ハイスクールD×D 黄金騎士を受け継ぐもの   作:相感

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エグゼイド見る前の作者、(´・ω・`)

エグゼイド見た後の作者、(´ω`*)

やっぱりライダーは最高やな、二回もベルト買おうとした!


パーティー

 次の日の夕刻、パーティーの数時間前まで全員が爆睡するという珍事態が発生したが仕方がないだろう。

 ここ二週間は休み無しで修行してたわけだし、一応イチ兄は一度グレモリー本宅に帰って婿修行をしていたとミリキャスから聞いた。

 今は男組は制服に身を包んでいるが、俺はいつもの魔法衣だ。

 女性陣はというとドレスなどの着付けのため、メイドさんたちと一緒にどこかへ行った

 ちなみに今は、客間に俺とイチ兄しかいない。師匠もギャー助も用事があると言って出ていってしまっている。

 特に話すこともないので、俺は魔法衣の中に武器が入ってないか念入りに調べていた。

 さすがに俺の場合は、武器持ち込みが容易に出来てしまうということで念のため、魔戒剣や『双葉』などはアザゼルおじさんの監視の元、グレモリー本宅に保管してもらうことになっている。

 

「あれ? 兵藤に双葉?」

「匙先輩?」

 

 扉を開いて入ってきたのは、何故か匙先輩だった。

 イチ兄も目を丸くして驚いている。

 

「久し振り、だけどどうしたんだよ?」

「会長がリアス先輩と一緒に会場入りするから着いてきたんだが……会長が先輩に会いに行っちまって手持ち無沙汰だったから、ふらふらしてたらここにな」

 

 広いもんなぁ、本邸。

 正直、地図がないとわけがわからん。

 匙先輩はそのまま部屋に入り、イチ兄の席の近くに座り、真剣な面持ちで話した。

 

「もうすぐゲームだな、兵藤」

「あぁ、手加減はしないぜ?」

「当たり前だ、手加減なんかしたら双葉の兄貴の座を奪い取るぞ?」

 

 ニヤリと笑い合う二人を俺は微笑ましく見る。

 なんだかんだ言って、この二人は良いライバルになりそうだよなぁ。ヴァーリなんかよりも健全な関係を持ちそうだ。あっちは殺す気満々だからなぁ。

 にしても匙先輩も随分鍛え上げたらしい。体から湧き出ているオーラの質が以前と比べ物にならない。

 

「……なぁ、俺たちの目標は覚えているよな?」

「あぁ、レーティングゲームの学校を建てるんだよな? 誰でも分け隔てなく学べる場所を」

「あぁ、そして俺はそこで先生になるのが夢なんだ」

 

 匙先輩が拳を握りながら言う。

 だが、俺はそれを目を細めながら見つめる。

 夢、匙先輩も夢持ってるんだな。俺は、俺の夢はあるんだろうか?

 そんな暗い考えを悟らせないように、俺は匙先輩の言葉に耳を傾ける。

 

「俺さ、会長と出会うまで馬鹿ばっかやってた。いっぱい馬鹿やって、親にも周りの人たちにも迷惑かけまくったよ。でもな、会長は言ってくれたんだよ、俺に夢を現実にするために手伝ってくれって」

 

 そうだったのか、匙先輩がソーナ先輩を慕う理由がよくわかった。

 

「俺はあの人のもとで学校を建てて、そこで先生をする。今の俺じゃ経験も実力も何もかも足りないけど、これからいっぱい勉強して、いっぱいゲームで戦って、いろんなものを蓄えるんだ」

「……匙、お前すげえ立派だよ」

 

 イチ兄は肩を震わせながら匙先輩に言う。

 うん、立派だ。立派で、眩しくて憧れてしまう。

 夢を見据えた人ってこんなにかっこいいのかと思う。

 

「だからこそ、お前を倒して上の奴らに認めさせてやるんだ。夢を追いかける若手の実力ってのをな!」

「ダメだな、俺達が勝つ」

 

 笑い合いながらも二人は真剣な瞳で牽制し合う。

 ……そんな二人の様子を、俺は羨ましく思ってしまう。

 夢、か。俺も考えるべきなんだろうか?

 そうやって思考のるつぼに嵌りそうだったとき、部屋の扉が再び開いた。

 

「お待たせ、イッセーに双葉。あら? 匙くんも来てたのね」

 

 正直、言葉を失った。

 ドレスアップしたリアス姉さんや朱乃ちゃんたちの姿に見惚れてしまったからだ。

 化粧や髪を結い、綺羅びやかなドレスを着こなしている。

 珍しく朱乃ちゃんは西洋ドレスで、どこかの貴婦人かと見間違うほどの美しさだった。

 アーシアとゼノヴィアは着慣れてないようで、少し恥ずかしがっているがお嬢様風でベリーグッド。

 小猫は一回り小さいけど、十分綺麗だ。てか体のラインがしっかりしてるからちゃんとドレスが似合っている。

 ……で、もう一人ドレス着てるんだけどさ。

 

「ギャー助、てめえ何してる」

「ど、ドレス着るなんてめったに無いから……つい」

 

 ついで着こなすんじゃねえよぉおおおおおおおっ!! 女装癖をなんとかしねえとコイツ、そのうち下のイチモツを切り落としかねないな。

 

「サジ、何をして……ふ、双葉!?」

 

 ギャー助の後ろから部屋を覗き込んできたソーナ先輩もドレスに身を包んでいた。

 俺の顔を見て、何故か顔を真っ赤にしているが……うんうん、ソーナ先輩も凄い美人だわ。

 

「会長、すっごく似合っています!」

「ありがとう。けれどサジ、ちゃんと集合場所にいないのはどういうことかしら?」

 

 ソーナ先輩がジト目で匙先輩を睨むが、俺が間に立ち弁明しようとする。

 その時、開いている扉を丁寧にノックしながら執事の方が入ってきた。

 

「お話中失礼します。タンニーン様とその眷属の方々がいらっしゃいました」

 

 

 

****

 

 

 

「か、怪獣大戦争でも起こすのかこれぇ!?」

 

 二羽に出てくるとタンニーンさんも含めた十体のドラゴンがそこにいた。

 すげぇ! RPGだと悪夢だろうけど現実で見ると圧巻というしか無いわ! てか、タンニーンさんの眷属もドラゴンなのか、凄まじいな。

 

「約束通り迎えに来たぞ、兵藤一誠」

「ありがとう、おっさん」

「あとお前たちが背に乗っている間、特殊な結界を発生させておくから、そこから出なければ衣服などが乱れることはない」

 

 き、気遣いが紳士! なんだこのおっさん!? ほんとにドラゴンかよ!

 ドラゴンってもうちょい気性が荒いと思ってたけど、気配り上手の紳士じゃないか!

 

「ありがとう、タンニーン。申し訳ないけれどシトニーの者もいるけれど大丈夫かしら?」

「おぉっ、リアス嬢。美しい限りだ。そのことは任せてくれ」

 

 俺達はタンニーンさんたちの背に乗り、会場へと向かうため飛び立った。

 俺とイチ兄は特等席であるタンニーンさんの頭の上に乗っている。失礼じゃないかと思ったが、タンニーンさんは笑いながら快諾してくれた。

 列車の中から見る風景も絶景だったが、ドラゴンというある種の男のロマン的存在から見る景色というのは格別だ。

 あっ、ちなみに頭の上には結界は貼ってないと言うので、俺が張らせてもらった。さすがに人間だからね、風圧で吹っ飛ぶ可能性があるし。

 

「あー、おっさんに聞いてみたいことがあったんだ」

「どうした?」

「なんで悪魔になったんだ?」

 

 イチ兄からの質問にタンニーンさんはこう答えた。

 

「俺はドラゴンだ。強いものと戦いたい、だからこそレーティングゲームを面白いと思った。だがもう一つある、むしろコチラのほうが本音だ」

「なんですか?」

「お前たちはドラゴンアップルというリンゴを知っているか?」

 

 ドラゴンアップル? 聞きなれない単語に俺たちは顔を見合わせる。

 

「知らないで当然だ。とあるドラゴンの種族がそれでしか生存出来ない種族だった。だが人間界に実っていた物は環境変化により絶滅してしまったのだ」

 

 ……おぉう、人間の欲深さというか無知さだな。

 俺達は知らないうちに多数の種族を踏み潰してるんだろうな、そう思うと複雑だ。

 

「気にするな、黄金騎士。生存競争に俺たちは負けただけだ……話を戻すぞ。ドラゴンアップルは冥界にも存在していた、だがドラゴンは嫌われ者だ。だからこそ、俺は悪魔になって、上級悪魔の特権である冥界で好きな領土を1つ貰えるというのを利用して、その土地を貰い受けた」

「なるほど、領土にしてしまえば好きに出来るからですね」

「あぁ、だがまた絶滅することも危惧して人工でドラゴンアップルを実らせる研究も行っている。時間はかかるが、その種族の未来があるのであれば、続けたほうが良いだろう」

 

 ……この人も夢を持っていたのだろう。

 そして叶えて、最上級悪魔として、そしてドラゴンの王として立派な振る舞いをしている。

 そんな偉大なドラゴンが傍にいたからだろうか、俺はふとつぶやいてしまった。

 

「……夢を、叶えたんですね」

「夢、あぁ確かにそうだな。まだ叶える途中だが、俺は成功したと言っていいだろう……お前たちに夢はあるのか?」

「あぁ、あるぜ! 俺は上級悪魔になって、ハーレムを築きたい! ……でもおっさんの言葉聞いて考えたよ、闇雲でいいのかって」

「若い内はそんなものだ。闇雲に走り、道を見つけてそこに至るために努力する。だが女や富を得たあとが問題だ。……黄金騎士はないのか?」

「俺は……」

 

 もごもごと口は動くが、何も出てこない。

 人々を助けること、それが俺の夢なんじゃないかと思ったがそれは魔戒騎士の義務だ、決して夢じゃない。

 じゃあ夢は? と聞かれても俺には何も浮かんでこない。

 ……俺の夢ってなんだよ。

 

「答えられないか?」

「……はい」

「お前にもいつか夢や目標は出来る。焦ることはない、人間の生は短いが考える時間はある。それに悩んでいるということはお前にもきっと夢や目標があるということだ、あとはそれに気づくだけだ」

「……気づく、だけ」

 

 知らず知らずのうちに手を握っていた。

 俺に夢や目標があるのか? ……わからない、俺に本当にあるっていうのか?

 ドラゴンを助けたい、先生になりたい、ハーレム王になりたい。

 俺に、皆のような胸を晴れるような夢があるのだろうか? いや、そもそも俺は夢を見て良いのか? あの夜、両親を犠牲に生き延びてしまった俺が、夢を見る資格があるのだろうか。

 それからの一時間イチ兄とタンニーンさんの談笑に、適当に相槌を打ちながら考えていると眼下に光が広がっていた。

 どうやら目的地に着いたようだったが、俺の考えがまとまることはなかった。

 

 

 

****

 

 

 

 会場である超高級ホテルはジオティクスさんが所有するものらしい。てか、ここはグレモリー領地の端っこというが、建っている敷地の大きさは駒王町がすっぽり入るんじゃないかというほど大きい。

 俺達が降り立ったのはスポーツ会場の1つ、会場のライトが一斉にタンニーンさんたちを照らし出したときは、某カメの特撮映画を思い出した。

 

「じゃあ、ここまでだ。俺達は大型の悪魔専用の待機スペースに移動する」

「ありがとう、おっさん!」

「礼には及ばんよ、では楽しめよ」

 

 そう言って、降ろした俺達に挨拶すると何処かに飛び立ったタンニーンさんを見送ると、会場外に待機していたリムジンへと乗車した。

 いや、移動にリムジンってすげーなぁと現実逃避していた。

 リムジンの内部は広く、グレモリー眷属と俺が入っても余裕のスペースが確保されていた。

 ちなみに後方にあるもう一台にはシトリーの方々が乗っている。

 

「ここは1つの街のようになっていて、各種施設があり、軍もいるから下手な都市部よりも安全なんですよ」

「……さ、さすがグレモリー領地にある超高級ホテル」

 

 隣に座った朱乃先輩から説明を受ける。

 金持ちはスケールがビックだなぁ、ホント。てか軍ってなんだよ、軍って。

 

「双葉、先に話しておくけど暫くは一人で行動してもらうわ」

「へっ?」

 

 リアス姉さんに突然言われて、俺は目を丸くする。

 えっ、俺ぼっちなの?

 

「あなたは黄金騎士としてパーティーに呼ばれているから、幾らグレモリーで面倒を見てるとは言え各御家の挨拶に私やその眷属が同伴するのは少しマズイのよ」

「あー、なるほど」

 

 言われて納得はしたが、面倒くさいなぁとは思う。

 社交パーティーなんてそんなもんかとは思ってたが、リアス姉さんたちに迷惑をかける事は俺の本意ではない。

 

「ごめんなさい、私も傍にいてあげたいけど」

「大丈夫ですよ、朱乃先輩のほうこそ気をつけて下さいね? こんなに綺麗なんですから、口説かれるかも」

 

 冗談交じりにそう言うと朱乃先輩は笑顔を浮かべる。

 

「心配しないで? あなた以外にはなびくつもりはないから」

「そ、そうですか……」

 

 アカン、藪蛇踏んだと理解したがこれ以上は藪蛇どころの話じゃ済まなくなると直感で理解したので口をつぐんだ。

 暫く談笑を続けているとリムジンが止まり、ホテルに着いた。

 おおよそ百階以上はあるだろう巨大なホテルに圧倒されるが、なんとか堪えてリアス姉さんに続いて、ホテルに設置してある高速エレベーターでパーティー会場に向かった。

 ものの数分ほどで着き、エレベーターの入り口から出るともうそこはパーティー会場であった。

 きらびやかな空間に、巨大なシャンデリアに沢山の悪魔と美味しそうな料理の数々。

 一歩、俺が踏み出した瞬間、会場にいた悪魔たちの視線が一斉に俺に向けられる。

 

『……』

 

 誰もが品定めをするように俺の全身を見る。

 巨大な舌で舐められたような嫌悪感を感じたが、それを押し殺して俺はリアス姉さんに会釈をする。

 

「それではリアス・グレモリーさま。また後ほど」

「えぇ、またあとで」

 

 心配そうに見るアーシアの顔を見て、大丈夫だとアイコンタクトすると俺は背を向けてパーティー会場を歩き出した。

 

『さて、相棒。色々と正念場だぜ?』

『任せろ、猫被ることは慣れてるし……一通りのマナーなら頭に叩き込んでる』

 

 顔色を変えないように、俺はゆっくりと歩きながらザルバと念話で話す。

 何、リアス姉さんに恥をかかせないために自主的にマナーは学習しておいた。それにここは腹の探り合いをする面倒なもんじゃない。軽いもんだ、挨拶をして終わり……そのはずだ。

 

「はじめまして、黄金騎士殿。私は――――」

 

 この後、俺は参加者全員と挨拶することになるが予想以上に学習が役に立ったのか、波を立てずに俺と懇意にしたい、もしくは娘と政略結婚させたい奴らを軽く流すことが出来た。

 まぁ、本気ではないだろうがちょくちょく俺のポケットに紙を入れてくる奴らに腹が立った。どうせ連絡先だろうが、あとでリアス姉さんに聞いて対処の仕方を聞こう。

 にしても……こいつらは挨拶を面倒くさくするのがステータスなのだろうか?

 

 

 

****

 

 

 

「ふぅ……」

「お疲れ様です、双葉さん」

 

 一段落が着いて、ようやくイチ兄たちと合流が出来た。

 たまにこちらに来る悪魔たちがいるが、それもボチボチというところだろうか? まぁ、今日は様子見が多いのだろう。二度とこういうパーティーには参加するつもりはないがな。

 こういうパーティーは繋がりを作る、もしくは強化するためにするもんだがあいにくのところそこまでグレモリー、シトリーの悪魔以外とズブズブになるつもりはない。面倒しか起きないだろうからな。

パーティー慣れしていない面々は、会場の端っこにある椅子にグッタリとしていた。

 ちなみにリアス姉さんと朱乃先輩は他の女性悪魔たちと談笑し、師匠も女性悪魔たちに囲まれていた。

 大変だなーとその様子を見ていると、ゼノヴィアが大量の食材と飲み物を持ってこちらに来ていた。

 

「お疲れ様だ、マスター、イッセー、アーシア、ギャスパー。料理と飲み物をゲットしてきたぞ」

「んっ、サンキュー」

 

 この中では比較的に話しかけられることが少なかったゼノヴィアは、気を利かせて俺たちのために取ってくると言ってくれたのだ。

 まぁ、現役のデュランダルの使い手に話しかける剛なやつはそんなにいないだろう。一応、俺もエクスカリバーの使い手なんだけどなぁ。

 

「アーシア、飲み物くらいは飲んどけ。倒れちまうぞ」

「はい、申し訳ないです……こういう場所は初めてで、喉がカラカラで」

 

 ゼノヴィアから受け取った飲み物をアーシアに渡す。

 特訓をして体力がついただろうが、それはそれ。精神的な疲れは肉体の疲れよりも感じやすい、特にアーシアなんかはこういった場所に慣れていない分相当だろう。

 ギャー助は女装と元が貴族出らしいので、意外と大丈夫そうだ……紙袋かぶってるけどな。

 

「双葉、料理食わないのか?」

「食う気が起きない」

 

 モシャモシャと料理を胃に収めているイチ兄が羨ましい。

 こちとら先程の疲れのせいで飲み物しか飲めない。ったく、笑顔でこっちに取り入ろうとグイグイ来るんだもん、あいつら。

 イチ兄はグレモリーが囲ってると思ってるが、俺はフリーだと勘違いされたのか、何人から転生悪魔についての話を持ちかけられたが、丁重にお断りした。全く、俺がなびくと思ってんのかね。

 

『ツバつけときたいんだろ、黄金騎士の家系ってのは優秀なやつが多いからな』

「そういうもんか……ん?」

 

 そんな時、人影がこちらに来ていたが、ものっそいイチ兄を睨んでいる。

 

「お、お久しぶりですわね。赤龍帝、黄金騎士」

「…………誰だっけ?」

「双葉、焼き鳥野郎の妹さんだよ」

 

 …………はて? そんな奴いたっけな?

 頭を捻るがとんと思い出せない。

 そんな俺の態度が気に食わなかったのか焼き鳥(妹)がうがーっと言いながらプリプリ怒る。

 

「レイヴェル・フェニックスですわ! 全く失礼な人なこと!」

「すまんな……お前がいるってことはライザーも?」

 

 周囲を見渡すがあのキザな顔が見えない。

 今日は欠席してるのかと思ったが、レイヴェルはため息をついてコチラをジト目で見てくる・

 

「あなた方に敗北してから塞ぎ込んでしまいましたわ。よほど敗北とリアス様を取られたことがショックなようでして……まぁ、いいクスリでしたわ、才能と魔戒騎士に頼りきりでしたので」

「辛辣だな、オイ」

「特にあなたが原因なのですけどね。あれ以来、人間恐怖症になってしまって……」

 

 それを聞いて、一応はリアス姉さんを愛していたんだなぁと思う反面、メンタルよえ!? と驚くが馬鹿には出来ないよなぁ。生まれてから才能だけでのし上がってきたやつが、ぽっと出の下級悪魔と人間に負けるとか、トラウマ待ったなしだろうし。

 

「容赦ないな。一応、お前も兄貴の眷属なんだろ?」

「ご心配なく、今はトレードを済ませてお母さまの眷属となっていますわ。お母さまはゲームをしませんから実質はフリーの眷属ですわね」

 

 トレード、というのは言葉の通り駒の交換だ。

 つまるところお互いの眷属、もしくは未使用の駒を交換する。ちなみに兵士なら兵士、戦車なら戦車と同じ駒同士でないと交換はできない。

 手っ取り早く強い眷属が欲しいなら、トレードをしまくってガンガン強化すればいいらしい。

 

「と、ところで赤龍帝……」

「その赤龍帝ってのはやめてくれよ。俺には兵藤一誠って名前があるし、なんならイッセーって呼んでくれていいぜ?」

「お、お名前を呼んでもよろしいのですか!?」

 

 パァッと明るい顔したレイヴェルを見て、俺は静かに目を閉じて息を吐いた。

 息するようにフラグ立ててやがる!? あのイチ兄が高飛車お嬢様とかいうクッソポイント高い属性を落としてやがる。

 

「で、ではイッセーさまと」

「さま付けはいいから、そういうのが堅苦しいんだって」

「いいえ! こういうのは大事なことですわ!」

 

 確定だこれー!? てかレイヴェルを見るゼノヴィアの目がやばい。

 てか後ろの空間からデュランダル引き抜きそうな勢いはやめろぉ!! こんな場所で聖剣出したら、衛兵さんたちが飛んで来るからホントやめろぉ!

 プチ修羅場が出来つつあったが、そんな場所に一人の女声が声をかけてきた。

 

「レイヴェル。旦那さまのご友人がお呼びだ」

 

 あっ、思い出した。俺が挑発したら結構乗ってきた人……えーと、確かイザベラさんだったかな?

 

「わかりましたわ。それではイッセーさま、こ、今度お会い出来たらお茶でもどうでしょうか? わ、わ、わ、私でよろしければお手製のケーキをご、ご用意してあげてもよろしくてよ?」

 

 レイヴェルはドレスの裾をひょいと上げ、一礼すると去っていった。

 態度わかりやすぎて、腹が痛い。口元を抑えながら、笑いをこらえているとイザベラさんが口を開いた。

 

「やぁ、兵藤一誠に黄金騎士」

「イザベラ……だったよな?」

 

 俺の言葉に頷いたイザベラさんは、俺に近づくと耳元で囁く。

 

「済まないな、あれで分かってくれたみたいだがレイヴェルは兵藤一誠にご執心だ」

「にしても何があったんですかね? ウチの兄、そちらにご迷惑しかかけてないと思うんですが」

 

 まぁ、俺が言うなって話なんだがイザベラさんは首を振る。

 

「いいや、むしろそれがきっかけさ。レイヴェルにとって男というのはフェニックスの男たちしか知らなかった。強大な魔力に再生能力、だが兵藤一誠はボロボロになりながらも自らの主のため何度も立ち上がった。その姿を見てコロリさ」

 

 あぁ、乙女回路に直撃したわけだ。

 あのときのイチ兄カッコよかったからなぁ、見る目あるじゃん焼き鳥(妹)、気に入った。ウチに来て、イチ兄にケーキ食わせていいぞ、むしろ振る舞っちゃる。

 

「えっと? 双葉にイザベラさん? 何してるんだ?」

「……彼は気づいてないのか? 性欲が異常に強いはずだが」

「根がヘタレの鈍感野郎なんで、気づくわけないんですよ」

「マスター、それをマスターが言ったらブーメランになると思うんだが」

 

 オイ、ゼノヴィアやめろ、そのことをツッコむなっての!

 イチ兄は首を傾げていたが、笑顔でイザベラにこういった。

 

「なんにしても、お茶はOKと言ってあげて下さい」

「そうか、それはありがたい。レイヴェルも喜ぶだろう。さて私は失礼する。良い宴を」

 

 そう言って去っていくイザベラさんの後ろ姿を見送ると、袋をかぶっていたギャー助がコチラに近づき話しかけてきた。

 

「イッセー先輩も双葉さんも、悪魔の人と交友が多いんですね」

「そうか?」

 

 首をかしげるが……あっ、たしかに多いわ。

 ソーナ先輩を手伝うようになってから、悪魔の相談役することも多くなったし、こっちに来てからさらに知り合い増えたしな。

 

 ――――にゃおん。

 

「……」

「双葉?」

 

 猫の鳴き声が聞こえた。

 いや、それだけなら別にいい。この喧騒の中なら気のせいだと思えただろう。

 だがはっきりと見た、こちらを見ている黒猫の姿が。

 

「……悪い、イチ兄。ちょっと夜風に当たってくるよ」

「お、おう? って、アレは」

 

 怪訝そうなイチ兄の声に、意識がいったのが幸いしたのだろう。

 血相を変えた小猫が一目散にエレベーターに飛び乗ったところを見た。

 俺とイチ兄は互いに目配せして、この場から離れる口実を作るために口を開いた。

 

「悪いんだが、俺も夜風に当たってくるよ」

「もうすぐ魔王さまの挨拶が始まりますよ?」

「そうだ、別にその後でもいいだろう?」

「ちょちょいと当たってくるだけだよ。直ぐ戻るから」

 

 二人は訝しんだが、疲れているのだろうと勘違いしてくれたのか頷いて見送ってくれた。

 俺達ははやる気持ちを抑えながら、エレベーター付近まで移動してエレベーターの動きを見る。

 やはりというか当然、エレベーターは下に向かっていっていた。

 

「双葉、小猫ちゃんは何処に?」

「イチ兄、大事にはしたくないが最悪の可能性もある、まずはリアス姉さんに――――」

「私がどうかした?」

 

 ギョッとして後ろを振り向くと、リアス姉さんがにこやかな笑みを浮かべて立っていた。

 

「リアス姉さん、どうして」

「どうしてって当たり前でしょう、二人して血相をかえて歩いていくんだもの……それで? 何があったの?」

 

 俺は一瞬だけ考えたが、最悪の事態も想定してリアス姉さんに話すことにした。

 

「禍の団がこのホテルに潜入してるかもしれません」

 

 その言葉にリアス姉さんは表情を凍らせた。

 




原作よりクロの禍の団所属が明らかになるのが早いので、こういう展開に。
ただし原作とは流れがあまり変わらないというか変えられない。
次回、初のずむずむいやーん……胸で見える宇宙もある(見たくもない)
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