ハイスクールD×D 黄金騎士を受け継ぐもの   作:相感

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シリアスで行こうと思ったんですよ! 必死にッ! その結果がこれだッ! (中略)これ以上どうしろっていうんですか!!


黄金騎士と魔王少女

「大丈夫? 双葉? 体調が悪いなら」

「大丈夫だ、昨日はしゃぎすぎただけだよ……それに教室でいつも寝てるんだ、行くのもここにいるのもそんな変わらないさ」

 

 次の日、俺の表情は思った以上に悪かったらしく、起き出してきた皆に驚かれた。

 そりゃあんな悪夢を様々と見せられたらな……ドラゴンか、味方なら頼もしいが敵ならここまで恐怖するのか。

 今日は授業参観の日だ。

 父さんも母さんも気合を入れているが、俺のところまでは来ないだろうな。

 アーシアはこの日を心待ちにしていたらしく、ウキウキ気分でいたが……今は表情を曇らせている。

 俺のせいだよなぁ……俺は朝食を勢い良くかきこむと鞄を持つ。

 

「今日は一人で行くよ」

「双葉さん! ……また、無茶するんですか?」

 

 アーシアの訴えるような瞳が俺を見る。

 無茶をする気はないが……悪いな、今日は一人にしてくれ。

 

「ごめん、ごちそうさま。ほんとうに大丈夫だから、イチ兄たちは気にしないでくれ」

 

 俺はそれだけ言って、玄関から飛び出すと魔力を使って宙に浮かび上がり、学校とは別方向へ向かう。

 目指すはあの山だ。

 

 

 

****

 

 

 

「ッ! やぁっ!!」

 

 迫り来る太い丸太を剣で受け流す。

 ここは師匠と作った訓練場だ。

 さっき学校に今日は休むと連絡したが、母さんたちは怒るだろうな……というかこんな日に何やってんだ俺は。

 制服を脱いで体操服に着替えた俺は一通りの訓練をするが、体を動かせば動かすほど悪夢のイメージが濃くはっきりと見えてくる。

 こんなんじゃダメだ!! 

 

「らぁっ!!」

 

 丸太を両断しながら俺は息を吐く。

 くそっ! くそぉっ!! こんなんじゃ誰も守れない!! もっと力だ、力をつけなきゃあの悪夢が現実のものになる!!

 

『落ち着け、何を見たのか知らんが学校サボってまでやることか?』

「うるさいっ!!」

 

 全身にいつも以上に魔力を回しながら、俺は山の中を走り回る。

 体の奥底が熱を持ったように熱い。だけど俺はそれを保持したまま、剣を持ちながら目についた木にぶつけようとした。

 しかし実際は切れずに、突然現れた二本の魔戒剣に受け止められる。

 ……誰だッ!!

 

「なるほど未熟ってわけだ」

「ロゼさん!? うわっ!?」

 

 とんでもない力で跳ね飛ばされ、俺は空中で一回転するが態勢を立てなおして着地する。

 俺は師匠からもらっていた剣を栞に収めると魔戒剣を取り出して構える。

 ロゼさんは器用に両腕で剣を回すと、逆手に構えながら俺に向けてくる。

 

「気が変わった。静観してるつもりだったがお前の実力を見ておくか。打って来い」

「……」

 

 試すつもりなのか? ロゼさんの目は本気だった。

 両腕を開いて打って来いと目で言っている。

 ……行くか。

 

「おおおぉっ!!」

「ふっ」

 

 大きく振った一撃はバツの字にされたロゼさんの剣で受け止められる。

 その顔は余裕そうだ、笑みを浮かべながら俺の太刀筋を見つめていた。

 

「良い剣だ。荒削りだが思いのこもった剣……先代にはなかったものだな」

「くっ!!」

 

 次々と打ち込むがその全てを見切られ、受け止められる。

 まるで通じない!? 生きているかのように動く二刀の剣がくるくると回転し、俺の剣を受け流す。

 くそっ、これが本当の魔戒騎士ってわけか!

 

「どうしたどうした、そんなもんか?」

「舐めないでくださいっ!!」

 

 魔戒剣に魔力を込め、一気に開放する。

 お約束の技になりはじめた轟剣だ。無駄に魔力を制御しなくても良い、ただ剣の形に形成して相手にぶつけるだけ……この技だけはまだ誰にも破られたことはない!!

 だがロゼさんは睨みを効かせると剣を打ち合わせて、剣を頭上に掲げて円を作り出す。

 

「いいか、双葉。俺たち魔戒騎士は確かに強くならなきゃいけない、だが強さを追い求めるだけではならない」

「ザルバにも散々説教されましたよッ!」

 

 俺は轟剣を振り下ろす。

 そしてロゼさんも剣を振り下ろし、その身に鎧を纏う。

 白銀の鎧に黄色い目、あれがロゼさんの鎧、絶狼か!!

 ロゼさんはそのまま飛び上がると自ら轟剣へと飛び込んでいき、両手の魔戒剣を打ち合わせる。

 一瞬だけ閃光が発生したがそれだけだった。巨大な刀身が簡単にへし折られ、質量を持ったままの魔力刃が近くの木に突き刺さる。

 う、嘘だろ……魔力は練りきったしこの技は上級悪魔に匹敵するって言われたのに。それを一瞬で、ただの突撃で?

 

「どうした双葉。そんなものではなく、鎧を見せてみろ……魔戒騎士の本領は鎧だ」

「おぉおおおっ!!」

 

 空中で円を描きながら、ロゼさんに突っ込む。

 鎧が体を覆い、俺は拳をつき出すが魔戒剣で受け止められる。

 

「ザルバッ! 魔力開放だ!」

「へえ、まだそんな力もあんのか」

 

 金属音を響かせながら、俺達は戦う。

 剣を、そして拳と足を使う。

 だが徐々に押し込まれるのは俺の方だった。ロゼさんの剣戟に対応できなくなっている。

 今は鎧が守ってくれているが衝撃はコチラに伝わってくる。

 くそぉっ!! やっぱ付け焼き刃の剣じゃ本物には勝てないのかよ!

 

「集中しろ双葉。その腕が、その足が、その鼓動が止まるまで動き続けろ。お前は守りし者だ、止まるときは死ぬ時と思え」

「ぐあぁっ!?」

 

 一瞬の隙を付かれ、鎧の胸部分に両刀の突きが入り、俺の体が吹き飛ばされる。

 すぐに起き上がるが、既にロゼさんは俺の懐に潜り込み、大きく両手の剣を振り下ろす!

 

「ぐっ、ぐぐぐっ!!」

「最後の一瞬まで諦めるな。力なきものの牙となり、盾となる。そしてお前は黄金騎士だ、希望の名を受け継いだ者でもある」

 

 なんとか剣を横にして耐える。

 片手ではどうしようもないので、空いた手を剣先に置き膝を付きながら押し込まれまいと必死に押し戻すが動かないッ!!

 

「怖いだろう、辛いだろう? なら止めちまえ。今ならまだ戻れる。俺が守ってやるよ、お前が死ぬまでずっとな」

「……ふざけるなぁあああああああっ!!!」

 

 ロゼさんに叫びながら、俺は剣を弾き飛ばす。

 すぐに立ち上がり、俺は左を突き出した恰好で剣を構える。

 

「俺はこの鎧を受け継ぐと決めたんだ! 確かに怖いさ! 辛いさ! 投げ出したいよ!! でも、俺は約束したんだ!!」

 

 何度倒れたって立ち上あがるッ! 何度挫けようが剣を振るうッ! 俺は牙狼――――。

 

「俺は黄金騎士牙狼だッ!!」

『金色!? ロゼ、この子は……』

「面白え、久々に本気で行くぞ、シルヴァ」

 

 わかる、牙狼の鎧が俺に力を貸してくれている。

 光が止むと俺の鎧は元の黒に戻っているが、この剣に宿る力は失われちゃいないッ!!

 ロゼさんが打ち込んでくるが、俺はそれを受け流し蹴りを入れる。

 ロゼさんは驚いたような声を出しながら転がりながら後方に下がる。

 

『急に動きが』

「なるほどね、スイッチが入ったわけか。双葉、割りと本気で打ち込むぞ」

 

 ロゼさんの姿がかき消える。

 だが俺は背中に魔戒剣を回すと衝撃が腕に奔る。やっぱり後ろに回ってたか。

 剣から一度手を離し、後ろに回りながら蹴りを放津が今度は受け止められる。

 

「……そうだ! 打ち込んでこい!」

「はいっ!」

 

 俺は魔戒剣を遠隔操作して、手元に引き戻し受け止められている足を軸にしながら、空中で一回転しロゼさんの剣に打ち込むッ!!

 衝撃波が辺り一帯に響き渡る。

 ロゼさんは膝を付きながらも咆哮を上げて俺の剣を押し戻す。

 

「その一撃だ! 俺に膝を付かせる奴なんて早々いねえぞ!」

「はぁああっ!!」

 

 ロゼさんの言葉を無視して一心不乱に打ち込んでいく。

 もっとだ、もっと速く、そして強くッ!! あの時見た先代よりもずっとずっと重い一撃を頼むッ!!

 

『なんてがむしゃらな一撃、けれど恐ろしいまで澄んでるわ!』

「これがコイツの剣か」

 

 ロゼさんも受け止め、そして俺にめがけて剣を突き出す。

 腕の鎧につけられた刃で受け止めるが限界がある……ならっ!!

 

「ッ!? 俺の真似か?」

 

 師匠から受け取った魔剣を栞から取り出し、左腕でそれを持つ。

 正直真似したつもりはないが、あんたの剣は早過ぎるんだよ! 一本で相手できるか!!

 

「そんななまくらで俺の剣が受け止められるとでも」

「なまくらじゃないっ!!」

 

 打ち合った左手の魔剣は砕けること無く、しっかりと魔戒剣を押し戻す。

 そうだ、こいつはなまくらじゃない。師匠が俺のために考え、俺用に徹底的に強化して渡してくれた最高の魔剣ッ! 『双葉』、それがコイツの名前だ。

 師匠の想いが詰まったコイツが、砕け散るわけがねえだろうがッ!!

 しっかりと受け止めた魔剣を見せつけるようにロゼさんの眼前に出す。

 師匠、あなたの剣は聖剣どころか魔戒剣に負けてませんよッ!! 俺が証明してみせます。師匠の創る剣は最強だってことをッ!!

 

「くっ、ここまでとはな……コレ以上はヤバイな」

 

 ロゼさんが鎧を解除すると器用に剣を引いて、バックステップで後ろに下がる。

 押し合う人がいなくなった俺の剣は地面に突き刺さり、土煙を上げる。

 

『時間だ、よくやったな双葉』

 

 ザルバの声が聞こえ、俺の体から鎧が離脱していく。

 息を吐きながら、俺は膝を着く。

 はぁ……はぁ……ど、どうしたんだ? 震える手が両手の剣を取り落とす。

 土煙からロゼさんが歩いてきて、右手を差し出してくる。

 

「合格だ、双葉。お前は黄金騎士だったよ……にしても凄いな、危なく本気を出すところだったよ」

「……やっぱ本気じゃなかったんですね」

 

 俺がふてくされたように言うとロゼさんが首をすくめる。

 

「本気出したら相手にならねーよ、まだまだガキンチョに負けるほど俺は弱くないしな」

「うぐっ……」

 

 デスヨネー、真剣だったけど本気じゃなかったってのは剣を打ち合えばわかる。

 というかやろうと思えば、金色に輝いた後に俺へ反撃できたはずなのにしなかったのは手加減か、それとも……いや、単純に見てただけか。

 ロゼさんは笑顔で俺の頭を撫でる……うぅ、普段してるがこんな恥ずかしいのかやられる側ってのは。

 

「良い剣だった。最初はお前が焦ってたせいだ……いいか? お前は魔戒騎士になってまだ数ヶ月、何を焦っていたか知らないが今のお前は結構強いと思うが」

「……昨日、白龍皇に会ったんです」

 

 俺は自然とアイツへの恐怖をロゼさんに語り、そして悪夢のこともするすると話していた。

 話している途中、情けなくて涙が出てくる。夢に怖がって不登校とか俺、怖がりすぎるだろ。だがロゼさんは最後まで真摯に聞いてくれた。

 ロゼさんは頷きながら俺にこう言ってくれた。

 

「あぁ、仕方ねえだろ。俺だってアイツとは戦いたくねえよ。確かグレゴリで四番だったか五番目に強いやつだったからな」

 

 ロゼさんは落ち着かせるように俺の頭を撫でながら、目を見つめながら話す。

 

「壁にぶち当たることは多々ある。だけどな、双葉。それを言わずに溜め込むと心の中に闇ができちまうんだ」

「闇?」

「あぁ、そうだ。かつて俺もそうだった……俺な、婚約者と父親が殺されてんだよ」

 

 軽く言われたが、俺はロゼさんにかける言葉がなかった。

 そんなことが……それでいてこんな笑顔が出来るってこの人はどれだけ強いんだ。

 

「いいや、俺は強くない。あの時の俺も力と復讐がしたかった、お前より酷かったと思うよ……だけどな、それを止めてくれた奴がいた。先代の黄金騎士さ」

「先代が?」

 

 ロゼさんは遠い目をしながら話してくれる。

 

「あぁ、先代は極力剣を抜かずに解決しようとしてたやつでな。俺も最初は臆病者と罵ってたがな、アイツは自分が死ぬ寸前まで行っても剣を抜かないと決めたら抜かなかった勇者だった」

「……凄い人ですね、俺なんて」

「んなことはない。お前はお前だ」

 

 えっ? と声を出すとロゼさんは笑いながら頭を撫でながら俺に言う。

 その顔はまるで父親のように優しかった。

 

「お前はお前の黄金騎士になればいい。誰がなんて言ってもお前は黄金騎士なんだ、その力をどう使うかはお前が決めろ。魔戒騎士の生き方は俺が幾らでも教えてやるが、俺は黄金騎士の生き方は教えられない……だから、お前が決めろ」

「俺が決める……」

 

 地面に落ちた魔戒剣をじっと見つめる。

 俺は慣れるんだろうか、先代やご先祖さまたちに認められる牙狼に。

 

「悩め悩め、どうせすぐには出ないんだ。いっぱい悩めよ若いの……さぁて腹減ったな、飯でも食いに行こうぜ」

「……すいません、ロゼさん。俺学校に行きます」

 

 俺は立ち上がり腕時計を見る。

 幸いにしてまだ一限が始まったばかりだ、走れば間に合うはず……説教は確実だな。

 ロゼさんは呆けた顔をしながら、ニカッと笑って俺の頭を撫でた。

 

「吹っ切れたみたいだな! おう、行っとけ行っとけ。学校は良いぞ、制服とか卒業してからありがたさがわかるんだからな」

「……それはよくわからないですけど、ありがとうございました!」

 

 俺は魔戒剣を回収すると足に魔力を込めて走りだした。

 その背をロゼさんはずっと見守っていた。

 

 

 

****

 

 

 

「つ、疲れたー」

「遅刻してきておいて何を言ってるんですか」

 

 机に頭をぶつけながら俺は突っ伏す。

 うるせえ、こちとら朝からマジバトルしてここに……はい、すいません俺のせいですよね、申し訳ありません!!

 俺は小猫に土下座する。

 いや、冷静になれば俺とんでもない不良息子だよ……まぁ、両親はこっち来なくて助かったが、いや来たんだが俺の欠席に気づいて帰ったら説教だとよ。まさか一限目に来るかよ。

 今はお昼休みだが、今日はまじめに受けたため、先生たちが驚いていた……そういう評価かよぉおおおおっ! まぁ、寝てるんだけどさ、いつも。

 

「さぁ、飯だ飯! 学食にいこ――――」

「双葉、ちょっといいですか?」

 

 勢い良く立つと教室のドアもこれまた勢い良く開いた。

 そこに立っていたのはソーナ先輩とサーゼクスさんと……誰だ? なんだかサーゼクスさんに似ているが?

 

「君が……おっとこの場で言うのはいけないか。初めまして、兵藤双葉くん。私の名前はジオティクス・グレモリー。リアスとサーゼクスの父親だよ」

「えええええええええっ!?」

 

 先輩とサーゼクスさんのお父さんって、グレモリー家のご当主ぅううううう!? こんな場所に来て良いのか!? あぁ、そういえばサーゼクスさんが父親がどうのとか言ってたがあれマジだったのか!

 というかお父さん渋い! かっこいい!! クラスの女子たちが言葉失ってるよ! 俺だってこんなダンディーなトッチャマいたら……羨ましいなぁ、リアス先輩。

 

「双葉、今回グレモリー卿を案内しているのよ。あなたも顔を合わせたほうが良いと思って」

「俺もいるぞ、双葉……正直、間が持たないからお前も来てくれると嬉しい」

 

 匙先輩が引きつった笑みを見せるがそうだよな。

 そりゃ魔王と上級悪魔の当主様だぜ? 俺だって緊張する。

 ため息をついて小猫に手を合わせる。

 

「悪い、パン買っといて」

「……仕方ないですね」

 

 あんがとー! 小猫! 俺はソーナ先輩の元に走るとジオティクスさんに挨拶する。

 

「初めましてジオティクスさん、兵藤双葉です。こちらこそリアス先輩には本当にお世話になっています。兄の主があの人でホッとしています」

「私こそだ。あの子がいつ黄金騎士に斬られるか怯えていたがその心配はないな……フェニックス戦では見事な戦いぶりだった。あの子に力を貸してくれてありがとう」

 

 良いお父さんだなぁと俺は思ったが、やっぱあの結婚は本心じゃなかったのか。

 俺たちは歩きながら色々話をしたが、ジオティクスさんはやはり普段のリアス先輩の話を聞きたがった。

 俺は身振り手振りを加えながら聞かせるとジオティクスさんは目を輝かせて、それを真剣に聞いてきたがサーゼクスさんも頷いていた。

 そして話していると廊下の一角に人だかりとシャッター音が響いていた。

 な、なんだ? 撮影会? しかたねえ止めに行くか。

 

「すいません、皆さんはここに」

「俺も行こうか?」

 

 いやいいですと言って、俺は強引に体をねじ込ませて人だかりの中に入り、シャッターを切っている生徒たちに手を叩いて解散するように言う。よく見りゃ父兄も混じってやがる。

 

「はいはい、解散ですよー。ここは学び舎です、申し訳ありませんが止めないと父兄の方は退場、生徒は反省文書かせますからー」

 

 そう言うと人だかりが蜘蛛の子を散らすように散っていく。

 全く何が起きているんだか……はぁ、面倒くさい。

 俺は後ろを振り返り、写真を取られていた人物を見る。

 若い、おそらくは生徒のお姉さんだろうがツインテールと童顔のせいで中学生と言っても通用する。というか恰好が……あんだこりゃ? 何かのアニメのコスプレか? 困るなぁ、こういうのは。

 

「あのすいませんが、そういう恰好は注目を集めますというかきちんとした恰好で」

「えー、だって、これ私の正装だもん☆」

 

 いやいや、だもんと言われても……ん? イチ兄たちもいるじゃん。

 あちらは既に気づいていてこちらに歩いてくるが、なんか緊張している?

 

「あの、双葉、その人はな」

「悪いイチ兄、すぐに終わらせるから。すいませんが、コレ以上混乱を起こすなら退場をして貰う形に」

「えー、やだ! ソーナちゃんにひと目会わないと嫌だもん!」

 

 …………んん? 今聞き覚えのある名前が?

 ソーナちゃん? いや、そこにいる会長がソーナですけど……んん? そういえば微妙にこの人から魔力を感じるんだが、まさか?

 いや、そんなまさかがあるわけがない、だってさ。こんなコスプレ少女が魔王なわけないもん、うんそうに違いない。

 

「双葉、現実よ。この方はセラフォルー・レヴィアタン。お兄さまと同じ四大魔王の一人よ」

「嘘だと言ってよバァアアアアニィイイイイッ!!」

 

 俺は叫んだ。

 うっそだろ、この人が!? てか若っ!! 正直ソーナ先輩のほうが魔王っぽい! 知的な見た目だし!!

 サーゼクスさんが苦笑してるけど、あの目はマジだぁあああああ!!

 

「あら、グレモリーのおじさまこんにちは☆」

「これはセラフォルー殿、また奇抜な恰好で」

 

 あっ、やっぱ奇抜ですよね。

 正装かと思ったけどやっぱりコスプレじゃねえかぁあああ!! てかソーナ会長が青い顔しながら逃げてる!?

 でも見つかってたよ! 獲物を狩る目でロックオンされたソーナ先輩が抱きつかれた! こうしてみると姉にじゃれついてる妹だけど、逆なんだよなぁ。

 

「ソーナちゃん、やぁああっと見つけた!」

「お、お姉さま。その格好はやめてと何度も。流石にプライベートな訪問でも、その恰好では学び舎に来ることを容認は出来ません」

「えー、ソーナちゃん知っているでしょ? お姉ちゃん、魔法少女に憧れているって! このきらめくステッキで天使も堕天使もまとめて抹殺なんだから☆」

「やめてください、お姉さまが本気出せば小国が吹き飛びます」

 

 魔法少女じゃねえ!! 魔王少女だこれー!?

 なんでや!! なんで魔王の方々はこんなにも軽いんだよぉおおおおっ!! 魔王のイメージが、こうなんか意味ありげな雰囲気醸し出して椅子に座ってるイメージが!!

 

「ごめんなさいね、イッセー、双葉。言ってなかったけど、いえ言いたくないんだけど四大魔王さまってプライベートだと軽いのよ、それも酷いくらいに」

「いくらなんでも軽すぎませんかね」

 

 頭を抱えながら、俺は溜息をつく。

 ソーナ先輩はセラフォルーさんの抱擁から逃れると俺の後ろに隠れ……えっ?

 

「双葉、会長命令です……私の盾になってください」

「身代わりじゃないですかやだもー!! というか嫌ですよ!! さすがに小国吹き飛ばす人からは守れませんよ」

「守りし者でしょう!! 守ってください」

 

 無茶苦茶だなぁ!!

 そう考えているとセラフォルーさんが俺の顔をマジマジと見てきた。

 な、何!?

 

「あなたが黄金騎士ちゃん?」

「ちゃんって……ええっと、一応そうですけど」

「殺す」

 

 待ってええええええええ!! なんか驚く無表情の瞳でステッキこっちに振り回してきたよぉおおおおおおっ!? ぎゃあああああああなんかごっつう魔力貯めこんでるぅ!!

 焦ったサーゼクスが俺とセラフォルーさんの間に入る。

 

「やめないかセラフォルー! 彼はリアスの庇護下にいる」

「離してサーゼクス! 最近、ソーナちゃんが嬉しそうに手紙を寄越すんだけどそれが黄金騎士のことばかりで……う、うぇえええん! ソーナちゃんにとってお姉ちゃんが一番なのぉおおおっ! だから殺すっ!!」

「理不尽な上にとんでもねえシスコン!?」

 

 やんややんやとサーゼクスさんが取り押さえるが、扱う魔力がヤバイ。

 とっさに俺が周りに結界張ったが、余波でひび割れたんですが……おかしいな、風が吹いただけで壊れそうだよ。

 

「ソーナちゃんはいっつもお姉ちゃんお姉ちゃんって後ろに着いて来てくれたの! お姉ちゃんのこと見ないならいっそ……」

「待て待て待て、セラフォルー! 早まるな! それに妹の幸せを願うのが私達兄と姉の役目だろう! あの日、人間界に旅立つリアスとソーナちゃんを見ながら誓っただろう!」

「それとこれとは話が違うぅうううう!!」

「あ、あの……セラフォルーさん!」

 

 事態が混沌とかしてきたので俺は勇気を持ってセラフォルーさんに話しかける。

 お、俺が頑張るんや、守りし者としてこの理不尽くらい治めてやらぁ!!

 

「ソーナ先輩はセラフォルーさんのことが大好きですよ! 黄金騎士って手紙に書いてありますけどずっと憧れだった黄金騎士がここにいるんです、大好きなお姉さんにそれを伝えたかったんですよ」

「大好きな……お姉ちゃん」

 

 よっしゃ食いついたぁあああああ!!

 俺まだ死にたくねえんでなぁあああああ!! ヒャッハァ! もうどうとでもなれぇ!!

 

「そうです! それに人間界から手紙を書くなんて素晴らしい妹さんじゃないですか、魔王さまと呼ばずにお姉さまって呼んでいるのも、本当にセラフォルーさんが大好きだからそう呼んでいるんだと俺は思います」

「だ、大好きだから、うぇへへへへ」

 

 なんかモザイクかけるレベルで酷い顔になってるんだが、まぁいいやこれでトドメだァ!!

 

「ソーナ先輩も恥ずかしがらず、お姉さんとスキンシップを!!」

「ちょ、ちょっと双葉!?」

 

 後ろに隠れたままだったソーナ先輩の体をセラフォルーさんに差し出す。

 悪いな、ソーナ先輩。さすがに無理、魔王相手に守るのは今の俺では無理です。

 ソーナ先輩の耳元に口を近づけ、耳打ちするが……なんか真っ赤になってる?

 

「(いいですか、セラフォルーさんはあと一押しで止まります! このままじゃ学校が吹っ飛びますよ!)」

「(ち、近い! 近いです! ……で、でも恥ずかしいというか、この歳になって抱き合うのは)」

「(後で魔戒剣を好きなだけ触らせてあげますから!! おねがいします! 俺まだ死にたくないです!!)」

 

 ソーナ先輩はふくれっ面になる。

 なぜぇ!? 魔戒剣でホイホイされないだとぉ!?

 

「(……今度買い物に付き合ってください。魔界に帰るため、おみあげを買うので)」

「(付き合いますからお願いします!!)」

 

 そう言うとソーナ先輩は頷いて、セラフォルーさんの胸の中へ飛び込む。

 セラフォルーさんが鼻を抑えるが垂れてます、垂れてますよ魔王さま。

 そしてソーナ先輩はにっこり笑ってこういった。

 

「大好き、お姉ちゃん」

「ソぉおおおおおおおおおおおおおおおおナァたぁああああああああああああん!!」

 

 色々垂れ流しながら、セラフォルーさんがソーナ先輩を抱きしめながらくるくると回りだした。

 俺は額の汗を拭うと両肩にイチ兄と匙先輩の手が置かれる。てっきりほめられると思ったが二人共微妙な顔をしていた。

 

「双葉、後ろ後ろ」

「双葉、お前には負けねえからな!!」

「へっ?」

「ふ た ば く ん ?」

 

 震えながら、俺はイチ兄たちの後ろで修羅を顕現させた朱乃先輩を見た。

 すっごい笑ってるが雰囲気がヤバイ、というか空間ゆがんでる!? アカン、魔王さまはどうにかなったが修羅を目覚めさせしまった!!

 

「双葉、今回はフォローしないわ」

「見捨てないでええええええええ!? あっ、朱乃先輩どこへ連れて行くんですか! ちょ、ちょっと!? 皆見てないで助けてぇえええ!!」

 

 ズリズリと引きずられながら俺は助けを求めるが空き教室へと引きずり込まれる。

 ホラー映画の最期みたいだなぁと冷静に考える頭を恨みたかった。

 サーゼクスさんや果てはジオティクスさんも合掌していた。

 こ、こんの薄情者ぉおおおおおっ!!

 

「たっぷりお仕置きしましょう」

「待って待って、俺は悪く無い今回は俺悪くな――――ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 そしてこってり説教で絞られた俺は、真っ白になりながらアーシアに救出された。

 

 

 

****

 

 

 

「ハッハッハ! サーゼクスに言われましたがこの酒は美味しいですな」

「そうでしょうそうでしょう! ほら、見てください! うちのアーシアちゃんが問題を答えた!」

 

 地獄か、ここは地獄なのか? と俺達は赤面しながらテレビ画面から目を背けていた。

 そこに写っているのは授業風景を録画した映像。

 アーシアはいい、リアス先輩もいいが、俺とイチ兄の映像まであって勘弁してくれぇ!!

 

「おぉっ! 双葉すげえじゃん、あんな問題解けるなんて」

「ロゼさん勘弁してくれよぉ!」

 

 何故か父さんとジオティクスさん、それにロゼさんは意気投合していた。

 三人で肩をくみ、酒をかっくらいながら映像で盛り上がる。

 リアス先輩なんて顔を真っ赤にして我慢していたが、サーゼクスさんの一言で決壊した。

 

「見てください! リーアたんのあの堂々と応える姿!」

「もう!! お父さまもお兄さまも知らない! おたんこナス!」

 

 お、おたんこナスって……リアス先輩が出ていき、イチ兄が急いで後を追いかけた。

 仕方なく俺とアーシアは苦笑しながら、鑑賞会に付き合ったが真顔になったサーゼクスさんが手招きしてきた。

 俺たちは立ち上がるとサーゼクスさんは廊下を指差したのでそれに従う。

 廊下に出るとサーゼクスさんは話しだした。

 

「昼にリアスに話したんだが、キミたちにも話そうと思ってね」

「えっと?」

 

 なんだろうか? 会談についての確認事項かな?

 しかしサーゼクスさんの口から出て来たのは違う回答だった。

 

「キミたちはリアスにもう一人、会ったことがない眷属がいることを知っているかな?」

「えっと、聞いたことがあります。私以外にもう一人『僧侶』がいると」

 

 あぁ、そういえなライザーも言ってたな。

 存在もすっかり忘れてたがそいつがどうしたんだろうか?

 

「実はね、その子を近々開放しようと思っているんだよ」

 

 サーゼクスさんはそう言って、『僧侶』について語りだした。

 

 

 




◯双葉(魔剣)
 木場祐斗が双葉専用に創り出した魔剣。
 普通の魔剣と違い、一日かけて創りだし双葉に合うように徹底的に調整された一品であり、双葉以外が持つと持ち手から小型の刃が出るようになっている。さすがにオリジナルの魔剣には負けるが相当な想いで作られたコレは並大抵の武器では折ることが出来ない。
 実は木場がもう一本持っており、いつか師弟で使いたいと密かに考えていたりする。

 こんな話になるなんて私聞いてない!(某所長ボイス)
 本来なら授業参観の件はなかったのに、指が指がセラフォルーを書けって。
 シリアスよりもコメディ書いているほうが楽しいです(震え声)
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