いつもの世界を守るために   作:alnas

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どうもみなさんalnasです。
最近「どうもみなさんalnasです」で始まることの多いalnasです。
今回は、クリスマス前ということでそのあたりの日々の番外編です。本編を待ってくれている方、申し訳ない。季節ネタはやらせてください。
時系列ガン無視で書いたので、ありえたかもしれない一幕として見てもらえると有難いです。
では、どうぞ。


この季節ならではの任務

「フンフンフーン、フンフンフーン。あ、みゆちん、その飾りは奥に置いてね」

「はいよ」

 姫さんの鼻歌を聞きながら、執務室に星やらボンボンやらの飾りを取り付けていく。

「なあ、本当にやるのか?」

 なんだか面倒になってきて、つい聞いてしまった。

「せっかくなんだから、雰囲気作りも大事だよ。今年はみゆちんも参加するんだし、お手伝いは当然のことでしょ」

「解せぬ……参加表明してないんですけど? 気づいたら強制参加の流れだったんですけど?」

「いいの、いいの。みゆちんがいてくれた方が、私は楽しいよ?」

 俺は怖いです。そう返したかったが、本心で楽しみにしているだろう姫さんの笑顔を見て、言えるわけなかった。

 壁に掛けられたカレンダーに目を向ける。

 今日は12月22日。

 いま、なんの準備をしているかなど一目瞭然だろう。

「ったく、<アンノウン>と争う中でも、そういった文化が残っているとはねぇ」

 愚痴りながらも、赤い帽子を被り、赤い服に身を包んだ白いひげのじいさん人形を天井から吊るす。

 そう。いまは生徒会総出で、クリスマスの準備に取りかかっているのだ。

 なんでも、24、25日はクリスマスパーティーを連日開催するらしい。当初は生徒会メンバーのみのはずだったのだが、気づけば俺も加えられていた。

 そんなわけで、ただいま姫さんと内装に取りかかっているわけで。他のメンバーは買い出しに行っている。

 ほたるや銀呼、柘榴は姫さんと作業がしたかったらしく、意見を曲げないのでじゃんけんでということになった。おかしいな、俺は誰とでも良かったんだが、なぜじゃんけんさせられたのだろう?

 おかげで三人から向けられる視線が殺気レベルを超えていた……。

「あいつらも姫さん離れしないと生きてけないだろうに」

「ん?」

 なんのこと? といつも通りの顔をされる。

「なんでもないよ」

 答えると、ひとつ頷き、また作業に集中しだす。

 パーティーまであと2日あるのだが、明日は準備できないとほたるに言われたので、今日頑張っている。

 なんで明日ではダメなんだろうか?

「姫さん、明日ってなにか重要な案件抱えてたりする?」

「ううん、なにもないよ」

「……そうか。んー……なら、準備って明日でも良かったんじゃねえの?」

「私もそう思ったんだけど、ほたるちゃんたちが明日じゃダメだって反対されちゃって。何事も早いうちに整えておくのがいいことなんだよって言われちゃった」

 わからんでもない。

 けれど、あいつらが姫さんに従わないのはおかしい。

「どういう理由だ?」

 またなにか企んでいるのだろうか? 姫さんには害がないだろうが、俺はよく巻き込まれるからな。この前も雪合戦に連れてかれ、生徒会対俺という勝ち目のないゲームに身を投じさせられた。うん、あれは俺でなくても勝てない。

「戻ったぞ。天羽、ヒメになにもしてないだろうな」

「なにもしねえよ」

 むしろお前らが怖くて近寄りたくないまである。

「おかえり、ほたるちゃん。みゆちんなら、頑張って働いてくれてたよ!」

「そうか……そうだな」

 ちょっとー? わかってはいたけど、態度違いますって、ほたるさん。

「姫殿、帰ってきたよ!」

「姫さん、ちょっとこの衣装合わせを」

 帰ってきて早々、騒がしい変態どもが姫さんへと駆けていく。なんだか赤い服を取り出していたが、まさかあれも買ってきたのか?

「あはは……ちょっと止めてきますね」

 その背中を、しょうがないなぁ、という顔をした青生が追う。久々に死んだな、あいつら。きっと買い物の間もやらかしたんだろう。

「天羽、少しいいか?」

 そんな四天王の力関係を眺めていると、ほたるが話しかけてきた。

「どした? 言っておくが、本当になにもしてないぞ」

「当然だ。そうではなく、明日つきあえ」

「なにに?」

「……ここではまずい。詳細は明日話す。だからいいか、明日は必ず空けておけ」

 まあ、言われなくてもあんたらのおかげで空いてるんですけどね。

「了解。にしても、おまえから手伝えとは珍しいな」

「事が事だからな。本来なら私一人でやるべきなんだが、朝凪たちがうるさくてな」

「あの人たち絡みか? とりあえずはわかった。でもさ、どうせ姫さんもいるんだから、俺みたいなのがいなくてもいいんじゃないの?」

 ほら、<アンノウン>倒すだけなら俺いらないし、他の都市の奴らがいるなら最早俺と千種はいらないだろう。

 だが。

「明日はヒメは連れて行かない。だか貴様もこの話はするな」

「お、おう……」

「よし。なら準備を再開するぞ。しっかり働け」

「…………はいよ」

 まさか、こいつが姫さんを置いていくとはな。正直驚いた。有りえないとまではいかないが、滅多にないことだろう。年に一度あるだろうかレベルじゃないか?

「明日になればわかるか」

 いまは、怒られない程度に動いておこう。

 ちなみに、銀呼と柘榴は青生に正座させられていた。まったく、使えない奴らだ。正座はいいから準備しろや。

「ねえねえ、みゆちん、どう? サンタさん!」

「っと、あぶね……!?」

 背中にわずかな重みと、温かさを感じる。

 おそらく、手加減せずに突っ込まれていたら大型トラックに撥ねられるより酷い有様になっていただろう幸運に感謝を。

「姫さん、人に突っ込むのやめような……俺いま、冷や汗が止まらん…………」

 この部屋でみゆちんと呼ぶのなんて一人しかいないのだから、特定は簡単だ。

「ご、ごめんなさい……でもみゆちん、私、人にぶつかった程度で倒したことないよ?」

「……そうね」

 覚えてないかー、そうかー。会って間もない頃、模擬戦で突撃されてぶっ飛ばされたぞ僕ー。

「みゆちん、なんでそんな温かい目するの?」

「気にするな」

「そっか。それで、どう?」

 ああ、そういやサンタさんとか言ってたな。

 首だけで振り返っていたのでうまく姫さんが見えん……。

「姫さん、ちょっと離れてくれると嬉しい」

「なんで?」

 こら、首回りに手を回すな! やめて姫さん、死んでしまいます! ああ、ほたる待って、これは罠だ。罠なんだ! だから出力兵装に手をかけるなぁっ!

「みゆちんってば、聞いてる?」

「聞いてる! 聞いてるから一度離れて!」

 銀呼、柘榴! おまえらも殺気向けるのやめてください正座してろ!

 これ以上くっつかれてたら殺される! そう思った矢先、姫さんが離れてくれた。

「はい、これでちゃんと見えるよね?」

「あ、ああ……これで死なずに済むな」

「みゆちん?」

 っと、そうだった。あまりに死に近づきすぎて忘れるところだったぜ……。

 解放されたので振り返ってみれば、赤いサンタ服に身を包んだ姫さんの姿が目の前にあった。どういう理由か、長い髪はひとつにまとめられ、ポニーテールになるよう括られていた。

「……」

「ねえ、みゆちん?」

「…………ハッ!? いや、なんでもないぞ。うん、なんでもない。決してかわいいとか思ってないから!」

「ヒメ、あのね」

 勢いで否定してしまったが、ほたるが何事かを姫さんに伝えている。

「ホント?」

「うん、本当だよ。天羽はヒメに見惚れていて、可愛かったんだよ」

「そっかぁ!」

 おのれ……いや、確かに見惚れていましたけどね? そういうことは言わなくていいんだよ!

「ほら、さっさと続きやるぞ!」

「待ってもらいましょうか」

「待ちなよ」

 この空気をどうにかしようと思ったものの、両肩を掴まれ、部屋の外に連行される。

 銀呼に、柘榴か……どうやら、俺の苦労はまだ終わらないらしい……。

「お手柔らかに、二人とも」

「「無理」」

 ですよねー……。

 

 

 

 

 酷いまでのいじめにあった翌日。

 早朝から車両に乗り込み、埼玉に向かう。

「で、結局なにしに行くんだ、俺ら」

「管理局側からの命令……もといお願いと言うべきか。ある作戦を決行しなければいけなくなった」

 作戦、ねぇ。

「だったらなおさら戦力は多いほうがいいんじゃねえの? 百歩譲って俺が戦力になるとしても、姫さん以上の戦力はないだろ」

「今回の作戦対象がヒメだとしてもか?」

「はい?」

 これはまた、おかしな作戦だ。

「ついでに言えば、対象は3名いる」

「誰と誰だ?」

「千種明日葉、宇多良カナリア。これにヒメを加えた3名だ」

 なんだろう、嫌な予感しかしない。

「その作戦、他都市も参加だよな?」

「無論だ。千種霞、朱雀壱弥が強制参加だ。もちろん、おまえもな」

 なにさせられるんだよ……強制参加とか怖いって。

 なんて説明を受けている間に着いちゃったし。

「行くぞ」

「こうなりゃやるしかないな。対象があの3人なら危険もないだろうし」

「……そうだな。そうなればいいが」

「えー……」

 危険あんの? なにしたら危険にな――雪合戦で殺されかけたばかりだったな。十分気をつけよう!

 長い階段を登り、会議室に向かう。

「おっ、天羽も来てたのか」

 途中で出くわしたのは千種だった。

「あれよこれよという間にここまで来ちまったよ」

「そりゃ災難で。で、ここでなにするのか聞いてるのか?」

「いや、まだだ」

「……おたくが一番大変だろうけど、適当に頑張れよ」

 どういう意味だろうか?

 会議室に入ると、既に壱弥が定位置に腰を下ろしていた。

「遅い」

「いや、待ち合わせ時間とか聞いてねえし」

「四位さんが早いんだよ。なんでその早さでランキングも上にいけないわけ?」

「うるさい。見ていろ、いまに俺が一位になる」

 好きにしてくれ。

 ほたると千種も席に向かうみたいだし、俺はお茶でも煎れてくるか。

「おう、来たなおまえたち!」

「みんな、おはよう」

 3人にお茶を出した頃。見慣れた管理局の2人がやって来た。にしても、いつも2人で行動してるよな、あの人たち。

 まずは2人にもお茶かな。

「今日集まってもらったのは他でもない! おまえたち、明日はなんの日か知ってるか?」

「知らん」

「知りません」

「まあ、クリスマスイブだわな」

 求得さんの問いに、壱弥、ほたる、千種の順で答える。

「おい、壱弥……おまえ、仮にも男だろ! それがクリスマスイブを知りませんとはどういう了見だ!?」

「いいじゃないの、ね? それで、4人にはある任務についてもらいたいの」

 求得さんを抑えた愛離さんが、俺たち全員を見てから言う。

「あの、任務ってのは?」

「ええ。対象はもう確認してるわよね?」

「無論だ」

「で、明日はクリスマスイブ。ここまできたら、やることなんてひとつだと思わない?」

 クリスマスイブ。対象が姫さん、明日葉、カナリア。ここに集められた保護者ども。

「なるほど」

 そうか、そうきたか。

「あら、わかったみたいね。そう、今年のクリスマスイブは、4人はそれぞれの都市の首席、次席の子たちにサンタとして、プレゼントを配って欲しいの」

「いいか、おまえら。サンタとしてだからな? もちろん、ばれないよう慎重に慎重を重ねてだぞ。明日、おまえたちにはサンタクロースになってもらう!」

 今年は、忙しくなりそうだな……。

 ちなみに、俺以外の3人も、呆れたような、疲れ切ったような表情をしていた。

 けれど、結局は明日、俺たちはサンタになっているのだろうと確信を持ってしまった……。

 




もちろん続きます。
明日、明後日あたりで頑張って更新できればちょうどいいのではないかと思ってますからね。
更新できるのかって? ……たまには頑張ろう。
サンタ服の姫さんの出番も増やさなくては!
では、また次回。
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