よもや2年以上更新が止まるとは私自身も思ってなかった…本当に申し訳ないです。
空きすぎて文体とかが少し変わってるかもしれませんがそこらへんは大目に見てもらいたいです!
カナさんは
…まぁあの人にも色々やることがあるのだろうし深入りはしないが。
俺もぽけーっと突っ立っていてもどうしようもないので武偵高の方へ戻りつつ、軽く頭の中でプランを立てていた。
船のチケット代も経費で(こっそり)落としたし問題ない。
…ぶっちゃけ捜査のことは殆ど心配していない。
金一さんが死んだとなればまず間違いなくキンジに影響が出る。だがその影響の出方がどう出るのかが予測しきれない。
金一さんを守りきれなかった俺を責めるのか、はたまたそんなこともせずに失意に落ちるのか。逆に金一さんの無念を晴らすべく奮起するのか。
仮にも元パートナーで普段は何考えてるか大体わかるんだが、ここ一番でどう動くのか今ひとつ掴みきれないんだよな、あいつ。俺自身も死ぬ気は無いが万一のことがあればそういう可能性はあるし、そうなった時あいつの心の拠り所が不安だ。白雪あたりがなんとかしてくれるだろうか。
「測り難きは人心、ってか」
来年度は行動心理学みたいなものも学ぶべきだろうか。来年度、な。
武偵高に戻りさっさと
ちなみにレキは狙撃科にいたのをそのまま引っ張ってきた。
「何をするんですか?」
「あれ、言ってなかったか?レキへのクリスマスプレゼントを買いに行くんだよ。そんでプレゼント買ったらそのままご飯でも食べに行こう。クリスマスは仕事が入っちまってな。一緒にいられないからそれの埋め合わせってほどにはならんが少しでもいい時間を過ごしたくて」
「……そうですか。仕事というのは先ほど教務科に提出していた特秘ですか?」
…今少し間が空いたな。こりゃバレてるかもなぁ、特秘の中でも危険な部類なの。
となると隠しても仕方ないので都合のいいところだけ話しておくか。
「まぁな、言ってなかったのは悪かった。けど一応守秘させてもらうぜ?余計なことは知るべきじゃあないよ」
「そうですか。また無茶をするんですね」
「えっ?あー、あははは……」
「…………」
うん。わかっちゃいたけど完璧に拗ねてらっしゃる。表情はほとんど変わってないけどそういうオーラが出てるよね。こういう時はヘタにはぐらかすと余計にこじれるもんだ。仕方ない、風情もへったくれもないがアレを出すか。
「レキ」
「………?」
「必ず帰ってくる。約束だ。ほれ、手出せ」
ぽん、とレキの手のひらの上に置いたのは真っ白な小さい箱。
「開けてみ」
「はい」
もそもそと開けて出てきたのは蒼いヘアピン4つ。でもただのヘアピンじゃあない。
「それな、俺の魔力を少し込めてるんだ。具体的に言うと一定範囲内に飛んでくる弾や刃、その他諸々"害あるもの"を自動認識して水の防壁を作って被弾を防いでくれるんだ。ただし、俺みたいな魔力の自動生成はできないから何発も防げるわけじゃない。せいぜいヘアピン1つで銃弾3発が限度だろ」
「……」
「ま、こんなもんしか渡せないがお守り程度には役に立つぜ」
「……」
…あー、これは強情なやつだわ。前から思ってたけどレキって強情な子だよなぁ。もちろんそこ込みで好きなんだけどさ。
こういう言い回しはしたくなかったんだけどしなきゃレキが納得しないってんなら仕方ないか。
「レキ、俺は必ず帰ってくるから。心配してくれるのは嬉しいけどな」
「本当ですか?」
「おう」
「……。 本当の、本当に零司さんは武偵高に帰ってきますか?」
「帰ってくるってば。俺ってそんなに信頼ないかなぁ…」
「……約束ですよ?」
「わかってる。俺は必ずおまえの隣に帰ってくる。誓うよ」
「……はい」
そっと俺の胸に顔を押し付けるレキを撫でながら、俺は自責の念に駆られるのであった。
2008年12月24日。雪がちらつく横浜港に俺は来ていた。目の前には大きな豪華客船、アンベリール号が乗客とともにその出発を今か今かと待っている。
待ってるのはいいんだけどさ……。寒っ!こんなに日本の冬って寒かったっけ?こんなに寒いと超能力の連続稼働時間が短くなるな。
…さて、ぼーっと立ってるだけじゃ何も始まらないし乗り込みますか。豪華客船と言う名の密室に。
船内は豪華客船らしくレストランやバー、プールにスパ、カジノルームにビリヤードルームなどなどありとあらゆるものが揃っていて歩き回るだけでも十分に楽しめる作りになってるな。
すれ違う人の服装もまぁ一級の身なりの人のそれでボディガードをつけてる人も少なくない。
「っと…ここか。って広っ!!マジかアンベリール号!!」
そりゃ予約した部屋が想定の3倍も広かったらこういう反応になると思うんだ。盗聴器とかその他諸々を仕掛けられていないか調べがてら部屋を見て回ってるんだが、調度品の1つひとつに至るまで埃も付いてないし、将棋やチェスみたいなボードゲームも置いてある。冷蔵庫の中を確認するとあらいけません。ソフトドリンクもお酒も入ってるじゃないですか。本当にすごいな、アンベリール号。
そう思っていると後ろからコンコン、ドアを叩く音がした。シャーロック以外には誰にもこの船に来ることは言っていないし、俺がここに来ることを推理できるのもカナさんくらいだ。ちなみに乗船リストには「神田岩太郎」という偽名を使っているので乗船リストから俺が乗っていることを導くことも不可能だ。
どのみちとんでもない実力の持ち主しかこのドアを叩くことはしないだろうから細心の注意を払うべきだ。
「はい、何か?」
「給仕です。神田様のディナーの準備が整いましたのでお呼びに参りました」
……これはいよいよもって怪しいな。俺はディナーの準備をしろなんて言った覚えはないし、そもそもディナーの準備をお願いできるというサービスがあるなんて聞いていない。
いつでも発砲できるように構えながら開けるか。
後ろ手でそっとドアを開けて出てきたのは…
「はーいこんばんはー!りっこりーんでーす!良い夜だねあっちー!」
……なるほど、可能性の1つとして頭にはあったけどそりゃ武偵殺しの証拠が出ないわけだ。自分に関わる証拠を現場で堂々と消せるもんな。
なぁ峰理子さんよ。
理子は理子で普段通りに見せているようだが、隠しきれないオーラというか雰囲気が漏れ出している。これは…入学試験の時に感じたオーラに近いな。もしかするとこっちが理子の本質なのかもしれないな。
「くふっ、その表情だとやっぱり予想してたんだねぇ。…さすが
「…何しに来たんだ?立ち話もなんだし部屋入るか?大丈夫だ、なーんも
「…その挑発、買うぞ?」
おー怖い怖い、とんでもない威圧感だな。それでもローズリリィほどじゃないけどな。
「それにしても流石豪華客船だよな、冷蔵庫の中に沢山ソフトドリンクも酒も入ってんだからな。理子はなんか飲むか?」
「んー、じゃあイチゴミルク!」
「はぁ?そんなもん…あんのかよ!なんでもありだなこの船…」
俺からイチゴミルクを受け取って飲み始めた理子を見やる。ホント、こうして見てるぶんには犯罪者に見えないよなぁ。俺は…このワインにするか。滅多にお目にかかれない代物だ。
潜入捜査で飲むこともあるのだが、俺は酒に滅法強い。というのも、超能力で水を精製してお酒の毒素を流せるっていうだけだけどな。
ワイングラスに注ぎながら、俺は理子に話を振り始める。
「それで?なんでわざわざ俺の前に姿を見せた?」
「あっちはどう思う?」
「……交渉、だろ。お前のさっきの言葉からしてお前は自分が『武偵殺し』であることを俺にバレてることを気づいている。そしておそらくシャーロックから俺がここに来ることとその目的も聞いてるんだろ?対するお前は今からどうせ『武偵殺し』としてシージャックでもするんだろうからその時に障害になりうる俺をなんとか抑え込みたいって所か。要は俺とお前は共に邪魔されたくないから不可侵条約を結びたい、と言ったところか?」
「流石に鋭いねぇあっちは。ピンポンピンポーン!だいせーいかーい!それでそれで?もちろんあっちは受けてくれるよね?」
「もちろん断る」
「だよねだよね!…ってえっ?」
「断るだろ、そりゃ。まだお前はそれを俺が受けるメリットを出してない。お前と対立する必要がなくなる?それが通用するのは俺がお前を障害になると考えている時だけだ。なんなら今からお前を潰してからシャーロックを潰しにいけばいいんだぜ?ここは海の上だしな」
このタイミングで理子が来る理由なんてたかが知れてるわけで、それを指摘しながら軽く挑発をこめてみる。俺の予想だと意外に負けず嫌いな理子はまず間違い無く俺に突っかかってくる…と思ったんだが、なんとか堪えたみたいだな。体は怒りで震えて小声で「大丈夫理子。理子は強い子。だからここは堪えよっ!」とか言ってたけどな。 そこまで我慢するということは何か切り札があるのだろうからそれを出させるか。
「俺にお前をスルーするメリット、あるなら言ってみな」
「…明智千花について私が知ってる情報を教える。これでどうだ?」
「……へぇ。思ったよりも強い切り札を切ってきたな。千花の情報とはな。それがどういう意味を持ってるかわかって言っているか?」
「あっちはシスコンだもんねぇー。だいじょーぶ、理子は仕事では嘘つかないから!」
…まぁシャーロックからもイ・ウーにいるって話を聞いてるし、理子が千花と会ってても不思議じゃないよな。それを考えると理子が俺を止めるために千花の情報をよこすってのもわからない話じゃあない。まぁ聞いてみよう。
「うーん、とはいえ基本的なことはどうせ教授から聞いてるんだよねあっちは…。じゃあ、ちかぽんがイ・ウーで発現した能力について教えちゃおう!ちかぽんはねー、『なんか銃弾とかを消す』能力を使えるようになったんだー。詳しいことは原理とかはわからないんだけど他の超能力とかも消せるからかなり強い能力だよねー」
「消す、能力…?どういう感じに消すんだ?」
「うーん…、ちかぽんの付近に銃弾とかがいったら溶けて消えるみたいな感じ?いきなり無くなるんだよねぇ」
銃弾が溶けて消える…?んなバカな、とはいえないのがいかに超能力がなんでもありかを示してるよな。それはさておき、情報の点数としては不合格だけどまぁいいか。
「あーあ、酔いが回ってきたなぁ」
「えっ?」
「んー、そこにいるのは理子か?いやそんなわけないよな。
ここまで行ったら理子はアホだけどバカじゃないし、察してどっか行くだろ。グラスに入れたワインを全部くいっと飲み干して俺は本当にシャワーを浴びに行くのであった。
……ちなみに本当は酔ってないぞ?酔ってないからな???
久しぶりに書くと設定忘れてたりするから矛盾点とかあったらどうしよう…