ハイスクールD×D 黄金騎士を受け継ぐもの   作:相感

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巻いて巻いて(ry)


模擬戦と決意

 球技大会の練習で使っていた場所で、俺と師匠は軽くストレッチをしていた。

 あの後、さすがに見かねたリアス先輩から模擬戦という形で戦わせることにした。

 周囲にはリアス先輩と朱乃先輩が張ってくれた結界があるので気にせずに戦える。

 

「師匠、くれぐれも本気にならないように!」

「……わかっているよ」

 

 絶対わかってないと確信できる暗い表情と声で、俺は天を仰ぐ。

 師匠が介入してくれたおかげで頭が冷えたがとんでもないことになったもんだ。

 この熱くなる性格どうにかしないとなぁ。

 

「祐斗、ただの手合わせでも気をつけて」

「わかってます」

 

 さっき見せられた聖剣使いと上級悪魔の戦いを録画したビデオを思い出す。

 斬られた悪魔の傷口が煙を上げながら消滅していたのを見て、心底驚いたわ。ちなみに牙狼剣も分類上は聖剣に位置するらしい。

 手合わせでも、少しでも斬られれば悪魔は戦闘不能になる。

 イリナとゼノヴィアはローブを脱ぎ捨て、黒い戦闘服を晒していた。

 体の線が出ていてイチ兄がいやらしい目線を送っている。だが、防御面では優れた一品だというからこれまた驚きだ。

 二人共エクスカリバーを構えているが、イリナのエクスカリバーは日本刀のカタチになっていた。

 

『油断するなよ、双葉』

「あったりまえだのクラッカー。師匠も気をつけて!」

 

 栞から魔戒剣を直接抜く。

 修行してるから五分ではく三十分は持てるようになったんだよなぁ。まぁ鎧は何故か99.9秒のままなんだが。

 

「ほう、魔戒剣か。実物を見るのは久しぶりだ」

「教会にもいるのか? 魔戒騎士は」

「ええ、いるわよ。天使で閃光騎士輝牙(キガ)と名乗っているわ」

 

 へえ、やっぱいるのか、にしても天使の魔戒騎士か……いや、天使が魔がつく物を名乗って良いのだろうか? まぁ、問題はないから名乗っているんだろうし。

 

「笑っているのか? 先輩」

「あぁ、倒しくて、壊したいと願い続けた物がそこにあるんだ。嬉しくてね。ドラゴン、悪魔、魔戒騎士、これだけのものが集まるここならいずれはとは思ってたけどこんなに早く巡り会えるなんて」

 

 ゾッとするほどの笑顔だが、ゼノヴィアは涼しい顔をしながら師匠が出した魔剣を見る。

 

「なるほどな。魔剣創造(ソード・バース)……聖剣計画の被験者で処分を免れた者がいるかもと聞いていたが……主よ、これも試練ですね」

 

 ゼノヴィアの言葉に師匠は答えない。

 ただ無言で殺意を向け、握り壊すかと思うほど柄を握りしめている。

 マズイな、下手すりゃ殺し合いになっちまうぞ。そうなったら俺が止めないとヤバイ。

 

「伝説の黄金騎士で、イッセーくんの弟くんが私の相手なんて」

 

 ふと意識を目の前のイリナに向けるとそんなことを言っていた。

 幼い頃、イチ兄の親友だったそうだが初めて聞いたよ、こんな美少女な幼馴染がいるなんてな。

 

「自分のお兄さんが悪魔になって悲しくないの?」

「どんな形であれ、生きているならそれでいいさ。理不尽に奪われた命が戻ることに喜ばない奴はいないだろ?」

 

 というかなんで俺戦うことになってんだろ? ゼノヴィアとなら問題なく戦えるんだが、イチ兄の知り合いだと思うとちょっとなぁ。

 しかし、イリナは俺に哀れみとも思える表情を向け、頬に一筋の涙を流した。

 

「なんて麗しい家族愛。これが悪魔で無かったら美談だわ! それにしてもまさか魔戒騎士と戦う日が来るなんて! これも主の試練なのですね! でもここで乗り越えれば私はまた真の信仰に近づけるわ! アーメン!」

 

 ……あぁ、分かったわ、コイツアホなんだ。

 目をキラキラさせながら俺にエクスカリバーを向けてるが、完全に自分に酔っていらっしゃる。

 こういう出来事を楽しめる奴は一種の才能なんだろうなぁ。コイツ、どこでも楽しくやっていけそうだなぁ。

 

「それじゃあ! まずは一撃!」

「ッ!?」

 

 鋭い突きを避ける。

 さすがに早いな、聖剣を持たされるだけあって人間だと相当強い部類に入るんだろうな。

 ……んー? 待てよ、それと戦う俺もだいぶ強いのか?

 

『ぼやっとするなよ、小僧』

 

 ザルバの声で意識を現実に戻すと、再び突き出してきた刀を魔戒剣で受け流す。

 あっぶね、あっぶね、油断してたらすぐに負けるな、こりゃ。

 

「さすが魔戒騎士! このくらいは普通に対応されちゃうわね」

「師匠が良かったんでな」

 

 そのまま斬り合いながらイリナの動きを見る。

 戦い慣れているし、動きに無駄が少ないしまだまだ余力を残しているのがわかる。

 それにエクスカリバーの能力も使ってないしな。その気になれば振りながら形を変えて襲うなんて事もできるはず。

 

「……ごめんなさい、見くびっていたわ。だから――――死なないでね?」

 

 ほぼ勘だった。

 足の魔力を爆発させ、吹き飛ばされるカタチで後方に下がる。

 見れば、刀身が折れ曲がった……いや、曲がらせたエクスカリバーがさっきまで俺の頭部があった空間を突き刺していた。

 なぁにアレ、純粋な剣士だったら負けてたぞ。

 

「今を交わした人は少ないわ。誇ってもいいわよ」

「ズルくない? それほぼ不意打ちじゃねえか」

 

 苦笑しながら、伸びてきた刀身を体を振りながら避ける。

 うぉおっ!? 中距離もいけんのかよ、このエクスカリバー厄介すぎんだろ!!

 

「魔戒剣もあぁいうこと出来ねえのか!?」

『……弓という形で使っていた騎士もいたが、あそこまで反則的な攻撃をする奴はいなかったな』

 

 烈火炎装が使えれば良いんだが、火種がねえんだよなぁ。

 まぁ、どっちみちザルバからは使用禁止されてるんだがな。今の俺だと速攻で精神力を燃やし尽くされて最悪死ぬとか言われたからな。

 

「鎧は召喚しないの?」

「人間相手には勿体無い」

 

 嘘です、ホントは召喚する暇もないし召喚して決めきれる自信がない。

 ……いや、出来るか? ちょっと実験も兼ねてやってみるか。

 俺は動きを止めて、空中に円を作る。

 

「させないっ!!」

 

 召還の仕方を知られているのか、イリナは焦った顔でエクスカリバーを急いで伸ばす。

 俺は念じながら、左腕を突き出してエクスカリバーを掴んだ。

 

「そんな……エ、エクスカリバーを!?」

「実験台成功ってな」

 

 エクスカリバーを握りながら、俺は左腕に纏わせた鎧を見る。

 前々から出来るんじゃないかなーとイチ兄に言われていたことだ。ぶっつけ本番だったがうまく出来てよかったよ。

 イリナは急いでエクスカリバーを戻そうとするが、その前に俺が引っ張って態勢を崩させた。

 

「なんて馬鹿力ッ!!」

「ッ!!」

 

 態勢を崩したイリナの懐に飛び込み、首筋に牙狼剣を当てる。

 ……はぁ、なんとか勝てた。

 

「……負けたわ」

「そっちも本気じゃなかっただろ? それにこれは模擬戦みたいなもんだ」

 

 鎧を戻して、首から魔戒剣をそっと外す。

 勝ったが軽い運動みたいなもんだろ。イリナの表情は余裕あるし、何よりもその気になればエクスカリバーの形状を途中で変えて、防御にも使えたはずだ。

 手を伸ばし、倒れたイリナに手を貸す。

 

「そちらもね。まさか鎧にこんな使い方あるなんて」

「ぶっつけ本番だったから失敗してたら大怪我だった」

 

 埃を落としながら立ち上がるイリナをゼノヴィアは少し目を細めてみる。

 

「油断のしすぎだ……まぁ、私も少し侮っていたから同じような結果になっていたかもな」

「キミの相手は僕だ」

 

 師匠が両手に魔剣を握り、ゼノヴィアに斬りかかる。

 片方から火が、もう片方は冷気を放つ魔剣だ。神速のスピードを出しながら向かう姿はいつも通りだが、動きが直線的すぎる。

 

「『騎士』の動きと炎と氷の魔剣か……だが甘いッ!」

 

 ゼノヴィアは肩に担いでいたエクスカリバーを一振りした。

 師匠は動きを止めて受け止めるが、たった一振りで師匠の手にあった魔剣が砕け散った。

 

「ッ!」

「よく練られている。だが我が剣は破壊を司る!」

 

 ゼノヴィアは器用に振り回し、天にかざした剣を勢い良く振り下ろす。

 次の瞬間、地響きを立てながら地面が激しく揺れる。

 イリナを庇うように障壁を張って、土煙から守る……凄まじい一撃だな、単純な威力だけだったらイチ兄のドラゴンショットを思い出すくらいに強烈だわ。

 

「あれがゼノヴィアのエクスカリバー。『破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)』よ。単純な威力だけなら教会でもトップクラスでしょうね」

「なるほど見かけによらずパワータイプってわけだ」

 

 土煙が晴れると地面にクレーターができていた。

 師匠はそこから離れた位置で悔しそうにゼノヴィアの持つ剣を睨む。

 

「分かれてもこの威力か……だけど僕はそれを叩き折る」

「すさまじい執念だな。しかし、それは無理だ」

「無理かどうかじゃない、やるだけさ」

 

 言い切る師匠は立ち上がり、手に巨大な禍々しい剣を出現させる。

 大きい、優に二メートルは超えてるぞ!? だけど師匠のスタイルと違いすぎる、まさか破壊力勝負しようってのか!?

 

「この力は同志たちの無念の想いで作られた。破壊力勝負といこうじゃないか!!」

「駄目です!! 師匠!」

「残念だよ、先輩」

 

 落胆した表情でゼノヴィアは再びエクスカリバーを振るう。

 すると師匠が振りかぶっていた巨大な剣が簡単に砕け散る……くそったれが!! 俺はたまらずに走りだした。

 

「破壊力勝負なんてナンセンスだ。キミがすべきだったのはその俊足と多彩な魔剣による連続攻撃。ただ破壊力だけを高めた魔剣モドキが折れているとはいえ聖剣エクスカリバーに勝てるはずがないだろう」

 

 障壁を展開して、師匠の腹部に襲いかかった柄頭をなんとか押し止める。

 くそっ、刀身じゃなくて柄頭でもこんなに威力あんのか!? 衝撃がこっちに来たじゃねえか!!

 

「双葉くん、邪魔をしない――――」

「いい加減にしてくださいっ! 頭も冷やせない今の師匠じゃ逆立ちしたって勝てません!!」

 

 振り返り、師匠の襟首を強引に掴んで立たせる。

 いつもの師匠ならこんなことはしなかった。ゼノヴィアの一撃は愚直なまでに真っ直ぐだ、やりようはいくらでもあったのに真正面から戦うなんて師匠らしくない。

 俺の言葉に怒りを覚えたのか、強引に襟首を持った手を不快そうに払う。

 

「僕はキミの師から下りた。あと邪魔しないでくれ、まだやれる」

「少しは頭を冷やしたらどうだい? 黄金騎士の言うとおりだ。いくら破壊力を上げようが、今のキミでは負けない自信がある」

 

 結界が解ける、つまりは戦闘は終わりだということだ。

 今にも飛びかかりそうな師匠の体を、イチ兄二人がかりで抑える。イチ兄に予想していたのかブーステッド・ギアのチャージを終わらせていたらしい。

 そんなイチ兄の左手にある物を見て、ゼノヴィアが驚く。

 

「『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』。この極東の地は驚いてばかりだ……中々面白い体験だった、悪魔と手合わせなど普通は出来ないからな。リアス・グレモリー、先ほどの話は頼んだ。安心してくれ、私達が死んでもエクスカリバーだけは死守する」

 

 ゼノヴィアは布にエクスカリバーを包み、踵を返し歩いて行く……と思ったら、俺達の方を向いて話しかけてくる。

 

「赤龍帝、『白い龍』は目覚めているぞ。あと黄金騎士、この街にこちらが保存していた魔戒剣を奪い取った者がいる」

『……やはり、か。そんな気はしていたがな』

 

 白い龍? てか魔戒騎士がいるのは確定なのな、てか奪われてるんじゃねえよ!! と言いたいが、魔戒剣はそんじょそこらのやつに使えないから奪われたのは予想外だろうな。

 普通のやつが持つと巨岩のように重いから、持ち運べるというのならその剣の使い手が偶然現れたってことなんだろうな。

 

「待てッ! 離してくれ、僕はまだッ!!」

「ちょっと待ってよ、ゼノヴィア。それじゃあね、イッセーくんに双葉くん。特に双葉くん次は負けないから」

 

 そう言って歩き去る二人の背を、師匠はずっと睨みつけていた。

 

 

 

****

 

 

 

「双葉、すげえな! 俺だったら負けてたよ」

「イチ兄とは相性が悪すぎるだろうし、向こうが本気出してたら負けてたよ」

 

 謙遜ではなく事実。間違いなく向こうの方が戦闘経験値あるから、殺し合いやるなら破壊よりも変化を司るイリナのエクスカリバーとは絶対戦いたくない。

 というかあの二人と戦いたくねえよ。搦手のイリナと攻撃特化のゼノヴィア、あの二人のエクソシストと戦うなら相当の力がないと辛いだろうな。

 

「双葉さん、ごめんなさい。私のせいで」

「アーシアのせいじゃないから。アーシアこそ大丈夫か?」

 

 教会の奴らと会って一番ダメージを受けかねないのはアーシアだろうからな。

 しかし、アーシアは少し暗いが笑顔を向けてくる。

 

「大丈夫です。確かに辛いですけど、双葉さんや皆さんがいますから」

「それよりも双葉くん。聖剣使いと戦わないでください、あなたにもしもがあったら私は泣いちゃうわ」

 

 いたずらっ子のような顔をしながら俺を心配する朱乃先輩。

 んー、でも泣く姿があんまり想像できないな、朱乃先輩ならにこやかな笑顔が似合っているような――――。

 

 やだやだやだ! ――くん!

 

「どうかしましたか?」

「い、いや……やっぱ疲れてちょっと目眩が」

 

 誰かが泣いている姿が見えた。

 誰だ? なんで今さらこんなことが……記憶が戻りかけてるのか? もう何年も思い出せないのに、今更かよ。

 

「待ちなさい、祐斗!!」

 

 リアス先輩の静止する声が聞こえて、俺達は首を向ける。

 

「私のもとから離れるなんて認めないわ! あなたは私の『騎士』なのよ。それに『はぐれ』になったらどうなるか、わからないあなたじゃないはずよ!」

「……僕は、同志たちがいたからこそあそこから逃げ出せた。僕の魔剣には恨みを篭めなければいけないんです。でも、ここは優しすぎる」

 

 フラフラと歩き出す師匠の背中に俺はたまらず叫ぶ。

 

「師匠! ……俺は違うと思います。ホントに恨みを持って師匠にその力を同士さんたちが与えたのなら、ゼノヴィアにあそこまで惨敗してませんよ」

「キミに、キミに何がわかるんだい? 恨みだけで生きてきたこの僕の何がわかるんだ!」

 

 同じように叫んだ師匠は俺達の前から姿を消した。

 うなだれるリアス先輩にイチ兄が近づいて励ます。

 師匠、多分違いますよ。師匠の(神器)はきっと恨みとかそういう暗い感情で出来たものじゃないと思います。

 それに俺は師匠の今までを知りません。けど、あなたは俺の師匠なんだ。最期まで師匠信じられない弟子に、俺はなりたくないんです。

 

 だから、師匠……俺もあなたを手伝います。

 

 

 

****

 

 

 

 次の日、俺は駅前のファミレスでとある人物を待っていた。

 ……来てくれるかなぁ、リアス先輩経由で話しつけてもらったが。

 不安に思っていると苦々しい顔をしながらその人物が来てくれた。

 

「……兵藤弟、何の用だよ」

 

 先日お会いした匙先輩だ。

 気だるそうにこちらを見る匙先輩……彼には「今度ソーナ会長に牙狼を見せる日程調整のために話そう」というそれっぽい理由で来てもらっている。

 本当は違うんだがな。

 

「すいません、匙先輩。せっかくの休日なのに」

「全くだ。くだらない会話ならすぐに帰るからな」

 

 すぐに済むと言って座ってもらう。

 さて、リアス先輩とソーナ先輩には迷惑かかるな。

 

「この町にエクスカリバーが持ち込まれていることは知ってますよね?」

「あぁ、会長から聞いたよ……ん? 牙狼を見せる日程調整じゃないのか?」

「ごめんなさい、それは匙先輩を呼び出す口実です……すいませんが、ここから話す内容はソーナ先輩、リアス先輩にも漏らさないでください」

「……確約は出来ねえぞ? 俺は一番下っ端なんだからな」

 

 だから呼んだんだと言ったら殴られそうであるから黙っておく。

 さて、本題言うか。

 

「俺、この町に来ているエクソシストと協力してエクスカリバーを破壊します」

「ぶほっ!?」

 

 飲んでいた水を噴き出し、激しく咳き込む匙先輩に申し訳なく思う。

 逆の立場なら間違いなく俺もこうなっていた。

 

「ちょ、ちょっと待て、正気か!? てかリアス先輩や会長に黙っておけってそういうことかよ!?」

「万が一の時、ソーナ先輩に早めに伝えるために匙先輩には話しました」

「バカお前、裏切る気か!?」

 

 そんな気はないので、師匠のことを簡潔に伝えるときょとんとした目をした後、真剣な目つきで匙先輩は俺を見つめる。

 

「うわさ通りのやつなんだな」

「噂?」

「あぁ、お前の粘り強さとかこの町で結構有名なんだぞ? 決めたことはやり切るってな」

 

 そんな噂聞いたこと無いんだが? まぁいいか、伝えたし話すことはもうない……ファミレスの人に申し訳ないんで少し早めの昼食うか。

 

「本気でやるつもりか? 確かにお前は人間で黄金騎士、無下にされることはないが……相手は堕天使の大ボスだぞ?」

「匙先輩、俺は師匠に剣を教えられる時間が好きなんです」

 

 楽しかった。師匠と共に剣を振って、打ち合う。疲れるし、ケガもするのに俺は楽しかった。

 師匠もほめてくれるし、最近ではようやくまともに打ち合えるようになってきたんだ。

 そんな時間がたかがエクスカリバーでぶっ壊されるなら、俺が破壊してやるよ。どうせもう一回折れてるんだろ? 二回も三回も変わらないだろ。

 

「匙先輩、俺はワガママなんです。馬鹿だって思うでしょうけど、俺は師匠、いや木場祐斗先輩が帰ってくるなら堕天使に喧嘩売りますよ」

「……兵藤弟、俺さ、お前のこと勝手に嫌ってたんだわ」

 

 急に匙先輩がそんな事を言うが、初対面でだいぶ失礼なことしたからな、当たり前だと思ったんだが……あ、あれ? ちょっと涙ぐんでない?

 

「すげえと思うよ。お前は少し前までただの人間だったんだろ? なのにさ、会長とかリアス先輩やみんなに黙ってやろうとするなんてさ。やっぱ黄金騎士だからか?」

「俺はただの人間ですよ、匙先輩」

 

 ゼノヴィアにも言ったが人間は人間だ、それ以上でもそれ以下でもない。

 ただ鎧をまとえて、魔力使えて、ほんのちょっと腕っ節が立つ人間なだけだ。ゼノヴィアたちを見ると俺は普通だと思う。俺より強いやつなんてわんさかいるしな、そもそも母さんに料理を作ってもらえなくなったら俺負けるしな。

 

「……なぁ、兵藤弟、いや双葉。俺にも手伝わせてくれないか?」

「へっ?」

 

 突然の申し出に困惑していると匙先輩が両手を握ってくる。

 

「感動したんだよ、それに数はいたほうが良いだろ?」

「で、でもソーナ先輩に怒られるんじゃあ」

「その前に俺たちが怒るぞ、双葉」

 

 ギギギと壊れたオモチャのように首を動かすと、そこにいたのは指をパキパキ鳴らしながら威嚇する小猫と、ため息を付いているイチ兄がいた。

 な、なんで!? イチ兄なんで!?

 

「アーシアがお前の様子がおかしいって言ってきたからつけてきた。あぁ、小猫ちゃんとは途中であったんだよ」

「双葉は絶対に無茶すると思ったから監視してた」

 

 ……あぁ、バレてた訳だ、やっべちょっと予想外すぎる。

 だが、二人は席に着くと匙先輩の手の上から握ってきた。

 

「俺もやるぜ、双葉。イケメンは許せねえけど、部長が泣いてる顔は見たくないんだ」

「……私は木場先輩の力になりたいんです。昔、眷属になりたての頃、あの人は優しくしてくれたんです」

 

 イチ兄、小猫……匙先輩も、みんなありがとう!!

 

「よぉし! まずは腹を膨らませようぜ! 俺ランチセット」

「俺もだ!」

「……私も食べます」

 

 こうして俺達は結束した。

 師匠、やっぱりあなたは恨みなんかで命を散らすほど安い命じゃないみたいですよ、こんなにも心配してくれる人達がいるんだ。

 だから、必ず助け出します、拒否されたってね

 

 




今回勝てたのはイリナが本気じゃないためのとなんやかんや、双葉の実力がモリモリ上がっているせい。比較対象がイッセーなのが悪いんですが人間の範疇超えてる自覚を持ったほうがええんやで?
あと匙はホント良い奴。原作で禁手になった時はすげえ嬉しかったゾ。
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