ハイスクールD×D 黄金騎士を受け継ぐもの   作:相感

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書くことがないね、しょうがないね。


二章 盤上戦闘のデーモンナイト
帰ってきた日常


 朝というのは俺にとっては忙しい時間だった。

 軽く訓練をし、ご近所への挨拶、起きない兄を叩き起こし朝食を食べる。

 まぁ、そんなで忙しかった……今は? んー、今は。

 

「ぜーはーぜーはー、イチ兄生きてる?」

「死んでる……」

「ほら、二人共起きなさい?」

 

 悪魔(リアス先輩)にしごかれています、はい。

 この一ヶ月で俺たち兄弟の生活は変わった。

 毎朝早朝、具体的には五時に起床はもちろんのこと。リアス先輩考案の練習メニューをこなすようになっていた。

 これがまたキツイ。

 まずウォーミングアップがランニング二十キロ。そこまでは俺でも行ける、ただここからがヤバイ。

 ダッシュ百本の後、死ぬほど筋トレをやらされるのだ。

 今までやっていた訓練が児戯と思うくらいの地獄だ。

 夜にやらないのかと思う、俺はともかくイチ兄の夜は凄い。

 しかしリアス先輩が言うには「夜は夜だけど、朝やったほうが精神的に鍛えられるの」らしい。確かに朝起きてからやったほうがいいが、コレやり過ぎじゃね?

 ちなみに初日はイチ兄はランニングで力尽き、俺はダッシュ中にぶっ倒れた。

 しかし人間と悪魔、根性でどうにか出来るらしい。

 今ではランニングとダッシュと筋トレやってから死にかけているので全くもって成長したもんだ。

 とくにリアス先輩なんて俺は途中でリタイアすると思っていたらしい……人間でも行けるんやなって。

 

「ほら、お立ちになって?」

「いや、姫島先輩、もうちょい休ませて」

 

 倒れながらジャージ姿の姫島先輩に言う。

 最初はリアス先輩だけだったが、話を聞いた姫島先輩もやる気になったらしい。十中八九俺が原因だろうが。

 でもって、この人本当に良い性格している。

 筋トレの際、リアス先輩や姫島先輩に手伝ってもらうのだが、ボディタッチは普通。際どいところを触ったり、生々しい声を上げて別の部位がウェクアップフィーバーしかけた。

 さっきも腕立て伏せをしていたのだが、なんか脇をくすぐってくるしさ! 

 ……いやぁ、ほんまこの人悪魔やでぇ。

 

「あらあら、朝から元気ないなんて……別のところは元気そうですけど」

「もう勘弁してくだちい」

 

 姫島先輩は自分の容姿をもうちょい自覚してください。

 一般高校生には刺激が強すぎますし、男はビーストですよ、獣ですよ、いつか襲いますよこの野郎!

 と言っても何も出来ないんだけどね。ヘタレ言わない。

 姫島先輩にとって、俺は弄り甲斐のある後輩なんだろうなと近々思ってきた。

 まぁ、だからこの人と一緒にいられる今はこの幸せと……地獄を楽しもう。

 

『魔戒騎士の訓練するには遅すぎるんだがな』

「うるせーよザルバ。あと俺は魔戒騎士じゃねえ」

 

 こういう朝の時間はザルバがはめられる。

 学校でこんなもん付けて行けないからな。ザルバはいつもつけてろって言うが、こんな指輪つけて行ったら一発で生活指導室だ。

 

「そろそろ来てもおかしくないんだけどねえ」

「えっ?」

 

 リアス先輩がそう言うと遠くから人が走ってくる。

 

「双葉さーん、イッセーさーん、部長さんに姫島さーん!」

「えっ、アーシア?」

 

 疲れが吹っ飛びガバッと起き上がる。

 すると飼い主を見つけたわんこのように走り……こけた。

 

 

 

****

 

 

 

「ご、五臓六腑に染み渡りますわ」

「良かったですー」

 

 ニコニコしながら俺にお茶を注いでくれるアーシア。

 なんでも俺たち二人が訓練してると聞いて応援に来てくれたらしい。

 

「美味しいですわ、アーシアさん後で淹れ方教えてもらっても?」

「ええ、もちろん!」

 

 あのパーティーで火花散らした二人だったが、現在ではウマがあったのか知らないがかなり仲良くなった。

 ちょっとだけ嫉妬する気持ちがあるが、そこはやっぱり同じ同性ということなんだろう。俺だと話が合わない時がある。特に花とか無理無理。

 俺が知ってるのはたんぽぽくらいなもんだ。

 お茶をすすりながらそんな二人をほんわかと見ているとイチ兄が不安そうな顔でリアス先輩を見ていた。

 

「どうしたの? イチ兄」

「いや……なんか部長の様子がな」

 

 確かに見てみるとお茶を飲んでいるリアス先輩の顔は暗い。

 どうしたんだろうか、お茶が口に合わないってことはないだろう。

 部室でもアーシアが淹れたお茶をニコニコ笑いながら飲んでるし、特に変な味もしない。

 

「あの、部長?」

「……ッ! ご、ごめんなさい、少しボーッとしてたわ」

 

 明らかに取り繕う言葉に俺たちは顔を見合わせるがどうにも出来ない。

 もしも女の子に関することなら俺達にはどうすることも出来ない。

 それに何かあれば助けると誓っている。

 リアス先輩には大きな借りがある。命をくれと言われたら躊躇なく渡すくらいだ。

 あっ、でもそうするとアーシアが泣いちまう。

 

「あぁ、そうそう。今日からアーシアがあなた達の家に住むわ」

「「は?」」

 

 唐突に爆弾が落とされた。

 

 

 

****

 

 

 

 家族会議、恐らくはトップクラスの交渉場だ。あの大統領やあの指導者なんかも家庭に戻れば頭を下げるかもしれない、そんな会議。

 しかし当の両親はリアス先輩に見られて萎縮していた。

 当然だろう、美貌もそうだが眼光が凄いのよこの人。マジで成人してないの?

 

「理由はわかりました。しかし……双葉ならまだしも、ウチには性欲の権化のバカ息子がいる。年頃のお嬢さんを預かるには少し……」

 

 あー、と納得する。

 イチ兄が抗議の声をあげるがぶっちゃけ無視、今までの評価なら妥当だ。

 あとプラモの箱本格的に没収かな……あんな中にエロ本隠してるし、アーシアが万が一でも見つけたらと思うと気が気じゃない。

 

「しかし、イッセーも、もちろん双葉もそうですが私達二人はこの二人に全幅の信頼を持っていますわ。二人とも直情型でやや思慮の足りない部分もありますが、一度やると決めたら最後までやり通す覚悟がありますわ。特にアーシアは双葉、私はイッセーに一目置いています。ね? アーシア」

「は、はい! 双葉さんは命がけで私を救ってくれました。イッセーさんもです。お二人は私の命の恩人です」

 

 そっからのアーシアのマシンガントークは凄まじかった。

 些細な出来事すら楽しそうに身振り手振りも入れて説明してくれる。

 う、嬉しいんだがそこまでのことはしてないんだがなぁ。命かけたのは事実だけどさ。

 まぁ、一度アーシアを止めてリアス先輩が特大の爆弾を投げ込んだ。

 

「今回、アーシアのホームステイは花嫁修業も兼ねるというのはどうでしょうか?」

『花嫁!?』

 

 両親とシンクロするがそこじゃねえ。

 なぁに言ってんだこの悪魔、いやホームステイは百歩譲ってわかるとして花嫁って……アーシアの花嫁かぁ、相手を切り裂きそうだから俺が死んだ後に結婚してもらいたい。

 てかなんか父さんの目から涙あふれてるんだけど。

 

「イッセーは無理でもお前なら出来ると信じてたぞ!!」

「できるわ!! 自分たちの息子信じろよ! イチ兄もエロさえ抜けば優良物件だぞ!」

 

 さすがにその一言は聞き捨てならない。

 イチ兄の本質を見てくれる人がいないだけで、イチ兄の奥底に触れたらどんな女でもイチコロのはずだ。だって見た目カッコいいし、優しくて、頼れる俺の兄だぞ!? 今までモテナイのだっておっぱいが大好きすぎるって致命的部分があるだけだ。

 そう力説するとなんか皆が引いていた。

 

「……イッセー、もしかして双葉って」

「言わないでください部長! コイツ、なんか俺に凄い懐いてて」

 

 ? なんだ? イチ兄の良さならまだまだ喋れるぞ? 具体的にはあと三時間位。

 

「ゴホン、それでお父さま、お母さまどうでしょうか? アーシアの件は」

「受けます。……双葉の考えを矯正していただきたいとも思ってますし、まさかここまでとは」

「昔からお兄ちゃんっ子だったけど、ここまでとはねえ」

「?」

 

 頭に疑問符が浮かぶがまぁ、なぁなぁな感じでアーシアがウチに住むことに決まっちまったよ。

 えっ? マジでいいの?

 

「アーシア、本当にいいのか? リアス先輩や姫島先輩とか同性の方が……」

「双葉さんの所が良いんです! ご、ご迷惑でしょうか」

 

 やめろおおおおおおお!! そのうるうるした目でお、俺を見るなぁああ!!

 打算でやる奴もいるがアーシアは素でやるから困る、この子の将来が怖い。なんか人誑しになりそうでなぁ。

 

「日本文化に慣れるのはその土地の者のお家で習うのが一番よ。それにアーシアは双葉と暮らしたいって私に言ってきたのよ」

「ぶ、部長さん!」

 

 顔を真赤にしながらリアス先輩を見るアーシアを見て、嬉しくなる。

 ……きっと初めて気兼ねのない友達と暮らしてみたかったんだろう。アーシアは孤児院の出だし、ウチのような普通の家庭に憧れてたんだろうな。

 そう言うと何度目かわからないが全員から信じられないような目で見られた。

 

「に、鈍いというか……お父さん的心境になってるじゃない!」

「双葉、さすがにこれでわからないなら父さんもどうしようもない」

「あぁ、なんで一誠のエロがほんの少しでも移らなかったのかしら」

「うぅううう」

「えっ、俺が悪いのこれ?」

 

 『悪いわ!!』と全員からツッコミ貰ったが何のことかさっぱりだ。

 

「はぁ……まぁ、双葉の鈍感さは置いておいてアーシア、お世話になるんだからちゃんと挨拶なさい」

「は、はい! 双葉さんのお父さま、お母さま、不束者ですけどよろしくお願いします!」

 

 この一言は両親にダイレクトヒット。アーシアに抱きつき「ずっと日本にいていいからねええ!!」とか「ウチのあのわからず屋をお願いします」とか泣きついちゃってるよ。

 まぁ、昔から女の子欲しいとか言ってたもんなぁ母さん。

 そんなこんなでアーシアは俺の家に住むことになった。

 

 しかしこの時、イチ兄が気づいていた。少しさびしそうな顔をしているリアス先輩を。

 

 そんでもってアーシアが住むようになって数日後。

 なんだかんだ俺たちは兄妹のように過ごしていた。

 

「双葉さん! 今日ソフトボールするんですよ。初めてなので楽しみです!」

「あー、危ないから無茶しないようにな」

 

 俺たち三人は仲良く通学路を登校する。

 イチ兄は血涙を流していたが、俺は冷や汗ものだった。

 そりゃアーシアと通うのは楽しいさ、天使のような笑顔で学校の感想言ってくれるアーシアマジ天使、なんだが周りの視線がヤバイ。

 特に教室での小猫の機嫌が日増しに悪くなっているのは気のせいじゃない。この前なんて無言で学食奢らされたもん……そしてあの小柄な体型のどこにあの量入ってんだろうね、ってくらい食われた。

 なお、財布は轟沈しました。

 あと、アーシアに告白する連中が多いらしい。

 まぁ、金髪美少女かつ俺とイチ兄と一緒にいれば希望持つ奴も多いってもんだ。

 だって俺、イチ兄ほど顔整ってないもの。普通の極み、イチ兄とかモテるために結構イメチェンするので初対面の印象はいい、その後はお察しだが。

 で、まぁアーシアはそういう告白に縁が無かったのだが断ることは断るらしく、この数日間で述べ百人切りは達成したらしい。

 そのせいで要らん恨みを買ってるが、アーシアに向かないなら別にいい。というか一回、逆上した奴がいたんで見守っていた俺が地獄を見せたら、なんか知らんが一部から恐れられた。

 

「双葉さん、どうかしました?」

「いや……アーシア、なんか困ったことないか? イチ兄がセクハラしたりとか」

「してねえよ! 弟の大事な人にそんなこと出来るか!」

 

 冗談でそういうとアーシアはコロコロと笑う。

 あっ、何人かまた堕ちたな……周囲から「アーシアたん」とか「天使だろ、あれ天使だよ」とかいう声が聴こえる。残念、本当は悪魔です、この子。

 

「皆さん仲良くしてくれますし、よく買い物とか連れて行ってもらうんですよ」

 

 ……イカンイカン、泣きそうになった。

 アーシア関連だと俺の涙腺がゆるくなって困る。この前も、夕食の時「友達いっぱいできたんですー」って言われて泣いちゃったからなぁ。

 もう一人ぼっちの聖女ではなく、友達たくさんのアーシア・アルジェントになったんだと思うとあれだけ頑張った俺は優しい気持ちになれる。

 というかイチ兄にも言われたがなんかアーシアを見る目がお父さんみたいだと言われた。

 むぅ、俺は友人のつもりなんだがなぁ。いやアーシアの容姿や雰囲気も悪い。

 だってこれでも年上とか反則だろ! ぽわぽわしてるからなんか子猫についで駒王学園二大マスコットとか言われそうなんだがなぁ。

 

「そりゃ良かった。まっ、イチ兄頼んだよ」

「おう、任せとけ」

 

 ホント、エロさえ無ければイケメンで高スペックなんだがなぁ、ウチの兄は。

 まぁ、おっぱい切り離したイチ兄とか黄身がない卵みたいなもんだ。

 ガヤガヤと話しているとあっという間に玄関にたどり着く。

 アーシアたちとはここで別れる。名残惜しそうにするアーシアとお昼を食べる約束をするのがいつもの風景だ。

 そして俺は教室まで着くとため息をつく。

 まぁ、理由はさっきも言ったよな? 負のオーラを出す子猫だ。

 クラスメートたちは不安そうに俺を見る。原因が俺だとわかっているが下手に刺激できないって感じだよなぁ。

 もう一度溜息をつき、自分の席に座る。

 

「よっ、おはよう」

「……楽しそう」

 

 バギィとセンベイを折る音で俺は内心震え上がる。

 小猫の戦闘能力の高さはこの前の戦闘で実感している。

 下手に刺激すればフリードやドーナーシークとかいう堕天使よろしく犬神家待ったなしだ。

 ここは穏便に速やかに機嫌を直してもらおう。

 よし、まずはお菓子大作戦。

 

「小猫、ほらお前の好きなお菓子。この前飴玉くれただろ? お返しだよ」

「……(ぷいっ)」

 

 そっぽ向いたがしっかりとお菓子は貰っていく小猫は意外に強かでした……くっ、かくなる上はプランBだ、プランBは……ねえよんなもん。

 そもそも小猫の好物しらねえし! というか何が好きなのかすら知らねえ!!

 リアス先輩に聞いても「あなたが言えば答えるわよ」とか言うしさ! ……あー、もうやるしかねえ、最終奥義。

 

「小猫、今度パフェ奢るって言ったよな、悪いがその時買い物に付き合ってくれ!」

「!!!??!」

 

 よし! 姫島先輩に教えてもらったデート大作戦! 「女の子はそういうの好きよ」と本人の談だ! いけるで! 反応したしな。

 なんかクラスがざわついているがそこら辺はどうでもいい! というか今は子猫の機嫌直しだ! 思ったより好感触というか、正直「ザッケンナコラー! スッゾコラー!」的な反応受けると思ったしな。

 

「デート、の誘いですか?」

「そうなるのかな、アハハハハ」

 

 面と向かってそう言われると気恥ずかしさで顔が真っ赤になる。

 アホか、これだとマジでデートに誘っている感じじゃねえか!? いや、確かに誘ったんだがこれご機嫌伺いのようなもんで……ああぁ、そうなると俺最低なやつやん!!

 

「しょうがないですね。いいですよ、いつが空いてます?」

「はえ?」

「いつするかって話です!」

 

 その後、今度の日曜日にデートという約束をした。

 ちなみにその日、小猫の機嫌は俺が見た中で一番良かった。

 あとクラスメートから吊るしあげられたが全力で逃げ出した。羨ましいとか知ったこっちゃねえ、お前らも行動すれば行けるだろ、俺が行けたんだし。

 

 

 

****

 

 

 

「~~~♪」

 

 部活の時間になっても小猫の機嫌は良かった。

 ええ、もう鼻歌交じりで……正直、撫で回したいくらい可愛いのだが。

 

「……」

「……」

『おい、小僧。現実を見ろ』

 

 アーシアと姫島先輩のテンションが急降下していた。

 リアス先輩すらうわぁ、みたいな顔してると言えば事態の深刻さを理解してもらえるだろうか? 帰りたい。すっごく帰りたいがアーシアとは同じ屋根の下の生活だ。

 このまま帰したら機嫌治らず両親から吊るしあげられる。

 

「双葉羨ましいなぁ」

「全くだね、男冥利に尽きるってこういうことなんだろうね」

「イチ兄、木場先輩、変わってあげましょうか?」

 

 変われるなら変わって欲しいが、サッと視線を外す二人に恨みの視線を向ける。

 この野郎どもめ……でも、どうすっかなぁ、お菓子大作戦もデート大作戦も使えんとなると俺にはどうしようもない。

 悩んでいるとリアス先輩が手を叩きながら空気を入れ替えてくれる。

 

「はいはい、二人共そろそろ機嫌直しなさい? デートが羨ましいならあなた達もすればいじゃない」

「「!!!」」

 

 その手があったか、みたいな顔しないでええええええええ!!!

 子猫も鼻歌辞めないで、歌っててずっと歌っててええええええ……あぁ、胃が痛い。

 

「まぁ、双葉の問題は放っておくとして……双葉、あなたに魔力あるかどうか確認したいのよ」

「えっ?」

 

 突然のリアス先輩の言い出しに俺は動きを止める。

 皆も興味津々という風にこちらを見てくる。

 ……魔力ねえ、なんで?

 

「普通の人間でも魔力はある程度持ってるものなのよ。それにあなたザルバへの魔力供給はどうしてるの?」

「魔力供給?」

『チッ、バレたか』

 

 オイ、この指輪野郎、今なんつった。

 まさか無断拝借してたわけじゃないよな?

 

『お前が知ってるとは思わなかったからな』

「一言言えよ……で、部長その魔力がどうしたんですか?」

「今後のためにあなたの魔力量を知りたいのよ」

 

 はえー、つまり今後の特訓メニューに追加するためかー……お願いします、皆無でお願いします。堪忍してつかあさい、もう特訓が増えるのは嫌だお、せっかく最近は慣れてきたのに。

 リアス先輩は姫島先輩に合図する。

 

「動かないでくださいね、今測りますから」

『おー、一つ言っとくぞ嬢ちゃん……コイツ、本当に人間か?』

 

 は? という暇もなく、俺のおでこに手を置いた姫島先輩の顔が真剣になる。

 えっ、何? どしたのワサワサ、なんでもナーミンと言ってください。

 そんな俺の思いと裏腹に、姫島先輩が口を開いた。

 

「……私や部長を遥かに超えてます。意識してないだけで、この子体の奥底に膨大な魔力蓄えてますわ」

「双葉、やっぱり悪魔にならない?」

 

 俺は天を仰ぎたくなった。

 その後色々検査してみたが誤解ではなく、俺の魔力の総量は上級悪魔、つまりリアス先輩たちすら凌駕すると言われた。

 笑いも起きねえよ、なんだそりゃ……俺は一般家庭生まれだぞ。

 そういうとリアス先輩は持ち直したのか、咳払いをしながら解説してくれる。

 

「一般家庭から生まれた子が優秀な魔法使いになることもあるわ。あなたの場合は突然変異、ってことになるのかしら」

「魔法使いるの!? やっぱり!」

 

 リアス先輩の一言に目を輝かせる。

 やっぱいるんだなぁ、この分だと神話とかそこら辺の神々もいるんだろうなぁ。会えないんだろうけどこの世界すげえな、やっぱ!

 と、浮かれるのはここまでにしてどうするか考えるか。

 

「それにしても今まで暴走しなかったのが奇跡ね。自覚してなくても溢れ出ててもおかしくないのに」

「そ、そんなにですか?」

『キッカケありゃいつでも爆発する火薬庫みたいなもんだぞ、お前さんは』

「人を危険物扱いするなよザルバ」

『実際、危険物だよお前さんは。よく暴走しなかったな』

 

カラカラと笑われるが、イチ兄とアーシア以外の全員の顔が引きつっているのを見るに……また面倒事かと溜息をつくしか無い。

 

「ま、まぁ、魔力があるってことはいいことよ? 使いこなせばあなたは悪魔すら超えられる可能性持ってるんだから」

「……普通に生きて、普通に死ぬのが目標なのになぁ」

 

 段々と遠ざかってる気がする。

 とりあえず俺の朝のメニューに姫島先輩との魔力制御という項目が追加されることになった。自覚してしまったためにふとしたことで魔力があふれだすこともあるそうだ。

 危険物やん俺ぇ!?

 あっ、そうそうアーシアの機嫌がさらに下がったので、今度お菓子を作ると約束しました。

 ……ハハッ、モテるって辛いね、はぁ。

 で、この日は普通に帰った。悪魔ではない俺は夜の仕事には参加できない。

 アーシアの初仕事と聞いて着いて行きたくなったが、それはイチ兄に任せた。

 アーシアのことはイチ兄に任せたい。俺が寿命で早めに死んでしまうが、イチ兄は悪魔だ。アーシアと同じ時間を生きられる。

 それにイチ兄とアーシアはこう言っちゃなんだがお似合いだ。一部だと美女と野獣とか言われてるけど、イチ兄は何度も言うが優しい。多分、頼み込めばアーシアのことを見守ってくれるだろう。

 まぁ、アーシアは今は俺を命の恩人だと思って懐いているだけだ。俺よりも良い人なんて長い……悪生? 人生? どっちでもいいか。人生で幾らでも見つかる。

 今まで不幸だった分、アーシアには幸せになってもらいたい、それが俺の願いだ。

 家に帰った俺は早々と夕食を済ませて、軽く勉強してから寝た。アーシアたちが帰ってくるのは深夜だし、朝の特訓は早めに寝ないと俺が耐え切れない。

 ウトウトしながら隣の部屋、つまりイチ兄の部屋が騒がしいと思ったが疲れ果てた俺はそのまま熟睡してしまった。

 




双葉がアーシアの気持ちに鈍感なのは完全に父親目線なのと友達でいようという気持ちのせいです。立場的には年齢の離れたおじさんと好き好きオーラ出してる姪みたいな関係です。
双葉の魔力に気づけなかったのはただ純粋に双葉が自覚しておらず体の奥底で眠っていたからです。


あと誤字脱字酷すぎぃ! 寝ぼけてやるもんじゃないってハッキリ分かんだね。
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