知り合いなの⁉︎」

 

「うん。僕がまだ東京にいた頃の同級生で、近所に住んでたんだ。あの頃と雰囲気変わってたから、本当に分からなかったけど」

 

大吾は本当に申し訳無さそうに梨子に、頭を軽く下げると梨子も笑顔で会釈した。その様子を見て、千歌と曜はあることに気づいた。

 

((この人も、私たちと同じだ))

 

これがどういう意味なのかは、大吾以外はみんな気付くだろう。その後、ホームルームとして、大吾の歓迎会が開かれた。まあほとんどは、女子たちによる質問責めであったが。内容としては、「彼女はいるのか?」とかそういう感じのだった。

 

ホームルームが終わり、休憩時間になると、1人の少女が大吾に近づいていた。その少女は、千歌や曜、梨子同様超が付くほどの美少女だった。

 

「えっと、はじめまして。私は柳瀬伶奈。このクラスの学級委員を勤めてます。先生から、高海さんたちと一緒にあなたのフォローを任されました。何か困ったことがあったら、いつでも相談してね」

 

「あ、はい。よろしく」

 

「こちらこそ・・・、っと!」

 

柳瀬伶奈と名乗ったその少女は、一通り自己紹介すると大吾に右手を差し出したよ大吾も応じるように、右手を出すと、伶奈がその右手を思いっきり自分の方に引っ張り、大吾の右耳の方に顔を近づけ、そして信じられない言葉を発した。

 

 

 

ーーー久しぶり、ウルトラマンティガさん?

 

ED:Brave Love, TIGA!〜Aqours Ver.〜




次回予告
BGM:ウルトラマンティガ次回予告

「なぜ君は、僕がウルトラマンだと知っている?」

「その質問に答える義務は無いわね」

放課後、屋上に伶奈を呼び出した大吾。なぜ彼女は大吾がティガであることを知っているのか?

「聞こえた?海の音?」

「ダメ、全然聞こえない」

日曜日、海に出る千歌、曜、梨子。果たして目的の海の音を聞くことが出来るのだろうか?

「あれは、ブロブタイプビーストペドレオン⁉︎」

「シェアァッ!!!」

「君がデュナミストだったのか⁉︎」

ついに大吾たちの前にスペースビースト襲来。そしてネクサス再び登場。果たしてデュナミストの正体は一体?

次回、ティガライブ!サンシャイン‼︎

第8話 海の音

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