そんなことあったなあ、なんてしみじみ思う。
いやマジで、ホントホント、思い出すたびに恥ずかしい思いでいっぱいになっちゃう。
だってあれ、私が泣き終わってから気づいたんだけど、普通に校門前だからね? そりゃあ全然まだ校門を出てない生徒も先生もいるって話だよ。おかげで噂になっちゃってさ、咲と!
咲と噂になっちゃって!
……なんだろう、この心踊る文。
「ん~」
後頭部にやわっこい感触を覚えながら、私は前方に手を伸ばす。
「わっ……何、京ちゃん?」
京ちゃんは膝枕中。咲のことを咲と呼べたご褒美を堪能中なのだ。
あの時、咲を学食に誘う時に、咲が座っていたのと同じ場所。木が連なっている中のそのベンチの上で咲が座って、そして私が膝枕をされている。
そんな咲へと不意に手を伸ばして、これまたやわっこいほっぺに触れてみるものだから、咲はくすぐったそうに触られている方の目をつむって、大人しく触られている。
もちもちっていうか、すべすべっていうか、やわっこい。
一応のこと、咲も口では「もー」なんて言うけれど、それでもなすがままになってくれていた。
「ねえ咲」
「なあに、京ちゃん?」
「呼んでみただけー」
「なにそれ?」
「えへへ~」
「……もー」
ぷいっと、四分の一回転。膝枕に正しい構図として、咲の膝に片耳をおっつける風にする。
するとしょうがなさそうに、咲が私の髪に逆らわないよう、自然な方向へすくように頭をなでてくれた。
弱めの風が少し長めにふいて、ベンチのすぐ近くにある木の葉を揺らしていく。サワサワと、ザワザワと、木の葉がぶつかりあう心地いい音が聞こえた。
「それにしても私さー、足、遅くなったよねー」
心地よくて、自然と言葉が間延びしてしまう。
「んー、そうだね」
「咲に追いかけられて追い付かれちゃうくらいだもんねー」
ここで咲にいきなり可愛いとかなんだとか言われて(照れてないけど)、なんとなく逃げちゃったけど、あれ実は結構な全力だったんだよね。それから、咲のこと軽く追いかけてみただけで簡単に脚痛くなっちゃうし、老いたなあ、私も。まあ、そんなもんか、むしろ走れるっていうのが私は単純に嬉しい。
「……ねー、咲ー」
「なあに、京ちゃん?」
「あの時、追いかけてくれてありがとう」
「どういたしまして」
どっちの方で取られてるかなあ、まあ、どっちでもありがとうだ。
「……ねえ、京ちゃん」
「なあに、咲?」
「あの時、誘ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
どっちの方かなあ。どっちでも、私は大したことしてないけどなあ。
「ん……」
一定のリズムで撫でられる私は、この心地いい時間に
もうちょっとだけ、意識を持ったままこうなっていたいけど、だからってあんまりこの心地いい感覚に抗いたくもない。
「…………」
私の呼吸はさらに落ち着いていく。瞼も完全に閉じて、意識は沈んでいく。
ただ、その沈んでいく意識の中で――
「私も好きだよ――――京ちゃん」
そんな声を聞いた気がした。
宮永咲。
麻雀に愛された神様みたいな私の幼馴染。
そんな幼馴染と私との今の距離は――きっとプラスマイナス0。
Q、京ちゃんが女の子になると?
A、咲さんに膝枕される。
結構満足したので続きを書くとしたら、きっともっと先