*オリジナル鎧が出ます。
空から落ちた朱乃先輩を見て、俺は限界まで足に魔力を込めて走った。
『急げ、小僧! ありゃヤバイぞ!!』
「わかっている!!」
ただ走る。途中魔力弾が飛んできたが無視して走る。
小猫もやられて、朱乃先輩までやらせてたまるかよ!!
なんとか間に合ったが、もうすでに向こうの女王が朱乃先輩にとどめを刺す直前だった。
『小僧、鎧を使えっ!』
「おぉおおおおおおっ!! 牙狼ぉおおおおおおっ!!」
『
そして剣を投げ飛ばすが、向こうの女王は冷静に避ける……だがそれは想定内だ!
その勢いで牙狼剣を操って、焼き鳥の女王と朱乃先輩の間に円を作る。
ぶっつけ本番だったが、なんとか牙狼剣の遠隔操作が出来た。ザルバに何度も訓練を受けさせられ、結局できなかったが土壇場で出来たのは素直に嬉しい。
そのまま剣を操って手元に戻すと、砕けた円の中から鎧が飛び出してくる。
飛び込んだ格好のまま鎧が装着され、俺は朱乃先輩をかばうように仁王立ちする。
すると爆炎が巻き起こり、鎧にぶつかる。
だが不思議とダメージはない……土壇場で精神力が上がったのかな。
俺は首だけ振り向けると、朱乃先輩に謝る。
「ごめんなさい、朱乃先輩……遅くなりました」
安心したのか朱乃先輩の目から涙が流れていた。
それを見て、俺の怒りがさらに燃え上がる。
……体もボロボロだ、リタイヤした小猫の分までこいつを止めていたんだろうな。
『小僧、怒りに呑まれるな』
「……無茶言うな」
特訓中、何度もザルバに言われた。
怒りで剣を振るうな、守りし者として振るえと、だけどこの状況を見て我慢できるはずがないだろうっ!!
「このっ! このっ!! ただの人間が鎧を纏ったくらいで」
爆炎が巻き起こり、牙狼の鎧を焼いていくが少しの暑さも痛みも感じなかった。
腰の鞘に収まった牙狼剣抜き放ち、俺は叫ぶ。
「ただの鎧じゃないっ!!」
周囲に漂っているユーベルーナの魔力を断ち切り、手の甲のザルバに牙狼剣を噛ませながら構えて、口にする。
「俺は牙狼ッ! 黄金騎士だ!!」
そして剣を構えたまま俺はユーベルーナめがけて跳躍する。
狂ったように俺に向けて爆炎を送り続けるが、今の俺には通じない。
飛びながら体を捻り、ユーベルーナの体を――――。
「何っ!?」
『こいつは幻影だ!』
手応えがなく、剣が切り裂いたユーベルーナが霧のように立ち消える。
くそっ!! いつからだ!?
牙狼の鎧が体から離れていき、ドッと疲労感が流れ込んでくる。
「くっ……」
『幻影か、まだ近くにいるはずだ!』
牙狼剣を栞に戻して、ガクガクと震える膝を気力で奮い立たせる。
ここで朱乃先輩が撃破されたら大打撃だし、今の俺はもうガス欠に近い状態だ。
必死に気配と魔力を探るが、戦闘の影響で朱乃先輩や他の魔力が入り混じってわからない。
武器を投げ捨てなきゃ良かった、素手で魔法を使う相手と戦うとか地獄だろ。
「朱乃先輩、今すぐに逃げてください。ここは俺が囮になります」
「駄目よ、私も――――危ないっ!!」
朱乃先輩の声で体が動き、さっきまで俺がいた位置に爆炎が上がる。
なんとか直撃は避けれたが、爆炎の衝撃でふっ飛ばされる。
くそっ、余波なのに意識が持ってかれそうになりやがった。
「驚いたけど所詮は素人ね、見事に引っ掛かってくれたわ」
受け身を取り、態勢を立てなおしていると頭の上から声がする。
見ると不敵な笑みでこちらを見下ろす焼き鳥の『女王』がいた。
「鎧を使ってくれてありがとう。鎧の維持には体力がいるってのは本当みたいね。もう足がフラフラじゃない」
「……ハッ、さっきまで狼狽してた奴が言う台詞かよ」
「少し警戒してたけど所詮は人間ね。もっとも『兵士』を倒したことは褒めるべきかしら。さすが未熟でも魔戒騎士、いいえ黄金騎士の名を継ぐ者かしら、筋はいいと言っておくわ」
そいつはどーもと言いたいが、口をつむぐ。
さて、どうするか。
現状辛うじて戦えるのは俺だけ、朱乃先輩は魔力回復まで多少の時間がかかる。
対して『女王』は無傷の上、空という圧倒的に優位な位置を陣取っている。
ここで俺が食い止めないと朱乃先輩はおろか、向こうで戦っている師匠とイチ兄に不意打ちして撃破するだろう。
無理やり牙狼になることも選択肢だが、持って十秒の上向こうに攻撃を当てるためにジャンプすれば狙い撃ちにされるか、もう一回幻影を使われて時間切れで撃破。
泣けてくるわ、かっこ良く助けようとしたらこれとか。
「駄目、双葉くんだけでも逃げて! あなたはまだ戦えるわ!」
「『女王』であるあなたがいなくなったらどうするんです!! あなたこそ逃げてください!!」
朱乃先輩の言葉に叫び返す。
馬鹿言わないでくださいよ。もうボロボロの俺よりも
『……小僧、お前さんにかけられた封印を解いてやろうか?』
「出来んのかよ、ザルバ」
油断なく『女王』の動きを見ていると突然ザルバがそう言った。
『あくまで一時的だがな。ただ放出しろ。お前さんの魔力はずば抜けている、細かいコントロールを気にするな』
「何をブツブツと言ってるのかしら? 神様にでも祈ってるの?」
神様、か。
悪いがアーシア一人も助けてくれない神様には祈ってねえんだわ。
俺は笑いながらこちらに手のひらを向けて魔力を溜める『女王』と同じように手のひらを向ける。
「対抗する気? 無駄なあがきね!!」
「悪いな、人間ってやつは無駄な足掻きってのが大好きなんだよッ! ザルバ!!」
『かましてやれ!!』
体の中で何かが外れる感覚がした瞬間、体から魔力が溢れだす。
しかし相変わらずの暴れ馬なようでいつもの様に体に魔力を回すが全く制御できない。
「ぐ、ぐぐぐぐぐ」
ま、マズイ、予想以上に制御できねえぞ、このままじゃ自分の魔力で自爆しかねない!!
そう思っていると俺の背中に何かが触れ、暴れまわっていた魔力が急激に落ち着いていく。
「全く、無茶しますわ」
「ここで無茶しなきゃどうにもならないでしょ、朱乃先輩」
朱乃先輩が俺の体に触れて魔力の制御を補佐してくれているらしい。
これなら魔力を手のひらに溜めるのも容易だ、もっともそれでも制御しきれない部分が多いが……花火はでかいほうが見栄えがいいってな!
「何よ、その魔力は!?」
「悪いな、なんか魔力だけはリアス先輩を超えてるらしいんでな!」
「うふふふ、あなたは光栄ですわね。私達の最初の共同作業相手ですもの」
朱乃先輩の言葉にズッコケそうになるが、肩の力が抜けて魔力の通りが更に良くなった。
『女王』の顔が青ざめ、逃げようとするがもう遅い。
手のひらの魔力を『女王』に向けて開放する。
「朱乃先輩と小猫の分だ」
ドシュゥウウウウウ!!
轟音を立て、金色の魔力弾が『女王』めがけて直進する。
「こんな、こんなことでぇええええええっ!!」
凄まじい形相をしながら魔力弾が『女王』に着弾すると衝撃波と爆音が響き渡る。
……おー、さすが山一つ削る威力だわ、すげー衝撃。
着弾した場所が煙に包まれて見えないが、一応警戒しておく。アレだけの威力の魔力弾当ててまだ動けるならもう笑って降参するしかないがな。
そんな俺の不安を解消するためか、アナウンスが響く。
『ライザー・フェニックスさまの『女王』一名、リタイヤ』
「やりましたわ! 双葉くん!!」
「むぐぅっ!?」
くるりと体を回転させ、朱乃先輩が正面から抱き合う形で俺を抱きしめるがおっぱいに顔が埋まっている。
ヤバイヤバイ、なんか柔らかいしいい匂いするし柔らかいし汗の匂いとか色々となんかクラクラしてきて……あっ、これ酸欠や。
このままだとおっぱいに撃破されかねないんで、必死に背中を叩いて離すようにいう。
「やぁん、激しく息したら感じちゃいます」
『おい、雷の嬢ちゃん。離さないと小僧がリタイヤになっちまうぞ』
見かねたザルバがため息混じりに朱乃先輩に言うと、俺はようやくおっぱいから開放された。
頭がクラクラするわ。今が戦闘じゃなかったら今日は眠れずに過ごしてたわ。一般男子学生にこの感触はイカンですよ。
「ごめんなさい、嬉しくって」
「いや、こちらこそ助けるつもりが最終的に助けられて」
「ふふふっ、でもあの時の双葉くんは凄いカッコ良かったわ」
うぅ、あの時は必死だったけど思い返すと恥ずかしいな、牙狼と叫びながらとか……。
まぁでも結果的に守れてよかった。
ホッと一息ついていると耳につけていた通信機からアーシアの声が聞こえた。
[双葉さん、聞こえますか!?]
「アーシア? まさか本陣を攻められているのか!?」
有り得る話だ。
こっちの戦力は全て出しているし、向こうはまだ『兵士』が二人、『僧侶』と『騎士』が一人ずつ残っている。
『女王』を倒したとしても、その間にリアス先輩がやられたんじゃ意味が無い。さすがにリアス先輩が強くてもアーシアを守りつつプロモーションした『兵士』や『騎士』相手はキツイだろう。
[違います、今私と部長さんは学校の屋上にいるんです。ライザーさんから一騎打ちの申し出を頂きまして――――]
「無茶をする!!」
本当に無茶だ。
リアス先輩は確かに強い。滅びの力を特訓中に何度も見せてもらったがまさに一撃必殺。
当たれば何もかもが無に帰す力、だがその半面消耗が激しいというのが欠点だ。
焼き鳥の力は再生、気力さえ残っていれば体の殆どがふっ飛ばされても元通りになる。
これほど相性が悪い相手もいないだろう、加えて焼き鳥事態も強いので消耗はさらに激しくなる。
いくらアーシアが着いていったとしても、アーシアの神器では消費された魔力までは戻せない。
「なんとか持たせてくれ、加勢しに行くから」
そう一方的に言って、通信を切る。
朱乃先輩をちらりと見るがまだまだ戦線復帰は出来なさそうだ。
俺は朱乃先輩から離れる。
「……ごめんなさい」
「いいんです、朱乃先輩が回復する時間くらいは作ります。だから、早く来てください」
強がりを言って、なんとか立ち上がる。
一時的に膨大な魔力が体を流れたせいか、それとも連戦を続けたせいなのか俺の体はガタガタだった。
言っても焼かれて即撃破がオチだろう。
それでも行かなきゃならない、だって俺はリアス先輩に大きな貸しがあるんだから。
ふらつく体に無理やり魔力を流して、強引に動かす。……気絶したら地獄が待ってるな、これ。
足を動かそうとした時、朱乃先輩から懇願するような声が聞こえた。
「お願い、部長を……リアスを助けてあげて」
「……はい!!」
俺は校舎に向かって走りだした。
****
『ライザー・フェニックスさまの『兵士』二名、『騎士』二名、『僧侶』一名、リタイヤ』
「だらっしゃああああああああ!!」
アナウンスを聞きつつ、俺は正面玄関を蹴り壊して侵入する。
『無茶をする』
「体動かしてないと絶対気絶するからなこれ!!」
あと一回こういうことしてみたかったという本音は言わないでおく。
蹴り壊したスピードを維持しつつ、俺は廊下を走り屋上に続く階段を駆け上がる。
「ぐっ、ごほっ」
内蔵にダメージがいっていたのか走りながら俺は血を吐いてしまう。
口の中から鉄の味がするが関係ない、負けるわけには行かないんだ。
リアス先輩のためでもあるが、誰よりも駆けつけたい朱乃先輩に頼まれたんだ。
人間だとか、悪魔とかもう関係ない。俺は俺の出来ることをするだけだ!!
「あと、あと少し……ッあ」
屋上まであと少しのところ、そこで足が何かに引っかかり倒れこむ。
体から力が抜け、立ち上がれない。
「く、そっ、がぁああああああああああああっ!!」
叫びながら全身に力を入れてなんとか立ち上がる。
もう気力で立っているようなもん、今なら赤ちゃんにこづかれてもぶっ倒れそう。どこぞのスペ◯ンカー先生も笑えない耐久度しか持ってない。
しかし気力だけではどうしようもないのか、再度フラつき倒れようとした時、俺は誰かに受け止められた。
「双葉くん!!」
「師匠……?」
そこにいたのは同じくボロボロになった師匠とイチ兄だった。
あぁ、良かった、二人共ボロボロだけど俺よりは大丈夫そうだな。
「双葉、誰にやられたんだ!?」
「やられたというかほぼ、自分のせいなんだけどね」
攻撃を受けたのはあの『女王』の爆炎の余波だけだったが、思えば俺は人間であるしその余波だけで致命傷だったのかもしれない。
本当にスペラ◯カー先生だな、こりゃ。
「双葉、急ぐぞ! 部長がヤバイ」
「わかってるよ。師匠、すいません……剣、失くしちゃいました」
「ふふっ、じゃあ帰ったら修行を少しきつくしようか」
怒ってるじゃないですかやだー!!
ハハッ、絶対に勝たないとな。負けたら修行がさらにきつくなっちまうよ。
俺たち三人は互いに肩を貸しながら、階段を駆け上がっていく。
そして屋上の扉を思い切り開け放つ。
眼前では焼き鳥とリアス先輩が戦っていた。
離れた位置からアーシアが神器でリアス先輩を援護していた。
リアス先輩の全身はボロボロ、対して焼き鳥は傷一つ負っていなかった。
「部長ぉおおおお!! 兵藤一誠、以下眷属三人加勢に来ましたぁあああああああああっ!!」
イチ兄が屋上全体に響き渡るような大声を出すと、焼き鳥やリアス先輩がこちらを向く。
「イッセー!」
「双葉さん!」
「赤龍帝に黄金騎士!? レイヴェルのやつはなにしてるんだ!!」
歓喜の声を上げるリアス先輩とアーシア、焼き鳥は舌打ちをしながらこちらに炎を投げつけるが、師匠が前に出てかき消す。
恐らくは火を無効化する魔剣を創造したんだろう。
焼き鳥は不快そうに顔を歪める。
「全く予想外だ。あのへっぽこな小僧と未熟な魔戒騎士がここまでやるとはな……腐っても伝説というわけか?」
「さぁ、どうする焼き鳥。お前は一人、こっちは五人だ」
数の差では圧倒的有利、あとは朱乃先輩が来れば焼き鳥は詰む。
だが焼き鳥の顔からは余裕が消えない……ブラフか?
焼き鳥はにやりと笑いながら、俺を見る。
「それがどうした。オイ、黄金騎士、お前はまだ他の魔戒騎士を見たことがなかっただろうな……見せてやるよ、本当の魔戒騎士というものを!!」
「何?」
ライザーは着ていたスーツのボタンを外し、手を内側に入れた。
まさか……まさか!?
予想が的中したのか、ライザーの手に青龍刀に似た剣が握られていた。
『間違いない、アレは魔戒剣だ!』
「嘘だろ!? じゃあアイツも」
「そうだな、光栄に思えよお前たち。俺が剣を抜くのはお前らが初めてだ!!」
ライザーは指揮棒のように剣を振り回し、両側に円を作る。
「マズイ、リアス先輩!! 召喚する前にアイツから剣を!!」
『もう遅い!!』
ザルバの叱責するような声の後、ライザーの体からとんでもない熱風が吹き荒れる。
あまりの熱波に目が開けておられずに顔を腕で覆う。
チリチリと焼き付く感触が気持ち悪い。
ようやく収まったのか周囲の温度が戻っていく。
「リアス、
「あなたが魔戒騎士とは聞いてなかったわね、ライザー」
冷や汗を垂らしながら、リアス先輩は鎧を纏ったライザーを見る。
牙狼とは違い、全身が緋色で炎のような装飾がある。そしてなんといっても頭部がまるで羽を広げた鳥のような形状をしている。
黄色い瞳が俺を射抜くように見てくる。
「あぁ、鎧を受け継いだのがついこの間でね」
『炎陽騎士・
「ザルバ、知っているのか?」
『あぁ、昔牙狼と共に戦った魔戒騎士の鎧だ。あの時は天使がつけていたが悪魔に渡っているとはな』
……予想外すぎるだろうが、まさか焼き鳥が魔戒騎士とか。
てかソウルメタルって扱い難しいんじゃなかったのか!?
『扱いは難しいが一定の精神力を持ってれば扱えるし、相手は悪魔だ。元々のスペックがお前さんと違いすぎるからな、あと人外のほうが魔戒騎士は多い』
「というわけだ。牙狼も耄碌したもんだ、まさか人間を選ぶなんてな」
鎧を纏ったライザーはテンションが最好調なのか、俺を煽ってくる。
正直、頭に血が上るが突っ込んでもどうしようもない。ただでさえ、鎧を着る前から強いライザーが鎧を着るとか悪夢でしか無い。
『気をつけろよ、翔牙の基本戦闘は烈火炎装を使った遠距離斬撃だ』
「烈火炎装って何!?」
俺が叫ぶとライザーの鎧から桃色の炎が噴き出す。
なるほど、アレか……えっ? 俺も出来るの?
『今のお前さんじゃ、烈火炎装の火に耐え切れん』
「ハッハッハッハ!! お笑い種だ! 黄金もない! 満足に剣も振るえない! 鎧も不完全とはな! リアス、お前の助っ人はとんだ役立たずだ!」
「……バカにしないで頂戴。この子は人間でありながら堕天使にも、上級悪魔のあなたにさえ立ち向かう勇敢な心を持った人間よ!」
「取り消してもらおうか、一応僕は彼の師だ。弟子が馬鹿にされて怒らない奴はいない!!」
泣くからホントやめてくれよ、二人共。
でもおかげで覚悟が決まった。
栞から牙狼剣を取り出して鞘から引き抜き、焼き鳥に向かって剣を向ける。
しかし剣を持っている方の手にアーシアが抱きついて叫ぶ。
「やめてください! 双葉さんは限界じゃないですか!!」
「イチ兄に比べたら元気なもんだよ」
殴られたのか、それとも蹴られたのか先程から黙っているイチ兄の全身は俺よりボロボロだ、そっちを気にしてくれよ。
「アーシアはリアス先輩を回復してやってくれ。大丈夫、牙狼になってあんなやつ――――」
「大丈夫なんかじゃないです! そんな体で鎧を纏ったら」
『死ぬかもな。精神力も体力もほとんど残ってないぞ』
余計なことを言うなよ、ザルバ。
『事実を言っている。これ以上無茶したら死ぬぞ』
「ザルバさんだって言ってます! だから木場さんやイッセーさんに任せて休んでください!」
「私からも言うわ。双葉、あなたが命を掛ける必要はないの。これは私のワガママの戦い。眷属じゃないあなたに何かあったら、あなたのお父さまやお母さまに申し訳がたたないわ」
……リアス先輩、アーシア、言い分は分かったよ、でもな。
俺はアーシアの肩に手を置いて、ぐいっと後ろに下げさせる。
「ならコレは俺のワガママだ。アーシアを救った時のようにな」
「なんで、なんでですか双葉さん。もう嫌なんです、あの時みたいにボロボロになった双葉さんを見るのは……」
アーシアのすすり泣くような声で胸が引き裂かれたように痛い。
心から俺のことを思ってくれてるのがわかるが……引くに引けねんだよ。
焼き鳥に、いやライザーに一発ぶち込まなきゃ気がすまない。
「……部長、双葉、ごめん、俺今から相当無茶をする」
『いいんだな? 相棒、本当に「喰らうぞ」』
「オイ、イチ兄!? 何の話だ」
先程から押し黙っていたイチ兄から強烈な力を感じる。
それとブーステッド・ギアの宝玉が見たこともないくらい輝いている。
「ほう、この土壇場で何をするんだ? ドラゴンの小僧」
「うるせぇ! 部長の――――リアス・グレモリーの処女は俺のもんだ!! 誰にも渡さねえ!!」
こんな土壇場で何を言うとんじゃああああああああああああ!?
ほら! 師匠とかみんなぽかーんってなってるじゃん!? さっきまで殺す殺されるかの瀬戸際だったのにさぁ!
『ぷっ、ははははっ! こいつはおもしれぇ! 主の処女を自分のもんとか言う悪魔は初めて見たぜ』
『あぁ、こいつは大馬鹿野郎だ。恐ろしいほどのなッ!!』
「ザルバ笑ってる状況か!? てかドライグ! 何をするつもりだ!!」
どんどん腕の宝玉の輝きを増していく。
腕を天に突き出し、イチ兄とドライグが叫ぶ。
『相棒! お前は代償を払った! ぶちかましてやれ!』
「おう! 部長っ! 俺はここに宣言しますよ! 最強の『兵士』になるって! 木場や双葉みたいな剣の才能もない。朱乃さんみたいに魔力の天才ってわけでもない。小猫ちゃんみたいなバカ力もアーシアみたいな癒やしの力もない。それでも成ってみせます!」
あまりの光にこの場にいる全員が顔を腕で覆う。
光の中、俺は真っ赤なオーラを身にまとったイチ兄を見たと思う。
「部長なら神様だって殴りますっ! 仲間のためなら俺は踏ん張ります! 俺の唯一の武器、このブーステッド・ギアで皆を。部長を守ってみせます!!」
『Welsh Dragon over booster!!』
衝撃が俺たちを襲った。
◯炎陽騎士・
見た目は仮面でライダーな魔法使いに出てきたフェニックスに炎刃騎士・漸の鎧をつけさせた感じの見た目。
烈火炎装を常時使うという目的で調整された鎧であり、先の大戦では天使が装着者として猛威を振るったが現フェニックス家当主の手によって以前の装着者が倒され、剣はフェニックス家に保管されることになる。そして現在では何故か持てたライザーの手によって使われている。
魔戒騎士としてはライザーも未熟なのだが、持ち前の才能と炎を司るフェニックスという特性上相性はかなりいい。
現状に五時間ほど鎧を纏えるが体力と精神力を限界まで使ったことがないライザーの消耗度から言って、戦闘を行った場合は一時間も持たずに鎧が自動的に外れる。
◯烈火炎装
魔界の炎である『魔導火』を全身または武器に纏わせ、攻撃力と防御力を劇的に向上させるというものだが、今作品では剣と鎧を打ち合わせる、自身の能力で着火させるという方法ですることが出来、原作よりも難易度が若干低いが対象者の体力を著しく奪うというデメリットは健在するが、ライザーはそのことを知らずに使っている。
主に攻撃用に使われるが迷える魂を浄化し、成仏させる儀式「弔いの炎」などに使われたりもする万能奥義。
オリジナル騎士出して見たのとライザーは少し強化しないとね。
ちなみに剣を持てたのはリアスと結婚できると思ってテンション上がったせい。多分、鎧まとっているから原作よりボコボコにされるけど頑張れ焼き鳥。
作者は意外と嫌ってないから。
そして烈火武装とか何やってるんですかね、この作者は