東方擦違(すれちがい)伝~double reincarnation~ 作:太郎風情
━━2日後━━
~side シンメトリーア~
まあこの一週間ほぼ寝ずだったからゆっくりとしていた。
その間、藍は頑張ってくれた。え、紫?いや全然頑張ってなかったよ。
それ見て私が「紫が藍の式になれば?」と言ったら紫は黙りこくってしまった。果たして自覚はあるのか。大佐、とても気になるであります。
藍はこの二日間で、まあ人里に行って準備してくれてた。私たちはただスキマから覗くだけ。なんてぐーたら生活だと思う。お前もだなんて言われるわけがない。うん、ない。
人里では里長やら守護者やらと話し合いをし、そして今日が就任式をする日だ。まあほとんどは私の挨拶になるらしい。ていうか、それ以外ない。就任式というか顔合わせだ。
そんな感じで今、とりあえず里長や守護者に挨拶に行っている。
「こんにちは」
「おお、お主が今回の巫女さんか。背が低くてかわいいのお」
背が低いのは一種のコンプレックスなんです。街を襲うときなんか街の人に笑われてばかり。もちろんのこと、そいつらは皆殺しだ。あの時は暴れていたな~と思う。
「まあ藍さんがいうことだ。里長、多分この子も実力ありなんだろう」
「よろしくお願いします」
「「こちらこそ」」
「そんで、どこでその式典とやらをするんですか?」
「あそこだよ」
そうやって指さされたのは、まあ小さい円形劇場だ。この人里、結構人口が多いのだが、人間は全員入るのだろうか。
「おお、結構人が集まってますね」
「今は学び舎も昼休憩だからね、子供もいっぱいいるんだよ」
「へえ~」
「まあ、そこらへんでゆっくりしていきなさい」
「ありがとうございます」
まあ、その後はゆっくりしていった。
━━30分後━━
~side シンメトリーア~
「皆さん、お集まりいただいてありがとうございます。今日司会をする慧音です。早速長老より挨拶があります。聞いてください。」
そこから、長い長い長老の話が始まった。なんか二、三人くらい卒倒していたのはきのせいだろうか。
「長老、お話ありがとうございます」
「次に、今代の巫女の登場です。皆さん温かい拍手を」
パチパチパチ、と拍手が始まった。それほどに一大イベントなのだろうか。
なかには、「今回の巫女さんもきれいかな」とかまあそんな話し声も聞こえてきた。
慧音さんから合図があったので、登場した。
━すると、拍手が鳴りやんだ。途端に笑い声が生じた━
「ぷ、こんな小さいのが巫女、考えられないぜ」
「なんか弱そう」
「おいおいついに賢者も頭イっちまったか?」
こんな心もとない罵声を浴び続ける。
まあ、50年もこんなことは言われているので、三姉妹全員が耐性を身に着けていた。
ちょっとイラッとはくるが。
「すまない。私の教え子がこんなことを...」
慧音さんは深々と頭を下げてきた。律儀な人だなあ。
「ゴ、ゴホン、まあこのように身なりは小さいが、立派な巫女さんだ。」
ほんとか?、なんて言われていたが、そいつにはさすがにしつこいと思って、雷を一発お見舞いしてやった。
「......まあ、今みたいな感じだ、実力は」
「へえ、案外強いんだ」
「これなら十分だね」
「このくらい巫女ならできるんじゃないのか?」
まあまだ少数しつこいやつらがいたのだが、無視しておいた。
そこから、私の自己紹介だ。
「こんにちは」
こんにちは、と帰ってくる。元気な子供の声だ。
「私の名前は博麗霊芽といいます」
なぜこんな名前かというと、
シンメトリーア→シンメ→新芽→霊芽みたいな。
どうやら巫女は代々『霊』から始まる名前にしているのだとか。違う名前でもこのように改名するらしい。
「どうぞよろしくお願いします」
おねがいします、といった子供の声とか、大人勢の拍手とかが起こった。
この喝采が終わったころに、慧音先生が退治の依頼方法とかを説明して解散となった。
なんか人里には数か所ポストみたいなのが設置されていて、そこに退治依頼を書いた紙を入れてもらうのだそうだ。もちろんつなげておいた。
これは後日聞いた話だが、依頼は一週間に一、二個くるそうだ。
これから忙しくなるなあ~