強化京華kyouka   作:じょーく

12 / 12
文学少女びふぉーあふたー

 そんなことあったなあ、なんてしみじみ思う。

 いやマジで、ホントホント、思い出すたびに恥ずかしい思いでいっぱいになっちゃう。

 だってあれ、私が泣き終わってから気づいたんだけど、普通に校門前だからね? そりゃあ全然まだ校門を出てない生徒も先生もいるって話だよ。おかげで噂になっちゃってさ、咲と!

 咲と噂になっちゃって!

 ……なんだろう、この心踊る文。

 

「ん~」

 

 後頭部にやわっこい感触を覚えながら、私は前方に手を伸ばす。

 

「わっ……何、京ちゃん?」

 

 京ちゃんは膝枕中。咲のことを咲と呼べたご褒美を堪能中なのだ。

 あの時、咲を学食に誘う時に、咲が座っていたのと同じ場所。木が連なっている中のそのベンチの上で咲が座って、そして私が膝枕をされている。

 そんな咲へと不意に手を伸ばして、これまたやわっこいほっぺに触れてみるものだから、咲はくすぐったそうに触られている方の目をつむって、大人しく触られている。

 もちもちっていうか、すべすべっていうか、やわっこい。

 一応のこと、咲も口では「もー」なんて言うけれど、それでもなすがままになってくれていた。

 

「ねえ咲」

「なあに、京ちゃん?」

「呼んでみただけー」

「なにそれ?」

「えへへ~」

「……もー」

 

 ぷいっと、四分の一回転。膝枕に正しい構図として、咲の膝に片耳をおっつける風にする。

 するとしょうがなさそうに、咲が私の髪に逆らわないよう、自然な方向へすくように頭をなでてくれた。

 弱めの風が少し長めにふいて、ベンチのすぐ近くにある木の葉を揺らしていく。サワサワと、ザワザワと、木の葉がぶつかりあう心地いい音が聞こえた。

 

「それにしても私さー、足、遅くなったよねー」

 

 心地よくて、自然と言葉が間延びしてしまう。

 

「んー、そうだね」

「咲に追いかけられて追い付かれちゃうくらいだもんねー」

 

 ここで咲にいきなり可愛いとかなんだとか言われて(照れてないけど)、なんとなく逃げちゃったけど、あれ実は結構な全力だったんだよね。それから、咲のこと軽く追いかけてみただけで簡単に脚痛くなっちゃうし、老いたなあ、私も。まあ、そんなもんか、むしろ走れるっていうのが私は単純に嬉しい。

 

「……ねー、咲ー」

「なあに、京ちゃん?」

「あの時、追いかけてくれてありがとう」

「どういたしまして」

 

 どっちの方で取られてるかなあ、まあ、どっちでもありがとうだ。

 

「……ねえ、京ちゃん」

「なあに、咲?」

「あの時、誘ってくれてありがとう」

「どういたしまして」

 

 どっちの方かなあ。どっちでも、私は大したことしてないけどなあ。

 

「ん……」

 

 一定のリズムで撫でられる私は、この心地いい時間に(まぶた)が落ちかける。柔らかい膝の上はどんな高級ベッドよりも気持ち良く感じたし、木が連なっているこの自然ある空間の匂いと咲の匂いがすごく安心できた。その眠気に抗う暇も与えられず、私はどんどんと瞼を閉じる感覚が早まっていく。

 もうちょっとだけ、意識を持ったままこうなっていたいけど、だからってあんまりこの心地いい感覚に抗いたくもない。

 

「…………」

 

 私の呼吸はさらに落ち着いていく。瞼も完全に閉じて、意識は沈んでいく。

 ただ、その沈んでいく意識の中で――

 

 

「私も好きだよ――――京ちゃん」

 

 

 そんな声を聞いた気がした。

 宮永咲。

 麻雀に愛された神様みたいな私の幼馴染。

 

 そんな幼馴染と私との今の距離は――きっとプラスマイナス0。

 




Q、京ちゃんが女の子になると?
A、咲さんに膝枕される。

結構満足したので続きを書くとしたら、きっともっと先
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。